◆9月8日に行った関電との話し合いの記録

関電側;広報担当者など3名。
使い捨て時代を考える会;4名。

事前に提出した以下の質問書にそって話し合いました。

…*…………………………………………………………………………………………*

1.昨年の金品受領の露見以降、報酬補填など貴社の旧経営陣のさまざまな問題が報道されています。最近では旧取締役が、損害賠償提訴について圧力をかけたとの報道がありました。すべて原発に関わる金銭問題に端を発しています。経営トップがこぞって不正をする貴社に原発を動かす資格はなく、現在動かしていることに恐怖を感じます。原発を止めることが先決ではありませんか。現在の状況について貴社の考えをお聞かせください。

2.新型コロナウイルスの感染拡大により大飯原発3号機の5月に予定されていた定期検査が延期になり、現在定期検査に入っているとのことですが、まだコロナ禍は終息していません。新型コロナウイルスの脅威にさらされている状況においては、すべての原発を停止させるべきだと考えます。万が一事故が起きたら事故処理に当たる作業員も避難する住民も三密は避けられず、二次災害で感染が起きることは明らかです。コロナ禍が起きている中で、国は原発事故の際の避難所では、換気しないという指針を出しました。放射能を防ぐために、コロナ感染防止をしないということです。このことについて貴社の見解をお聞かせください。

3.40年越えの原発、高浜原発1号機・2号機、美浜原発3号機の安全対策工事が遅れるとのことで、美浜3号と高浜1号は9月に工事が終わるため、来年3月と1月に再稼働を目指すとの報道がありました。それぞれの工期と再稼働予定についてお聞かせください。前回の話し合いで、安全対策工事費は2019年が1,937億円、累計で7,000億円とお聞きしました。今後の稼働次第では採算の取れない可能性もあると思われますが、どうお考えですか。老朽原発の再稼働は不安です。なぜ再稼働を急ぐのですか。

4.使用済み核燃料の処理についての見通しを述べてください。前回使用済みMOX燃料処理の実証実験をしているとのお答えでしたが、具体的にどこで、どういう方法で行い、どういう実績があるのかお示しください。実用化はできるのでしょうか。高浜では今後1/4までMOX燃料を使い、その場合MOX中のプルトニウムは1.7tと聞いていますが、最大でどのぐらいになるのでしょうか。また2018年度中に決めるとなっていた中間処理施設の見通しは立っていますか。北海道寿都町長が高レベル廃棄物最終処分場の調査を受け入れると表明したことで、地域で反対が起きています。過疎の進む地域に原発のゴミを押し付けることについて社会的責任は感じませんか。

5.貴社の再生エネルギー開発について、2030年代には600万kwにする、現在200万kwの新規開発を進めているというお答えでしたが、再エネへの投資が、原発の安全対策費に比べあまりにも小さいのではないでしょうか。再生エネルギー専任の技術者、職員は何人いるのですか。2017年から2018年に投資が減っているのはなぜですか。再エネへの取り組みが少ないことは国際的にも批判を受けています。コロナ禍のことも考えると、これからの社会は再エネへ転換しないと持たないと言われています。いますぐ再エネへのシフトを図るべきではないでしょうか。

6.6月に京都府が高浜・大飯原発事故が同時に起きてもUPZ内は避難の必要なし(屋内退避)というシミュレーションを発表しましたが、これに対して府民はシミュレーションのやり直しを求めています。貴社の原発事故についてのことですが、このシミュレーションの作成に当たって貴社はどのような関わりを持っていますか。

7.高浜原発で露見した汚職などで貴社に対する社会的信用は失墜し、貴社からの契約離脱は350万件を超えたと言われています。その状況下で電力販売量は落ちているにもかかわらず黒字決算となっているようですが、その収益の根拠は何ですか。発電部門ごとの発電量と部門支出を、福島原発事故前と事故後について年次ごとにお教えください。福島事故後、原発部門は会社にどの程度の貢献をしているのか教えてください。廃炉や使用済み燃料の後始末など技術的未解決課題が積み残されており、将来巨額の出費となるのではないでしょうか。原発推進によって経営破綻となるのではないでしょうか。破綻は困るので、改善できるという見通しを提示して下さい。

以上

…*………………………………………………………………………………………………*

話し合い内容 Q(こちら側の発言),A(関電の発言)

A 役員への報酬補填について、社内でもがっかりするという声はある。多大な迷惑をかけている。申し訳ない。秘密主義だったが社外の目を入れ、コンプライアンスを徹底して改革の取り組みを進めている。森本社長がリーダーシップを発揮して、CSRを検証し見直すことや、トレーニング、企業風土の変革に取り組んでいる。社員の生の意見を上げて活かしていく。外部の人材を活用する。原子力事業本部についてもそのようにしていく。それぞれの委員会で外部の意見を取り入れる。原子力事業では資材調達、発注の権限を本店に移した。委員会も設置して内容のチェック、フォローを行う。信頼関係の回復に努めている。

