原発の電気はいらない署名@関西」カテゴリーアーカイブ

◆関電の電気は買わない

 岸田内閣は昨年からエネルギー政策を転換し、本年には原発回帰政策としてGX(グリーン・トランスフォーメーション)推進法と、GX脱炭素電源法を制定しました。GX推進法は、時代遅れの原子力産業を国が支援する法律。GX脱炭素電源法は、原子力基本法、原子炉等規制法、電気事業法、再処理法、再エネ特措法の5つの束ね法で、原子力の活用を国の責務とし、原発の運転期間を延長し、そのルールを規制側の規制委から利用側の経産省の管轄に移しています。

 関西電力は、こうした政府の原発回帰政策のお先棒を担ぎ、昨年、危険な老朽原発の美浜3号機を再稼働し、今年7月以降に同じく老朽原発の高浜1、2号機まで再稼働させようとしています。関電の電気の電源構成は、原子力が28%とトップとなっています(2021年度実績)が、現在は、もっと高い状況です。

 2016年4月以来の電力自由化(低圧)で、関電の契約数は一貫して減少してきましたが、2022年11月から増加に転じています。輸入燃料価格の値上が、卸電力市場の価格高騰などで、新電力が次々と電気代の値上げに走る中、値上げをしなかった関電の規制料金の方が安くなったようです。しかし、関電はカルテルを主導し、消費者や新電力情報を不正に閲覧するなど、コンプライアンスの欠片もない企業です。

 今、私たち電気の消費者は、自由に電力会社を選ぶことができます。こうした中で、関電の電気を選択するということは、放射性廃棄物の処理を未来世代に押しつけ、原発事故のリスクを大きくすることに加担することです。電力選択は消費者の責任であり、どのような未来を展望するのかの選択でもあります。再エネ中心の新電力を応援し、少なくとも原発の電気、関電の電気は選ばないことが、消費者の責任ではないでしょうか。

(使い捨て時代を考える会『あんてな』2023年8月。脱原発委員会、吉田めいせい)

【追加】
◆電力の購入先を変えるには◆

まず、手元に現在の「電気使用量のお知らせ」を用意します。
その中で、以下を確認しておきます。
(1)契約者氏名
(2)今の電力会社のお客様番号
(3)電力供給地点特定番号……22桁の数字
そして、新しい電力購入先に電話かネットで申し込みます。
前の電力会社に変更の連絡、お断りを言う必要はありません。
なお、とくに再エネの電気を使いたい場合は、
「パワーシフトキャンペーン」のWebサイトで紹介されている新電力をさがすと良いでしょう。
こちら……未来をつくるでんきの選び方
こちら……自然エネルギー供給をめざすパワーシフトな電力会社

◆【memo】燃料費調整額の上限到達で今後、電気料金はどうなるか?

 燃料費調整制度とは、火力燃料(原油・LNG〔液化天然ガス〕・石炭)の価格変動を電気料金に迅速に反映させるため、その変動に応じて、毎月自動的に電気料金を調整する制度。

 事業者(電力会社=燃料費調整、ガス会社=原料費調整)の効率化努力のおよばない燃料価格や為替レートの影響を外部化することにより、経済情勢の変化をできる限り迅速に料金に反映させ、事業者の経営環境の安定を図ることが目的とされる。1996年1月に導入。

 関電ほか大手電力では、規制分野の料金には上限が設定(関電では2.24円/kWhの上限)。2022年10月には、大手電力すべてが、設定された上限に到達。上限を超えた分は電力会社が負担することになるが、いつまでも負担できるのか。

 自由化分野の料金は、2022年中に大手9電力すべてが上限を撤廃する(中部、東北、四国、北海道電力などなど、上限を設定していたところも、上限を撤廃する)(関電は元々撤廃している)。上限の設定がないと、燃料費調整額が青天井になる。関電では、2022年10月に7.47円/kWhに上昇している。下図は「大手電力10社の燃料費調整額 単価の推移表」こちらより。

 自由化分野とは、ガスとのセット販売、オール電化プラン、深夜電力など、2016年の電力自由化で各社が導入。規制料金より数%安いことが多いが、既に、一部では料金が逆転している。大手電力各社の家庭向け販売電力量(6月)にしめる自由料金の割合は、52.9%にのぼる。関電の販売電力量[低圧]に占める自由料金メニューの割合は54.0%(6月)→ こちら。大手電力の多くのユーザーは、安いという宣伝の自由化料金で契約しているが、燃料費調整額で、かえって料金が高くなっていることもある。

 また、新電力の中でも、燃料費調整額に上限を設けていないため、大手電力の規制料金よりも料金が高くなっている例がある。料金の額、経済的メリットだけを比較して新電力を選んでいる場合、高くついている場合がある。新電力によっては、ユーザーに燃料費調整額の上限がないことを周知していなかったことをお詫びし、告知したときまでの期間の電気代を割り引くなどの措置を取っているところもある(「コープでんき」など)。

(2022年10月)

◆【memo】オール電化プランの価格改定

2022年になって、関電など大手電力で、深夜電力の値上げやオール電化プランの価格改定が行われている。
4月…中部電力ミライズ、四国電力、北陸電力
7月…関西電力
10月…東京電力エナジーパートナー

 いずれも、夜間を値上げして、昼間を値下げする(夜間と昼間の区分定義は各社で様々だが)。全体として、電気料金が値上げになるか値下げになるかは、各社ごと、そして生活パターンによるようだ(夜間にたくさん電気を使っていた場合は、値上がりになる)。

 これまでオール電化は夜間電力で(出力調整のできない原発の電気を利用)、ということになっていた。しかし、今は、太陽光発電の普及で、昼間の電気が豊富でかなり安価になっている(その分、深夜電力が相対的に割高になっている)。「夜間電力は安い」のは過去のもの。FIT(再生可能エネルギーの固定価格買取制度)による太陽光電力は、昼間、卸電力市場に限界費用(燃料費の増加分費用のみ、建設費などを含まない)(取引価格は昼間の時間帯によっては0.01円/kWh=1銭にもなっている)で卸電力市場に大量に投入されている。
【参考サイト】
・再生可能エネルギーと電力市場 1kWhあたり0.01円の電気とは?→ こちら

 こういう事情を反映しているのか。これからは、オール電化は太陽光発電で、という方向かもしれない。原発は要らない、ということになると良いのだが。再エネが普及すればするほど、原発が不要になるのは確か。

 関電の説明は、以下の通り。
「近年、太陽光発電の設置拡大や省エネルギーの進展等に伴い、お客さまの一日の電気のご使用形態が大きく変化しています。昼間の電力需要が減少する中で、電気給湯機の普及やライフスタイルの多様化等に伴い夜間の電力需要が増加し、発電にかかる昼間と夜間の費用の差が縮小しています。
見直しを行う電気料金メニューは、これまで電力需要が多い昼間は燃料費の割高な発電所の運転が必要となるため料金を高く、需要が少ない夜間は料金を安く設定していましたが、このたび、上記の変化に伴う発電コストの変化を反映し、一部電気料金メニューを見直しするものです。」
 
