関電と原発 memo」カテゴリーアーカイブ

◆関電と原発 memo No.25–関電からの小口顧客離れ(2020/11/27)

◆関電からの小口顧客離れは、着実に進行しています。さらに促進させましょう。

◆しかし、2020年4月から予定されていた電気料金の全面自由化が見送られたこと(新電力の全体的なシェアが小さかったこと、関電と対抗できるような規模の新電力がなかったこと)からも分かるように、電力産業において、関電など大手電力(旧一電)の支配力は依然として強大です。

◆関電は、発電部門では圧倒的な力をもち、送配電部門も事実上、支配しています。小売部門では、大口顧客に対しては、強烈な低価格を提示しているのではないかといわれる取戻営業、小口顧客に対してはガスとのセット販売で攻勢に出るなど、関電の存在は圧倒的です。

◆関電には原発ノーの声をさらに大きく突きつけていきましょう。関電など大手電力の市場支配力を減衰させるには、再生可能な自然エネルギーのいっそうの拡大による地域分散型エネルギーシステムが各地で普及することが必要です。また、送配電網の完全分離も求められます。

◆以下のグラフにつきましては、次の点に留意ください。

(1) このグラフのデータは、OCCTO(オクト)[電力広域的運営推進機関]の「スイッチング支援システムの利用状況」からみたスイッチング件数データです。毎月10日までに前月分が発表され、速報性が高いものです。ただし、このデータでは、500kW未満の高圧需要者も含まれているうえ(そのため「小口」と表記)、「新電力から関電へ」戻るスイッチングも、「新電力から新電力へ」のスイッチングも、件数としてカウントされています。

(2) 自由化が始まった当初は、「新電力から関電へ」「新電力から新電力へ」といったケースはごく少数と思われましたが、関電がガスとのセット販売(2017年4月~)を強化したり、失った顧客の取り戻し営業を強めるようになった現状では、OCCTOのスイッチング件数は関電の純減「関電から新電力へ」の完全に正確なデータとは言えなくなっています。

(3) そこで、電力・ガス取引等監視委員会による「電力取引の状況」の低圧データ(OCCTOの小口とはまた異なります)も調べています。こちらは、データの発表までに2か月半くらいかかり、速報性はありませんが、「関電純減」や、関電が取り戻した件数(「新電力→関電」)数が分かります。しかし、全体的に見てそれほどの数ではありませんので、グラフは、OCCTOのデータで作成して、全体的な傾向は表現していると考えています。

【参考】
電力広域的運営推進機関OCCTO(オクト)…スイッチング支援システムの利用状況
電力・ガス取引等監視委員会…電力取引の状況(電力取引報結果)

◆関電と原発 memo No.26–原発の事故隠しデータ改ざん[若狭の原発分](2020年12月18日)

◆事故隠し
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美浜原発1号機の事故隠し

関電美浜原発1号機で1973年3月に燃料棒折損事故が発生していたことが、1976年12月に発覚した。発覚のきっかけは、田原総一朗著『原子力戦争』に付された報告「美浜一号炉燃料棒折損事故の疑惑」だった。関電は、この事故を4年近くも隠していた。これに対し原子力委員会は、同年12月7日、関電を厳重注意とした。

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敦賀原発の事故隠し

1981年4月1日以降、日本原電の敦賀原発(当時は1号機のみ)で、同年1月10日と1月24日に、冷却水漏れ事故があり、秘密裏に発電を続けながらの修理が行われていたことが発覚した。また同年4月18日以降、3月8日に放射性廃液の大量流出事故があり一部が一般排水路から海へ排出されたことが発覚した。
これに対し福井県原子力安全課は、修理は運転を停止して行うのが当然で、聞いたことがないやり方だとコメントした。また、当時の通産省(現在の経済産業省)は、日本原電に対し、敦賀原発を6か月運転停止とする処分を行った。通産省は電気事業法違反での告発を検討したが、結局、告発は見送られた。

◆データ改ざん
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MOX燃料の製造データ改ざん

1999年9月14日、関電高浜原発3号機に使用予定だった、イギリス原子燃料公社(BFNL)製造のMOX燃料ペレットの寸法データが改ざんされていることが、明らかになった。データの偽造は、22ロット分。関電は独自の抜き取り調査を行っていたが、偽造を見抜けなかった。発覚当時、高浜4号機用のMOX燃料が日本へ向けて輸送中であった。
国と関電は同年9月24日、現地調査に基づく中間報告を発表した。この報告書は、高浜3号機用のデータ改ざんを認めたが、高浜4号機用のMOX燃料については不正はないとした。その後、4号機用の燃料でもデータのねつ造が判明した。そして関電は翌2000年1月に、1999年10月の段階で4号機用燃料でのデータ改ざんの疑惑について情報を得ていたが、BFNLからの不正はないとの連絡を受けて、12月まで通産省や福井県に報告していなかったことを発表した。

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断層生データの改ざん

2020年2月7日、敦賀原発2号機の新規制基準に基づく審査で、日本原電が、原子炉建屋直下に活断層があるかどうかの判断に必要な調査資料の記述を少なくとも十数か所、改ざんしていることが発覚。規制委は「削って書き直すのは非常に問題がある。この資料をもとに審査はできない」と厳しく指摘した。この件は、まだ決着がついていない。

(資料:https://ja.wikipedia.org/ ほか)

◆関電と原発 memo No.23–放射性廃棄物(2020/11/13)

