◆7月28日に行った関電との話し合いの記録

関電側;広報担当者など3名。
使い捨て時代を考える会;4名。

事前に提出した以下の質問書にそって話し合いました。

質問書
……………………………………………………………………………
1.6月23日に貴社は運転開始から44年が経過した老朽原発である美浜原発3号機を再稼働させました。福島原発事故で原発の見直しが言われ、国民の多くが原発に反対している中での老朽原発再稼働です。40年を超えていない原発でも安全性に問題があるというのに、老朽原発の再稼働は常軌を逸しているとしか思えません。福島原発事故後では老朽原発再稼働は美浜3号機が初めてですが、既成事実を積み上げて次々老朽原発を再稼働させていくのではないかと危惧します。特定重大事故等対処施設(テロ対策施設)ができていないので10月に停止するそうですが、短期間の稼働で無駄な経費をかけてまで再稼働する理由はどこにあるのでしょうか。現在原発による発電は日本全体で3%程度と言われています。原発がなくても十分やっていけるという証拠です。それにもかかわらず老朽原発を動かす理由はどこにあるのでしょうか。老朽原発再稼働を進める最大の理由をお聞かせください。莫大な安全対策費がかかっていますが再稼働にはどのぐらいの経費がかかりましたか。採算は取れますか。取れるとしたらその根拠をお聞かせください。美浜3号機に引き続き運転開始40年越えの老朽原発高浜原発1号機・2号機の再稼働も進めるつもりですか。直ちに美浜3号機の運転をやめ、他のすべての老朽原発の再稼働を断念してください。

2.福島第一原発事故から10年が経ちました。いまだに溶け落ちた炉心には近寄ることもできず、汚染水はたまり続け、廃炉作業も全く進んでいません。故郷を奪われた人々も、汚染地域に残らざるを得なかった人々も、大きな苦しみを抱えています。漁民の大反対を押し切っての汚染水の海洋放出の決定、廃炉作業による原発労働者の被ばく、限りなく続く放射能汚染、このような現実をどうお考えですか。福島原発で私たちは原発事故の悲惨さを体験し、すぐにすべての原発を止めて安全なエネルギーに変えていくことが最善ということを知りました。これは常識だと思いますが、事故の危険・甚大な被害を見て見ぬふりをして原発に依存する理由が理解できません。原発を推進する理由は何ですか?

3.大飯原発3・4号機について昨年12月4日に原子力規制委員会の設置許可を取り消すという大阪地裁判決にもかかわらず、貴社は大飯原発3・4号機を稼働させています。安全第一という貴社の主張は虚偽なのでしょうか。地震動については見解が分かれているとして、貴社は判決を無視し、大飯原発を動かし続けています。判断が異なったとしても、控訴審が決着するまでは稼働させるべきではないと考えます。それが法治性であり、安全性に対する真摯な姿勢ではないでしょうか。巨大地震が起きたら、東電と同じように判断先送りで過酷重大事故につながりかねません。ただちに大飯原発を停止するべきです。司法判断に対する貴社の見解をお聞かせ下さい。

4.金品受領、役員報酬補填問題についてはどこまで明らかになり、今後の再発防止ができているのでしょうか。金品受領のような汚れたお金で原発再稼働を進めていることは、安全第一ではありません。すべての事実関係が明らかになるまで原発を動かすべきでないと考えます。貴社の見解をお聞かせください。このような事件が起きたのも、過疎地に危険な設備を押し付けるためにお金をばらまいている結果ではないでしょうか。なぜそのようなことをしてまで原発に固執するのでしょうか。

5.新型コロナウイルスの感染拡大が収まりません。新型コロナウイルスの脅威にさらされている状況においては、すべての原発を停止させるべきだと考えます。コロナ禍が起きている中で、国は原発事故の際の避難所では換気しないという指針を出しました。放射能汚染を防ぐために、コロナ感染防止をしないということです。コロナ禍に対応できる避難計画はできていますか。