関電の説明に疑問あり
 
(1) 昼間の需要が減少しているのではなく、昼間の供給(しかもひじょうに安価)が増加している、というのが、正確ではないか。昼間は、安い電力を仕入れて売った方が利益が大きい。

(2) 夜間の需要が増加したのは、関電が夜間電力の大幅割引でオール電化を推進してきたためではないか。ライフスタイルの変化とか言っているのは、不正確ではないか。夜より昼に多く売った方が儲かるという経営判断と思われる。

 今回の料金改定によって、全体として値上げになった場合、新電力に切り替えてしのぐことも考えられる。しかし、オール電化プランは元々、大幅割引価格なので、大手電力より安いところを探すのは難しいという指摘もある。IH、EV充電、エコキュートなど、電力消費の大きい機器の利用は、従来の時間帯で良いかどうか、再検討が必要かもしれない。大手電力の肩を持つのは不愉快だが、該当する場合は、下記サイトなどを参考にそれぞれご判断ください。
【参考サイト】
・「電化上手」(東京電力)や深夜電力の値上げ話にだまされないで!
こちら
・オール電化や深夜電力は安いはずなのに電気代が高いのはなぜ?
こちら

(2022年10月)

◆原発40年運転に、休止期間を含めないのが、合理的か

 関電の老朽原発、美浜3号機で、40年超え運転が始まっている。

 原子力ムラには、40年の計算に、ドイツのように、休止期間を含めないで数えるのが合理的だという主張がある。福島第一原発事故のあと、10年止まっていたら、その期間は、40年に算入しないというわけだ。

 本当に合理的だろうか。

 確かに、休止している期間は高温や高圧、中性子などの影響は少ないかもしれないが、コンクリートやケーブルの劣化はすすんでいる。40年経てば、当初の設計寿命は尽きているはずだ。

 しかし、それよりも何より、日本列島は、ドイツに比べて、原発立地そのものの合理性が、著しく低い。休止期間を運転年数に加えないドイツの合理性は、日本に当てはめた場合、そのまま日本の合理性にはならない。ドイツは、ユーラシアプレート上にあり、地震の発生しやすい地域からも遠く離れている。1992年4月にマグニチュード5.9、2022年7月マグニチュード4.1の地震が観測されているが、日本列島よりははるかに少なく、かつ、小規模。

 世界各国の地震頻度(国土面積あたり、マグニチュード5.5以上)をみると、日本列島は1.14回/年であるのに対して、ドイツは0.05回となっている。マグニチュード6以上の地震は、日本列島ではまったく珍しくないが、ドイツでは、ほとんど例がない。

 地震、火山、津波などによる激烈な自然災害が珍しくない日本列島では、原発はどだい無理、というのが脱原発の基本。南海トラフ大地震、首都圏直下大地震などが予想され、大地震では大津波も考えなければならない状況では、原発の存在自体が、人格権を著しく脅かす極限の不合理と言える。

 原発立地の不合理性が極限大に及んでいるのだから、一刻も早く、全原発の廃炉を行うのが、もっとも合理的な判断であって、原発40年廃炉期間に運転期間を含めないなどと言う極小の合理性が存在できる余地はまったくないと思う。

【参考サイト】
世界各国の地震頻度 → こちら
各電源の諸元一覧(総合資源エネルギー調査会)→ こちら
火力発電所の余寿命評価技術 → こちら

(吉田めいせい)

◆【memo】グリッド パリティ、ストレージ パリティ

グリッド パリティ

太陽光発電など再生可能エネルギーの発電コストが、火力や原子力など既存の電力系統の電力コストと同等またはそれ以下になること。ほぼ実現されている。
訳せば「電力インフラで同等」となるが、「自前発電&消費がお得」が最適訳語かも。
(グリッドとは、送配電網、電力インフラのこと)
(オフグリッドとは、送配電網に接続せず、自給自足で暮らすこと)
(パリティとは、同等、一致、等価などの意味)

ストレージ パリティ

太陽光発電など再生可能エネルギーの利用で、蓄電池を導入しないよりも、導入したほうが経済的メリットを得られる状態のこと。これはまだ実現していない。
訳せば「蓄電池で同等」となるが、「自前発電&蓄電がお得」が最適訳語かも。
(ストレージとは、保管、貯蔵、倉庫などの意味)
(PCのストレージは、HDDなどデータを保管しておく装置のこと)

◆電気は足りてる~異常な「電気が足りない」宣伝~[付 容量市場]

[1] 異常な「電気が足りない」宣伝

・原発推進勢力によって、電気が足りないという宣伝が強まっている。
・電気が足りないという宣伝によって、原発推進に舵を切る維新(>_<)

・しかし、電気はいつも足りている。
・電気はいつも余っている……本当に電気が足りなくなれば、大停電=ブラックアウトの世界に突入する。
・ただし、ときどき、電気の余り分(3%とかの余裕分)が、少なくなってしまう “見通し” があるだけ。

【参考】電気が足りなくて大停電が発生したことはない。地震などにより、大規模な停電が起こることはあった。
┌─────────────(以下、「はんげんぱつ新聞」)
(2018年9月6日午前3時ごろ、地震によって大規模な2基の火力発電所が停止し、電気の供給が低下して周波数が乱れたために、ほかの発電所が連鎖的に停止した。)北海道電力では、泊原発1~3号機が停止中で、地震の揺れは1、3号機の最大加速度が6ガル、2号機で7ガルときわめて小さかったが、停電により6回線すべての外部電源からの供給が断たれた。泊原発は6年以上停止しており、核燃料は使用済み燃料プールに移されている。非常用ディーゼル発電機6台が起動してプールの冷却を実施。6時間余りで2回線が復旧され、午後1時までに3基とも外部電源への切り替えを完了した。
└─────────────

[2] 供給を増やして対応する

・余り分が少なくなったときにどうするか?
・供給を増やせば良い、というのが昔からの考え方。原発再稼働もここからでてくる。
・昔の電力会社は、電力の無限供給義務を負っていて、その代わり、地域独占と総括原価方式という甘い汁。
・つまり「電力は需要側が使いたい時に必ず供給されるもの」という考え方が支配的。

・関電でも、電力供給のために、黒四ダム、美浜原発、華々しい歴史を誇ってきたが、
巨大化した電力会社は、近年、原発マネー不正還流のように、醜悪な企業に変質。

関西電力闇歴史◆063◆…黒部川の出し平=だしだいら=ダムと宇奈月ダムの連携排砂で富山湾にヨコエビが異常繁殖、漁業に被害か。関電は、補償金は出しても因果関係は認めず)
関西電力闇歴史◆018◆…最悪の幹部腐敗、原発マネー不正還流)

・東電は、福島第一原発事故まで起こして、しかも刑事責任を逃れようと必死。
・原発優先で再生可能な自然エネルギーの普及を妨害し、既存原発の再稼働に躍起。

・電力システム改革([巨大電力会社]×[政府=経産省])、電力自由化の進展を経て[賛否は別にして]、

・これまでは電力の余り分が少なくなったとき(需給がひっ迫したとき)は、供給を拡大するだけであった。需要側の要求とは「欲しいだけよこせ」であった。
・供給側への要求…原発動かせ、老朽原発も再稼働、リプレイスだ、新型炉だ、小型原発だ……キリがない。
・しかし、電力需給ひっ迫を、すぐに供給側の対策に求めることは、今は無理。