原発を動かせば
処理困難な廃棄物がたまるばかり

◆原発が運転されれば、核のゴミのたまります。関電の場合、2020年中に福井県に報告するという廃棄物の中間貯蔵施設の場所も決まっていません。

◆電気事業連合会会長の荒木浩東電社長(社長在任1993~1999年)は高レベル処分問題懇談会の席上で、「原子力を始めた当初は、(高レベル廃棄物は)一生使っても豆粒一つぐらいと思っていた。」「電気事業者でありながら、こんなに大変な問題であることを初めて知った。」と本音を漏らしました。

地底に捨てて処分するというが
放射性廃棄物のガラス固化体の作成は
失敗つづき

◆北海道の町が核のゴミの最終処分場を誘致しようとしていますが、そもそも、地底に処分する予定の廃棄物すなわち高レベル放射性廃棄物のガラス固化体そのものの作成が、まだ、技術的に完成していません。

◆高レベル放射性廃棄物のガラス固化体は、六ヶ所村でつくる予定になっていますが、いつまで経っても、ちっとも出来ません…失敗ばかり繰り返しています。そのため、溶かしてみたものの、固化体に加工できず、液体のままの高レベル放射性廃液がたまっています。地震や電源喪失によって、これが環境に放出されたら、日本列島はお終いです。

六ケ所再処理工場は
完工時期を25回も延期

◆日本原燃は2020年8月21日、取締役会を開き、六ケ所再処理工場(青森県六ケ所村)の完工時期を「2021年度上期」から「22年度上期」に1年延期することを正式決定し、県と村に報告しました。延期は17年12月に続き25回目です(時期未定とした届け出を含む)。

◆建設費は当初七千億円といわれましたが、これまで三兆円をかけた「未完工場」となっています。 もっとも危険な核施設、使用済み核燃料の「再処理工場」は、稼働の見通しはありません。税金と電気料金が無限に注ぎ込まれています。使用済み核燃料の再処理は、危険をふやすだけです。

フランスやイギリスで
つくってもらってきたが

◆海外で再処理をしてもらったガラス固化体は日本に輸送(返還)されます。フランスからのガラス固化体の返還は終了しました。イギリスからの返還は、2017年3月以来途絶えていますが、近くまた再開されるのではと言われています。

◆海路で運ばれるので、万一事故でもあれば、海を極度に汚染する可能性があり、危険極まりありません。福島の汚染水を海に放流する計画など、日本は世界の海洋をどう思っているのか、世界から不信と疑惑を突きつけられています。

◆返還輸送には、これまで沿岸各国から反対の声があがってきました。パナマとエルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラス、ニカラグア、ドミニカ共和国で構成する中米議会は、核物質輸送船のパナマ運河の航行とカリブ海域の航行の禁止を求めています。

▼高レベル放射性廃棄物(ガラス固化体)の返還・受入実績(→こちら

◆関電と原発 memo No.24–核燃料サイクルと再処理工場(2020/11/20)

再処理工場は
プルトニウムを生産するための工場!

◆青森県六ヶ所村に建設中の使用済み核燃料再処理工場は、原発で一度燃やした核燃料の中から、プルトニウムを取り出すための工場です。日本では、プルトニウムを再び核燃料として利用する「核燃料サイクル」政策が進められてきました。

◆しかしプルトニウムを燃料とする高速増殖炉「もんじゅ」は1995年に大事故を起こし停止し、急きょ、普通の原発での利用(プルサーマル)が計画され、関電の高浜原発3、4号機などでプルサーマル運転(ウランにプルトニウムをまぜたMOX燃料を使用)が始まりました。

◆しかし、プルトニウムの消費は進んでいません。それどころか、プルサーマル運転の危険性がクローズアップされています(石油ストーブにガソリンを入れるな!)。そして、2016年「もんじゅ」は廃炉となり、「核燃料サイクル」の破綻は明白になりました。

◆プルトニウムの消費は進まず、海外の再処理工場で取り出されたプルトニウムもほとんど余剰となっている現状では、六ヶ所再処理工場建設の必要性はまったくありません。プルトニウムの必要性は、核兵器をつくる目的だけが指摘されています。

再処理工場からは
原発の数百倍もの放射能が放出される!

◆再処理工場は、危険な使用済み燃料をブツ切りにし、大量の化学薬品を使ってプルトニウム、燃え残りのウラン、死の灰(核分裂生成物)に分離する巨大な化学工場です。そのため、たとえ事故が起こらなくても、日常的に大量の放射能を放出しながら運転されます。

◆再処理工場では、事故による放射能放出の危険は言うには及ばず、平常運転から放出される放射能の量が原発の数百倍も多くなります。原発からも放出されているトリチウムに加え、再処理工場からは、セシウムやストロンチウム、あるいはプルトニウムなど、さまざまな放射能が海へ放出されます。これらは環境に蓄積され、人びとの被ばくの原因となります。

【参考】原子力資料情報室

◆関電と原発 memo No.21–新しい安全神話

規制委,行政,電力会社がすがる
福島の事故の100分の1以下の事故しか起こらない
という新しい安全神話

 この新しい安全神話について,下記,Blogに的確な指摘がある。
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明日に向けて(1782)
長崎県の放射線観測データ偽造の背景に新規制基準による事故軽視がある!
守田敏也さん「明日に向けて」(2020-03-23)
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 長崎のデータ偽造の件は,上記の本文を読んでいただくとして,ここで注目したいのは,その背景に挙げられている下記の点にある。

