◆11月14日に行った関電との話し合いの記録

関電側;広報担当者ほか1名。
使い捨て時代を考える会;4名。

今回は以下の質問書を提出し、話し合いました。
質問書
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1.9 月4 日の台風21 号の影響によって、関西電力エリアの停電が225 万戸に達し、復旧に2 週間以上かかったと報道されています。9 月6 日の北海道大地震では、北海道全域が停電しました。災害によって広域・大規模な停電が起きるのは、広域のエネルギーシステムによる弊害と考えられます。原発では巨大なエネルギー需給を前提としており、事故が起きれば影響は広範囲に及び、復旧にも長時間かかることは明らかです。原発をはじめとする巨大なエネルギーシステムを見直し、地域ごとの小規模な電力需給に切り替えるべきだと思いますが、そのような考えはありますか。

2.高浜原発、大飯原発に関する特定重大事故等対処施設の設置計画について、設置予定年度、予算を示してください。設置することなく原発を動かすことが安全といえるのでしょうか。

3.稼働40 年を超えた関西電力高浜原子力発電所1、2 号機について、原子力規制委員会により最長20 年間の運転延長を認められ、2019 年10 月以降に動かすとのことですが、電力が足りている中で老朽化した原発まで動かす理由はどこにあるのでしょうか。

4.使用済み核燃料の処理についての、技術的、経費的な目途は立っているのですか。再稼動した高浜3 号ではMOX 燃料を増やしたとのことですが、この処理はどうするのですか?また、中間貯蔵施設を福井県外に作るということで、候補地を2018 年に示すとのことですが、具体案はあるのですか。

5.日本原電東海第2 原発について、再稼動・運転延長には立地自治体以外の5市町村の事前了解を必要とするという安全協定がむすばれました。貴社の原発に関しても京都府・滋賀県の市町村と同様の協定を結ぶ必要があると考えますが、どのような見解をお持ちでしょうか。

6.電力自由化によって、貴社から他社へ切り替えた消費者は、8 月末で180 万件に上るとのことです。大飯原発再稼動、高浜原発再稼動で契約離れが加速していますが、そのことについてどうお考えですか。消費者は原発に依存しない電力会社を望んでいるのです。このことについてどのような見解をお持ちでしょうか。

以 上
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話し合いの内容
(Q;こちら側の発言  A;関電の発言)

A〈質問1について)広域エネルギーの弊害に関しては、北電の停電以降国の検証が進んでいる。関電については電力の規模、被害の規模、状況などから次の3 点が言える。

1.北電は一局集中だが、関電は電源が分散している。
2.北海道は他との連携線が1 本しかないが、関電は他社と連携している。
3.北海道は規模が小さいが、関電は系統規模が大きく、1 カ所の発電所の停止によるインパクトが小さい。

Q 規模というが、人口が違う。

A 北海道は340 万キロワットのうち150 万キロワットが止まったので、周波数が大きくずれて電気が止まった。関電は真夏のピークで2800万キロワットだが、通常は2000 万キロワットなので大飯原発2基240 万キロワットと、高浜原発2基170万キロワットの合計410万キロワットが同時に止まってもインパクトは小さい。そのように評価されていると聞いている。

Q ブラックアウトは起きないというのか。起きると想定して考えてもらいたい。北海道の場合も、数分で次々に発電所がダウンしてブラックアウトしたが、実際に短時間でブラックアウトさせないように対応できる根拠はあるのか?

A 止めている火力もあるのでそれを動かすとか、中電から融通してもらうとかいろいろ対策ができる。地震発生から3分でブラックアウトしたことを検証しているが、周波数が不安定で火力も止まった。国に検証させられているが、関電は系統の規模が違う。北電についてはHPにいろいろ出ているので調べてもらいたい。

A(質問2 について〉特定重大事故等対処施設は高浜1,2 号機が平成33 年6 月に完成予定で現在工事中だ。

Q 高浜原発にクレーンがいっぱい立っているが、今工事しているのは何か。

A 四角い建物は緊急時対策所と免震棟、丸い物はトップドームで耐震性を高めるために壁を厚くして屋根をつける。

Q 前にクレーンが倒れたので、この前の台風が心配だった。ちゃんとクレーンを撤収しているのか。

A 当日どうであったかは把握していないが、前回のことをヒアリングして対策を取るようにしている。台風は事前に予測できるので、クレーンを倒していたと思う。

Q 台風21号はすごかったが、そもそも何年もの間、常時4カ所もクレーンのような突起物があるのがおかしい。ほぼ常設状態ではないか。規制基準違反だ。台風が来ると明らかに分かるときはいいが、竜巻などが急に来たらどうするのか。前の事故は燃料倉庫だったが、ちょっとずれたら原子炉建屋に当たっていた。そういった状況で工事をしているのは疑問だ。工事自体が怖い。

