◆【memo】燃料費調整額の上限到達で今後、電気料金はどうなるか?

 燃料費調整制度とは、火力燃料(原油・LNG〔液化天然ガス〕・石炭)の価格変動を電気料金に迅速に反映させるため、その変動に応じて、毎月自動的に電気料金を調整する制度。

 事業者(電力会社=燃料費調整、ガス会社=原料費調整)の効率化努力のおよばない燃料価格や為替レートの影響を外部化することにより、経済情勢の変化をできる限り迅速に料金に反映させ、事業者の経営環境の安定を図ることが目的とされる。1996年1月に導入。

 関電ほか大手電力では、規制分野の料金には上限が設定(関電では2.24円/kWhの上限)。2022年10月には、大手電力すべてが、設定された上限に到達。上限を超えた分は電力会社が負担することになるが、いつまでも負担できるのか。

 自由化分野の料金は、2022年中に大手9電力すべてが上限を撤廃する(中部、東北、四国、北海道電力などなど、上限を設定していたところも、上限を撤廃する)(関電は元々撤廃している)。上限の設定がないと、燃料費調整額が青天井になる。関電では、2022年10月に7.47円/kWhに上昇している。下図は「大手電力10社の燃料費調整額 単価の推移表」こちらより。

 自由化分野とは、ガスとのセット販売、オール電化プラン、深夜電力など、2016年の電力自由化で各社が導入。規制料金より数%安いことが多いが、既に、一部では料金が逆転している。大手電力各社の家庭向け販売電力量(6月)にしめる自由料金の割合は、52.9%にのぼる。関電の販売電力量[低圧]に占める自由料金メニューの割合は54.0%(6月)→ こちら。大手電力の多くのユーザーは、安いという宣伝の自由化料金で契約しているが、燃料費調整額で、かえって料金が高くなっていることもある。

 また、新電力の中でも、燃料費調整額に上限を設けていないため、大手電力の規制料金よりも料金が高くなっている例がある。料金の額、経済的メリットだけを比較して新電力を選んでいる場合、高くついている場合がある。新電力によっては、ユーザーに燃料費調整額の上限がないことを周知していなかったことをお詫びし、告知したときまでの期間の電気代を割り引くなどの措置を取っているところもある(「コープでんき」など)。

(2022年10月)