 すなわち,規制委の新規制基準「実用発電用原子炉に係る炉心損傷防止対策及び格納容器破損防止対策の有効性評価に関わる審査ガイド」14ページに「想定する格納容器破損モードに対して,Cs-137 の放出量が 100TBq を下回っていることを確認する」とあり(福島事故では10000TBqだったのに),ここに「これからは福島の事故の100分の1以下の事故しか起こらない」という想定で良いでしょう,という根拠がある。行政,電力会社は,もう福島の100分の1という事故しか起こらない前提=安全神話で原発を推進している。

 以下,守田敏也さんのBlogを引用。

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●新規制基準が生んだ事故軽視の影のもとで・・・

 その点で思い出すのは川内原発が,およそ2年間続いた「原発ゼロ状態」に終止符を打つ形で,再稼働に漕ぎ着けた過程での,伊藤祐一郎鹿児島県知事(当時)が再稼働に同意した記者会見での発言です。(2014年11月7日)

 伊藤元知事は新規制基準を非常に高く評価した上でこう言ったのです。「もし福島みたいなことが起っても,放出量は5.6テラベクレル。そして5.5kmのところは5μシーベルト。もう,命の問題なんか発生しないんですよね。」

 ちなみに毎時5μの放射線はかなり危険なレベルですが,いまはそれは横におくとして,この発言の背景を読み解きたいと思います。

(なお伊藤知事の発言については以下の資料を参考のこと。哲野イサクさんが会見動画を保存し文字起こしもしてくださっています。)
<参考資料>川内原発再稼働“同意”記者会見―伊藤祐一郎鹿児島県知事2014年11月7日

 2013年7月から適用された新規制基準は,この間,繰り返し述べているように「シビアアクシデント」=過酷事故を前提としたものです。放射性物質が原子炉から漏れて環境中に出てしまう事態を容認しているのです。

 ただし漏れ出す放射性物質の量を減らしなさいとなっている。セシウム137だけで見積もっているのですが,福島原発事故で出たセシウム137を1万テラベクレルとした上で,その100分の1,100テラベクレル以下に抑えなさいと書かれているのです。

 しかも「格納容器破損モードにおいて」と書いてある。放射性物質を閉じ込める最後の砦の格納容器が壊れたときに,漏れ出す量を100テラベクレル以下にせよと言うのです。
(これは新規制基準の中の「実用発電用原子炉に係る炉心損傷防止対策及び格納容器破損防止対策の有効性評価に関わる審査ガイド」14ページに書かれています。)

 シビアアクシデントは,設計段階での想定を突破された事態です。しかしそのときの放射性物質の漏れを100テラにコントロールできるならそれはもう想定内です。

 いや格納容器がどう壊れるかすら分からないのに対処できるとするのがおかしいし,さらにその量を福島原発事故の100分の1にできるというのはあまりに根拠がない。

 そもそも福島原発はまだ放射線値が高くて内部に人が入れません。どこがどう壊れてだからどれだけの放射性物質がどのように出て行ったのか,実証できない段階なのです。それでどうして対策がたてられるのか。

 にもかかわらず九州電力は「5.6テラベクレルに抑えます」と言ったわけですが,一体なんの根拠があるのでしょうか。

 しかしこれが独り歩きしだし,伊藤元知事の「もう,命の問題なんか発生しない」という発言につながったわけです。

 「もう福島の事故の100分の1以下の事故しか起こらない」・・・この新たな安全神話が放射線計測の仕事を著しく軽視することにもつながっているに違いないと僕は思います。
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事故は100万年に1回
事故が起きても避難する必要はない
避難計画が実際に発動されるケースはない

川内原発再稼働 “同意” 記者会見より
伊藤祐一郎 鹿児島県(前)知事 2014年11月7日
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  • 要するに今回の制度設計というのは100万年に1回の事故を想定するわけですよね。そしてその時は100テラベクレル。それが同じ条件で同じうような事故が川内に起こった時にどうなるのかっていうのは,実は5.6テラベクレル。そうすると炉心から5.5キロのところは毎時5μシーベルトなんですよね。5μシーベルトというのは,20(μシーベルト)でもって初めて避難ですから。動く必要がない。家の中にいてもいいし,普通に生活していても良いという。そのレベルの,実は,放射能しか,人に被害が起こらない。5μシーベルトというのは一週間ずっと浴び続けて胃の透視の3分の1ぐらいの放射能ですね。実はそこまで追い込んだ制度設計をしているので,時間もあるし,避難計画が実際にワークする,そういうケースもほとんどないだろうし,まずそれがたぶん,あと川内原子力発電所10年,そうすれば止まるかもしれませんが,において考えると,だいたいそれでカバーできるのかなと内心思ってます。
  • 私は規制委員会というあれだけ素晴らしい方々が集まった組織,やはりあの組織も自分の任務に極めて忠実で,相当時間をかけてですね,原発の再稼働についてその安全性を徹底的に追究したと思うんです。その数字の結論が先ほど言った数字です。もし福島みたいなことが起っても,放出量は5.6テラベクレル。そして5.5kmのところは5μシーベルト。もう,命の問題なんか発生しないんですよね。

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福島事故後でもこんな認識で
川内原発再稼働に同意している!
一つだけコメント → 毎時5µSvは年間被曝線量で33mSv。防護服なしでいられない数値

◆関電と原発 memo No.22–原発を巡る状況(2020/10/16)

