原告団と弁護団」カテゴリーアーカイブ

◆本訴請求の一部取下げについて

本訴請求の一部取下げについて

2019(令和元)年11月28日

本訴請求の一部取下げについて

  1.  被告関西電力株式会社は、平成30年3月1日をもって大飯原子力発電所1号機と2号機を廃止し、これにともない電気事業法27条の27第3項にもとづく発電事業の変更の届出を行い、これにより、大飯原発1号機と2号機については、本件訴訟の差止請求の対象となる発電事業そのものが存在しないことになった。そこで、原告らは、本訴請求のうち、大飯原発1号機及び2号機の運転差止を求める請求を取り下げることにするものである。

    しかし、大飯原発1号機、2号機の廃止は、原告らが本件訴訟の中で主張してきた、大飯原発の再稼働が技術的にみて安全な運用を確保できないことを、被告関西電力自身が認めざるを得なかったことを物語るものであり、その意味では、原告らの大飯原発1号機、2号機の差止めを求める請求を事実上認諾するに等しいということができる。

    このように見てくると、原告らが本件訴訟で大飯原発の再稼働の危険性を指摘してきたことは、きわめて真っ当なことであり、その主張の正当性が客観的に裏付けられたことを意味するものであり、その点で、きわめて重要な意味をもっているといわなければならない。

  2.  その一方で、関西電力は大飯原発3号機と4号機については、いまだに再稼働を進める方針を変えていない。しかし、最近の新聞報道等によって明らかになったことであるが、関西電力の代表取締役などの役員が福井県高浜町の元助役から、2億円とも3億円ともいわれる多額の金銭の提供をうけている事実が発覚している。こうしたことからいえば、関西電力の大飯原発3号機、4号機の再稼働の方針は、原発の安全性の客観的な評価にもとづくものではなく、経済的金銭的利害にもとづくゆがめられた誤った判断であることが強く疑われるといわなければならない。

    そうだとすると、まさに貴裁判所こそが国民の負託と信頼にこたえて、大飯原発3、4号機の再稼働の危険性を軽視する関西電力の誤った経営判断とそれに放置している国の対応をきびしく批判して、運転差止を命ずる判決を下すことがま何よりも求められていることであり、それは8年前のあの福島原発事故の悲惨きわまりない悲劇をくり返さないために必要不可欠なことであるといわなければならない。

    この点、直近の時期には、被告関西電力の幹部職員が高浜原発の立地自治体である高浜町の元助役から多額の金品を受けとっていたことが明らかになっている。一方、被告関西電力がこの元助役の在任中に町に多額の寄付金をしたり、元助役の関連会社に多額の工事を発注したりしていたことも明らかになっている。被告関西電力の行為は、電力消費者に対する背信行為であり、このような不正行為を行っていた関西電力が、原発の審査では不正を行わない、という根拠は無い。被告関西電力が原発を運用する資格がないことは明らかである。

原告らは、ここにそのことをあらためて指摘したうえで、本訴請求のうち、大飯原発1号機及び2号機の運転差止めを求める請求を取り下げるものである。

以上

◆11/28の第25回口頭弁論のご案内

◆関電はこれまで大飯原発や高浜原発の再稼働を強行してきましたが,次は,既に40年を超え,事故リスクの高い老朽原発,高浜1,2号機や美浜3号機の再稼働をはかっています。今回発覚した3.2円の賄賂問題からも明らかなように,関電には原発を運転する資格はありません。

◆原発に反対する世論はつねに多数派となっています。京都脱原発原告団は,原発をとめるために,法廷では司法の責任を問いつつ,司法が自らの役割を果たすよう迫っています。京都地裁の次回口頭弁論に多くの皆さまが参加されるよう,心から訴えます。法廷での闘いのほかに,関電役員を告発する運動(→こちら),老朽原発うごかすな!リレーデモ(→こちら)などの市民運動もさらに強めていきましょう。

