◆8月29日に行った関電との話し合い記録

関電側;広報担当者ほか2名。
使い捨て時代を考える会;4名。

今回は以下の質問書を提出し、話し合いました。
質問書
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  1. 原子力規制委員会は運転開始から40年を超えた高浜原発1・2号機の運転延長を例外として認可しました。また貴社は、美浜3号機についても運転延長の審査を受けようとしています。40年後の老朽原発は技術的に危険であることは広く心配されるところです。テストピースで試験されているとのことですが、どのような条件を設定して試験されているのでしょうか。具体的に教えてください。そのようなテストを繰り返さなければならない設備になぜ固執するのでしょうか。安全な設備を求めようとは思いませんか。
  2. 使用済み核燃料について詳しい情報をお知らせください。(ホームページということであれば、そのアドレスもしくはそのページをプリントアウトしたものをお示しください)
    • ①これまで貴社の原発の生み出した使用済核燃料の発生量と貯蔵量と移動量(青森などへの)を、燃料集合体数と重量で。
    • ②貯蔵中の使用済燃料の現状について、各原発の貯蔵プールの容量と残存余力。
    • ③青森の再処理工場に移送ということについて、過去の実績および今後の見通し。
    • ④高レベルの廃放射性物質について、その最終処分の技術概要とその実績、今後の見通し。
    • ⑤最終処分場の場所(候補地)の確保に関する情報。
  3. 原発は本当に安いのですか。コスト計算の根拠を具体的に教えてください。原発は重大事故が起きれば甚大な被害が生じます。福島原発事故では被害総額は11兆円を超えたと言われています。たとえ重大事故が起らないとしても、発生する核廃棄物の後処理に莫大な費用が要します。もう一度お聞きしたいのですが、何を指して「原発は安価」とされているのですか。
  4. 前々回、原発について「安定とは言っていない。ベースロード電源」だと答えられました。「ベースロード電源」とはどういう意味で使い、原発をなぜ「ベースロード電源」と位置付けているのですか。

以上
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話し合いの内容(Q;こちら側の発言  A;関電の発言)
Q まず質問1についてお答えいただきたい。
A 試験はテストピースだけではない。規制委員会のサイトの規制基準対応というところで全部公開している。

Q 試験方法も出ているのか。
A そうだ。中性子照射量を調べる試験片(テストピース)をカプセル型の鋼鉄製の中においている。炉は中性子をいっぱい浴びる具材で、中性子を浴びたら劣化するが、それが大丈夫か調べている。まったく同じ具材をカプセルの内側に入れてある。正規より内側に置いているので、よりたくさん中性子を浴びる。少し将来(の状態)を見ている。

Q 脆性性を見るのは試験片だけか。
A そう。健全性の試験は中性子を浴びた量だけではない。

Q 脆性破壊の温度は?
A いまデータを持っていないが、サイトにグラフがある。

Q 数字により危険性は変わってくる。温度が近いと心配だ。
A 中性子を浴びた鋼鉄は冷やすと過酷な状況になる。このことについての報告書は4つある。試験片を10個入れてこれまで4回出した。

Q 脆性破壊をテストピースで調べているというが、大きい容器だとどうなるのかは、専門家も答えられない。なぜ40年原子炉の延長にこだわるのか。
A 圧力容器自体の傷がないか、薄くなっていないか等の損傷はロボットが入って調べている。傷がなくてもあえてあると考えて試験している。40年炉の延長にこだわるというが、大丈夫と確信が持てる物について延長をしている。

Q なぜ、延長するのか。
A いろいろ見ている。供給力とか、いろいろな電源をバランスよくもち、足りないことがないか長い目で見ている。

Q 私たちの方が長い目で見ているから延長に反対しているのだ。
A いろいろな経験で考えている。

Q 関電は原発に偏っているのではないか。
A 今は火力が8~9割だ。

Q 関電の再生可能エネルギーは微々たるものではないか。
A 頑張って再エネを増やしている。

Q 関電の再エネの拡大は多くはない。固定資産で見ても再エネは減っている。どこでどのように増やしているのか。
A 福島事故の後に10万kw拡大すると言って達成した。プレスには書いていないが、社長がさらに5倍にすると言っている。水力が増えている。固定資産の計算書には出ていないが、単独ではなくグループ会社でやっている。子会社のケネスにやらしている。

Q 5倍というのはどういうことか。
A 10万kwを5倍ということだ。

Q 50万kwか。まだ少ない。
Q フランスで原子炉の鋼の硬度が心配と言われ問題になっている。この30~40年で技術は進歩したと思うが、圧力容器は40年まえのものではないか。
Aフランスのことは知らない。調べてみる。

Q 再エネを増やしてほしい。福島では40年の原子炉が事故を起こした。絶対大丈夫と言って事故が起きている。事故の被害の少ない電源を増やす方が信頼できる。関電だけが唯一40年超の原子炉を動かす。原発に偏りすぎているのではないか。
A 40年超でなくても基準に合わないものは動かせない。

Q 当たり前でしょう。
Q 美浜3号機は2020年に再稼動と言われているが、9年止まっていたものを動かすことになる。新しいものに投資するぐらいのお金がかかると規制委員会も言っている。なぜ延長するのか。
Q 周辺自治体の知事が、やめてと言っているのに動かすのは、運転延長の方針を経営判断したということだと思うが、その説明をどこでしているのか。延長に関してどういう論理づけをしたかをどこで言っているのか。
A 経営的に成り立つということではない。申請するときにきちんとS+3Eの観点で説明していると思う。

Q 高浜3号機、4号機が再稼動したとたんに事故を起こしたのは長い間止まっていたからと言われている。
A 高浜4号機は安全側に立ってブレーカーを低く設定しすぎたせいだ。

Q 運転延長の論理を示した説明文を出してもらいたい。
A 高浜1・2号機については、申請の時に必要性、理由をしゃべっていると思う。美浜についてはどうだったか把握できていない。

Q 安全審査などに国民の税金を使っているのだから、説明する必要がある。
Q 福島原発事故の始末にどれだけ税金が使われたか知っているか。現時点で税負担4兆円、赤ちゃんも含めて国民一人当たり3万3000円も使われている。まだ終わっていないからもっと増えると言われている。原発でなければそんな負担はない。将来を見据えた会社のあり方を考えるべきではないか。記事は時事通信にあった。
A 調べてみる。バランスよくすることを考えている。

Q 高浜、美浜の運転延長をして、どこがベストミックスでバランス良くなのか。信じられない。
A 時間が来たのでこの辺で。

Q 電力自由化によって「関電から他社に移った」「再稼動すれば他社に移る」という署名を集めたが、直接関電社長に渡したい。
A 私が受け取り本社に確実に届ける。

Q 当事者間で話し合いたい。それができないなら経営責任のある役職の経営陣に会って渡したいが、設定してもらえないか。
A 私も役職についている。大阪本社には伝えるが、会う約束を取り付けることは保証できない。

運転延長の理由は聞けないまま。動かす論理の説明なしに進めているのは確か。また電力自由化の署名を経営責任者に直接渡したいと言ったが、「私も役職だから」と本社との仲介に難色を示した。本社を守る防波堤なのだろうか。