[1]【おもに京都の脱原発運動…経過と予定】2020/9/15以降

  • 9/20(土)さよなら原発,ふしみパレード…9月。ふしみ原発ゼロパレードの会
  • 9/28(月)美浜町の関電原子力事業本部で行われる関電取締役会に合わせ「老朽原発うごかすな!」行動。福井県美浜町,関電原子力事業本部前。老朽原発うごかすな!実行委員会
  • 10/11(土)さよなら原発,ふしみパレード…10月。ふしみ原発ゼロパレードの会
  • 10/11(土)11日行動,関電京都支店前。使い捨て時代を考える会
  • 10/13(火)「避難計画を案ずる関西連絡会」が府庁で申入。コロナ,老朽原発,配管損傷
  • 10/18(日)『放射線副読本すっきり読み解きBOOK』を読む会。14:00~16:00。長岡京市バンビオ。さよなら原発長岡京市民の会。40人,500円,解説…守田敏也さん
  • 10/19(月)美浜町臨時議会に原発再稼働請願←抗議行動。高浜町は10/23に臨時町議会か
  • 10/24(土)福島県立医大 大平論文に対する公開質問状ZOOM学習会。14:00~16:00。講師…加藤聡子さん(元聖母女学院短期大学教授),大倉弘之さん(元京都工芸繊維大学)。原発事故による甲状腺被ばくの真相を明らかにする会,宗川吉汪,ZoomM担当…奥森
  • 10/24(土)老朽原発うごかすな!講演会。14:00~16:00。滋賀県教育会館。講演…木原壯林さん(若狭の原発を考える会)。さいなら原発・びわこネットワーク(稲村)

[2]【おもに関電の原発をめぐる裁判】2020/9/15以降

  • 大阪地裁…大飯原発3・4号機行政訴訟。9/16,第35回口頭弁論で結審。12/4(金)15:00~判決。原告側は,地震規模の「ばらつき考慮」など,基準地震動について徹底的に追及。
  • 大阪地裁…コロナ仮処分。関電の原発全7基をコロナが完全に沈静化するまで動かしてはならない。12/21(月)13:30~,第3回審尋。ここで審尋は終結する見通し。来年の早い時期に決定が出る見通し
  • 大津地裁…美浜,大飯,高浜本訴(本訴)。12/10に第28回口頭弁論。原告側は既に証人申請をしていて,来年からは証人尋問に入る予定
  • 名古屋地裁…老朽原発40年廃炉訴訟。高浜原発1.2号機と美浜原発3号機。10/5(月)に口頭弁論。次回は2021/1/28(木)
  • 名古屋地裁…原発バックフィット訴訟。10/5提訴。大山火山による火山灰評価が過小であることが判明し,規制基準に適合していないことが明らかになった以上,規制委は高浜原発の運転停止を命令せよ
  • 京都地裁…大飯原発差止訴訟。12/8(火)14:30~,第27回口頭弁論。来年 2/25(木)14:30,第28回口頭弁論。原告側の主張はほぼ終了。原告団は,第七次原告[追加]募集,裁判の三つの争点
      1. (1) 若狭湾には基準地震動をこえる地震は来ないのか
      1. (2) 原子炉のある地盤は地震に対して安全か
      1. (3) 原発で事故が起こったとき避難できるのか

【参考】

  • 9/24…コロナの名目で裁判所が傍聴席を減らしているのは,憲法が定める裁判公開の原則を侵害するとして,反原発訴訟の原告団など28団体が東京高裁と東京地裁へ改善要請書
  • 仙台高裁…9/30,生業訴訟の判決。国と東電に原告3550人に計10億1000万円を賠償するよう命じた。中島孝原告団長「国の規制権限不行使をはっきりと断罪した。被害者がどんなに苦しんでいても一切関係ないと言い逃れを図ってきた国を厳しく追い込んだ判決だ」
  • 大阪高裁…原発賠償京都訴訟控訴審。10/14第7回,次回2021/1/14(木)14:30~,3/18(木)
  • 佐賀地裁…九州電力と国を相手に玄海原発運転差し止めを求めた2つの裁判(行政訴訟と全基差止)が8/28に結審。来年3月12日14:30,15:00~判決の言い渡し予定。玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会

[3]【関電の経営をめぐる状況】2020/9/15以降

  • 9/24…関電 減収減益予想 21年3月期 コロナで需要減[朝日] ┌─────────────────────────────────
    関西電力は23日,未定としていた2021年3月期の業績予想を発表。新型コロナウイルスの影響による需要減少などを踏まえ,売上高は前年比6.4%減の2兆9800億円,純利益は同30.8%減の900億円と4年ぶりの減収減益を見込む。販売電力量は家庭向けが3.6%減,「巣ごもり」に伴う需要増までは見込めないとした。企業向けは同13.4%減と予想。ホテルや劇場などの大きな落ち込みは今年度末まで,鉄道や自動車産業の減少は21年度末まで続きそうだという。 年間の販売減の見通しは,新型コロナなどで39億キロワット時,契約件数の減少などで79億キロワット時。契約減の理由について新電力との竸争によるもので,金品受領問題の影響はない。 経常利益は815億円減少を予想,うち販売電力量の減少による影響が最大の380億円になるとした。福井県の高浜原発3号機の定期検査が長引いて稼働していない影響を170億円と見込んだ。
    └─────────────────────────────────
  • 10/2…関電のコンプライアンス委員会(委員長は中村直人弁護士)が,年度内にコンプライアンス憲章を策定
  • 10/5…大阪地検が,市民(3371+2193=5564人)の告発を受理。関電元会長らを捜査へ
  • 10/7…関電の再調査で,新たな金品受領9人,子会社元役員ら。子会社とは,KANSOテクノス(旧環境総合テクノス),関電プラント,関電不動産開発の3社

