◆1/24 「関電よ💢老朽原発うごかすな!大集会」報告とお礼

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◆報告とお礼
 コロナニモ、雨ニモマケズ、350 名超が結集

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 関電は、原発に関連して、一昨年来、原発マネーの不正還流、再稼働準備工事中の人身事故、蒸気発生器配管の損傷をはじめとするトラブル、使用済み核燃料中間貯蔵候補地に関わる約束違反など、不祥事を頻発させています。関電の倫理や技術は崩壊し、地に落ちていることを物語っています。

 それでも、関電は、運転開始後40 年をはるかに超えた老朽原発・高浜1、2 号機、美浜3 号機を本年早々にも再稼動させ、全国の原発の60 年運転に道を開こうとしています。

 関電は、昨年9 月、美浜3 号機、高浜1 号機の安全対策工事が終了したと発表し、各々の原発の本年1 月、3 月再稼働を画策していました。また、立地自治体・美浜町、高浜町の町議会は、再稼働同意を決議しています(昨年12 月、11 月)。

 しかし、もう一つの立地自治体・福井県の杉本知事は、「使用済み核燃料中間貯蔵候補地が提示されない段階では、再稼働を論じることはできない」としています。また、美浜町長、高浜町長も再稼働同意を逡巡しています。

 そのため、美浜3 号機の再稼働は、少なくとも1 カ月以上遅れています。再稼働を阻止し得ている背景に、「老朽原発うごかすな!」運動の高揚があることは言わずもがなです。

 なお、関電は「2018 年末までに、使用済み核燃料の中間貯蔵候補地を福井県外に探す」と明言していました。西川前福井県知事が、大飯原発の再稼働に同意したのは、この約束を前提としていました。しかし、関電は、この約束をホゴにし、その時「候補地提示期限を2020 年末まで」と再約束しました。関電は、この再約束もホゴにして、大飯原発4 号機を、1 月15 日、起動させ、老朽原発再稼働まで画策しているのです。しかも、去る12 月4 日に、大阪地裁が大飯原発3、4 号機の設置許可の取り消しを命じ、国が控訴した、係争中の大飯原発4 号機の起動です。

 関電は、何の成算も無く「空約束」をし、平気でそれを反古にする、企業倫理のかけらも持ち合わせない企業と言っても過言ではないでしょう。

 昨年、「老朽原発うごかすな!実行委員会(実行委と略)」が呼びかけた「老朽原発うごかすな!大集会in おおさか」(9 月6 日)には、コロナ感染の拡大に加えて台風の中、1600人の参加を得ました。また、「老朽原発うごかすな!キャンペーン期間」(10 月1 日~11 月22 日)には、関西23 自治体に申入れを行いました。11 月23 日の「関電包囲大集会」(550人参加)を旅立ちとして、12 月9 日に美浜町に到着した「老朽原発うごかすな!リレーデモ」には延べ1380 人の参加を得ました。12 月9 日には、美浜町内デモ、町役場および関電原子力事業本部前での抗議・申入れ行動を闘いました(約200 人参加)。これらの昨年の行動は、脱原発を目指す関西、福井の市民団体、労働団体、政党のほとんどを含む220 の団体、840 人の個人の賛同を得て実行されました。昨年は、「老朽原発うごかすな!」を合言葉にした共闘の輪が大きく拡がった年でした。

 本年1 月15 日には、大飯原発4 号機再稼働阻止緊急行動を呼びかけましたが、40 名ものご参加の下、おおい町内デモ、原発前抗議、申し入れ集会を行いました。

 まだまだ、老朽原発再稼働を許してはいません。私たちの闘い如何では再稼働を阻止できます。

 1月24 日の関電前「関電よ💢老朽原発うごかすな!大集会」には、そのようなやむに止まれぬ決意をもって、コロナの緊急事態下、雨にも拘わらず、350 人超のご参加を得ました。

 ご参加、ご支援の皆様、ありがとうございました。

老朽原発うごかすな!実行委員会
連絡先;木原壯林(若狭の原発を考える会)

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◆主催者挨拶(要旨)
 原発ゼロ法案を実現し、原発に依存しない若狭を!

