◆関電と原発 memo No.10–老朽原発どうして危険?

老朽原発うごかすな!
老朽原発どうして危険?

◆原子炉が割れてしまう!中性子照射脆化

  • 中性子が当たることによって金属=鋼鉄がもろくなること(脆化、ぜいか)。
  • 原子炉容器がパリンと割れてしまう可能性。
  • おおむね1970年代に運転開始の原発は、鋼材中に銅やリンの成分が多いので、照射脆化の進行が速い。
  • 中性子照射脆化の進行…脆性(ぜいせい)遷移(せんい)温度ではかる。
  • 脆性遷移温度…金属が温度低下によって延性(粘り強さ)を失い、脆性(もろさ)が現れる温度。
  • 一般にマイナス20℃くらいまでは大丈夫な鋼が、お風呂につけたくらいの温度40℃で割れてしまっては危険。
  • なお、原発で沸かすお湯の温度は300℃くらい。基準地震動をこえる地震などで緊急炉心冷却装置が働いた場合、冷たい水が投入されて原子炉の鋼の温度が下がったとき、どうなるか。
  • 名古屋地裁の「老朽原発40年廃炉訴訟」で、原告側は、中性子照射脆化をはかった元データを出すように求めているが、国や関電はこれを拒否。

中性子照射脆化の著しい(=とくに危険な)
原発ワーストテンは
廃炉原発6基を除けば
関電の原発ばかり4基!
その4基のうち3基が40年超えの老朽原発


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関電どうかしてる、金だけ!今だけ!自分だけ!
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【ワーストテン】
(1) 高浜1…脆性遷移温度99℃(試験時期:2009)。99℃より低温になると、割れる可能性。
(2)~(5)廃炉(玄海1、美浜2、美浜1、大飯2)
(6) 高浜4…脆性遷移温度59℃(試験時期:2010)。現在、稼働中 !!!(>_<)!!!
(7) 美浜3…脆性遷移温度57℃(試験時期:2011)
(8)~(9)廃炉(敦賀1、福島1)
(10) 高浜2…脆性遷移温度40℃(試験時期:2010)

(『原発はどのように壊れるか 金属の基本から考える』 小岩昌宏・井野博満 著)

◆検査の限界

・原発は巨大かつ複雑…経年劣化した、金属、機器、配管、ケーブルの検査は容易でない。
・100万kW級原発(大飯原発や高浜原発)の物量
・ケーブルの長さ…1、700km。ケーブルの劣化は制御不能につながる。
・溶接個所…65、000個所。溶接不良の可能性。応力腐食割れの発生。
・配管…170km、10、000トン。金属疲労、腐食、減肉(肉厚減)の発生。
・モーター…1、300台
・弁…30、000台
・ポンプ…360台

・規制委も接近できる範囲のみに容認…加圧水型(関電の原発)の格納容器は「接近できる全検査可能範囲」を検査すれば良い。
・圧力容器などのひび割れ対策…超音波検査がおこなわれる。
しかし、検査しても、その判定は技術者の技量や主観に左右される。

◆致命的弱点の蒸気発生器でトラブル続き

・高浜原発では、稼働中の3号機と4号機で蒸気発生器細管の損傷事故が続いている。2018年9月に3号機で1本、2019年10月には4号機で計5本、2月18日には、3号機の3台の蒸気発生器のうち2台からそれぞれ1本の細管で外側部分が削れたとみられることが確認された。しかし、原因は不明のまま。老朽原発で大丈夫か!

・福島第一原発のような沸騰水型原発(BWR)では、原子炉が冷却できなくなってから3~4時間後にメルトダウンが始まるのに対して、高浜原発や大飯原発のような加圧水型原発(PWR)では、原子炉が冷却できなくなってから22分後にメルトダウンが始まる。

・それは加圧水型原発が、高温高圧の蒸気を利用しているため。高温高圧の蒸気が通っているのが、蒸気発生器の細管。沸騰水型では280~290℃、70気圧で運転するが、加圧水型では340℃以上と高く、圧力が2倍以上の150気圧で運転されているので、蒸気発生器の細管が破断すると一次冷却水が一気に漏れ、メルトダウンにつながる。

*蒸気発生器の細管は、1本の直径がおよそ2cm、全長約20m、肉厚はわずか1.3mm。高浜原発には蒸気発生器が3器あって、その細管は合計で1万本をこえる。