◆8月19日に京都府危機管理部原子力防災課に質問を提出し,8月28日に話し合い→その報告

 京都府は,6月23日に「高浜・大飯発電所発災時の放射性物質の拡散予測について」という文書を発表しました。「UPZ内の住民は屋内退避による防護措置にとどまり、避難を要しない結果となりました。」との結論部分を太字にして,下線まで付けて強調しています。
こちら

 使い捨て時代を考える会は、8月19日に京都府危機管理部原子力防災課に下記の質問を提出し、8月28日に話し合いの場を持ちました。府側は危機管理部原子力防災課参事石山哲さん、危機管理部原子力防災課原子力防災係主幹兼係長津田聡雄さんのお二人。使い捨て時代を考える会からの出席は4名(槌田・山田・西澤・吉田)。30分という約束で話し合いました。

なお,この件では「避難計画を案ずる関西連絡会」も府に抗議などを行っています→こちら

【質問】………………………………………………………………………………………

1.京都府UPZ内の住民は「避難の必要なし」という結果でしたが、あまりにも事故を過少に評価しているのではないでしょうか。なぜそのような結果が出たのか、避難の必要なしと結論を出したのかご説明ください。

2.屋内退避で良いと結論されていますが、その根拠はどこにありますか。また屋内退避はどのように実施するものと想定されていますか。現在新型コロナウイルス禍のもとにありますが、この状況で事故が起きたら、放射能汚染で換気できない屋内にとどまることを推奨されるのでしょうか。新型コロナウイルス対策と矛盾して混乱を招くのではないでしょうか。

3.関西電力は「避難のことは国や自治体が考えるもの」として、全く避難について考えていません。そのうえ、自治体が「避難の必要なし」とするのであれば、もし福島原発並みの事故が起きたら、住民はどうしたらよいのでしょうか。

以上

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【話し合いの概略】

*京都府石山*(以下「府」。ほとんど石山さんが答えました)

「避難の必要なし」としたのは、前提に福島事故以降防災の枠組みが変わり、新規制基準で安全対策を強化したことがある。原子力災害指針策定OILで定められている安全工事がなされたとしてセシウム137を100T㏃としている。ほかの核種は福島事故の推定割合に応じて計算した。24時間後の空間放出線量が国の基準で見た時どうかというところでシミュレーションをやった。屋内退避はOIL2に即して地上1メートルで20μ㏜/時、1日経過しても20μ㏜/時とした。今回、放出開始から24時間後がどうかを見たが20μ㏜を超えなかった。

*使い捨て時代を考える会*(以下「会」)

OILの基準は国が決めたかもしれないが、それを参考にして京都府が考えているとしていいのか。それは妥当なのか。国が決めた基準なら何でもいいのか。放射線管理区域で働く人と一般市民とは違う。20μ㏜は大きすぎる。シミュレーションをした専門家の名前を聞きたい。避難についてこのシミュレーションから短絡することはあり得ない。放出量ももっと大きいかもしれない。甘く見てはいけない。

*府* 国の定めた20μ㏜に合わせて判断した。

*会* 京都府は京都府民を守るために別の判断をしないのか。

*会* 関東にいたが事故後に京都府南丹市に引っ越してきた。事故は起きないと思っていたが、起きて世の中が暗転し、反省した。千葉の家の庭の土は4年たっても577㏃/㎏で、周辺を除染したが時間がたってもセシウムが出てくる。「避難の必要なし」は、福島事故の大きな犠牲から学ばず、安全神話を再び広げてしまう。想定できる最悪で考え始めるべきではないか。避難の必要なしとすると、準備を怠る。府民を守ってほしい。

*会* 三通りのシミュレーションの結果だというが、避難しなくていいという発表は書きすぎではないか。誤解を招く。新聞の書き方も問題がある。

*府* 京都新聞には1面と5面に載って、1面には「避難の必要なし」と出たが、5面には「安心材料ではない」と出ている。避難計画そのものがいらないと考えているわけではない。「安心」のために使うわけではない。

*会* 避難の対策はいままで以上に続ける、と合わせて言うほうが正確なのではないか。

*会* 100T㏃で避難の必要なし、という前提を考えたシミュレーションではないのか。

*府* 今の結果を参考に避難計画をやっていく。

*会* 避難の必要のあるシミュレーションで、さらに検討してもらいたい。

*会* 三つのシミュレーションは極めてシンプルだ。福島ではホットスポットがあった。気象条件は風向きだけではない。誤解を与える。もっと精密にやってもらいたい。20μ㏜という数値は原発事故時の特別な扱いだ。

*会* 20μ㏜を基準に考えること自体がおかしい。

*会* 避難の心配をする必要なしとなると誤解を与える。

*会* 避難の必要なしとインプットされると本当に事故が起きた時、「自分は避難しない」と言い張る人の説得をするのに困る。説得は消防団や警察や行政がやることになると思うが、消防団は地元の将来を担う大事な若い人たちだ。そういう人たちが被ばくすることになる。最悪の事態を想定してやるべきだ。行政の方たちが動きやすくするためにも準備が必要だし、府民のために働く人を守ってもらいたい。

*会* 関電と話し合っているが、関電は無責任だ。避難は一企業では手が付けられないとして、投げ出している。

*会* 避難のことは自治体がやると法律で決まっているようだが、「企業の不始末の後始末を自治体にさせるな」と自治体として国に言ってもらいたい。

*会* 避難対策の費用を行政の責任にする構造がおかしい。予算が少なくてシミュレーションができなかったと言っているが、関電にお金を出させたらいいのではないか。ばらまかれた放射能は公有物だというひどい判決もある。防災課は本来はやらなくて良い無駄な仕事をしているのではないか。

*会* 夢の原子力として登場したが、危険だし嘘が並んでいる。何重にも安全装置がついているというのも全部嘘だった。政治の問題だ。今の政治はひどすぎる。政治が絡むと大きな問題が起きる。関電はスリーマイルの事故の後に原発がなくなると電気がなくなると宣伝した。

*会 *わずかばかりの予算での結論はなぜか?マスコミに流してしまったとしたら今から訂正をしてもらいたい。今後シミュレーションするなら市民に聞きながらやってもらいたい。

*会* 東電はひどい会社だと思ったが、関電はもっとひどい。その関電が40年を超えた原発を動かそうとしている。怖い。事故は起きる。実効力のある対策を考えないといけない。

*会* 40年越えの老朽原発を動かすし、異物が混入している原発も動かしている。信用できない。現状でやるしかないので府民の生活を守るとしてやってほしい。

*会* 何兆円もかかる事故が起きた。シミュレーションの予算700万円とは小さすぎる。

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*30**分経過したのでここまで。こちら側が言いたいことを言っているうちに時間となってしまいました。今後、シミュレーションのやり直し、マスコミ発表のやり直しなどを要求していく予定です。*