◆原告第14準備書面
第8 結論

原告第14準備書面
-津波の危険性について 目次

  第8 結論

以上、大飯原発第3、4号機における津波の問題を論じてきた。

まず第1に被告関西電力は、必要な事項(活断層、古津波)について十分な検討をしていない。このまま再稼働を許すことは、貞観津波のエビデンスを無視して津波対策を行わないまま福島第一原発事故を招いた東電と同様の愚策である。

第2に、「津波評価技術」に代表される現代の津波予測はせいぜい「倍半分」程度の精度しかない。ここで、安全裕度(補正係数)1.5とすれば、押し波により大飯原発3、4号炉の海水ポンプ室が浸水することになる。
引き波に至っては、すでに海水ポンプの取水可能域を下回る結果が出ている。被告関西電力は、被告関電準備書面(2)29頁にて、「貯水堰」の設置にて引波対策を行うとするが、「貯水堰」からの取水により冷却機能を保持できる時間は僅かに6分間であり(甲211.205)、十分な安全裕度がない。

第3に、福井県は、独自の試算により大飯原発3、4号炉の海水ポンプ室敷地付近の浸水を予測している。ここで、規制される関西電力が提示する予測結果よりも、福井県による予測結果のほうが中立的であることは言うまでもない。現に、関西電力は、不可解なことに、福井県が最も大きい影響を与えると判断した「若狭海丘列付近断層」を評価していなかった。

以上より、大飯原発は津波に対して脆弱であり、津波による炉心損傷の具体的危険性を有する。

以上