◆原告の意見陳述

京都府南丹市美山町の「芦生山の家」(→こちら)から今井 崇(たかし)さん。
「芦生山の家」は,由良川源流や芦生原生林への玄関口であり,木のぬくもりと優しさが満ち溢れ,心と身体を癒してくれる研修や宿泊の施設です。しかし,もし若狭の原発が事故を起こしたら,貴重な自然は一挙に失われてしまいます。憩いのふるさとを守っていきたい思いを語ります。

◆弁護団からの準備書面

・地震について,関電の主張に対する反論。
・関電が廃炉と決めた大飯原発1,2号機について,法廷での確認。
 私たち原告側が訴えていた内容(1~4号機運転差止)が一部,実現するわけです。

◆タイムテーブル

・12:10…弁護士会館の前に集合
12:15…裁判所の周辺のデモに出発。13:00頃まで
13:25…傍聴券の抽選リストバンド配布開始。地裁北玄関前。傍聴は誰でも可能です。
13:40…裁判所による傍聴席の抽選リストバンド配付終了
 直ちに抽選→傍聴券の配布
 抽選にもれた方,入廷を希望されず模擬法廷に参加される方は
 14:30までに弁護士会館・3階大会議室の模擬法廷へどうぞ
14:30…開廷,弁論開始。同時刻に模擬法廷を開始
・15:30ごろから…閉廷後,弁護士会館・地階大ホールで報告集会。30~60分程度

◆ 第23回口頭弁論 意見陳述

口頭弁論要旨

石井 琢悟

私は、大飯原発から52.5km南に位置する、京都府南丹市園部町に住んでいる、石井琢悟と申します。町の中心部から数キロ、園部川沿いの里山に自宅があります。週の何日かは電車を使って京都市方面へ行きますが、多くの日は自宅を仕事場にしており、仕事でも生活でも、自宅が過ごす時間の大部分を占めています。

 (1) 作物作りを続けたい

まず、私が住んでいるところで大事にしていることを壊されたくないという強い思いからお話しします。

住んでいる地域には農業に従事する人が多く、専業で野菜を京都市や直売所で販売している農家が複数おられます。朝霧に包まれることの多い園部川沿いの自然環境で採れるお米はおいしく、都会の子供たちが米作り体験を通じて自然環境を学習する場である、宝酒造株式会社が主催する『田んぼの学校』の開催地にも選ばれ、数年以上、多くの子供たちを迎え入れてきています。近年は、農業をするために移住してきて子どもを育てる若い家族が見られる地域でもあります。

私も、10年前にここへ移り住んだ当初から、近くの畑をお借りし、作物作りを続けています。春から秋にかけては大豆や小豆といった豆類、冬の間はにんにくを中心として、採れた種の一部を次の世代のために回す自家採種をしながら、育てた作物について自給自足しています。できるだけ自然に任せる形でのこの作物作りが、週末、妻と共有する大事な時間になっています。

大飯原発から自宅までの直線距離は、福島第一原発から飯舘村と福島市の中間点までの距離程度です。福島第一原発事故のときには、飯舘村方向に放射性プルームが流れました。2年前に私が飯舘村を訪れたときに確認したモニタリングポストの空間線量では 1μS/hを大きく超える箇所がすぐに見つかりました。農地など至る所が事実上、除染土置き場になっています。環境省が公表している風向きデータによると、大飯原発から南に位置する私の地域で最も頻度の高い風は、北風です。この事実に基づくと、もしも大飯原発が福島第一原発と同程度の事故を起こした場合、私が住んでいる地域は、飯舘村と同程度の深刻な放射能汚染を受ける可能性が確率的に最も高いと想定されます。

何十キロも離れた地域の生活を壊すほどの事故を起こす可能性がないような工業施設であれば、自分が住んでいる地域のこととして考えを巡らさなかったかもしれません。しかし、原発はそのような施設ではないということを、もう事実として知っています。私は、住んでいる地域に訪れている子供たちが大人になって作物作りを始めたりこの地域に移り住んだりする将来を思い描いています。かけがえのない自然環境の中で将来も生活し続けられるようにするのは、私の世代の責務です。持続的な生活が不可能になる規模の損害を被るリスクを持っている大飯原発の稼働は、将来世代が安心して生活する権利の侵害です。

