◆関電と原発 memo No.11–大飯原発のF-6断層

2012年の大飯原発再稼働のとき
「活断層か地滑りか」問題となった「F-6断層」とは

◆関西電力の大飯原発(福井県おおい町)の3号機と2号機の間を、斜めに横切る断層がある。(以下、「週刊朝日 2012年7月27日号)

・「F-6」と呼ばれるこの断層が、いまや大きくクローズアップされている。「活断層である可能性を否定できない」として、複数の専門家が再調査を求めている。ところが、国や関西電力がこれに応じていない。F-6断層の具体的な危険性を訴えるのは、東洋大学の渡辺満久教授(変動地形学)。「もし地震で地盤がズレて、非常用取水路が破損すれば、緊急時に原子炉を冷却できなくなるおそれがあります」。

・白か黒か。決着をつけるには、写真や図面をもとに考えるのは時間の無駄で、「掘って確認すればいい」と渡辺教授は言う。「保安院は関電に写真を出せなどと言っていますが、色の具合とか、余計な情報に引きずられることがあるので、写真で活断層かどうかを確認してはいけないのは我々の常識です。専門家がこの目で見ればはっきりする。その結果、活断層でないとわかったら、それはそれで安心できるじゃないですか」(渡辺教授)

◆そして、実際に調査が行われた。その結果、委員の誰一人として明確に「F-6破砕帯は活断層ではない」と断定していない。地滑り説に固執した岡田教授ですら「現時点で活断層とみなすことはできない。幅広い識者で再検討すべきだ」と言っている。しかし、規制委は、大飯原発の再稼働を認めてしまった。

◆こうした状況で重要なのは、グレーやクロが完全に否定されるまで、安全側に立って、原発を停止させておくのが、原子力規制委員会の仕事ではないか。

◆安全側に立てば、大飯原発の再稼働は認められなかったはず。

◆大飯原発では、重要施設の一つである非常用取水路の下を横切っているF-6断層が活断層と認定されれば、大規模な改造を余儀なくされ、当面は運転が認められなかったはず。関電が電力不足を声高に言い立て、計画停電をほのめかすなど、政府、電力会社は、大飯原発の再稼働に躍起になっていた状況もみておく必要がある。大飯原発では、下図のように、他にも「破砕帯」とされる断層は多い。


◆以下、大飯原発差止訴訟[京都地裁]での原告側の主張。竹本修三原告団長は、活断層が見いだされていない所でも大きな地震は起こるとして、活断層かどうか議論しても意味がないと陳述している。

大飯原発差止訴訟[京都地裁]第4回口頭弁論

(2014年5月21日)

裁判官の交代に伴う弁論の更新で
「F-6破砕帯」に関する
竹本修三 原告団長 による意見陳述

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既存の活断層だけを問題視していては危険

 8.……原子力規制委員会は大飯原発敷地内の重要施設の直下を通る「F-6破砕帯」が活断層であるかどうかに焦点を絞って検討をすすめ、「活断層ではない」との結論を出しました。

 9.しかしこれも空しい議論です。つまり、

  • 活断層の認定は、専門家(と言われる人々)の間でも議論が分かれていて、そう簡単ではない。
  • 鳥取県西部地震(M7.3)や福岡県西方沖地震(M7.0)のように、事前に活断層が見出されていないところでもM7クラスの地震が起きている。
  • 同じ活断層で地震が起きたとしても、前回の地震と全く同じ断層面で割れるとは限らない。断層面の傾きが数度違えば、地表に現れる断層は別のところに顔を出す。

ということです。

 10.同じ震源から破壊が進行しても、その時々の地殻の三次元的な応力状態により、圧縮軸の方向がわずかに違えば、地震断層は地表の別の場所に顔を出します。従って原発敷地内にある破砕帯が活断層かどうかと議論してもあまり意味はないと思います。
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