◆12月11日府知事宛に提出、京都府放射能拡散シミュレーションに関しての要望書

京都府知事 西脇 隆俊 様
2020年12月11日

連絡先
NPO法人使い捨て時代を考える会
京都市下京区富小路仏光寺下る筋屋町141
TEL 075-361-0222  FAX 075-361-0251

要望書

  1. 京都府が6月23日に公表された『高浜・大飯発電所発災時の放射性物質の拡散予測について』は、「UPZ内の住民は屋内退避による防護措置にとどまり、避難を要しない結果となりました」という発表で、日頃より原発の安全性に疑問をもっている私たちは驚愕いたしました。このシミュレーションは福島原発事故時の放出量の約60分の1で計算されていること、風向などの条件が単純で、暴風雨や豪雪など激甚災害を想定していないこと、地震・津波など複合的な災害を想定していないことなどを勘案すると十分に検討されたシミュレーションとはとうてい考えられません。このシミュレーション結果を信じて避難を回避したために被曝をするということも想定できます。そのような事態になったら京都府の責任が問われます。ぜひ考えられる最悪の事態を想定して再度シミュレーションを実施してください。高温、高圧のPWR(加圧水型)原発の特性をふまえ、少なくとも福島事故なみの放射性物質放出想定をしてください。また琵琶湖の汚染に関するシミュレーションも行ってください。シミュレーションには京都府民の意見も取り入れて行ってください。
  2. 原子力発電の事故対応は国の法律で自治体がやるものと定められていますが、避難計画策定、訓練の実施など大変な労力を要します。一企業の事故に対して自治体が避難計画策定などを行わなければならないのは大変疑問です。公益事業とはいえ営利目的の企業活動において、事業者が事故時の責任を取らないというのは理解できません。実際に関西電力は避難については全く無責任で「自治体にお任せ」と平然としています。自治体としても多大な負担を強いられているのが現実で、原発がなければ全く必要のない負担です。関電という一企業の収益事業のために、京都府が関電の仕事を肩代わりさせられているのではないでしょうか。通常は企業活動によって生じた被害は企業が後始末を行い、賠償等の負担も行います。公害の場合は「汚染者が費用を負担する」というのが、大原則です。同様に原発事故に関しても避難計画、事故処理などはすべて企業負担にするべきです。原子力災害対策特別措置法で災害対策を自治体が行うことと定められていますが、原発事故は自然災害とは全く異なる人為的な事象です。地方自治体として原発事故の災害対策に関する法改正を国に要求してください。
  3. 11月3日に定期検査などで関西電力の原発が止まりました。しかし、関電は来年早々に40年を超えた高浜原発1号機,2号機,美浜原発3号機という老朽原発の再稼働を予定しています。この間、関電は大飯原発3号機の一次冷却水の配管が損傷しているのに次回の定期検査まで運転し続けようして原子力規制委員会に止められました。高浜原発3号機では蒸気発生器の細管が損傷し、その原因が解明されていないのに動かし続けていました。関電は常に安全を第一にと言っていますが、実際は安全第一とはとても言えないことをしているのです。金品受領問題なども起き、その解明も道半ばであり、そのような中での原発運転はますます安全第一とは程遠いものと言わざるを得ません。京都府民の命を守るためにも、原発の再稼働をしないように関電に進言してください。
  4. 京都府は、事故時のリスクが福井県よりも大きいにも拘らず、原発立地自治体ほどの権限がありません。現状の安全協定を見直して、原子力発電に対してもっと影響力を持てるように再稼働同意権を含むような見直しを、関西電力に求めてください。

この要望書への賛同団体
アジェンダ・プロジェクト京都
ウチら困ってんねん@京都
北山の自然と文化をまもる会
京都循環経済研究所
京都脱原発原告団
京都・水と緑をまもる連絡会
原発なしで暮らしたい宮津の会
原発賠償訴訟・京都原告団を支援する会
原発をなくす向日市民の会
市民環境研究所
生活協同組合コープ自然派京都
丹波自由学校
使い捨て時代を考える会
なくそう原発美山の会
日本科学者会議京都支部
ふしみ原発「0」パレードの会
ヨウ素剤を配ってよ@京都
若狭の原発を考える会