[4]【関電の原発の稼働状況】

  • 高浜(3)…2018年の定期検査で,9/12に蒸気発生器の電熱細管の損傷が見つかった【1回目】が,関電は調査を継続せずに,原因が究明されないまま2018年11/7原子炉を起動した。2020年2/18,定期検査で蒸気発生器細管損傷が発見【3回目】→特別点検で停止。ただし,規制委は10/14,関電が再発防止策として,作業前に服を着替えたり靴にカバーをつけたりして現場に異物を持ち込まない対策をとるとして,再発防止策を了承。8/3の特重施設設置期限に間に合わず運転停止となっているが,特重施設(テロ対策施設)が完成する予定の2020年12/22以降に運転を再開する見通し
  • 高浜(4)…2019年10/17,定期検査で蒸気発生器細管損傷が見つかるも【2回目】調査を継続せず。規制委は関電の「原因と対策」をそのまま了承して,今年1/30原子炉を起動した ・2020年10/8の特重施設設置期限に間に合わず,運転停止(10/7~定期点検で停止)
  • 高浜(3)(4)…10/14「津波警報が発表されない可能性のある津波」への対応で,関電の対応策を規制委が了承。潮位計で水位変動が観測されたら,原子炉を停止し,防潮ゲートを閉める
  • 大飯(3)…7/20からの定期検査で,8/31に一次系の加圧器スプレイライン配管の溶接部に損傷が発見→原子炉起動は延期。関電は次の定期検査までは大丈夫と。規制委と関電で公開会合が継続中
  • 大飯(4)…11/3から定期検査。来年1/17までの予定

[5]【原発をめぐる全体的な状況】

  • 7/29に青森県六ヶ所村の再処理工場が規制委の安全審査に“合格”,10/7に燃料製造工場に事実上の“合格”。無謀な核燃料サイクル政策に規制委がお墨付き
  • 9/14…7月に入札を実施した初めての容量市場の約定結果が公表された。巨大な発電能力のある原発や火力発電所をもつ電力会社を援助するため,電気を仕入れて家庭や企業に売る小売会社などが,巨額資金を毎年徴収されることが明らかになった
  • 9/16…日立製作所は,凍結中だった英国での原発計画から撤退すると発表
  • 10/1…福島第一原発事故の賠償負担金と廃炉円滑化負担金の託送回収が開始。過去積み立てておくべきだった費用が足りないから託送料金で回収という無理無体
  • 10/9,10/15…核のゴミの最終処分場選定で,第1段階となる文献調査に,北海道の寿都町(すっつちょう)が応募。神恵内村(かもえないむら)は国の申し入れ受諾文書発送
  • 10/15…福一,処理水の海洋放出「漁業を壊す」。全漁連が梶山経産相に懸念

◆関電と原発 memo No.20–原発の運転差止裁判

◆3.11福島第一原発事故以前には,1973年から始まった伊方裁判(1992年に最高裁で敗訴)など,多くの原発運転差止裁判がありましたが,2勝33敗に終わっています。

◆勝訴した2件も,その後の控訴審,上告審ですべて敗訴。その意味で,福島第一原発事故は,裁判所にも責任があると言えます。

◆勝訴したのは,2003年のもんじゅ訴訟(名古屋高裁金沢支部の差戻控訴審)で初の設置許可無効判決,2006年の志賀原発2号機訴訟(金沢地裁,井戸謙一裁判長)で初の運転差止判決,この2件のみでした。

3.11以前の脱原発裁判 ★ 2勝33敗

・3・11前には原告勝訴の判決は,二つだけ(他に原告適格で勝訴判決が一つ)。
・2勝33敗で,ほとんどが敗訴。
・勝訴した2件も,その後の控訴審,上告審ですべて敗訴。

・参考図書
→岩波新書『原発訴訟』海渡雄一(かいとゆういち)。(¥886)
→産経新聞出版『法服の王国 小説 裁判官』黒木(くろきりょう)。(上下各¥1944)(文庫版で上下各¥1188)
…裁判官は「憲法と良心のみに従う」ことが原則なのに…。

3.11以前の脱原発訴訟 ★おもな経過と事件

3.11以後の脱原発裁判 ★ 8勝22敗

◆3.11以降はさすがに流れは変わり,これまで(~2020年3月)で8勝22敗となっています。とりわけ,2014年の大飯原発差止訴訟での勝訴(福井地裁,樋口英明裁判長)は,判決内容も素晴らしいものでした。

◆最新の勝訴は,2020年1月,伊方原発について広島高裁が運転禁止の仮処分決定を出しています。電力会社にとっては,一つの裁判で負けるだけで,他の裁判でいくら勝っても,重大な司法リスクをひきずることになります。

◆関電の原発については,京都地裁の他,大阪地裁,大津地裁,名古屋地裁で審理が続いています。「裁判官をして市民に顔を向かせるのは,絶えることなく裁判所にとどけられる市民の声」(井戸謙一弁護士)という言葉をかみしめて,市民運動を大きくしていきましょう。

3.11以後の8件の勝訴

(1) 2014年5月21日。大飯本訴,勝訴

 福井地裁(樋口英明裁判長)において,大飯原発3,4号機の運転を差し止め。生存権を基礎とする人格権(憲法13条,25条)が最高の価値をもっているとし,この権利からすれば,経済活動で原発を動かす権利は「劣位」だと断罪。

(2) 2015年4月14日。高浜原発仮処分決定!

 福井地裁(樋口英明裁判長)において,高浜原発3,4号機の運転を認めない仮処分の決定。

(3) 2015年5月18日。関電の仮処分執行停止申し立て却下

 高浜原発3,4号機運転差止仮処分決定に対し,関電が執行停止を申し立てをした件について,福井地裁(林潤裁判長)は却下の決定。

(4) 2016年3月9日。大津地裁,高浜原発3,4号機差止仮処分認める!

