◆原告第34準備書面[2]
1 「断層」「活断層」「震源断層」「地表地震断層」

原告第34準備書面
―「断層」とは何か― 目次

本書面は1995年の兵庫県南部地震、また、東京電力柏崎刈羽原子力発電所が大きな被害を被った2007年の新潟県中越沖地震を例に、断層とはどのようなものなのか基本的な事項を述べ、あわせて、地震に関する科学の到達点の不確かさを述べるものである。

 1 「断層」「活断層」「震源断層」「地表地震断層」(甲343参照)

地震は大きく分けて海溝型地震と内陸型地震があるとされ、日本国の場合、太平洋岸では海溝型地震が問題になるが、日本海側では主に内陸型地震が問題とされる。

海溝型地震、プレート内地震、内陸型地震の模式図 国土地理院HPより【図省略】

内陸のプレート内でも様々な力が加わっており、それにより生じた割れ目が「断層」であり、その際に発生するのが地震である。

また地下深部で地震を発生させた断層を「震源断層」、地震時に断層のずれが地表まで到達して地表にずれが生じたものを「地表地震断層」などという。そして「断層」のうち、特に数十万年前以降に繰り返し活動し、将来も活動すると考えられる断層のことを「活断層」と呼ぶ(第四紀(260万年前以後)中に活動した証拠のある断層すべてを「活断層」と呼ぶこともある)。地下に隠れていて地表に現れていない「活断層」もたくさんあるとされる。

このように「活断層」の定義からして一定しないし、人類が発見できていない活断層や、活動性がないと考えたものが実は活動性をもっていることがあとから判明することもある。そもそも未発見の断層を「活断層」の定義に含むのであれば、「断層がない場所でも大地震は発生し得る」と言っているに等しい。

地震断層と震源断層 国土地理院HPより【図省略】

我々は、新聞記事や、様々なテキストの類で、地図の上に赤い線を引かれると、それが「断層」であり、かつ、将来発生する地震の震源、周期、規模を規定するものと思いがちであるが、必ずしもそうではなく、例外に満ちあふれていることを肝に銘じなければならない。