6.使用済み核燃料の処理についての見通しを述べてください。また2018年度中に決めるとなっていた中間処理施設の見通しは立っていますか。2023年末までに候補地を決められなければ、その時は老朽原発3基が動いていても止める、としていますが、現在、どのような段階にあるのでしょうか。使用済み核燃料の処理についての計画ができていない中で、原発を稼働させ、使用済み核燃料を増やし続けることに疑問はないのですか。子々孫々にわたって負の遺産を押し付けることをどう思いますか。

7.昨年貴社は送配電部門を独立させ別会社にしました。しかし、実質は100%子会社で独立したものではありません。送配電を分離することで再生可能エネルギーが参入しやすくなるというはずでしたが、依然として大電力会社が有利な仕組みです。これでは再エネは進みません。このような仕組みについて貴社はどのように考えられますか。再エネへの取り組みが少ないことは国際的にも批判を受けています。コロナ禍のことも考えると、これからの社会は再エネへ転換しないと持たないと言われています。貴社としてもいますぐ原発への投資をやめて再エネへのシフトを図るべきではないでしょうか。

8.高浜原発で露見した汚職などで貴社に対する社会的信用は失墜し、貴社からの契約離脱は今年5月末で430万件を超えたと言われています。その状況下で電力販売量は落ちているにもかかわらず黒字決算となっているようですが、その収益の根拠は何ですか。発電部門ごとの発電量と部門支出を、福島原発事故前と事故後について年次ごとにお教えください。福島事故後、原発部門は会社にどの程度の貢献をしているのか教えてください。廃炉や使用済み燃料の後始末など技術的未解決課題が積み残されており、将来巨額の出費となるのではないでしょうか。また貴社は日本原電に電気料金として、最近も毎年ほぼ190億円を支払っておられますが、購入電力はゼロです。原発推進によって経営破綻の危険はないでのしょうか。

以 上

……………………………………………………………………………
話し合い内容
Q(こちら側の発言)、A(関電の発言)
—–(質問1について)—–
A  関西電力のスタンスは日本は資源に乏しいということと、S+3Eのエネルギー政策に則っている。安全性を常に最優先させている。(と準備したメモをとうとうと読み上げていく。この間反論することを制止される)

Q 本当にそうか。そう思っているのか。

A 関電として答えさせてもらっている。会社のスタンスとして話している。

Q 広報課ですよね。これまで(の面談)はていねいに答えてもらったが、今回は(私たちの言うことを)ちゃんと聞いていないように思える。こちらの発言がさえぎられる。

Q 朝日新聞の今日の朝刊に載っていた福井県原子力安全専門委員会の委員の発言を読んだか。

A そのことは質問書に書いていない。

Q 60年運転しても問題ないと関電から聞いたとしか言ってない。本当に大丈夫なのか。ますます不安になる。

Q 委員が「関電から問題ないと聞いた」としか言っていない。いろいろな形で危険性が指摘されているのに、40年超え運転の実績を作りたいのではないか。

Q 関電の誠実さが問われる。役員の不祥事を社員の皆さんは納得しているのか。

Q とにかく40年越えの原発はすぐに止めてほしい。テストピースを取り出して調べたと言っているが、テストピースをいくつ取り出したのか、どんな検査をしているのか。

A 質問に書いて出してもらいたい。質問2に移りたい。

—–(質問2について)—–
A より高い安全性を確保してきた。

Q 福島事故が終わっていないのになぜ老朽原発まで動かすのか。

—–(質問3について)—–
行政訴訟で国が相手。国は控訴している。関電としても決定を覆すように全力を尽くす。

—–(質問4について)—–
A 電気事業法に基づいて社内での見直しをしている。信頼回復に努力している。

Q 本当にそういうことをしていると社内で一致しているのか。今朝の新聞でも不祥事が報道されていた。税の申告漏れという今朝の報道について説明してもらいたい。

A 国税局から税務調査で指摘された。正しく納税されていると思っていたが指摘された。

Q 役員の皆さんはそう考えているのか。こういうことが続くと経営幹部は不信感を植え付けている。一般市民はこれだから事故が起きると思っている。

Q 昨年の株主総会に出た。今年は出ていないが、出た人が紋切型で耳を傾けようとしていないと言っていた。森本社長には経営について不信感がある。

A 本社に伝える。

Q 今朝の新聞を読んでびっくりした。不正マネー還流問題からもう2年たっている。今になって指摘されないと修正できないのか。このようなことがまかり通るとは消費者をバカにしているとしか思えない。

