◆3月28日に行った関電との話し合いの記録

関電側;広報担当者ほか2名。
使い捨て時代を考える会;4名。

今回は以下の質問書を提出し、話し合いました。

質問書
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  1. 1月20日に起きた高浜原発2号機における大型クレーン倒壊事故について、プレスリリースを拝見しました。これについて質問します。
    • ①燃料取扱建屋と原子炉補助建屋の構造を教えてください。建屋内にはどのように燃料が保管されているのかも教えてください。
    • ②大型クレーンをたたむ作業はどのように行い、どれだけ手間を要することなのでしょうか。たたまずに済ませようとしたのは、費用の節約ではないのですか。
    • ③もし建屋が損傷したら、どのような事故になったかという予測をお聞かせください。
    • ④ささいな人為的ミスが事故に至るという事例と思いますが、貴社および元請会社は極めて危険な施設を取り扱っているという認識が甘いのではないでしょうか。
    • ⑤今回の事故を見て、自然現象への読みの甘さが第二の福島原発事故を起こすことになりかねないと懸念しますが、地震・津波・豪雨・豪雪・強風等すべての自然現象について十分に検討されていますか。
  2. 高浜原発緊急時対策所および耐震棟について質問します。
    • ①前回高浜1・2号の間に緊急時対策所が設置してあり、別途耐震棟をつくると聞きしましたが、それぞれどういう機能のものですか。
    • ②緊急時対策所には職員が寝泊まりすると聞きしましたが、職員の安全は確保できるのですか。
    • ③耐震棟は準備工事に入ったそうですが、いつまでにできるのですか。またベント付フィルター装置についても準備に入ったと聞きしましたが、いつまでにできるのですか。
    • ④全体で7300億円という工事費用は高浜原発全体の安全対策費用ですか。
  3. 大飯原発について質問します。
    • ①まもなく運転開始から40年となる大飯原発1.・2号機の運転延長を申請する方針であると聞きました。巨額の安全対策費が必要であるにもかかわらず、なぜ延長しなければならないのですか。老朽原発の危険性をどう認識していますか。
    • ②大飯3・4号機が新規制基準に適合しているとの規制委員会による審査書案がまとまり、貴社は再稼動を進める方向でおられますが、新基準については地震動評価で専門家の食い違いがあり、確実な安全性は誰も保証できない状況です。それでも再稼動するのでしょうか。
  4. 使用済み核燃料の処理・処分についての今後の見通しをどのように判断しておられますか。
  5. 電力自由化によってこれまで他社に切り替えた消費者はどのぐらいの割合ですか。原発に依存しない電力会社を選んだ消費者が少なくないと聞きますが、そのことについてどのように考えられますか。
  6. 原発事故処理費用のうち、賠償分について、「本来過去に積み立てておくべきであった費用」を、原発の電気を拒否する新電力も含めて、託送料金に上乗せして、2020年から40年間徴収する方向が出されていますが、福島原発事故の教訓があるというのに、さらに原発の再稼動を行って、それらが事故を起こした場合の賠償費用を新電力からもとろうというのは納得できません。貴社のお考えをお聞かせください。

以上
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話し合いの内容(Q;こちら側の発言  A;関電の発言)
Q 質問1(クレーン事故)について、燃料取扱建屋と原子炉補助建屋の構造を聞きたい。
A 構造は鉄骨、一部コンクリートで、取扱建屋には燃料プールがある。プールの上には空間があって、その上にクレーンが移動する構造がある。

Q 空間の高さは?
A 相当高い。港にあるようなクレーンが天井のキワにある。

Q 事故がひどかったらどうなっていたか。
A 規制庁でリスクを言われたのは、通信ケーブルのたぐいだ。今回腰壁が損傷し、変形したがそれ以上は大丈夫だった。

Q 事故は起きる。現場が気象警報を知らなかったとは驚きだ。
A 警報が作業後に出た。連絡体制に不備があり、ご迷惑をかけた。

Q ゼネコンに友人がいるがありえない事故だ、このような事故を起こしたら首になると言っている。大成建設が請け負っていたというが。
A 大成建設についての事情は言えない。

Q この近く工事現場のクレーンについても心配だが、原発はもっと危険性がある。
A 場所が、場所なので…。

Q 赤字が大きく、保安にお金をかけられないので下請けにしわ寄せが行ったのではないか。
関電職員の自殺は、1,2号機の申請で自殺されたとか。すごく急いでいるのではないのか。
A 自殺についてはここでは言えない。安全対策を値切ったと言われるが、お金をケチって事故を起こした方が損害は大きい。
A(1-②について)クレーンの倒壊は事前評価で42m/秒の風速で大丈夫ということだった。その評価で作業を終えた時に大丈夫ということだった。