Q 原発は効率が悪すぎる。3 割しか電気を利用できていない。海に温水を流しているし、送電線でもロスがある。

Q 40 年超え原発の危険な工事はしないでほしい。

Q 日本は何故原発にしがみつくのか。世界的にも原発はやめる方向だ。リトアニアは国民投票で、ドイツは選挙でやめる方向になった。採算が合わないので撤退が進んでいる。日本ではなぜ撤退できないのか。コストはどんどん上がっているではないか。

Q 高浜3 号機ではMOX燃料を何故増やしたのか。危険ではないか。

Q 40 年以上の物を何故動かすのか。

A うちがやりたくてやっているわけではない。エネルギーサイクル政策上、原発の割合を15%以上にしなくてはならない。

Q 国に言われてやっているというのか。前の関電社長は、原発を動かしてほしいと国に文句を言っていたと思うが。

A 国に言われてと言うことではなく、コストと、環境面と、エネルギーセキュリティーの3Eで考えている。採算性なくても、いろんな観点でやっている。

Q 国に言われてるということでないなら経済的に見合うからやっているのではないか。

A 三つのことで選んでいる。採算というよりCSAがあること。原発をとめると代りは火力で燃料費があがる。
【注】CSA…組織に存在するリスクと統制を勘案すること。

Q 国に言われていやいややっているのではなく、採算が取れるからやっているというのか。

A 国の政策ばかりではない。一電力会社ですから。

Q 関電からどの電力会社に変えたのかという電話がかかってきた。中部電力も攻勢をかけている。

Q 顧客離れが大変と思うが、原発をやめたら関電をバックアップする。ぜひやめてもらいたい。

Q 今動いている高浜と大飯の原発は4 基あるが、すべて非常に近接しているので、1 基事故が起きたら全部動かせなくなる。大変なことが起きる。

Q (質問4 について)中間貯蔵施設は2018 年内というがどこになるのか。

A どこということは言えない。

Q 再処理はどこでするのか。

A それは六カ所になる。

Q 六カ所ではいつからできるのか。まだ動いてもいないではないか。使用済核燃料の処理もできないのに何故動かしているのか。MOX燃料は通常のウラン燃料よりも冷却しなければならない期間も長く危険だ。そもそも再処理することもできない。第二再処理工場で再処理すると言っているが、机上の空論状態だ。処理できるようになってから動かすべきだ。

Q 数年のうちに大地震がおきたらどうするのか。社会的責任をどう考えるか。一刻も早く原発依存をやめることが今やることだ。多くの人に危険を及ぼす事はやめてほしい。

Q もっと福島事故をよく見てほしい。7 年も経つのに、今年になってPTSDを発症した大学生がいる。福島事故の被害をみたらやめるべきだ。

Q 企業の立場もあるかも知れないが、社員としてフィードバックして関電のシステムを変えていってもらいたい。大きな事故を起こしたらどういう責任が取れるのか。会社の方針だからでは済まない。全社員が考えることではないか。

Q 金曜日に関電前で関電社員にチラシを受け取ってもらえない。受け取ってはいけないということになっているのか。

A そんなことはない。

Q 質問5 について聞きたい。京都は立地自治体と同じだ。なぜ協定が結べないのか。

A 他社のことで勉強したが、発電所の重要事項について(自治体が)意見を述べることや、どういう権限があるのか、協議権のことなどよくわからなかった。

Q 東海原発については事実上の立地自治体以外6 市町村の同意権だ。福井県や福井の原発立地にあるのも「明記」ではなく「事実上の」同意権だ。舞鶴市にはわずか5キロ圏内の地域もある。京都府にも事実上の同意権がほしい。ぜひ決めてもらいたい。

A 歴史的経緯がある。

Q 利権の問題かも知れないが、住民の被害という観点で同意権を認めてもらいたい。

【感想】
国の方針だから一企業としては何も言えないっておかしいですよね。事故を起こし被害を出すのは企業で、企業にとって大きな損失があるということが分かっているのに反対できないのは(しない)のは、失敗しても国が守ってくれるからなのでしょうか。