Q 納税に関しては改善計画の是正というのはないのか。

A 確認する。

Q 「悪質な所得隠し」と報道されていた。適切にしていたという今の答えと矛盾している。

Q 是正されなかったのか。1億9000万円もの所得隠しというのは大きな額だ。

A 今、会社としてのスタンスは答えられない。正しいことを答えないといけないので。

Q 悪質と言われている。

A なにをして「悪質」としているかわからない。

Q 不信を持っているのはわかりますよね。

A ……

Q このような体質をどう超えようとしているのか。

Q どう信頼していいのかわからない。この経営で原発は大丈夫なのか。公益事業として社会のために仕事をしているという誇りは失われているのか。関電の基本姿勢が問われている。いくら説明されても悲しい。

Q 今日この脱税の問題が出てきた。この中で原発を動かすのは問題だ。国税庁をたぶらかす、ごまかす、とは沙汰の限りだ。

Q  1億9000万円もだ。社内としてほったらかしてエネルギー云々は残念だ。

—–(質問5について)—–
A 避難訓練は進捗している。地域防災計画は国が求めて自治体が行っている。それを踏まえて福井県で昨年高浜・大飯同時事故の訓練を行った。2020年11月にコロナを踏まえた防災訓練をした。防災業務計画を作っている。

Q コロナが流行している今、対応できるのか。

A 課題を見つけてやっていく。

Q 課題を見つけるなどと言っている場合ではない。自治体は対応できないと言っている。関電には対応する姿勢が見えない。事故が起きたらどうしようもないとわかっているのにちゃんと見ていない。老朽原発まで動かしている。きちんと議論がしたい。

Q コロナ禍で避難所が2倍必要だということを知っているか。これは福井県の見解を国が支持したのだが知っているか。

A 知らない。

Q 京都府は避難所が全く足りないと言っている。コロナ禍では避難ができないで感染してしまう。いったいどうするのか。コロナ禍では避難ができないということだ。原発は止めるべきだ。老朽原発再稼働なんてありえない話だ。

A 上に伝える。また質問書に書いてきて。

Q 知らないというのはおかしい。

Q 避難所でコロナが蔓延する。一層不信感が募る。老朽原発再稼働で私は断食して抗議するつもりだったが、周りから止められて断念した。命をかけて止めたいと思っていた。福島原発事故で何人死んでいるのかと思ったから、自分としても命をかけるつもりだった。

Q 関電の上の人に対して忖度があるのか。せめて若い社員から真実の声を聴きたい。コロナ禍は偶然の出来事かもしれないが、これを機に原発を見直してもらいたい。

Q コロナ拡大から1年、国の指針から1年たつというのにそのことが共有されていない。

Q なぜ避難所のことを知らないのか。それなしに稼働させるのはおかしい。

—–(質問6について)—–
A 昨年10月に地層処分候補地としてとして神恵内村と寿都町が調査の受け入れを表明した。発生者として責任ある立場から処分事業に取り組んでいく。

Q 小泉純一郎氏が脱原発に転じたのはなぜか知っているか。

A オンカロでしょ。

Q 放射性物質がなくなるには何千年も何万年もかかる。それを知ったうえで動かして良いというのは倫理的に問われる。なぜ良いと考えるのか。本質的問題にきちんと答えてほしい。私が科学者であるのをやめたのはそういう理由があったからだ。どこでどのように管理するのか見通しがない。嘘つきの会社に危険なことを任せている。