・需要があるだけ供給を増やすということで良いのか、という地球環境の問題などを別にしても
電力会社の無限供給 “義務” は、電力自由化の時代にはすでに不可能。

・今は、供給をどんどん拡大することは不可能。
・昔の電力会社は、総額5000億円の原発を何基つくっても、総括原価方式で採算が保証されていた。
・しかし、総括原価方式がほとんどなくなっている今は、それができない。
・多額の投資(原発1基で1~2兆円)をして、回収できない恐れがある。
(電源の確保は、容量市場で行う方向)

・めったに起こらない稀な需要増大に備えるために、普段はほとんど使わないような予備力を用意して備えておくのは、経済的に不合理である(電気料金を高くする)が、かつての時代、地域独占と総括原価方式の時代には、可能であったし、そのようにされてきた。その経験から抜け出せないことから、最大限の供給を求める声は相変わらず根強い。しかし、今ではもう時代錯誤の声としか言いようがない。

[3] 需要を抑制して対応する

・供給を増やせないなら、需要を減らせば良い。
・供給力を増やすばかりが需給ひっ迫対策ではない。
・これからは、需要側が賢く効率的に電力を使用する時代に変わっていく。

・政府の「節電要請」が出ると、世論は、大変だ、電気が足りない、非常事態だ、となりやすいが、間違い。
・普段から節電すれば良い、または、電力の余り分が少なくなったときに、節電すれば良い。節電上等。

┌─────────────(以下、「日経エネルギーNext」安田陽さん、京大)
「お願い」ベースの節電は不確実、電力市場を活用したDR(デマンドレスポンス、「需要側の制御」)を。→こちら
└─────────────

・経済的にも合理性のある需要抑制の方法がある、その制度化が必要(→ネガワット取引など)。
・「ネガワット取引」とは、アグリゲーター(仲介業者)等との事前の契約に基づき、電気のピーク需要の・タイミングで節電を行う、インセンティブ型(報酬などの動機付けがあること)のDRのこと。

・また、リアル発電所ではなくて節電所を!!(パク・スンジュン=朴勝俊さん、関西学院大)
・一定の条件下で100万人が各自(中小工場、商店、家庭ごとに)1kW(=1000W)節電する節電所ができれば、100万kW=原発1基分の需要抑制。

┌─────────────(以下、「日経エネルギーNext」安田陽さん)
この3月22日、東京および東北エリアで電力需給ひっ迫が発生したが、あくまで稀頻度の事象(地震による発電所の停止と急激な寒波到来)。しかも、東電PGの公開資料によると、当日8〜23時までの時間帯で約40 GWh(4000万kWh)の節電協力が得られたとのこと。1時間ごとのデータを見てみると、需要の大きな17時台に約5GW(500万kW)、原発5基分の出力に匹敵する量を需要側で対応。これは良い意味で驚異的な実績と言えるでしょう。
└─────────────

・広範囲に分散する小規模な電源をまとめて、コンピュータで総合的に管理する現代(明日)では、
電源=供給側の対策ではなく、需要側の対策こそ重要。

・需要側の対策とは次の二つ。

(1)需要側で実施するDR。

(2)断熱などの「省エネルギー」=エネルギー消費の効率化。個人レベルの我慢や努力ではなく、消費抑制でもなく、エネルギー効率のよい機器やシステムに更新すること。

・地球環境のためにも、エネルギー消費をより効率的にすることが大切。
(エネルギー消費を拡大するのではなく、減少させる方向へ)

ネガワット取引(資源エネルギー庁による)…アグリゲーターは電力会社が兼ねることも

[4] 補足説明

(1)経産省の誘導で、完全なフェイク報道がまかり通っている
  ↓ 一例
NHK クローズアップ現代(2022年6月13日)→こちら
  ↓ そのタイトル
「日本は停電がいつ起きてもおかしくない、“途上国”になってしまった」
経済産業省の幹部のひとりがこう打ち明けました。
いま、日本には電力が足りていない―
↑ 恐ろしいフェイク宣伝。節電要請をするのが途上国だって?? 笑ってしまうが、大問題。

(2)総括原価方式による規制料金は、いずれなくなる

・2020年4月から予定されていた電気料金の全面自由化は、新電力のシェアが小さかったため、見送られた。このことからも分かるように,電力産業において,関電など大手電力の支配力は依然として強大。
・新電力(複数社)のシェアが、大手電力に対抗できるほど十分に大きくなるまでは、規制部門の電気料金(経過措置料金、総括原価方式による規制料金)は、存続することになっている。しかし、いずれ、電気料金の規制料金はなくなり、すべて自由料金になることは確定している。
・なお、関西電力送配電株式会社などが課す託送料金には、地域独占と総括原価方式が適用される。ここで、発電部門と送配電部門がきちんと区別されているかどうかの問題が関係してくる。

(3)容量市場の目論見

・電力自由化で総括原価方式がなくなると、原発の維持費などが十分に支えられなくなる。そこで考えられたさまざまな支援策、つまり実質的な補助金政策の一つが容量市場。
・容量市場は発電会社が持っている設備能力(容量・kW)を売買する仕組み。老朽化した石炭火力や原発による電力容量も同じ価格で買い取られ、温存につながる。初めて入札された落札価格は高騰し、再エネを調達する新電力にとっては負担となる。そして、その費用はいずれ国民負担となる。
・原発を新規建設して容量市場で売りに出して資金を確保することも可能だが、計画から完成まで10~20年とかかる上に、かつて1基5000億円だったのが、今や1~2兆円に高騰していて、電力会社は新規建設には、手が出せなくなっている。しかし、老朽原発の維持費を確保する程度は可能。
・火力発電所の新規建設には通常、計画・アセスメント後から3~4年かかるが、先行きの見通しが立たないと事業は進められないので、あらかじめ4年後の発電能力を取引することでそれを担保しようというのが、容量市場の第一の目論見とみられる。

・以下は、eシフト事務局 吉田明子さんの発言
 
そもそも国が容量市場を導入した大義名分が電力容量不足なので、それについて精査が必要です。現在、電源は余っていますし、将来的にも、適切な対策をとれば電源不足にはなりません。東北大学の環境科学者、経済学者である明日香壽川(あすか・じゅせん)教授は、さまざまなデータを分析し、将来、電力の供給力が問題となる可能性は低く「日本では容量市場は不要」と結論づけています。理由は、さらなる省エネや再エネ普及強化に加え、電力の地域間融通やデマンドレスポンス、需給調整契約、蓄電機能の強化などさまざまな方法で需給バランスをとることが可能だからです。それらを実施しないまま、あえて容量市場が選ばれました。