 (2) 避難の困難さ

次に、原発事故が起きて避難しなければならないときの私の困難な状況をお話しします。

原発事故が起きて電気が止まった場合、電車は使えません。車だけが遠くに逃げる手段となります。

私が住んでいる園部町は、北は原発方向、真東は山で逃げられないので、逃げる方向は、西か南に限られます。日常生活において、わざわざ西の兵庫県丹波篠山市方面へ行くことはめったにないので、特定の行き先のイメージもない西へ避難するという発想は持ちにくく、日常的に使い慣れていて、京都市など行き先がイメージできる、国道9号線を南方へ逃げることが頭に浮かぶと思います。私の母は、一人で住んでおり、実家は京都市を挟んだ滋賀県大津市にあります。そこは、山の中で交通の便があまりよくなく、なにより母は車を運転できないので、私は、いったん母の元を訪れ、連れて避難することを考えるだろうと思います。それが自然な心の動きです。ですから、実際、まずはそこへの経路である京都市へ抜ける、国道9号線を走ることになる可能性が高いです。並行する京都縦貫自動車道は、多くのトンネルと高架を抜ける高速道路です。災害時には閉鎖されると想定されるため、国道9号線が事実上唯一の京都市方面への幹線道路です。

私だけでなく、この地域の住民も、この幹線道路を京都方面へ逃げる可能性が高いと思います。しかし、国道9号線は、園部町の少し先、亀岡市に入ると日常的に渋滞しています。常時渋滞傾向にあるこの道が大規模災害時に動けなくなるだろうということは、この地域に住む人なら簡単に想像できます。実際、平時の現在でさえ、私が自宅から亀岡市中心部を抜けるまでに小一時間かかったりします。環境省が公表している風速データを基にすると、大飯原発で放射性物質が放出されるような事故が起きた場合、平均2.5時間のうちに渋滞の列は放射性プルームに覆われると概算できます。災害情報を確認するなどしてから避難行動を起こすと、ちょうど重なるタイミングです。この状況は、福島第一原発事故の時に飯舘村方面へ逃げた車の列を放射性プルームが襲い、多くの人が被曝したときの状況と類似しています。既に事実として知られているこれと同じことが私の身、この地域の住民の身に起きる可能性が、事実に基づくと、確率的に高いのです。

そのように被曝する可能性が高いことを考えると、車で避難するのは危ない方法だということになります。ですから、自宅以外への避難は手遅れだと想定しておかなければなりません。そうすると、自宅で動かずに安定ヨウ素剤を飲むのが放射性物質の飛散から一時的に身を守る唯一の方法となります。しかし、住んでいる地域の南丹市から安定ヨウ素剤の事前配布を話題にされたことはありません。原発から半径32.5km圏内に位置する美山町では安定ヨウ素剤の備蓄がなされていますが、その圏外となる私の住んでいる地域では、それすらありません。事故が起きてからの持ち時間が2.5時間で、避難も防護もできません。

原発の本質の一つは、事故を起こしたときに、その被害が何十kmもの広範囲にわたる点にあります。原発施設という狭い区域内の技術的安全性を考慮するだけでは、原発は、今でも生活や人生を破壊しうる技術のままです。私が住む地域で、事故が起きたときの避難・防護の方法が用意されていないのが現実です。これは、将来にもわたって健康に生き続ける権利の侵害です。

◆第22回口頭弁論 原告提出の書証

甲第480号証(第59準備書面関係)
甲第481~482号証(第60準備書面関係)
甲第483~490号証(第61準備書面関係)



★証拠説明書 甲第480号証(第59準備書面関係)
(2019年1月25日)

甲第480号証
口頭弁論要旨(原告 西郷南海子)

★証拠説明書 甲第481~482号証(第60準備書面関係)
(2018年1月25日)

甲第481号証
意見書「Fo-B~Fo-A~熊川断層地震M7.8(2018年大阪府北部地震M6.1のスケールアップ)による大飯原発サイトの強震動」(赤松純平)

甲第482号証
「実用発電用原子炉及びその附属施設の位置、構造及び設備の基準に関する規則の解釈」(原子力規制委員会)

