◆関西電力 闇歴史◆080◆

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◆石炭火力発電を推進する関電、
 仙台パワーステーションで、アセス逃れ、消極的な情報公開のほか、
 自己短期利益最優先、住民無視、被災地感情無視のビジネスモデル!
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・大手電力会社は地域独占体制の下(総括原価方式◆036◆)、経産省の支援により、一貫して大規模集中型の発電システムを拡大させ、固定資産と売電量を最大化させてきた。原発の増設を進めつつ、石炭火力の発電量も増加させてきた。関電も、そうした方向の一翼を担ってきた、というか、その先頭を走ってきている。

・関電の石炭火力発電の問題を告発したのが、2017年9月提訴の仙台パワーステーション(仙台PS)操業差止訴訟。周辺住民ら124人が運転の差し止めを求めた。仙台PSは、2014年9月に設立された発電会社で、1日当たり約900トンの石炭を消費し、微小粒子状物質(PM2.5)やばいじんなどを排出している。株式会社関電エネルギーソリューション(関電が100%出資する子会社)と、エネクス電力株式会社(伊藤忠商事の孫会社)が出資。2022年3月現在、仙台PSの代表は、砥山浩司 関電エネルギーソリューションの取締役執行役員電力本部長。

・仙台PS操業差止訴訟の原告でもあった明日香 壽川さん(あすか・じゅせん、東北大学教授)の『グリーンニューディール』(岩波新書)や、下記に詳しい。

【Webサイト】
仙台パワーステーション訴訟関連資料 → こちら
仙台パワーステーション操業差止訴訟 → こちら
仙台パワーステーション株式会社 → こちら
仙台パワーステーション石炭火力発電所の発電開始への抗議 → こちら
石炭火力発電所の建設 – 日本共産党 仙台市議団 → こちら

【YouTube】
よくわかる仙台パワーステーション操業差止訴訟(14分)→ こちら

・裁判の結果は、2020年10月に一審判決で敗訴、2021年4月、二審も敗訴。電力は余っており、かつ首都圏に送るのに、仙台PSは発電所として公共性を持つという判決文は間違っている。しかし、地裁判決では、情報公開への消極性など公害防止協定違反を認めた点、「被告は、本件発電所の運転を継続する限り……最善の公害防止対策を実施して良好な環境の保全に尽くすなど、環境汚染による地域住民の不安を解消するよう努める社会的責任を負うものであることを、最後に付言する」とした点などは、判決の積極面として評価できるという指摘もある。
(→ こちら

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◆住民の声(1)
 仙台パワーステーション発電所。
 電力は首都圏へ、利益は関西へ、汚れた空気だけ被災地に
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福島かずえ、2018年。The PhotoVoice Project|仙台市 → こちら

 被災地では、離れざるを得なくなったふるさと、住み慣れた地域、そして隣人との思い出を何かに残そう、新たにつなげようと今もなお、努力する人々がいる。
 一方、資本・大企業は惨事に便乗し利益をあげようと、そうした被災地の安い土地に時代遅れの石炭火力発電所を次々に建設しようと集まって来る。
 国も、石炭火力発電を原発とともにベースロード電源に位置付け後押ししている。
 仙台パワーステーション発電所は関西電力と伊藤忠商事の関連会社がつくった環境アセスメント逃れの小規模発電所。
 4キロメートル圏内には23も学校があるというのに。地元東北電力の火力発電はLNG(液化天然ガス)を燃料にしているというのに。
 遠い被災地だから、「あっちのほう」だからできることなのか…。被災地ではいっそう大きく、悲しみと怒りが渦巻いている。

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◆住民の声(2)
 仙台港の石炭火力発電所建設問題を考える会。
 悪臭・大気汚染・粉塵による窓や室内の汚れなどに悩まされる日々
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仙台港の石炭火力発電所建設問題を考える会こちら
 ↓【転載・シェア大歓迎】(2022年9/15)
 2017年10月1日、関西電力と伊藤忠商事の関連会社、仙台パワーステーション株式会社は、地域住民などによる5万近い反対署名や原告124名による提訴をあざ笑うかのように、仙台パワーステーション(仙台PS)の営業運転を開始しました。以来、多賀城市・塩釜市や仙台市宮城野区、七ヶ浜町などでは、悪臭・大気汚染・粉塵による窓や室内の汚れなどに悩まされる日々が続いています。定期点検などで1ヶ月ぐらい運転休止が続くと、床も汚れず、洗濯物も外干しできて、ホッとするという声が多く聞かれます。
この5年間、仙台PSの煙突から出る煙を見るだけで、ユウウツになる、ウンザリするという声もたくさん寄せられています。
 仙台パワーステーションの早期閉鎖を求めるとともに、レノバ社などによるバイオマス火力発電所の建設工事、住友商事によるバイオマス火力発電所の本格着工開始にも抗議します。
仙台港の空を、蒲生(がもう)の空をこれ以上汚すな!
蒲生干潟の生物・生態を脅かすな!
石炭火力で、気候危機の深刻化に加担するな!