(4)原発を支援する政策の例

・容量市場…下の [5] に説明

・会計制度
…原発優遇、ゴミの使用済み燃料を資産にするとか。
(原発を一挙に廃炉にすると電力会社が損金で破綻するので、それは無理とか言う人もいるが、そんなことは勝手な法律を作ってどうにでも解決できる)
金森 絵里『原子力発電と会計制度』によれば、原子力発電工事償却引当金、使用済燃料再処理等(準備)引当金、原子力施設解体引当金、特定放射性廃棄物拠出金および 2013 年および 2015 年に制度化された廃炉に係る会計制度における問題点を指摘。各種引当金に算入する範囲に、何を含め、何を含めないかが、会計制度上、たえずに問題となっている。また「2013 年報告書では、本来ならば減損するはずの資産を資産計上し、減価償却費を続ける理由として、料金による回収を前提としている・・・言い換えれば、本来、電気事業会計を基礎として電気料金が算定されるはずであるのに、2013 年報告書においては、電気料金の算定があってはじめて電気事業会計が成り立つという考え方が取られている。」という。参考…書評 今福 愛志[日本大学名誉教授、会計学]日本大学経済学部 経済集志 2019年版 第89巻 第2号)

・託送料金
…その中に、賠償負担金、廃炉円滑化負担金、電源開発促進税を入れている(再生可能エネルギー発電促進付加金も入っているが、これは未来への投資)。託送料金は、全国民が負担。なお、託送料金は、地域独占と総括原価方式の中で決められている。

(5)その他

安田陽…京都大学大学院経済学研究科 再生可能エネルギー経済学講座 特任
教授

・朴勝俊 パクスンジュン…関西学院大学 総合政策学部 総合政策学科 教授。
環境経済学。
節電所については、緑の党が詳しく説明しています(節電所=ネガワット=DR)。

[5] 容量市場は大手電力にとって棚ぼた利益

ここの内容は、下記サイトを参考にしたものです。

飯田哲也さんのサイト
原子力資料情報室
eシフト

容量市場…4年後の発電容量を確保するために、オークションを開く。2020年7月、第1回目の募集容量は、合計約1.8億kW。上限価格は1万4,138円/kWとされた。オークション後に公開された入札結果=約定価格はほぼ上限価格の1万4,137円/kWであり、業界に大きな衝撃。

なお、容量市場で指標価格を決めるのは、CCGT(複合サイクルガスタービン発電、コンバインドサイクル発電)の発電所建設を基準にしている。ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせた二重の発電方式。廃熱回収サイクルにより熱効率が60%以上と高効率。原発新設の費用が考慮されているわけではないので、原発について言えば、容量市場は既存原発への補助金となる。

売り手は発電所を保有する発電事業者。電源ごとに参加する・しないを決めることができる。

買い手は、電力システム改革で設立された電力広域的運営推進機関(OCCTO=オクト)。

OCCTOの買取費用は、各小売電気事業者が支払う。年間のピーク容量時点での利用割合に応じて負担、また送配電事業者も一部負担する。こうした費用は、最終的に電気料金や託送料金として消費者が支払わされることになる。

ただし、発電と小売の9割近くを占める大手電力は、両者が1つの会社内であるため、「右手」(小売部門)から「左手」(発電部門)への費用移動でしかないが、2016年4月の電力小売全面自由化後におよそ600社が誕生した新電力にとっては、ほぼ純粋な負担増となる。

新電力のシェアは約16%だから、1,600億円から2,400億円もの費用が、新電力から大手電力への移転となり、競争上、大手電力が有利な条件となる。

2020年の約定価格=1万4,137円/kW の場合、例えば、東海第二原発(売りに出たとすれば)105.6万kWが設備容量のため、2024年の1年で、約149億円を容量市場から得ることができる(そのとき、動いていないとダメだが)。

再稼働している大飯原発(3号機・4号機ともに118万kW)の場合、前記の約定価格なら、1基あたり166億円……経過措置後の計算では 112億円もの容量収入との計算となる。文字どおり「棚ぼた利益」。

ただし、2020年の場合、経過措置(2029年まで)があって、約定価格の総平均は 9534円/kWとなる。2021年は、制度の変更もあり、経過措置考慮後の総平均は、3,109円/kW と低下した。

2022年度は、現在進行形。結果は、まだかな?

いずれにしても、発電設備を持っている大手電力(発電総量の90%近く=数字は要確認=は大手9電力が保有)にきわめて有利。大手電力の発電設備は、総括原価方式の中で、消費者全員の負担で建設されたものであり、その設備を大手電力が独占しているのが、大きな問題。

【右手と左手の関係】

「右手」(小売部門)と「左手」(発電部門)の関係にも大きな問題。
 
発送電分離の次は「発販分離」

【電力のエネルギーとしてのkWh価値】

電力のエネルギーとしてのkWh価値は、以下のように計算できる。

2022年1~2月の電力卸売市場では、20円/kWh程度でした。
118万kWの大飯原発、1基を、1年間、24時間×365日動かして、
全量を卸売市場に売り入札に出したと仮定すれば
(社内取引、社外との相対取引などがあって実際は全量は出していない)
20円×24×365×118万=2067億3600万円…kWhの売上げ

上記のほかに、大飯原発1基は、容量価値として、経過措置後で112億円(2024年度の1年間)を受け取るわけです(ただし、大飯原発が容量市場に売り入札に出されたかどうかは、非公開)。

[6] 容量市場は大手電力にとって棚ぼた利益–(2)

容量市場の件で、追加。
・容量市場で指標価格を決めるのは、CCGT(複合サイクルガスタービン発電、コンバインドサイクル発電)の発電所建設を基準にしています。ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせた二重の発電方式。廃熱回収サイクルにより熱効率が60%以上と高効率(原発は30%)。

・原発新設の費用が考慮されているわけではないので、原発について言えば容量市場は既存原発への補助金となります。

・原発新設で指標価格をつくってみると、どんな数字になるか。
興味はありますね。

[7] 容量市場の大幅改変で原発新設、リプレースを後押し

引き続き、容量市場の情報です。
・前の「容量市場は大手電力にとって棚ぼた利益–(2)」に書いたように

> 容量市場は既存原発への補助金

であって、新規原発の建設を後押しするような制度設計にはなっていません。

・しかし、今、流れは変わりつつあります。
・経済産業省・資源エネルギー庁は、電力逼迫を奇貨として、電力の供給力アップに力を入れています。安定供給の錦の御旗の元、カーボンニュートラルに隠れて、原発の推進を念頭に置いた制度を設計しているのです。

・電源確保を目的とする容量市場は、現行の制度では、原発新設、リプレースには対応し切れていません。そこで、経済産業省・資源エネルギー庁は、固定費回収の予見可能性を確保して脱炭素電源(ここに原発が含まれる)新設を後押しする新制度について、議論を進めています

(2022/6/23 電気新聞 TOPニュース。「脱炭素電源の固定費回収、供給開始期限を設定/来年度入札へ主要論点消化」)。電力労働運動近畿センターのML【電気新聞デジタル情報】220623 には何故か取り上げられていなかったのですが、重大なニュースだと思います。

・それによると、運転開始前の案件を入札対象とし、電源種ごとに期限を設定して、それまでに供給力提供を求めることにしています(ただし、達成できなければペナルティーが科される)。新制度の名称は「長期脱炭素電源オークション」として、2023年度の初オークションをめざすとしているようです。