大津地裁(山本善彦裁判長)は関西電力高浜原発3,4号機の運転差止仮処分を認める決定。

(5) 2016年7月12日。大津地裁,仮処分異議審の判断

 関西電力高浜原発3,4号機(福井県高浜町)の運転差し止めを命じた2016年3月9日の大津地裁の仮処分決定を不服として,関電が取り消しを求めて申し立てた異議について,同地裁(山本善彦裁判長)は12日,退ける決定。

(6) 2017年12月13日。伊方広島仮処分即時抗告審決定

 広島高等裁判所第2部( 野々上友之裁判長)は,伊方原発即時抗告の申し立てを認め,2018年9月30日まで伊方原発3号機の運転を禁じた。

(7) 2018年3月22日,広島高裁,四電の執行停止の申立を却下

 広島高裁が四国電力伊方原子力発電所の運転を差し止めた2017年12月13日の決定に対して,四国電力が異議申立と執行停止を求めていたところ,2018年3月22日,広島高裁第2部(三木昌之裁判長)は四国電力の執行停止の申立を却下。

(8) 2020年1月17日 伊方原発で,広島高裁が運転を許さず!!

 伊方原発3号機の運転差止を求めて,2017年3月3日山口地裁岩国支部に山口県住民が申し立てた仮処分事件は,2019年3月15日に却下決定となり,3月29日に即時抗告,広島高裁で争われることに。2019年9月11日第1回審尋期日を経て,2020年1月17日原告勝訴の決定(森一岳裁判長)。原発の近くに活断層がある可能性を否定できないにもかかわらず「四国電は十分な調査をせず,原子力規制委員会も稼働は問題ないと判断した」と指摘。阿蘇山についても「一定程度の噴火を想定すべきだ」として,その場合でも火山灰などの量は四国電の想定の約3~5倍に上ると判断し「四国電の想定は過小だ」と結論付けた。運転差し止めの期間について,山口地裁岩国支部で係争中の差し止め訴訟の判決言い渡しまで(この判決の期日は未定)とした。

◆関電と原発 memo No.19–高浜原発でたびたび蒸気発生器細管の異常

高浜原発3、4号機の蒸気発生器細管で
たびたび傷が発見されるも、原因は不明

◆高浜3号機の蒸気発生器の細管で傷が見つかった問題、傷の元になったと見られる異物(下図)の一部が回収された問題(関電の4/17のプレスリリース)は、深刻な事故につながりかねない。

◆高浜原発では、これまでから稼働中の3号機と4号機で蒸気発生器細管の損傷事故が続いている。
(1) 2018年9月に3号機で1本、
(2) 2019年10月には4号機で計5本の蒸気発生器細管で削れられたとみられる個所が確認された。
(3) 今回、2020年2月、3号機で2本に接触痕が認められた。

これまで原因不明のままで
運転を継続しているが
細管の破裂は
重大事故の恐れが大きい

(1) の3号機の場合は、異物は発見されたが、それは管に傷を付けるほどのものでないということで、原因は不明のまま。作業員の衣服等に付着したものが外部から混入したと決めつけ「分解点検時に使用する機材や内部に立ち入る作業員の衣服等に異物の付着がないことを確認することについて、作業手順書に追記して、異物混入防止の更なる徹底を図る」ことで決着している(2018/9/20)。

(2) の4号機の場合も、傷の元になった異物を見つけられないまま、無理矢理、再稼働している。関電の対策は、原因を作業員の衣服等に付着したものが外部から混入したとして、「作業員が機器に立ち入る際には、作業服を着替えるとともに靴カバーを着用する。垂直配管に取り付けられている弁の点検後、目視による点検が困難な箇所に対してファイバースコープによる異物確認を行う」ことに(2019/11/28)。規制意欲のない規制委もこれを追認した。滋賀県は、関電に対して徹底して調べるように求めた(2019年11月「避難計画を案ずる関西連絡会」の申入に県が回答)が、無視された。

(3) 今回、3号機で細管の傷の元になったと見られるステンレス金属片が見つかったのは良かったが、他にはないのか。それがどうして混入してしまったのか、元はシール材とすればどうして剥がれてしまったのか。剥がれないようにできるのか。

◆また、今回の減肉はB-SGの伝熱管1本とC-SGの伝熱管1本で発生しているのに、異物が発見されたのは、A―SGとC―SG各1個ずつで、B-SGではまだ見つかっていない。
(SG=蒸気発生器。高浜原発では、A~Cの3台の蒸気発生器がある)

すべての異物を見つけ出し
原因究明と対策ができるまで、
再稼働すべきでない!

◆今回のプレスリリース(4/17)を読むと
(→こちら
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高浜3号機で蒸気発生器の細管を傷つけた金属片について。

・C―SGで回収した金属片は、一つが縦約33mm、横約5mm、厚さ約0.2mm、重さ約0.3g、A―SGで回収した金属片は、縦約24mm、横約5mm、厚さ約0.2mm、重さ約0.2gの線形状。
・成分分析の結果、主成分は鉄であり、その他にクロムとニッケルが検出され、ステンレス鋼と推定。
・これらの分析結果から、金属片は配管等に使用されているうず巻ガスケット(幅4.5mm程度。配管の継手部や容器のマンホール部、弁やポンプのボンネット部に使われているシール材。SG外の2次冷却系配管内の部品)の一部である可能性があると推定。
・電子顕微鏡による観察の結果、金属片にはいずれも複数箇所で筋状の擦れ跡や摩耗、打痕が認められた。
└─────────────────────────────────

