- 循環経済 第156号 2023年6月15日
原 強(京都循環経済研究所)
6月1日、京都地裁で、大飯原発の運転差止を求め、3477名の市民が原告になって訴えている訴訟(2012年11月提訴)の第37回口頭弁論がありました。傍聴席がほぼいっぱいになる、多くの原告、市民が参加しました。原告団事務局によれば、準備した資料の数からいうと99名の参加があったとのことです。私も原告席で傍聴する機会をえました。
今回は、担当裁判官の交代という事情のもとで、これまでの原告側の主張をまとめて弁論する「弁論更新」ということで、傍聴者にとってはわかりやすいものであったといえます。
最初に、福島県南相馬市からの避難者である原告・福島敦子さんが陳述。
福島さんは福島原発事故で避難を余儀なくされた事情、避難所での体験、京都に避難することになった経過などをのべたうえ、最後に、つぎのように訴えました。
「裁判長、こどもを守ることに必死な、懸命な母親たちをどうか救ってください。
こどもたちに少しでも明るい未来をどうか託してあげてください。
私たち国民一人ひとりの切実な声に、どうか耳を傾けてください。
大飯原発の再稼働は、現在の日本では必要ないと断罪してください。
もう、私たち避難者のような体験をする人が万が一にも出してはいけないからです。」
つづいて弁護団の弁護士が以下のとおり原告側の主張のおもな論点について弁論。
・地震国ニッポンで原発稼働は無理(弁護士・谷文彰)
・関電の基準地震動の問題点―地域特性について(弁護士・井関佳法)
・深層防護総論(弁護士・大島麻子)
・避難計画の問題点(弁護士・大河原壽貴)
・避難計画の非現実性・各論(弁護士・岩橋多恵)
以上のような原告側の弁論終了後、これからの訴訟の進め方を協議。次回は、9月21日(木)午後2時30分から、被告側の関電、国が「弁論更新」を行うことになりました。
今の時期に関電、国がどんな主張を行うのか、とても注目されます。
このあと、京都弁護士会館に移動して「報告集会」がもたれました。
原告陳述者であった福島敦子さんがあらためて訴え。
つづいて、原告団事務局、弁護団事務局からの報告、「老朽原発40年廃炉訴訟市民の会(名古屋地裁)」からのアピールが行われました。
国段階では原発への回帰政策がすすむなかで、脱原発にむけて、地域から市民が声を上げていくことがとても重要だと思いました。
(原 強)