Q あってはならないひどさだ。あまりにもひどすぎたということを認識してもらいたい。森本社長は批判的意見を聞こうとしていない。株主総会での対応は本当にひどかった。森本社長の不信任が4割もあったのに辞任しないことが信じられない。今の答えは空虚だ。何も信じられない。取締役が辞任しないというのは、元の体質のままだ。社内の空気は変わったと思う。社内情報が洩れている。関電がつぶれたら困るが、つぶれずに居直ったらもっと困る。

A 株主総会についての意見は本店に伝えている。できることとできないことがある。

Q 社長の辞任はできることだ。誠実さ、真剣さを示して本物と思える状況にしてもらいたい。そこから始めてもらいたい。

—–
A(Q-2について)コロナウイルスの拡大は重く受け止めている。各設備との併存は重要課題と思って取り組んでいる。自治体とも協力して、定検に入る人は検査して来所している。定検に入った人の検査や(追跡)調査もしている。地域防災計画は国の支援により自治体がやるが、それに協力する。6月2日に内閣府から「新型コロナウイルス感染拡大を踏まえた感染症の流行下での原子力災害時における防護措置の基本的な考え方について」が出た。京都府は9月1日に防災訓練があったが、原子力については秋に行うと聞いている。災害拡大防止など原子力事業者として課題を抽出していく。スクリーニングなどへの出動要請などに会社を挙げて取り組んでいきたい。

Q 今の問題は国、自治体に丸投げして関電は済むのかということだ。関電でやるべきことではないか。京都府では予算が限られているからそこまでしかできなかったと言っていた。京都府のシミュレーションに関電は協力しなかったでしょう。誠実さがない。京都府は数百万の予算でシミュレーションしたと聞いているが、関電は老朽原発の工事は何千億もかけている。落差が激しすぎる。福島事故では事前に考えていなかったから病院や老人施設でお年寄りが死んだ。そのことに学んでいない。

A 丸投げという認識はない。地域防災、避難計画は自治体が策定するので、必要な支援はする。

Q これまでどんな支援をしたか教えてほしい。

A 情報を持っていないので次回に答える。

Q 福島事故から9年たっている。その間何をしてきたのか。

Q 京都府のシミュレーションは30キロ圏内は避難しなくていい、屋内避難で良いという結果だったが、それを信じて避難せずに住民が被ばくしたとしたら犯罪的なことだ。関電がシミュレーションに関係していないということも信じられない。

Q 京都府は700万円しか予算がなくて1条件でしかシミュレーションができなかったと言っていた。セシウム137の放出量を福島事故の1/150で計算している。関電の老朽原発再稼働にかけるお金を回せばもっとできるはずだ。京都府は予算も人も足りない。

Q 責任を持って受け止めてもらいたい。

Q 原発を動かしているので、京都府など自治体が働かされている。

A 府・市の防災にはお世話になっている。府のシミュレーションについての公表は関電各所に報告されているが、評価はなく、お知らせだけだ。府などへの負担は確かにある。発電事業者として管理が及ぶ部分では、放射能を放出しないことだ。

Q 京都府はスクリーニング場所で、放射能を洗い落とすことで地域環境を汚染するなど、場所の選定でも大変な苦労をしている。原発がなければその作業はいらない。そういうことを関電ではなく自治体がやり、負担している。税金を使っている。これは原発のコストだ。

Q 国が法律を作ったのかもしれないが、自治体に押し付け、企業として責任を取らないのはおかしい。

Q 原子力事業の一部も避難の問題に使っているように見えない。コンプライアンスというが倫理的に問われる。

Q 大飯3号機の事故はどういうことか。

A 配管の接続部分と聞いているが、詳しくはまだ知らない。

Q 1次配管が破断したら大変だ。問題が明らかになっても発表されない。

Q 応力腐食はひずみ、割れとなる。地震が起きたら、耐震設計など成り立たない。

Q 交換せずにこのまま使うというがどうなのか。

A 規格に基づいて評価する。数値上、基準を満たしているかいないかを国が検討する。

Q 田中前規制委員会委員長さえ原発は先がないと言っている。規制を通ったということと安全とは違うと言っている。この問題の深刻さは大きい。

Q 福島事故以前には安全神話があった。福島事故が起きてからは事故が起きるということが分かった。福島では避難できなくて亡くなった人がいる。事故が起きることを前提にして人命を守ってもらいたい。事故が起きたらどう避難するかを出してから再稼働してもらいたい。

Q 安全対策を徹底しているというが、配管を替えずに動かすのは徹底していないことではないか。安全対策を手抜きしている。配管を交換しないという意味が理解できない。本当に大丈夫なのか。

Q 配管の厚さが8.2㎜で大丈夫というが、均等に8.2㎜であるならまだわかる。ひびが入ったら均等ではないから大丈夫とは言えないだろう。そこから非常に破断しやすくなる。危険すぎる。

Q 万全を期すなら取り換えるべきだ。お金がかかるから取り替えないのか。

A 取り換えるか否かはこれから決まると思う。

Q 応力腐食割れというがそれも推定という。推定としていることも問題だ。

Q そもそも高浜4号機だって、蒸気細管の損傷の原因がわからないまま再稼働しているではないか。原因がわからないのに動かすとは!安全第一ではないのではないか。次々と不安が起きる。