・新制度での容量支払は複数年となり(現行制度は1年のみ)、入札から運転開始年度までの期間を電源によって多様化し、長期化しています(現行制度は4年後のみ)。新制度の開始期限は、原発は17年後の開始を設定していることを明示していることから分かるように、原発新設、リプレース推進制度であることは明白です。

資料は、以下をご覧ください。
(1)電気新聞
(2)資源エネルギー庁の資料、2022/2/17
(3)資源エネルギー庁の資料、2022/5/25

【注意】以上の内容は、電氣新聞の概略報道と過去の資源エネルギー庁の資料によるものなので、今後、資源エネルギー庁から発表される内容(PDFファイル、近々発表されるはず)を読んでみないと確定的なことは言えない点に留意ください。

◆新電力や原発をめぐる状況~2022年4月

【Memo】2020年12月~2021年1月、卸電力市場の暴騰

◆2020年12月~2021年1月の冬は、日本卸電力取引所の電力価格が暴騰
・通常価格… 8~10円/kWh
・高くなる時間帯でも…50円/kWh程
・これまでの最高価格…75円/kWh程
・2021/1/6…100円/kWhを記録
・2021/1/15のピーク…251円/kWh!

◆ほぼ1年前のことですが、2021/3/25に、新電力大手の「F-Power(エフパワー)」が倒産
F-Powerは、新電力の大手として知られ、2018年4月には電力販売量で一時、新電力のトップにもたったことがある。その倒産の理由は、その後、現在に至る新電力の苦境の典型となっている。

◆倒産の理由(1) 逆ざや
2020~21年の冬は、日本卸電力取引所の電力価格の暴騰により、150円で仕入れた電気を20円で売るという状況で、売れば売るほど赤字になる事態であった。

◆倒産の理由(2) インバランス料金
小売電力会社は、自社が契約を取った顧客に対する電力の供給については、全量を確保する責任を負っていて、それができなかった場合、不足電力を補ってもらうことになる送配電会社にインバランス料金という罰金を支払う仕組みになっている。このインバランス料金は、市場全体で需給バランスが不足したときには、市場価格よりかなり割高になる。
◆実際にインバランス料金の推移の一例をみると、
・2020年12月1日時点では最高価格は7.91円/kWh
・2021年1月 1日には100.25円/kWh
・    1月 5日には190円/kWh
・    1月 7日には400円/kWh
・    1月11日には511.3円/kWh

◆ 経済産業省 資源エネルギー庁は2021年1月15日、卸電力市場価格が高騰していることを受け、インバランス等料金単価の上限を200円/kWhとする措置を1月17日の電力供給分から適用すると発表。2022年4月からの導入が検討されていた料金単価の上限設定を、前倒しで導入した形だ。
……が、しかし、深手を負った新電力にとっては、とき既に遅し!

◆ 帝国データバンクは2021年5月21日、新電力会社706社の経営実態調査に関する調査結果を発表した。調査によると、インバランス料金の支払い猶予措置を受けている新電力会社は、全体の4分の1にのぼる。

【Memo】2021年秋~2022年現在まで、卸電力市場で高値が継続

◆2021年秋から高騰して継続
・7.9円/kWh(9月)→12.1円/kWh(10月)→18.5円/kWh(11月)→17.3円/kWh(12月)→21.9円/kWh(1月)→20.6円/kWh(2月)→27.8円/kWh(3月)と推移
・2022年3月には64円を記録。地震で火力発電所が停止、ウクライナ戦争で燃料不安と価格上昇
・2022年1~3月の間に、北海道電力、東北電力、JERA、関西電力、北陸電力、中国電力、四国電力、九州電力において燃料制約(燃料不足として発電機の運転を抑制)が発生

◆【新電力の苦境…低圧】テラエナジー 竹本了吾社長……「実際のところかなり電力小売り会社は厳しい状況ですね。一般家庭だと約25~30円の単価で販売しているんですね。普段の仕入れだと10円とかそれくらいで仕入れているんですけれども、ここ数か月は時間によっては40円とかで仕入れないといけないようなことになっているので、本当に売れば売るほど赤字が出てしまう。」

◆2021年度1年間で、過去最多となる計31社の新電力会社が廃業や事業撤退などに追い込まれ、そのうち14社が倒産。4月6日現在、日本で登録されている新電力の事業者数は752社。このうち200社は、現時点では販売を行っていない。残りの事業者の中で大手電力の1割程度の販売量を持つ企業は数十社。
新電力が販売電力量に持つシェアは、21年12月で、全国平均21.7%。家庭用中心の低圧では23.8%。

◆【新電力の倒産や撤退など】
【2020年以前】
・2016/ 4、日本ロジテック協同組合が破産
・2017/11、大東エナジーの「いい部屋電気」が電力事業からの事実上撤退
・2018/ 8、福島電力が電力事業からの撤退、破産
・2020/ 1、エレトス合同会社が破産
・2020/ 2、AKUBIでんきおよびgreen energyが破産、電気契約の廃止
【2021年~】
・2021/ 3、ピタでんを運営するF-Power(エフパワー)が会社更生
・2021/ 5、パネイルが民事再生を申請
・2021/ 6、JBR(ジャパンベストレスキューシステム)、電力小売り撤退
・2021/ 7、フェニックスエナジーが破産開始決定
・2021/ 8、ファミリーエナジーが破産
・2021/ 9、アンフィニが民事再生を申請
・2021/12、グリーナでんき(自然エネルギー100%の電気を販売)が
低圧小売事業をTGオクトパスエナジーに事業譲渡
・2022/ 3、ホープエナジーが破産
・2022/ 3、エルピオが電力小売事業を停止
・2022/ 3、熊本電力が撤退。エビス電力へ契約を移すよう利用者に連絡
・2022/ 4、AGエナジー(AG Energy)が小売電気事業を終了

【Memo】高圧、特別高圧、自治体の電力調達

◆【高圧、特別高圧の料金値上げ】ウクライナ情勢で燃料高騰。大手の新電力は、調達困難、法人向け電気料金の引き上げを続々と通知

◆【自治体の電力調達】新電力切り替えが裏目、市施設の電気代高騰、従来契約より5000万円増加……静岡県掛川市が支払う公共施設の電力料金が高騰している。市が中心となって設立し、2021年4月に稼働した自治体新電力「かけがわ報徳パワー」に切り替えたため、従来より、電気代が約5000万円増加。

◆【高圧、特別高圧の小売から撤退】三井物産などが資本参加する中堅新電力のシン・エナジー(神戸市)が4月末をめどに、特別高圧・高圧分野の小売事業から撤退。ハルエネ(東京・豊島)、リケン工業(神戸市)など、中堅クラスの新電力も、企業向けの高圧電力販売から撤退を決めている。

◆【大手電力も新契約を停止】大手電力が法人(高圧、特別高圧)の新契約を停止。新電力から大手電力に戻ろうとする利用者が、行き場をなくしている。一方、どの電力小売り事業者とも契約が成立しない場合に備えたセーフティーネットとして「最終保障供給」と呼ばれる仕組みがあり、主に法人向けであれば大手電力の送配電部門に供給義務が課せられている。最終保障供給の料金は標準メニューの約1.2倍と割高だが、足元では市場価格の高騰を背景にこの料金よりも高いプランしか提示できない「逆転現象」も起きている。

