◆【memo】オール電化プランの価格改定

2022年になって、関電など大手電力で、深夜電力の値上げやオール電化プランの価格改定が行われている。
4月…中部電力ミライズ、四国電力、北陸電力
7月…関西電力
10月…東京電力エナジーパートナー

 いずれも、夜間を値上げして、昼間を値下げする(夜間と昼間の区分定義は各社で様々だが)。全体として、電気料金が値上げになるか値下げになるかは、各社ごと、そして生活パターンによるようだ(夜間にたくさん電気を使っていた場合は、値上がりになる)。

 これまでオール電化は夜間電力で(出力調整のできない原発の電気を利用)、ということになっていた。しかし、今は、太陽光発電の普及で、昼間の電気が豊富でかなり安価になっている(その分、深夜電力が相対的に割高になっている)。「夜間電力は安い」のは過去のもの。FIT(再生可能エネルギーの固定価格買取制度)による太陽光電力は、昼間、卸電力市場に限界費用(燃料費の増加分費用のみ、建設費などを含まない)(取引価格は昼間の時間帯によっては0.01円/kWh=1銭にもなっている)で卸電力市場に大量に投入されている。
【参考サイト】
・再生可能エネルギーと電力市場 1kWhあたり0.01円の電気とは?→ こちら

 こういう事情を反映しているのか。これからは、オール電化は太陽光発電で、という方向かもしれない。原発は要らない、ということになると良いのだが。再エネが普及すればするほど、原発が不要になるのは確か。

 関電の説明は、以下の通り。
「近年、太陽光発電の設置拡大や省エネルギーの進展等に伴い、お客さまの一日の電気のご使用形態が大きく変化しています。昼間の電力需要が減少する中で、電気給湯機の普及やライフスタイルの多様化等に伴い夜間の電力需要が増加し、発電にかかる昼間と夜間の費用の差が縮小しています。
見直しを行う電気料金メニューは、これまで電力需要が多い昼間は燃料費の割高な発電所の運転が必要となるため料金を高く、需要が少ない夜間は料金を安く設定していましたが、このたび、上記の変化に伴う発電コストの変化を反映し、一部電気料金メニューを見直しするものです。」
 
関電の説明に疑問あり
 
(1) 昼間の需要が減少しているのではなく、昼間の供給(しかもひじょうに安価)が増加している、というのが、正確ではないか。昼間は、安い電力を仕入れて売った方が利益が大きい。

(2) 夜間の需要が増加したのは、関電が夜間電力の大幅割引でオール電化を推進してきたためではないか。ライフスタイルの変化とか言っているのは、不正確ではないか。夜より昼に多く売った方が儲かるという経営判断と思われる。

 今回の料金改定によって、全体として値上げになった場合、新電力に切り替えてしのぐことも考えられる。しかし、オール電化プランは元々、大幅割引価格なので、大手電力より安いところを探すのは難しいという指摘もある。IH、EV充電、エコキュートなど、電力消費の大きい機器の利用は、従来の時間帯で良いかどうか、再検討が必要かもしれない。大手電力の肩を持つのは不愉快だが、該当する場合は、下記サイトなどを参考にそれぞれご判断ください。
【参考サイト】
・「電化上手」(東京電力)や深夜電力の値上げ話にだまされないで!
こちら
・オール電化や深夜電力は安いはずなのに電気代が高いのはなぜ?
こちら

(2022年10月)