◆原発のコストについて

[1] 資源エネルギー庁「第7回発電コスト検証ワーキンググループ」の資料

・2021/7/5(月)原子力市民委員会(CCNE)連続オンライン企画「原発ゼロ社会への道」第9回 原発のコスト、大島堅一先生
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政府(資源エネルギー庁)の発電コストの計算では、どのような想定がされているか。
・再エネに関しては、価格低下が見込める根拠があるにもかかわらず、「保守的」に計算する、つまり、高めの想定が用いられている。
・他方で、原子力については、価格低下が見込める根拠が具体的に示されないにもかかわらず、「野心的」に計算する、つまり、安めの想定が⽤いられている。
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原発の発電コストを小さく見せるために政府が使っている手口
(1)建設費について、規制が強化されたことや建設期間が長引いて、コストが急上昇しているとみるべきなのに、相変わらず以前と同じ想定にしている。
(2)追加的安全対策費を少なく見積もる。
(3)事故費用を少なく⾒積もる。
(4)事故費用単価の計算⽅法…原発事故費用単価を引き下げる方向でしか検討していない。
(5)原発の設備利用率を高く想定している。⽇本の原発の設備利⽤率の平均:55.67%
(6)原発の稼働年数。60年稼働が認可されたからといって、60年の稼働が保証されたわけではない。よって、保守的に40年で計算すべき。
(7)運転維持費。実際の設備利用率で割り戻して計算すべき。
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・7/12(月)資源エネルギー庁「第7回発電コスト検証ワーキンググループ」の配付資料、2030年の電源別発電コスト試算で、原発の発電コストは上昇、太陽光などより高くなり、 コストの優位性が揺らぐことになった
・原子力…11円台後半~(円/kWh)
・太陽光(事業用)…8円台後半~11円台後半
・太陽光(住宅)…9円台後半~14円台前半

[2]「オルタナ」サステナブル ビジネス マガジンより

「原発コスト、廃炉含むと天文学的な数字に」https://www.alterna.co.jp/39325/

『原発のコスト』(岩波書店、2011年)などの著者である龍谷大学政策学部の大島堅一教授は今回の試算について、「明らかに入れていないコストがある」と指摘する。
主に入っていないコストは3つだ。

(1)一つ目は、「賠償費用」だ。試算では、賠償費用は7.9兆円で計上しているが、大島教授は「賠償格差を埋めるための地方交付金が数千億円ある。その原資は我々の税金だ」と話す。見えない「国民負担」もコストに入れるべきと主張する。

(2)二つ目が、「再処理費用」だ。六ケ所再処理工場などの大型施設にかかる費用が入っていないと言う。

(3)最後が、最も大きいコストと強調する、「廃炉費用」だ。試算では、「事故廃炉費用」という名目で8兆円を計上しているが、燃料デブリ取り出し以降に生じる廃棄物処理費用は「推計不能」として含んでいない。

大島教授は「大型の原子力発電所を1基廃炉にすると、すさまじい量の放射性廃棄物が出る。廃炉費用を計算すると天文学的な数字になる。原発が経済的かどうかなど議論している場合ではない。将来世代にこの甚大な費用を押し付けていることも自覚していない」と語る。
日本原子力学会は20年7月、廃棄物検討分科会の中間報告を発表した。大島教授は、「分科会が発表したデータによれば、大型施設を1基廃炉にすると、最低でも重量ベースで1000倍以上の放射性廃棄物が出る」とし、この処理費用を含むと「10~20円高くなるという次元ではない」と語気を強める。