★証拠説明書 甲第483~490号証(第61準備書面関係)
(2018年8月31日)

甲第483号証
原子力発電所の火山影響評価ガイド(原子力規制委員会)

甲第484号証
大山火山噴火履歴の再検甲第485号証討(山元孝広)

・甲第485号証
関西電力による大山火山の火山灰分布に関する調査結果について(原子力規制庁)

甲第486号証
火山活動可能性評価に係る安全研究を踏まえた規制対応について(案)(原子力規制庁)

甲第487号証
降下火砕物に対する施設の裕度について(関西電力)

甲第488号証
(補足)既許認可での降灰想定層厚に対する影響評価について(同上)

甲第489号証
大山火山の大山生竹テフラの噴出規模見直しに伴う規制上の対応について(原子力規制庁)

甲第490号証
平成30年度原子力規制委員会第47回会議議事録(原子力規制委員会)

◆12/23に原発差し止め裁判交流会

2018年12月23日,京都市内にて初めての「原発差し止め裁判交流会」を行いました。関西電力,北陸電力に対して原発の運転差し止め裁判を闘っている原告団,原告が一同に集まりました。

【資料】

脱原発裁判の結果~3.11以前と以後PDFファイル

【呼びかけ先】

・以下の9裁判です。

(1)大飯原発3・4号機行政訴訟…大阪地裁,おおい原発止めよう裁判の会(美浜の会気付け)
(2)大飯原発差止訴訟…京都地裁,京都脱原発原告団
(3)大飯原発3・4号機仮処分…大阪地裁
(4)美浜,大飯,高浜本訴…大津地裁,福井原発訴訟(滋賀)を支える会
(5)高浜原発1・2号機,美浜原発3号機40年廃炉・名古屋行政訴訟…名古屋地裁,40年廃炉訴訟市民の会
(6)志賀原発を廃炉に!訴訟…金沢地裁,志賀原発を廃炉に!訴訟原告団
(7)大飯原発3・4号機訴訟【終了】…福井地裁→名古屋高裁金沢支部,福井から原発を止める裁判の会
(8)高浜原発3・4号機ミサイル仮処分【終了】…大阪地裁,水戸喜世子さん(福島地裁の子ども脱被ばく裁判)
(9)高浜原発3・4号機,仮差し止め福井【終了】,大飯原発3・4号機,高浜原発3・4号機運転認可取消請求裁判…福井地裁

【呼びかけ内容】

私たちは関西電力や北陸電力に対して共通する法廷闘争を進めていますが,それぞれの内容には多少の相違点もあり,進行上の違いもあります。回数を重ねてきた本訴は,終結の見通しも求められています。そうした中でお互いの運動や訴訟の内容を交流し,相互支援も進めてはどうかと思っています。
新しい組織をつくるというようなことではなくて,交流と親睦を主体にしたいと考えています。

  • 相互交流…訴訟の経過と現状,原告団の運動,抱えている課題などを,それぞれ報告していただけますでしょうか。資料を用意される場合,35部くらい
  • 意見交換…司法の現状の評価,また,それにどう対応していくのか。関電の原発再稼働に対して,どういう運動を対置していくのか。弁護団との関係,その他,ご自由に。
  • 相互支援…お互いに可能で無理のない範囲で,どんなことが可能か。とくに焦点となる節目などの協力。

【その報告】

原発差し止め裁判交流会は,6原告団,2原告に参加していただき,お疲れさまでした。それぞれの現状報告や,活発な意見交換があり,時間が足りないくらいでした。初めてお顔を見る方もあり,訴訟の内容について改めて分かったこともいくつかありました。そういう意味で,第1回としては,開催して良かったと感じています。

不十分だった点もあり,また機会を見て第2回も行いたいと思います。たとえば,今回でも大阪や大津の報告の中に入っているテーマ……原告団の運動,裁判の見通しと司法の現状,弁護団との関係,マスコミ対応など……のテーマから,二つほど選び,原告団の運動は○○原告団,弁護団との関係は△△原告団から報告をしていただき,それを元に討論するような形が良いかもしれません。

(京都脱原発原告団 吉田明生)