◆関西電力は4/17、高浜原発3号機の定期検査を12/22まで延長し、再起動を12月に延期すると明らかにした。当初は4月上旬を予定していたが、伝熱管の損傷が見つかり、蒸気発生器から異物が発見されたため調査する。3号機は、テロ対策で設置が義務付けられた「特定重大事故等対処施設」(特重施設)が期限の8/3までに完成できないため、営業運転は3か月程度で停止する見込みだった。定期検査の延長(~12/22)で、関電は「再起動は特重施設の設置後(12/23~)」としている。

▼高浜3号の運転計画(福井新聞より)

美浜原発2号機では、
蒸気発生器の細管破断により
原子炉が自動停止、
緊急炉心冷却装置が作動

◆1991年2月9日、美浜原発2号機の蒸気発生器の細管1本が破断し、原子炉が自動停止、緊急炉心冷却装置 (ECCS) が作動する事故が発生。この事故は日本の原子力発電所において初めてECCSが実際に作動した事故であった。

◆原因は、伝熱管の振動を抑制する金具が設計通りに挿入されておらず、そのため伝熱管に異常な振動が発生し、高サイクル疲労(金属疲労)により破断に至ったものと判明した。この金具は点検対象とされていなかったことも一因とされる。

◆この事故により微量の放射性物質が外部に漏れたが、周辺環境への影響はなかったと発表されている。しかし、美浜沖の海水から、通常なら数Bq/Lより少ないトリチウムが、2月10日に470Bq/L、2月18日にも490Bq/L検出された(Wikipedia)。

◆関電と原発 memo No.17–福島事故直後の人々

◆小佐古敏荘(こさこ・としそう)氏

被曝限度年間20m/Svに抗議し
涙の辞任会見(2011年4月29日)

・2011年4月29日午後6時、衆院第一議員会館の会議室で会見に臨んだ、小佐古敏荘東京大学大学院教授は、悔しさのあまり涙ぐみ、言葉に詰まりながら科学者としてのプライドを示した。

・「この数値(校庭利用基準の年間20ミリシーベルト)を、乳児・幼児・小学生にまで求めることは、学問上の見地からのみならず・・・私は受け入れることができません。参与というかたちで政府の一員として容認しながら走っていった(基準値引き上げを強行した)と取られたら私は学者として終わりです。それ以前に自分の子どもにそういう目に遭わせるかといったら絶対嫌です」と辞任に際しての記者会見で述べた。

・「通常の放射線防護基準に近い年間1ミリシーベルトで運用すべきだ」とも述べた。また、緊急時迅速放射能影響予測システム(SPEEDI)による放射性物質の拡散予測が4月下旬までに2回しか公表されなかったことも批判。「今のやり方は、東京で数字をぼっと決めてやっている」と指摘し、政権の対応について「私がやってきたことからは外れているので、これ以上とどまっている理由はあまりない」と語った。

・小佐古氏の専門は、放射線安全学。政府が安全基準の参考にしているICRP(国際放射線防護委員会)の委員を2005年まで12年もの間務め、放射線被曝の安全基準値のグローバルスタンダードを決定してきた。この会見後、小佐古氏はメディアに出てくることもほとんどなく、2015年に東大を定年退官した。

広瀬隆 氏 の感想

・(小佐古氏の4/29の会見に)一番驚いたのは、私だよ。福島県内の小学校や幼稚園などの利用基準で、被曝限度を年間20ミリシーベルトと設定していることを「とても許すことはできない」と非難したのだが、その立派な発言をした小佐古は、私が放射性廃棄物処分場問題の公開討論会でやりあった相手で、これまで最も悪質でしたよ。私が資料を出すと「引っ込めろ」と怒鳴って発言もさせなかった。
【『原発の闇を暴く』(広瀬隆、明石昇二郎)、集英社新書、2011年7月発行】

◆山下俊一(やました・しゅんいち)氏

「福島県放射線健康リスク管理アドバイザー」として、
2011年3月21日 福島市で講演

・「放射線の影響は、実はニコニコ笑ってる人には来ません。クヨクヨしてる人に来ます。これは明確な動物実験でわかっています。酒飲みの方が幸か不幸か、放射線の影響少ないんですね。決して飲めということではありませんよ。笑いが皆様方の放射線恐怖症を取り除きます」

・「100マイクロシーベルト/h(100μSv/h)を超さなければ、全く健康に影響及ぼしません。ですから、もう5とか10とか20とかいうレベルで外に出ていいかどうかということは明確です。昨日もいわき市で答えられました。『今、いわき市で外で遊んでいいですか』『どんどん遊んでいい』と答えました。福島も同じです。心配することはありません。是非、そのようにお伝えください」

・100μSv/h=876mSv/年。この点について、さすがに福島県は後日「100μSv/h」は「10μSv/h」の誤りとして訂正した。

・「記者会見全文の文字起こしを掲載いたします」→こちら(2011/3/17~2011/4/6)。2011年3月21日14時- 山下俊一氏・高村昇氏「放射線と私たちの健康との関係」講演会
前半:→こちら
後半:→こちら

広瀬隆 氏 の感想

・長瀧重信、山下俊一、高村昇、神谷研二の4人は、「放射能安全論」のA級戦犯。

明石昇二郎 氏 の感想

・ヒロシマ、ナガサキという被爆地の看板を使って“被曝安全論”を振りまくことは、被爆者への冒瀆以外の何者でもありません(長瀧、山下、高村は長崎大、神谷は広島大)。「被爆地から来た専門家の言うことだから」という意識を逆手にとろうという魂胆。
【『原発の闇を暴く』(広瀬隆、明石昇二郎)、集英社新書、2011年7月発行】

