◆原発40年運転に、休止期間を含めないのが、合理的か

 関電の老朽原発、美浜3号機で、40年超え運転が始まっている。

 原子力ムラには、40年の計算に、ドイツのように、休止期間を含めないで数えるのが合理的だという主張がある。福島第一原発事故のあと、10年止まっていたら、その期間は、40年に算入しないというわけだ。

 本当に合理的だろうか。

 確かに、休止している期間は高温や高圧、中性子などの影響は少ないかもしれないが、コンクリートやケーブルの劣化はすすんでいる。40年経てば、当初の設計寿命は尽きているはずだ。

 しかし、それよりも何より、日本列島は、ドイツに比べて、原発立地そのものの合理性が、著しく低い。休止期間を運転年数に加えないドイツの合理性は、日本に当てはめた場合、そのまま日本の合理性にはならない。ドイツは、ユーラシアプレート上にあり、地震の発生しやすい地域からも遠く離れている。1992年4月にマグニチュード5.9、2022年7月マグニチュード4.1の地震が観測されているが、日本列島よりははるかに少なく、かつ、小規模。

 世界各国の地震頻度(国土面積あたり、マグニチュード5.5以上)をみると、日本列島は1.14回/年であるのに対して、ドイツは0.05回となっている。マグニチュード6以上の地震は、日本列島ではまったく珍しくないが、ドイツでは、ほとんど例がない。

 地震、火山、津波などによる激烈な自然災害が珍しくない日本列島では、原発はどだい無理、というのが脱原発の基本。南海トラフ大地震、首都圏直下大地震などが予想され、大地震では大津波も考えなければならない状況では、原発の存在自体が、人格権を著しく脅かす極限の不合理と言える。

 原発立地の不合理性が極限大に及んでいるのだから、一刻も早く、全原発の廃炉を行うのが、もっとも合理的な判断であって、原発40年廃炉期間に運転期間を含めないなどと言う極小の合理性が存在できる余地はまったくないと思う。

【参考サイト】
世界各国の地震頻度 → こちら
各電源の諸元一覧(総合資源エネルギー調査会)→ こちら
火力発電所の余寿命評価技術 → こちら

(吉田めいせい)