【Memo】原発をめぐる最近の状況

◆【電力価格の高騰、エネルギー供給の不安】
・CO2削減 →火力発電の縮小が続いてきた。
・地震で火力発電所が停止 →東京などで電力供給不安
・ウクライナ戦争 →石油、天然ガスの価格高騰、エネルギー供給不安、エネルギー多消費型社会に限界

→ 原発再稼働(大阪市松井市長)、小型原発など「新技術」の開発

◆【太陽光など再エネの系統制約】再エネ受け入れ停止……四国電が4/9、東北電が4/10。中国電が4/16予定。これまで九州電でも。

◆【原発は技術力低下と人材減少のダブルパンチ】4/15(金) 産経……東日本大震災後、原発の新設が進まないことなどを理由に、一部の事業者が撤退を決めた。設計図やノウハウの譲渡などサプライチェーン内での自助努力は重ねられる。それでも、原子炉内に挿入される核燃料をカバーし放射性物質の漏出を防ぐ被覆管の製造メーカー(*)が解散し国内調達が不可能になるケースも生じるなど、体制の維持は年々難しくなっている。
部品だけでなく人の不足も深刻だ。日本電機工業会のまとめでは、大手メーカーで、大型設備の製造に不可欠な溶接や組み立て、機械製造に携わる技術者は平成22年度からの10年で、45%減少。原子力事業者の就職説明会「原子力産業セミナー」でも、専攻が原子力関連でない学生の参加数は大幅に落ち込む。
将来が見通せず、社会的な風当たりも強い中、技術継承は綱渡りを余儀なくされ、さらに人材も減少していく構図だ。

(*)沸騰水型を中心としたジルカロイ被覆管を神戸製鋼所が製造し、加圧水型は旧住友金属が製造していたが、この両社が合同出資し合併させた新会社(2000年)が、ジルコプロダクツ。以後国内原発の被覆管すべてはこの会社で製造されてきたが、2017年に解散。

◆2021年秋、季節外れのJEPX高騰、限界費用の見直し

(1) JEPXスポット市場が全国で50円/kWh超え、原因不明の高騰に不安広がる
「公開情報から高騰要因が読み解けない」

~~日経エネルギーNext 2021/10/08
https://project.nikkeibp.co.jp/energy/atcl/19/feature/00001/00064/

日本卸電力取引所(JEPX)スポット市場が高騰している。10月7日に約定した8日受け渡し分の16時30分~17時のコマは、システムプライス(全国平均)が50円/kWhとなり、全国9エリアすべてで50円/kWhを付けた。例年なら低価格で推移する10月の高騰に衝撃が走っている。
┌─────────────
・新電力の多くが2020年度冬季高騰時のインバランス料金の弁済、この秋のJEPX高騰、さらに冬場に向けた電源確保のための前金支払いのトリプルパンチを受けている。
・JEPXスポット市場の異変は9月の西日本から始まった。10月に入ると北海道エリアが高騰。10月1日には2021年度としては最高値となる55円/kWhを付けた。その後も西日本が深夜も含めて1日を通して高値をつけるようになった。11月上旬から東日本や九州も高値となり、その状況が延々と続いている。
・電力需要が低くなる週末まで高値を付けるようになり、過去に例のない事態が起きている。端境期である10月、11月は太陽光の発電量が多い日中や需要が少ない夜間の市場価格は安価であるのが通常だ。だが、今年は早朝深夜から日中も含めて1日を通して極寒の厳冬のようなベース高騰が起きている。しかも、1か月以上この状況が続くとは衝撃的。
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(2) 季節外れのJEPX高騰の背景に膨大すぎる「ブロック入札」
経済産業省の新電力向け勉強会で明らかに

~~日経エネルギーNext 2021/11/12
https://project.nikkeibp.co.jp/energy/atcl/19/feature/00001/00067/

日本卸電力取引所(JEPX)スポット市場の高騰が続いている。高騰理由は諸説あるものの、公開情報からは特定できない状況が続いてきた。しかし、ここへきて驚くべき量の「ブロック入札」の存在が明らかになった。
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・監視委員会が明らかにしたデータは「約定率が非常に低い大手発電事業者が7社おり、そのうち5社は入札量の9割以上がブロック入札だった」というもの。ここでいう大手発電事業者とは、大手電力7社、JERA(東京電力フュエル&パワーと中部電力が出資する発電会社)、Jパワー(電源開発株式会社)の9社を指しており、この中の5社という意味だという。
・入札量のほとんどをブロック入札にしている大手発電事業者は、ブロック入札を利用した売り控えをしていたと見られても、なんら不思議はない。
・今回のブロック入札の件も含めて、監視委員会が市場を正常に機能させるために監視を強めないことには、日本の電力自由化は新電力総崩れとともに幕を下ろすことになる。
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┌─────────────

・「ブロック入札」とは

↓ ↓
電力市場が史上2番目の高値、意外な2つの理由
問われる大手電力の「燃料制約」と「ブロック入札」(少し古いですが、2018/02/16)
https://xtech.nikkei.com/dm/atcl/feature/15/031400070/021500046/

・ブロック入札は、4コマ(2時間)以上の複数の時間帯にまとめて入札し、指定した時間帯に渡って売り入札量全量が約定したときだけ、取引が成立する。
・売り手(発電業者)から見れば、実需給前日に開かれるスポット市場でまとまった規模の需要が見込めれば発電所を稼働させるという性格の取引で、バランス停止対策に有効という理由から導入された。バランス停止とは、需要が見込めるかどうか(市場で売れるかどうか)分からないなどの理由から火力発電所の火を落とすことを言う。
・ところが、本気で約定を目指しているとは思えないようなブロック入札の実態が明らかになった。
・「1日24時間・30万kWh/h・12.6円/kWh」というブロック入札があったことが監視委員会から報告された。容量で30万kWといえば、原子力発電1基の3分の1に相当する規模で、これが24時間満遍なく売れなければ、微塵も売り渡さない(発電しない)という取引である。
・監視委員会の報告は、約定の可能性が低いブロック入札が量的にも件数でも少なくないことを示唆するものだった。どのようなブロック入札が行われているのかの実態は、日々取引に参加している市場関係者にも分からない。
・しかし、ある大手電力幹部は「(約定の見込みのない)ブロック入札は複数の大手がやっている」と証言する。ブロック入札が、バランス停止実施のためのアリバイづくりだとしたら問題だろう。
・燃料制約やブロック入札の実態から、大手電力は自社の顧客向けを優先して、卸電力市場などに投入するための発電は抑制したという構図が浮かび上がる。
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(3) 大手電力の度重なる買い越しが意味するもの
「端境期」になぜ電力市場が高騰するのか

~~日経エネルギーNext電力研究会 2021/11/24
https://project.nikkeibp.co.jp/energy/atcl/19/feature/00003/00018/

今秋、電力市場はこれまでに見たことのない値動きを見せている。何が起きているのか。足元の端境期に生じている電力市場高騰の謎に迫る。
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・制度設計専門会合(第66回)では、オブザーバーとして出席した大手電力の役員から、LNG高騰時にLNGを転売し、国内の電力需要にはJEPXから電力調達を行うという事態に関する発言があった。
・「燃料制約がなくても燃料市場が高騰していた時に、電力市場に投入すると損が出てしまい、JKM(北東アジアのスポットLNG価格指標)で売った方が良いという状況がある。平常時にこの動きが認められないのであれば、改めてご検討をお願いしたい」というもの。
・仮に、長期契約により安値で獲得した燃料を高値で国際燃料市場に転売し、その分の電力を国内電力市場から高値で買い付ける行為が常態化したら、国内事情より先にグローバルな価格水準と国内電力価格が裁定し始め、それにJEPX価格が振り回されるようになる。
└─────────────

(4) 東北電やJERA、JEPXスポット市場への売り入札価格を変更
「限界費用」の見直しで電力市場が変わる?