【参考…山下俊一氏については、こちらのNo.14 にも。】

◆関電と原発 memo No.16–テレビから消された「福島原発事故」

◆2019年に、元号が平成から令和に変わったとき、テレビでは「平成を振り返る」という企画があふれた。
◆しかし、その中では「福島原発事故」は消されてなかったことにされていた。
◆以下、「テレビに関する話題……本と雑誌のニュースサイト/リテラ」2019.04.30 より→[こちら

テレビから消された「福島原発事故」
広告漬けと政権忖度で
原発事故はなかったことに

◆原発事故は当事者である吉田昌郎・福島第一原発の所長(当時)がいったんは「東日本壊滅を覚悟した」と回想したくらいの危機的な状況だった。そして、いまも4万人以上の人々がこの原発事故の影響で故郷を追われ、避難生活を強いられている。

◆そんな重大事故をテレビの“平成振り返り企画”が不自然なくらいに避けまくっているのだ。これはいったいなぜなのか。

東京五輪を控えて強まる忖度、そして原発広告の復活

◆もちろんその理由のひとつは安倍政権に対する忖度だろう。現在、安倍政権は、原発被災者への支援打ち切りと強引な帰還政策を推し進める一方で、まるで事故などなかったかのように、原発再稼働を推し進めている。また、東京五輪を来年に控えて、原発事故の影響などないことをアピールしようと必死になっている。

◆「直接的な現場への圧力というのはないが、局の上層部には、『五輪を前に日本の安全をアピールする必要がある。協力してほしい』というプレッシャーがかかっているようです。そのためか、原発事故をクローズアップしようとすると、上から『風評被害を助長するのはどうか』とクレームがつく。振り返り企画でも、そういう空気を忖度したということでしょう」

◆さらに、もうひとつメディアが原発事故を取り上げない理由がある。それが電力会社によるメディアへの“原発広告”の復活だ。

◆事故以前、東京電力をはじめとする電力各社やその司令塔・電力事業連合会(電事連)は新聞、テレビ、週刊誌などのマスコミに広告を大量出稿することで、原発に批判的な論調を封じ込めてきた。しかし原発事故が起こされると、安全神話を作り出してきたマスコミ、そして広告に出演していた芸能人や学者たちにも批判が高まり、電力会社からの広告は一時なりをひそめたかに見えた。

◆ところが事故から3、4年が経った頃から、メディアでは“原発広告”が完全に復活。さらに、原発再稼働政策を推し進める安倍政権と歩調を合わせるように、電力業界は広告費を増やし、再びマスコミを“カネ”で漬け込んで“原発タブー”を作り出しているのだ。

◆実際、電力業界の広告宣伝費は総じて右肩上がりだ。日経広告研究所が毎年発行している『有力企業の広告宣伝費』によれば、大手電力10社のうち、東京電力ホールディングスこそ福島原発事故以降の広告費は下降基調だが、他9社は全体として上昇の傾向にある。

関西電力、九州電力の広告費は3倍増に!
広告漬けでマスコミが再び
原発安全神話に加担し、原子力ムラと一体化

◆たとえば、関西電力は美浜、大飯、高浜の3原発を擁するが、年間広告費は2015年度の31億円から翌16年度に92億円と実に3倍増。2017年の大飯、2018年の高浜再稼働とリンクしていると考えられるだろう。

◆川内原発、玄海原発を持つ九州電力も露骨だ。専門家から火山のリスクなどが散々指摘されながら2015年に川内原発を再稼働し、昨年は玄海原発も続いた。前後の年間広告費を見てみると、2014年度に12億円だったものが、17億円(2015年度)、30億円(2016年度)、41億円(2017年度)と3年で3倍に膨れあがった。

◆また、浜岡原発をかかえる中部電力は2014年度に36億円まで下がったが、2015年度は76億円と倍以上伸ばし、2016年度が約80億円、2017年度が76億円。これは福島原発事故前の2010年度(80億円)と同じ水準まで広告費を回復させたことを意味している。

◆他にも、東北電力は2016年度に66億円、2017年度に64億円と2年連続で60億円台を記録(2010年度=85億円)、中国電力は2017年度に35億円(2010年度=42億円)、四国電力は2017年度に24億円(2010年度=30億円)まで上昇しており、いずれも福島事故前の水準に迫ろうという勢いだ。

◆非公開の電気事業連合会(電事連)や原子力発電環境整備機構(NUMO)など関連団体の広告予算もかなりの水準で上昇しているのは間違いない。事実、新聞や雑誌の広告だけでなく、すこし前からはテレビでも電事連のCMがごく普通に垂れ流されるようになっている。

◆こうした“原発広告漬け”の中、メディアの原発事故関連の報道は激減し、原発再稼働に対する批判も行われず、そして今回のように「平成の終わり」という大イベントでの振り返り特番でも、原発事故は「なかったこと」にされてしまったのだ。

◆おそらく本日(2019/4/30)から明日(2019/5/1)にかけて大量に流される各局の「即位特番」や「平成振り返り特番」でも、福島原発事故が正面から取り上げられることはないだろう。

◆安倍政権への忖度、原子力ムラによる大量の広告出稿によって、マスコミは再び原発安全神話に加担し、原子力ムラと一体化しつつある。

◆平成の最大の人災でもあり、世界でも未曾有の原発事故を平成の終わりとともに「なかった」ことにされてしまうのだろうか。

非公開の電事連や原子力発電環境整備機構(NUMO)など
関連団体の広告予算もかなりの水準で上昇か