Q 現地は無人だったのか。
A 直営社員は常駐しているが、クレーンの管理まではしていなかった。

Q 社員が管理するのか。
A 社員が直接管理はできないが、管理体制に関与する方向だ。

Q 他の場所でもか。
A 原発は電力会社が責任を負う。
A(1-③について)通信設備の不具合の可能性があったかもしれない。通信設備には複数あるが、衛星通信設備が使えなかったかもしれない。

Q どういう影響があるのか。
A バックアップ体制に影響あったかもしれない。

Q 一部の建物で無く高浜原発全体への影響か。
A そうだ。天井の近くにケーブルがあるから。大きな事故だったら、そういうこともあるかもしれないと規制委員会の委員が言っていた。

Q 原発はコストが見合わないのでは。東芝もアメリカなどの規制強化でコストがどんどん上がり、困っている。
A 東芝のことはわからないが、コスト面では運転期間とか回収期間とかいろいろ要因はある。

Q 投資と見合っているのか。
A 重要な電源として考えている。

Q 耐震棟について聞きたいが、免震棟ではなく耐震棟にしたとのことだが、揺れに耐えられるのか。耐震棟は着工しているのか。
A 緊急時対策所として既存の建屋内にある。高浜1,2号機の中にある。原発が動いていない場合に限る。1,2号機が動いたら建てる。基本設計がある。昨年から始めて3年かかる。

Q フィルタ付ベントはどうなっているのか。
A 5年間に作るというルールがある。平成32年までに作るので準備をしている。

Q 最大限の安全が確保できてから動かすべきだ。そういうコストをかけずに再稼動してお金を回収しながら進めるのか。
Q 耐震棟やフィルタ付ベントができても不安だ。規制委員会はどういうチェックをしているのか。
A 規制委員会で潰れそうになった電力会社もある。

Q 規制委員会は電力会社とつるんでいると思える。
A 規制委員会の範囲はとても広い。部門をあげてやっている。

Q 質問2について聞くが、免震と耐震は違う。
A 揺れに耐えるのが耐震で、福島は免震重要棟と言っていた。固有名詞だ。

Q なぜ免震でなく耐震なのか。
A 免震神話があったのではないかと言われている。関電としては耐震の方が技術が確立している。安全性もあって耐震とした。免震でなくても、耐震で機能が維持されると評価された。

Q 安全第一というが、コアキャッチャーを造ろうともしていない。
A 原子力のタイプで違う。溶融燃料を受け止めるために、水をはる機能はある。規制基準は、機能の要求で設備の要求ではない。

Q 水をはることができるのか確信がない。より強固な安全性を。
A 安全に投資している。

Q 避難場所の問題とかいろいろある。避難は国と電力会社の責任だ。体制が整っていないのに安全重視と言っている。
Q 賠償費用などが倍になった。20兆円以上となっている。新電力も負担するという。採算が合わないのではないか。福島原発ではカメラが入って2時間で壊れた。コストが膨らむ一方だ。
Q 福島原発では除染や終息作業の作業員がのべ12万人という。5ミリシーベルト/年を浴びて被ばくした作業員が1万人以上だそうだ。年間5ミリシーベルトで白血病の症状が出て、労災認定されている。6000人弱が今も毎日フクイチで働いている。東電社員がもっとも大量に被ばくした。関電も自社の原発で事故が起きたら、関電社員が最も被ばくすることになるだろう。そこまでして、なぜ原発を続けるのか。健康被害はどこまでいくかまだ分からない。どんどんコストが上る。リスクが高すぎる。
A おっしゃる通り、一番(被ばくするのは)は社員だ。

Q 命をかけてまでやるのか。そうなる前にやめた方がいい。
Q 耐震棟、ベントなどできてもいないのに再稼動は心配だ。
Q 働く人が減るだろうし、再稼動はしてほしくない。
Q 長崎出身だが、しばらくして影響が出たことを知っている。原発を動かすとさまざまなリスクが生まれる。
A すべてのリスクを考えてやっている。
A(2-④について)大飯も含め再稼動を進めているものについて8300億円だ。
(3-①について)大飯1・2号機の申請については最後の判断はしていない。
(4について)六ケ所の処理場が基本だ。

Q 稼動していないではないか。再処理工場の放射能の環境への放出は、1日で通常の原発の1年分であり、運転自体が危険だ。再処理自体をやめるべきだ。
A 六ケ所に関しては(稼働について?)もうすぐ発表される。中間所蔵所も考えてある。

Q いったいどこに作るのか。
Q いつ稼働させるつもりか。
A 粛々と準備している。

Q なぜ違う形で技術や資金を使えないのか。
A 原子力のみの会社ではない。
A(同席した他の社員)もう時間なので。

質問したことが多くて若干散漫なやり取りとなってしまいました。次回はもっと要点を絞ってのぞもうと思います。