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◆「気候ネットワーク」の報告
 仙台PSは汚染排出データの開示に転じたが
 旧式の低効率技術を採用し、汚染排出も既存発電所に比べて最大で10倍!
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気候ネットワークの報告(2016/10/12)が実情を明らかにしている → こちら

・仙台パワーステーションの発電性能は、石炭火力発電技術のうち、1950年代から導入されている、低効率で最も古い「亜臨界圧(Sub-C)」という技術。途上国でも導入すべきでないとされる旧式の技術。
・汚染排出データの窒素酸化物量とばいじん量の数字は、他の小規模石炭火力発電所(名古屋第二発電所)と比べて、それぞれ5倍、6倍。また、硫黄酸化物濃度、ばいじん濃度は、2009年より稼働している既存の石炭火力発電所(磯子発電所新2号機)の10倍、窒素酸化物濃度は8倍。

・以下の内容を含む閲覧用PDFファイル → こちら
参考:火力発電所に係る国の環境アセスメントの対象要件
参考:石炭火力発電の技術
別表:環境アセスメント逃れ小規模石炭火力発電所計画 調査対象案件

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◆火力発電にとどまらない関電の経営姿勢、
 明日香 壽川さん著『グリーンニューディール』より
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・仙台PS操業差止訴訟の訴状の主張
①大気汚染による健康被害
②地球温暖化による被害
③仙台港近くにある蒲生(がもう)干潟への悪影響

・仙台PSの発電規模は11.2万kW。環境アセスメントが必要となる規模が11.5万kW以上なので、アセス逃れが明白。アセス逃れの小規模石炭火力の建設計画は、2012年以降、日本全体で19基あった。(p.67)

・「なぜ被告だけが温室効果ガス排出などの責任を問われるのか?」(p.68)
①電気が余っている現状で首都圏に売電し(公共性なし)
②健康被害発生の蓋然性があるなかで(PM2.5被害の深刻さは基地で、仙台PS周辺地域は、米国やWHOより緩い日本のPM2.5環境基準を超える場合もあるレベルのバックグラウンド濃度)
③故意に稼働前アセス・健康調査をせず(加害責任の曖昧化)
④電力自由化便乗、自己短期利益最優先、住民無視、被災地感情無視のビジネスモデル(安い石炭で売り抜け)
⑤パリ協定遵守に不十分な日本の温暖化対策にさえ不整合(温暖化対策をほとんど考えていない)

・アセス逃れ、消極的な情報公開のほか、自己短期利益最優先、住民無視、被災地感情無視のビジネスモデルについての指摘は、火力発電のみならず、原子力発電を含む関電の経営姿勢を象徴している。

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◆石炭火力発電所のほか、
 揚水式発電所でも、水力発電所でも、風力発電所でも

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・関電が風力発電を計画→ 宮城県の計画は断念して撤回(2022年)
 宮城県知事、山形県知事「どうして関電なのか」
 宮城県知事は「誠意ない」「明確に反対」
 役場訪問の関電幹部に地元2町長は「白紙撤回を」「京都の嵐山に造ったら」
 自然環境への配慮が著しく欠如、北海道の1件も断念して撤回
 ◆066◆
・黒部川の出し平[だしだいら]ダムと宇奈月ダムの連携排砂

 富山湾にヨコエビが異常繁殖、漁業に被害か(2002年提訴)
 関電は、補償金は出しても因果関係は認めず
 ◆063◆
・芦生(あしゅう)の揚水式発電ダム計画
 
芦生の美しい自然と、対極の関電
 ~関電のダム計画、金銭で人の心を奪い取る~(~2006年)
 ◆043◆

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