~~梅田あおば=電力事業アナリスト 2021/12/02
https://project.nikkeibp.co.jp/energy/atcl/19/feature/00007/00067/

11月、東北電力とJERAが日本卸電力取引所に玉出しする際の入札価格の基準を変更すると発表した。売り入札価格のベースとなる「限界費用」の考え方を変える。電力需給の実態をより市場に反映させる政府方針に沿ったもので、2社以外の大手電力にも広がる可能性が高い。だが、電力市場価格の変動が大きくなる要因にもなりそうだ。
┌─────────────
・現在、旧一般電気事業者は「自主的取組」として、余剰電力の全量を市場に供出すること、限界費用でスポット市場に売り入札することが求められている。各社は従来、長期契約や燃料スポット市場などによる調達済み燃料の「加重平均価格」を限界費用とする考え方をとってきた。東北電は11月24日以降(準備が出来次第)、これを燃料スポット調達などによる「追加的な調達を考慮した価格」に変更する。現在、LNGのスポット価格は長期契約価格を大きく上回っているため、東北電などの変更は売り入札価格を上げる効果を持つ。
・燃料スポット価格をより直接的に反映することにより、売り入札価格は高値/安値いずれの方向に向けても従来以上に変動性が増すことになる。
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┌─────────────
・監視委員会は、燃料の需給状況を価格シグナルとして反映させるという観点から、燃料の追加的な調達価格を限界費用としたうえで、売り入札価格に反映することを許容するとしている。しかし、相場操縦を目的として事前に燃料調達量を減らす行為や、燃料を転売することにより不当に追加的な燃料調達を発生させる行為は問題となる。
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・火力発電燃料のうち、マイナス162℃で液化されたLNGは長期貯蔵に向かず、特に調達戦略が難しい燃料であると考えられる。LNGタンカーからタンクに受け渡されたLNGを再び船に払い出すこと(リロード)は技術的難度の高さから一般的には行われておらず、LNG取引の多くはLNG産出国から日本に到着するまでの2カ月の輸送期間を考慮した配船計画を伴うものとなっている。
└─────────────
┌─────────────
・今後、スポット市場に供出される余剰電力(入札可能量)に対しては、新たな限界費用が適用されることとなる。今冬、LNGスポット価格が高い場合、JEPXスポット価格も上昇する蓋然性が高い。
・スポット市場における価格シグナル性が増すこと自体は健全なことだが、小売電気事業者がどのようなルート(相対卸供給・常時バックアップ・スポット市場)から調達するかにより、あまりに大きな値差が恒常的に生じる事態になったとしたら、調達ルートの新たな選別や忌避を招くおそれがある。限界費用の考え方の見直しは、スポット市場における大きなゲームルールチェンジである。逆に言えば、従来のスポット市場価格の安定性は燃料の長期契約価格の安定性に支えられていたことを改めて認識させられることとなった。
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(5) JERA幹部が明かす、冬の電力不足を防ぐ「PPA」「限界費用」見直しの意義
野口高史・JERA最適化戦略部長に聞く

2021/12/14
https://project.nikkeibp.co.jp/energy/atcl/19/feature/00002/00017/

日本最大の発電事業者JERA(東京都中央区)が、東京電力エナジーパートナー(東電EP)とのPPA(電力購入契約)の見直しに踏み切った。さらに限界費用によるJEPX(日本卸電力取引所)入札価格の算定方法の見直しも公表した。なぜ見直しを決めたのか。JERA最適化本部・最適化戦略部の野口高史部長に聞いた。
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・第1に、東京エリアは自由化の進展によって、東電EPから新電力への離脱が進み、エリア全体の需要と東電EPの需要の差が大きくなっています。東電EPから離脱した需要は3割に迫ろうとしており、需要の動向を予測するのが難しい状況にあります。
・当社は東京エリア最大の発電事業者ですから、エリア全体の需給のしわ取りを期待されています。ですが、東京エリアには、ガス会社の火力発電所や共同火力など、様々な電源があり、当社の電源比率はエリアの5~6割にとどまります。
・第2が、東電EPとのPPAが、ゲートクローズ(実需給の1時間前)直前まで東電EPが当社から調達する電力量を変更できる「変動数量契約」となっていたことです。東電EPはギリギリまで自社需要に供給量を合わせるべく、当社に対して供給量の通告変更が可能でした。
・東電EPへの供給量がゲートクローズ直前まで変動するため、適正量のLNGを調達するのが難しくなっていたのです。
・第3が、電力市場との接点を東電EPが持っていたことです。JEPXへの余剰電力の玉出しも東電EPが手がけていました。本来であれば燃料市場やLNG在庫運用に知見のある当社が実施すべきでしたが、慣例的に小売部門が担ってきたのです(編集部注:中部エリアはかねてJERAが玉出しを実施)。
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・北東アジア着のLNGスポット価格指標「JKM」(Japan Korea Marker)の価格をJEPXスポット価格と見比べると、2倍の差があります。例えば、100億円分のLNGを調達したとして、発電して電力として売ると50億円にしかならない。長期契約で確保しているLNG価格とスポット市場価格の差が、あまりに大きい。今の状況では、電力供給の担い手である大手電力が「LNGを自ら調達せず、電力を買う方が得だ」との判断もあり得る状況。
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(6) 河野規制改革相が検討を要求、日本の電力自由化に「発販分離」が必要なワケ
JERAも東電や中部電の小売部門に縛られている

~~日経エネルギーNext電力研究会 2021/05/25
https://project.nikkeibp.co.jp/energy/atcl/19/feature/00003/00011/

