◆原告第34準備書面[5]
4 まとめ

原告第34準備書面
―「断層」とは何か― 目次

4 まとめ

2011年3月11日の東日本大震災とその後の福島第一原発の事故では「想定外」が連呼されたことは記憶に新しいが、この20年ほどの間、日本で発生している地震も、地震により原発が受けた地震動も、繰り返し「想定外」が発生している。

そして、本書面で述べた「想定外」、すなわち、未知の活断層や既存の活断層の延長線での地震の発生、断層の連動、事前に予測できない規模の地震動の発生などは、大飯原発についてもその可能性があることがそのまま当てはまる。

そして、このように短期間で「想定外」を繰り返しているのに、本質的に原発を稼動させるための基準である、現在の「新」規制基準であれば原発の安全性を担保できる、と考えるのは、地震に関する科学の発展状況を大きく見誤ったものといわざるを得ないだろう。

関西電力や被告国はこれまでも、そしてこれからも、科学的らしさを装った立証を行うが、そもそも、現在の地震に関する科学の到達水準は「想定外」を常に繰り返している段階のものであることを大前提にしなければならない。

とくに、被告関電や被告国が地震動を増幅させる要因と主張する「地盤特性」「地域特性」に関する議論は、少なくとも原発に関する限り常に後付けであり、そのような特性が事前に発見されて実際に発生した地震で実証されたことはないし、そのような「特性」自体について、すべて解明されたわけでもないことは極めて重要である。

以上