◆開会の挨拶

富田道男(原告団世話人)

 みなさま今日は、ご紹介いただきました原告参加呼びかけ人の一人富田道男と申します。一言ご挨拶 申し上げます。

 昨年 11 月 29 日に 1107 名の原告による「大飯原発運転差止訴訟」を京都地裁に提訴いたしましたが、 今年 2 月 9 日に原告団結成準備の総会が開かれました。そしてそこで結成準備のための世話人会が発足 し、世話人の方がたのご尽力により、本日ここに原告団結成総会を迎えることができました。大変うれ しいことでございます。この後は、勝利判決に向けて、弁護団の皆様と手を携えて、原告団としての活 動を展開しようではありませんか。

 ところで、原発をめぐる動きが最近連日のように報道されています。その1つは、関西電力社長の5 月の定例記者会見における発言であります。そこでは「停止している原発は準備でき次第再稼働を申請 したい」そして「新規制基準が施行される7月に向けて準備を急ぐ」というものでした。新聞は高浜原 発のことを想定しているようです。福島第一原発の事故原因がまだ解明されていない状況の下で作成さ れた新規制基準は、果たして私たちの暮しの安全を担保することができるのでしょうか?疑わしい限り であります。再稼働を許してはなりません。

 もう一つ大事なことと思いますのは、高レベル放射性廃棄物の最終処分に関する経済産業省の発表で した。それは「核燃料の最終処分選定法の見直しに着手した」という記事でした。従来から原発施設は 「トイレなきマンション」に例えられて、使用済み核燃料の処分の方法が決められない状況にありまし た。政府は「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」を作り、高レベル放射性廃棄物を深地層処分 にすること、すなわち地中深くに埋めてしまうという処分法を決め、「電源三法による交付金」という 餌をつけて、最終処分地を公募していましたが、法律制定後 10 年たった今日も応募がない状況です。 そこで選定法を見直すということであります。

 深地層処分というのは「埋めてしまえば、あとは知らない」という処分法であります。深地層処分を して人々の生活環境から隔離したつもりでも、継続的に地殻変動をする地質の特徴を持つ日本列島は、 地震多発列島であり、火山があり、無数の断層が分布し、多数の地下水脈の分布する土地でありますか ら、1000 年の時間軸で見る限り、地殻変動により高レベル放射性廃棄物が再び生活環境に漏れ出して くる確率は決して小さくないと見るべきであります。したがって深地層処分は後の世代を危険にさらす 犯罪的行為と言わなければなりません。直ちに高レベル放射性廃棄物の生産は中止すべきです。すなわ ち原発はただちに運転停止とすべきです。

 本訴訟に勝利することが、日本の全原発を廃止することにつながる大きな意義を持つと確信しており ます。共に頑張って運転停止の判決を引き出しましょう。