◆関電と原発 memo No.12–大飯原発に近い活断層

大飯原発に近い活断層
Fo-B断層、Fo-A断層、熊川断層、上林川断層

◆大飯原発から30km以内の海域には、Fo-B(エフオービー)、Fo-A(エフオーエイ)、Fo-C(エフオーシー)断層が、陸域には熊川(くまがわ)断層、上林川(かんばやしがわ)断層などがある。若狭湾 一体は、活断層だらけ。

◆これらの断層のうち、関西電力が当初、連動の可能性があるとしていたのはFo-B断層とFo-A断層だけ(約35㎞)。その結果、基準地震動は700ガルとされた。

◆これに、熊川断層を加えて3つの活断層の連動を考慮すれば(約60㎞)→基準地震動は1、260ガルを超える(石橋克彦氏)という計算もある。しかし関電は規制委の指示で3連動=856ガルの基準地震動を設定し了承された。

◆地震はまったく予測ができない。基準地震動をこえる地震がないとは言えない。兵庫県南部地震のように離れた断層が連動して動いたり、福岡県西方沖地震のように既存の活断層の延長上に地震が起こることもある。

◆また、「Fo-B断層、Fo-A断層、熊川断層」とほぼ直角の角度をなしている上林川断層は、前者の3つの断層に対して共役(きょうやく)断層となっている可能性がある。さらに、上林川断層は、原発から遠ざかる綾部の方には伸ばされたりしているが、なぜか福井県に入ると断層が消えてしまう。

◆共役断層…地殻に水平方向の同じ圧縮(または引っ張り)力が働いたとき、互いに断層面が直交し、ずれの向きが逆向きになる断層のセット。共役断層がある場合、どちらの断層が動くか、すなわち、どちらで地震が起こるか、まったく分からない。

◆活断層カッター…例えば20kmの長さの活断層が見つかった場合に、それを3つにカットして審査に通る長さにしてしまう御用学者のこと。こうすれば、地震の規模が小さくなるので、原発を建設したい国の審査を通ってしまう。“活断層カッター”が関与して活断層を過小評価されたあげくに建てられた原発は、日本国中にあるという。大飯原発もその1つとされる。
→「世の中の不思議をHardThinkします


▲この図ではFo-AとFo-Bの2連動だが、その後、熊川を含む3連動に。


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関西電力大飯原発3、4号機
2017年5月、規制委は新規制基準に適合の
審査書を確定

◆原子力規制委員会は2017年5月、関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)が新規制基準に適合しているとする審査書を確定し、設置変更を許可。大飯原発をめぐっては、規制委の前委員長代理の島崎邦彦東京大学名誉教授が裁判や学会などで、想定される地震の揺れ(基準地震動)が過小評価されていると指摘しているが、規制委は見直しを拒否。

◆関電は大飯原発の基準地震動を856ガルとし、規制委も了承。

◆島崎氏が2016年4月の熊本地震を検証したなかで、規制委が認めた算出方法では基準地震動が過小評価になると指摘した点については、規制委は現在の方法でも過小評価の問題はないと反論し、島崎氏の主張を採用せず。

◆その結果、原子力規制委員会による大飯原発3、4号機の設置変更許可が認められ、関西電力の原発は、すべての再稼働が許可された。
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島崎邦彦氏は 大飯原発の 基準地震動の 見直しを 主張
内陸地殻内地震に関する島崎邦彦氏の指摘

(「原子力市民委員会特別レポート5」より)

◆設計基準地震動の設定が、耐震安全設計の出発点である。新規制基準に従って各電力会社が設定し、規制委が承認した設計基準地震動の大きさについて、地震学の専門家から過小評価になっている可能性の指摘がなされている。

◆社会的に大きな注目を受けている指摘として、地震学者の島崎邦彦・東京大学名誉教授(前・原子力規制委員会委員長代理)が 2015 年に複数の学会(日本地球惑星科学連合大会、日本地震学会、日本活断層学会)において、断層モデルをもとに震源の大きさを推定する際に各電力会社が使用している入倉・三宅式は過小評価をもたらす可能性があるので不適切であることを発表した。2016 年 6 月には、そのことが同年4月に発生した熊本地震のデータで裏付けられたことを論文発表した。また名古屋高裁金沢支部での大飯原発3、4号機運転差止め訴訟控訴審に、そのことを論じる意見陳述書を提出した。

◆規制委は以前に委員長代理を務めたことのある島崎氏の指摘を無視できなくなり、2016年6月に田中俊一委員長らは島崎氏からの意見聴取を公開の場で行った。

◆しかし、規制委は7月27日の定例会合で「現時点で大飯原発の基準地震動を見直す必要はない」と結論づけた。島崎氏が提案した政府の地震調査研究推進本部・地震調査委員会の資料に記載されている別の計算式を使った評価については、原発に対して「今まで使ったことがない」(櫻田道夫・原子力規制庁原子力規制部長)ことを理由に、基準地震動の検証を実施しない考えを示した。この規制委の決定に関して、島崎氏は異議を唱えている。

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同時多発事故、避難計画やその実効性は審査されず

◆若狭湾周辺は、廃炉中も含め15基もの原発がひしめく“原発銀座”。しかし、規制委の審査は、それぞれの原発での重大事故対策のみ。集中立地で、地震などの災害で同時に複数の原発で事故が起きた場合の検討はされていない。

◆また、大飯原発の30km圏は3府県にまたがり、住民の避難計画の実行は困難と指摘されている。さらに、複数の原発で同時に事故が起きれば、避難は一層困難になる。しかし避難計画やその実効性については、規制委の審査の対象外。
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