◆関電からの小口顧客離れは、着実に進行しています。さらに促進させましょう。
◆しかし、2020年4月から予定されていた電気料金の全面自由化が見送られたこと(新電力の全体的なシェアが小さかったこと、関電と対抗できるような規模の新電力がなかったこと)からも分かるように、電力産業において、関電など大手電力(旧一電)の支配力は依然として強大です。
◆関電は、発電部門では圧倒的な力をもち、送配電部門も事実上、支配しています。小売部門では、大口顧客に対しては、強烈な低価格を提示しているのではないかといわれる取戻営業、小口顧客に対してはガスとのセット販売で攻勢に出るなど、関電の存在は圧倒的です。
◆関電には原発ノーの声をさらに大きく突きつけていきましょう。関電など大手電力の市場支配力を減衰させるには、再生可能な自然エネルギーのいっそうの拡大による地域分散型エネルギーシステムが各地で普及することが必要です。また、送配電網の完全分離も求められます。
◆以下のグラフにつきましては、次の点に留意ください。
(1) このグラフのデータは、OCCTO(オクト)[電力広域的運営推進機関]の「スイッチング支援システムの利用状況」からみたスイッチング件数データです。毎月10日までに前月分が発表され、速報性が高いものです。ただし、このデータでは、500kW未満の高圧需要者も含まれているうえ(そのため「小口」と表記)、「新電力から関電へ」戻るスイッチングも、「新電力から新電力へ」のスイッチングも、件数としてカウントされています。
(2) 自由化が始まった当初は、「新電力から関電へ」「新電力から新電力へ」といったケースはごく少数と思われましたが、関電がガスとのセット販売(2017年4月~)を強化したり、失った顧客の取り戻し営業を強めるようになった現状では、OCCTOのスイッチング件数は関電の純減「関電から新電力へ」の完全に正確なデータとは言えなくなっています。
(3) そこで、電力・ガス取引等監視委員会による「電力取引の状況」の低圧データ(OCCTOの小口とはまた異なります)も調べています。こちらは、データの発表までに2か月半くらいかかり、速報性はありませんが、「関電純減」や、関電が取り戻した件数(「新電力→関電」)数が分かります。しかし、全体的に見てそれほどの数ではありませんので、グラフは、OCCTOのデータで作成して、全体的な傾向は表現していると考えています。
【参考】
電力広域的運営推進機関OCCTO(オクト)…スイッチング支援システムの利用状況
電力・ガス取引等監視委員会…電力取引の状況(電力取引報結果)