—–
A(Q-3について) 再稼働の日程、費用については質問書に記載のとおりだ。老朽原発再稼働に反対する気持ちは理解できる。なぜ急ぐかというと原発に必要性があるからで、競争力など見きわめながら進めていく。

Q お金をかけて、どんどん危険なものを動かし続けるのは、経済的にも大変なのではないか。ドブにお金を捨てているようなものだ。経営は大丈夫なのか。

Q 当初原発は30年と言われていたのがいつの間にか40年になり、60年動かそうとしている。

Q 放射性廃棄物のことを考えても動かすことはできないはずだ。

Q MOX燃料は危険だ。熱伝導が不純物で落ちる。内部にたまった熱で炉心が崩れ落ちる。いまだに燃料のことがわかっていない。スリーマイル事故は加圧式で、炉心が溶けたのではなく崩れ落ちた。福島は沸騰水型で炉心の設計が違う。加圧水型のほうがさらに危険だ。関電は加圧水型だ。私は頭では原発の危険性を理解していたが、実際に福島事故で水素が出て爆発したのを見て、大変な原子炉だと改めて認識した。

Q 核燃料サイクルが動かない。最終処分場がない。そういったことを無視したまま動かさないでもらいたい。

A MOX燃料の処理の実証実験はJAEA(日本原子力研究開発機構)でやっている。敦賀のふげんで出たものを東海村で再処理したとされている。経産省に2016年3月4日付で出されている。また海外ではフランスのラ・アーグで2004年から処理している。

A 高浜にはMOX燃料は1/4しか入れないのでそれが最大値になる。

Q 高浜ではプルトニウムが最大で1.7tという数値は合っているのか。もんじゅでも1.4tだ。

A MOXなのでウラン部分も入っているかもしれない。

Q プルトニウムで計算しているはずだ。

A どれだけプルトニウムがあるか確認する。

Q プルトニウムは核兵器に使用するから、核兵器を持っている国で再処理するのは当たり前だ。他国でやっているから大丈夫というのは問題だ。日本の技術は世界で著しく低いとは思わない。なぜできないのかはきちんと押さえておく必要がある。一筋縄ではいかない。

—–
A(Q-5について) 再エネについては有価証券報告書に出ている。太陽光発電3か所のみ記載されており、従事者は2名だ。基本的に無人で遠隔地でオペレーションをしている。再生可能エネルギー部門は専任85名。水力、風力、太陽光、バイオマスも含めての人数だ。

Q 給与で見ると人件費は2人分ぐらい。そんなにたくさんいない。新エネは3か所ということか。

A 3か所2人と出ているだけで、新エネと書いているのは太陽光だけだ。水力や風力をいれたら専任85人だ。

Q 新エネの発電費用が2011年と2019年で比較すると減っている。水力も重視しているように見えない。原発にお金を使って他部門が割を食っている。

A 再エネの開発は積極的にやっている。秋田沖とかアメリカなどでも洋上風力を開発中だ。

Q 18年に営業費が7億円から5億円に減った。

A 太陽光の設備容量の目標は2030年に600万kW/時にする。現在400万kW/時持っており、新規に200万kW/時つくることになるが、現状で447万kW増やしているところで、すでに390万kWできており、目標を大きく超える予定だ。目標にあった設備投資、人的配置にしている。

Q 新エネ開発にもっと力を入れて老朽原発をやめてもらいたい。

—–
A(Q-7について) 7月31日の第一四半期決算では減収減益だった。コロナ拡大の影響で電力量が減少した。不動産部門などグループ企業でも減少した。経常費用も減少した。金品受領問題などがどう影響したかなど見極める必要がある。離脱が進んでいることは事実だ。

A 「発電部門ごとの」とは何を指しているのか。

Q すべてだ。電気を作るためにどれだけ費用が掛かっているか知りたい。原発についてはほかにもある。例えば日原燃に電気代を何百億円も払っている。燃料費は確かに安いが部門発電費とすると原発は高い。

A 電源別コストは経営戦略上明確にできない。

Q 公表されている事実をどう見るかを知りたい。経営の立て直しに原発が必要というのは本当か。発電コストは火力よりも悪くなる。それでも経営のためか。森本社長は関電をつぶすのではないか。労組幹部も原発推進だ。来月この続きを聞きたい。

A 社内で確認するが、経年で出すのは難しい。国が出したものは出すことができる。

Q 部門発電費から発電コストを見たい。どれだけコストをかけて発電しているのか知りたい。私が調べた数値を持ってくるので、それが合っているか見てもらいたい。

—–

**
問題が山積みで1時間超の話し合いでしたが、かなり駆け足で進みました。この日の朝報道された大飯原発3号機の配管に傷があったにもかかわらず、配管を取り換えないで運転するという事実に驚愕。「安全第一」という嘘がまた明らかになりました。
**