にわかに「発販分離」が電力改革のテーマに浮上してきた。大手電力の発電部門を販売部門から切り離し、発電競争を促進しなければ健全な電力市場の発展は望めない――。河野太郎規制改革相のタスクフォースが経済産業省に、9月までに発販分離の検討を報告するよう迫った。
┌─────────────
・発電部門を縛る「変動数量契約」とは
↓ ↓
・大手電力内部において発電部門が販売部門に電力を受け渡す際の契約で、販売部門が発電部門に発注する電力調達量は実需給断面に近いタイミングで決めるというものだ。つまり、販売部門が需要変動に応じて常時、自分たちに必要な量の電力を発電部門から調達できるという仕組み。
・電力の相対取引の大部分を占める大手電力の内部取引で変動数量契約(量を決めない契約)が幅を利かせていれば、発電部門の取引を縛る契約の拡大は自由化に逆行する。グループ内外を問わず、変動数量契約を廃止し、すべての相対取引は確定数量契約とするのが筋である。
・変動数量契約が締結されている限り、取引実態としては旧来の発販一体体制が続いると言って過言ではない。販売部門は実需給に合わせた調達がいつでも可能な一方で、発電部門は実需給直前まで取引量が決まらないというのは、販売部門に極めて有利な契約である。需給がタイトになるほど、発電部門はギリギリまで電源を確保する必要に迫られる。組織的には別会社であったとしても、発電部門が販売部門に振り回される(従属している)実態は変わらない。
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(7) 朝日新聞 凄腕(スゴウデ)仕事人

(2021/12/13)「日本卸電力取引所 企画業務部長 国松亮一さん」
運営する卸電力市場の取引が総需要の37%

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・日々の業務で目をこらすのは、価格を恣意的に動かそうとする取り引きがないかだ。
・発電設備を抱える事業者が本来はもっと発電できるのに、価格をつり上げるために不当に抑えていないか。値動きが気になったら、まず電話する。納得がいかないと、直接本社に出向く。「高くしようとしていると、疑われないようにしてほしい」
・政府の電力・ガス取引監視等委員会のような公的な調査権限はないが、「抑止力という形で作用すると信じている」。
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◆原発のコストについて

[1] 資源エネルギー庁「第7回発電コスト検証ワーキンググループ」の資料

・2021/7/5(月)原子力市民委員会(CCNE)連続オンライン企画「原発ゼロ社会への道」第9回 原発のコスト、大島堅一先生
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政府(資源エネルギー庁)の発電コストの計算では、どのような想定がされているか。
・再エネに関しては、価格低下が見込める根拠があるにもかかわらず、「保守的」に計算する、つまり、高めの想定が用いられている。
・他方で、原子力については、価格低下が見込める根拠が具体的に示されないにもかかわらず、「野心的」に計算する、つまり、安めの想定が⽤いられている。
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┌─────────────────────────────────
原発の発電コストを小さく見せるために政府が使っている手口
(1)建設費について、規制が強化されたことや建設期間が長引いて、コストが急上昇しているとみるべきなのに、相変わらず以前と同じ想定にしている。
(2)追加的安全対策費を少なく見積もる。
(3)事故費用を少なく⾒積もる。
(4)事故費用単価の計算⽅法…原発事故費用単価を引き下げる方向でしか検討していない。
(5)原発の設備利用率を高く想定している。⽇本の原発の設備利⽤率の平均:55.67%
(6)原発の稼働年数。60年稼働が認可されたからといって、60年の稼働が保証されたわけではない。よって、保守的に40年で計算すべき。
(7)運転維持費。実際の設備利用率で割り戻して計算すべき。
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・7/12(月)資源エネルギー庁「第7回発電コスト検証ワーキンググループ」の配付資料、2030年の電源別発電コスト試算で、原発の発電コストは上昇、太陽光などより高くなり、 コストの優位性が揺らぐことになった
・原子力…11円台後半~(円/kWh)
・太陽光(事業用)…8円台後半~11円台後半
・太陽光(住宅)…9円台後半~14円台前半

[2]「オルタナ」サステナブル ビジネス マガジンより

「原発コスト、廃炉含むと天文学的な数字に」https://www.alterna.co.jp/39325/

『原発のコスト』(岩波書店、2011年)などの著者である龍谷大学政策学部の大島堅一教授は今回の試算について、「明らかに入れていないコストがある」と指摘する。
主に入っていないコストは3つだ。

(1)一つ目は、「賠償費用」だ。試算では、賠償費用は7.9兆円で計上しているが、大島教授は「賠償格差を埋めるための地方交付金が数千億円ある。その原資は我々の税金だ」と話す。見えない「国民負担」もコストに入れるべきと主張する。

(2)二つ目が、「再処理費用」だ。六ケ所再処理工場などの大型施設にかかる費用が入っていないと言う。

(3)最後が、最も大きいコストと強調する、「廃炉費用」だ。試算では、「事故廃炉費用」という名目で8兆円を計上しているが、燃料デブリ取り出し以降に生じる廃棄物処理費用は「推計不能」として含んでいない。

大島教授は「大型の原子力発電所を1基廃炉にすると、すさまじい量の放射性廃棄物が出る。廃炉費用を計算すると天文学的な数字になる。原発が経済的かどうかなど議論している場合ではない。将来世代にこの甚大な費用を押し付けていることも自覚していない」と語る。
日本原子力学会は20年7月、廃棄物検討分科会の中間報告を発表した。大島教授は、「分科会が発表したデータによれば、大型施設を1基廃炉にすると、最低でも重量ベースで1000倍以上の放射性廃棄物が出る」とし、この処理費用を含むと「10~20円高くなるという次元ではない」と語気を強める。

◆非化石価値取引市場、抜本的な制度変更

【メモ】非化石価値取引市場の抜本的な制度変更(2021年7月)

 2021年3月26日に開催された第48回電力・ガス基本政策小委員会制度検討作業部会にて、資源エネルギー庁より提示された。提示された制度変更案では、現行の非化石価値取引市場を、再エネ価値取引市場(仮称)と高度化法義務達成市場(仮称)の2市場に分離する。FIT非化石証書を取り扱う再エネ価値取引市場では、大口需要家の市場参加を認めることに。非FIT非化石証書は、再エネ指定のあるもの(大型水力、卒FIT)と、ないもの(原発)に分かれる。

 資源エネルギー庁の資料
  
非化石価値取引市場について~~とっても分かりにくい(>_<)

(1) FIT非化石証書(再エネ指定あり)…FIT電源(Ex. 太陽光、風力、小水力、バイオマス、地熱)。再エネ価値取引市場。発電事業者から小売電気事業者への電気の流れが明示される(トラッキング=経路情報明示を導入)。RE100にはトラッキングが必須。RE100をめざす大口需要家が市場に参加できることに。RE100とは、使用する電力の100%を再生可能エネルギーにより発電された電力にする事に取り組んでいる企業が加盟している国際的なイニシアティブ。

(2) 非FIT非化石証書(再エネ指定あり)…非FIT再エネ電源(Ex.大型水力、卒FIT等)。高度化法義務達成市場(エネルギー供給構造高度化法は2009年に制定。高度化法とは、年間販売電力量が5億kWh以上の小売電気事業者(98%)に対して、自ら供給する電気の非化石電源比率を2030年度に44%以上にすることを求めている。ここもトラッキングを導入か。

(3) 非FIT非化石証書(再エネ指定なし)…非FIT非化石電源(Ex.原子力等)。高度化法義務達成市場。原発はトラッキングなしで、十分だろう–どこの原発で作った電気か、なんてことは誰も興味がないだろうし。原発の電気であることを証明する証書を持っていて、何の役に立つのだろうか。意味不明(>_<)
…関電の下請け仕事を「特命受注」するには、この証書を一定以上持っていることが資格条件とか (^ ^;;、これは考えられるね(^o^)