◆11/28の第13回口頭弁論の報告
 ~救援新聞より

  • 救援新聞 京都版No.1289 2016年12月15日
    橋本宏一(日本国民救援会京都府本部 事務局長)

原発事故の住民避難は困難

大飯原発差止訴訟 第13回口頭弁論で陳述

  • 京都府などの住民3,086人が関西電力と国を相手に大飯原子力発電所1~4号機の運転差し止めと慰謝料を求めている訴訟の第13回口頭弁論が,11月28日,京都地裁(第6民事部合議A係・堀内照美裁判長)101号法廷で開かれました。今回も法廷は弁護団,原告,被告代理人,傍聴席(86席)がすべて埋め尽されるなかで開廷しました。
  • 原告第26・27・28の各準備書面と書証を提出。弁護団と原告が要旨を陳述(下記はその一部)をしました。
  • 大河原壽貴弁護士「高浜原発広域避難訓練の問題点(第27準備書面)」―京都,福井,滋賀の三府県で8月27日,自治体職員,自衛隊,電力会社社員2千人,避難住民7千人,合計9千人が参加する,高浜原発の事故を想定した住民避難訓練が実施された。
  • 午前6時に若狭湾沖で地震が発生,午前9時に緊急事態宣言発令となり,5キロ圏,30キロ圏内の住民に屋内避難指示が出される,このまま24時間が経過,翌日午前10時,毎時20ミリシーベルトを超えた地域住民の一時避難指示が出されるという想定になっている。しかし,この初動の24時間が極めて重要。問題なのは,屋内避難の対象とされた住民の8割の5千800人に「自宅のドアを閉め,換気扇を止めて外気を遮断し,屋内に避難」との通知を出し,消防団員が地域の見回りに回ったとされ,さらに24時間経過後も同様の指示と見回りだけで,住民が実際に訓練に参加したのかどうかわからない。
  • 二つ目の問題は,避難住民と車両のスクリーニングと除染の訓練。あやべ球場と丹波自然運動公園で実施されたが,体制や除染機材がまちまちだった。あやべでは,千代田テクノルという会社の除染機材,除染用シャワーテントだが,丹波運動公園では自衛隊の仕切りも目隠しもない除染シャワーで車両の除染は汚染水の垂れ流しだった。除染にあたるあやべの職員は着用を想定している防護服ではないし,丹波ではほとんどが防護着用だった。また,避難に当たる職員の労働衛生安全面での放射線被ばくへの装備や対策が取られているのか,大変な問題だ。これらが自治体まかせで,国は責任をもって対応していない。船舶の避難も8キロ圏の舞鶴市成生(なりう)地区から実施を予定していたが波が高くてできず,実際このような波は1年の半分はあり,海上保安庁の船があたるとなっているが,漁港には入れない,などの問題があり,広域避難訓練がいかに困難か明らかになった。福島の原発事故で安全神話は崩壊した。住民を安全に避難させられなければ原発の再稼働は許されない。原発は廃炉しかない。」
  • 原告・池田豊さん…福島第一原発の事故直後の大熊町や富岡町の初動対応からも住民避難が困難なことは明白。情報が届かず,バスで移動するにも,何台のバスに何人の職員を添乗させ避難先で対応するのか,全住民の避難の確認はだれがどのようにするのか,などの判断が求められ,100人足らずで1万人以上の住民を安全に避難させるのは非常に困難。三府県の広域避難訓練は,福島原発の初動の訓練を省略したもので,実効性が疑わしい。
  • 原告・吉田真理子さん…宮津市の避難計画は自家用車またはバス等となっているが,冬は雪も積もり,高齢者が多く,バスに乗るまでが困難,道路も寸断されたり渋滞となり,避難は困難を極める。自治会の役員をしているので,被ばくしながら近所の人の安否を見て回らなければならないし高齢の家族を連れて逃げる場所などない。宮津市の人口は,2万人弱だから,60人乗りのバスに乗っても,のべ300台以上が必要。これだけのバスを緊急時に用意することなどできない。
  • 次回第14回口頭弁論…2月13日(月)午後2時から,同法廷で。