Q 処分場の適地は世界のどこにもないと言われている。他国では原発をやめようとしているのになぜ進めるのか。

Q オンカロもダメ。どうして関電は再稼働させているのか。経営陣は欲ボケではないか。

—–(質問7について)—–
A 送配電事業者として再エネに最大限努力している。設備投資は2025年までに3400億円。2030年までに600万kWを目標にしている。

Q 去年は再エネにどのぐらい資金を導入したのか。ほとんどゼロにちかいではないか。前にも指摘したが重要と思うことはきちんと調べてほしい。再エネ担当が1~3人だ。言葉の真実性、誠実性が問われる。

A マスクをきちんとしてください。(と注意)

Q そのこと注意するなら、コロナが広がっているときに老朽原発を動かさないでもらいたい。マスクの指摘も大事だが。

Q 再エネが普及するとなると送配電の役割は大きい。できることがいくつかある。

A 日本版コネクト&マネージとして、送配電のルールを変えていかないといけないので、関電も加わって国で議論している。空いたところの利用の仕組みを進めている。

Q もともと系統的に流すことができる再エネの量は少ないし、なかなか広がらない。原発がそれを阻害している。関電の投資も多いのは原発だ。再エネは非常に少ない。今の経営姿勢が見えている。再エネが大事だということは今は誰もが認めている。

A サプライサイドのゼロカーボン化に努める。 再エネ投資の内訳は公表していない。水力発電では国内外の水力開発を行う。デマンドサイドのゼロカーボン化もあり、ガスを使っているところを電化する。

Q 再エネ増やすというが、巨大なメガ風力は期待していない。

Q 関西電力送配電(株)は再エネを優先して配分することをやってほしい。再エネ施設をたくさん作ることではない。個別家庭などが作る再エネを有効に集めて配分できるようにして、原発をはじめとした大規模発電部門ではなく、送配電部門が中心になって生かしてほしい。

A 仕組みとしてもしっかりやっていく。

Q ぜひ仕組みをしっかり作ってほしい。

Q 具体的に仕組み作りがわかったら教えてほしい。

Q 送配電が分離されていなくて冬に問題が起きた。原発をやっているからモタモタしている。発電会社に引きずられて送配電部門が危ない。

—–(質問8について)—–
Q 石炭火力はどうするのか。

A ゼロカーボンビジョン(2025)で、新規開発はない。今あるのは舞鶴だけ。国が法律で制限している。

Q 日本原電に購買電気がゼロなのに毎年190億円もなぜ払っているのか。

A 基本料金と使用料金のようなもので、基本料金だ。

Q 190億円が基本料金か。

A そうだ。

Q 原電の電気を使っていないのに払っているのか。根拠を知りたい。

Q 公聴会でどうして値上げができるのか質問したが、明快に説明してもらいたい。

Q 家庭では電気を使わないと基本料金払わない。

A もう時間ですから。

—–(全体の印象)—–
 質問書に対する答えをきちんと準備してひたすらそれに従って答えようとしていました。途中でこちらが突っ込みを入れ、話がそれると「それは質問にして出してください」というようにはぐらかす。でもこちらはかまわず次々言うので、最後はあきらめモードでした。ただ質問が送配電部門に及んだときはすごく生き生きと答えてくれました。話し合いの相手は送配電部門の所属です。関西電力株式会社の原発のことなのに、面談には分社化して別会社となった関西電力送配電株式会社の広報が出てくるというのもおかしな話です。しかし、取りあえず私たちの質問に対応してもらっていることは、良しとしなければならないと思います。

 なお、送配電の「コネクト&マネージ」とは、電力系統のうち、ローカル(地内)系統制約への対応方法で、現在の日本で導入している「先着優先」(原発を優先して系統の空き容量がある範囲内で先着順に受け入れる制度)ではなく、混雑時の出力抑制など、一定の条件下で再エネにも広く接続を認める仕組みのこと。