(老朽原発うごかすな!実行委員会・中島哲演)
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 原発地元の自治体 や経済界は、 原発経済から抜け出さないでいます。
しかし、国会の経産常任委員会に付託された「原発ゼロ法案」には、
① 全ての 原発等の速やかな停止―廃止、
② 電気の需要量の削減、
③ 再生可能エネルギー電気の供給量の増加を、あるいは、原発を停・廃止する「事業者への支援、周辺地域の雇用・経済対策」を、
「法制上、財政上、税制上、または、金融上の措置」を、条文として維持しているのです。 この法案は、2 年 余りも棚ざらしされていますが、その審議の開始こそ、経済的な不安をも克服する胎動へと続いています。
 原発電気を拒否しよう
原発延命に狂奔し、電気料金の高い関電については、今、小口顧客の 30 %以上 (昨年 11 月現在) が見切りをつけ、離脱しています。老朽原発を運転すれば、顧客の減少はさらに加速するでしょう。老朽原発再稼働は、関電にとっても危機となるのです。 関電の「新たな時代」への転換を勧告してや みません 。

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◆集会宣⾔
 ⽼朽原発廃炉を突破⼝に、
 原発全廃をかちとろう︕

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 福島原発事故から10 年になりますが、避難者の多くが今でも故郷を失い、苦難の生活を続けておられます。事故炉内部は未だに不明で、増え続ける放射性汚染水は太平洋に垂れ流されようとしています。原発は、現在科学の手に負える装置でないことは明らかです。

 その原発が老朽化すれば、原子炉や配管の脆化、金属疲労、腐食などによって、危険度が急増します。

 それでも、関電と政府は、運転開始後40 年をはるかに超えた老朽原発・高浜1、2 号機、美浜3 号機を本年早々にも再稼動させ、全国の原発の60 年運転に道を開こうとしています。

 ところで、原子力規制委員会(規制委)が、老朽原発の運転を認可したのは2016 年ですが、認可以降に、関電の原発では、トラブル、人身事故が頻発しています。

 トラブルの中でも、高温・高圧の一次冷却水が流れる蒸気発生器や加圧器の配管の損傷はとくに深刻です。もし、これらの配管が完全に破断すれば、冷却水が噴出し、原子炉が空焚きになる可能性があるからです。配管の損傷は、昨年だけでも、高浜3 号機および4 号機の蒸気発生器伝熱管、大飯3 号機の加圧器スプレイ配管で発見されています。

 蒸気発生器伝熱管の減肉・損傷を生じさせた原因物質について、関電は、配管内で自然発生した鉄さびの塊であると発表しています。鉄さびの塊や腐食で生成した金属の破片などが、冷却水の流れに乗って原子炉内を高速でかけ巡って、配管を損傷させているのです。

 このような異物は、原発が老朽化すればどんどん増えます。運転開始後40 年をはるかに超える圧力容器を持ち、更新後25 年を超えた蒸気発生器を持つ高浜1、2 号機、美浜3 号機が安全なはずがありません。それでも、規制委員会はこれらの老朽原発の運転を認可しているのです。原発の40 年超え運転が理不尽であり、新規制基準が極めて不完全で、規制委の審査がいい加減であることを示しています。

 なお、規制委審査のいい加減さを端的に指摘したのが、去る12 月4 日に大飯原発3、4 号機の設置許可取り消しを命じた大阪地裁判決です。規制委は、原発運転の認可にあたって、基準地震動として過去の地震の大きさの平均値を採用し、原発の耐震性は平均値に見合ったもので可としています。大阪地裁は、これは、「バラツキ」を考慮していず、過小評価であるとしたのです。

 この判決に従えば、同様な方法で推定された老朽原発敷地の基準地震動も過小評価していることになります。

 一方、関電に関して、1 昨年発覚した原発マネーに係わる不祥事の調査は、未だに納得できるものではなく、関電が企業体質を抜本的に改善したとするにはほど遠い状態にあります。もし、関電が真にこの不祥事を反省しているのなら、不祥事の原因となった原発の稼働を止め、原発稼働の是非を議論しなおすべきです。

 さらに、関電は、使用済み核燃料中間貯蔵候補地を福井県外に探すとした約束を2 度(2018 年、2020 年)もホゴにしています。

 このように、関電が原発の運転に足る資質、体制、企業倫理を持たないことは明らかです。

 そのため、関電については、今、小口顧客の30%以上が見切りをつけ、離脱しています。老朽原発を運転すれば、顧客の減少はさらに加速するでしょう。老朽原発再稼働は、関電にとっても危機となるのです。

 ところで、若狭の原発から100 km 圏内には、福井県のみならず、京都府、滋賀県のほぼ全域、大阪府、兵庫県、岐阜県の多くの部分が含まれます。このことと、福島原発事故では事故炉から約50 km 離れた飯舘村も全村避難であったことを考え合わせれば、若狭の老朽原発で重大事故が起これば、何百万人もの人々が避難対象になります。避難は不可能です。

 しかも、今、新型コロナウイルスの感染が拡大し、終息の兆しも見えません。この中で、超危険な老朽原発が稼働され、重大事故を起こしたら、集団避難のバスの中で、長期にわたる避難生活の中で、ウイルスの感染を防ぐことは不可能です。それでも関電は、コロナはないかのごとく老朽原発再稼働を企てています。許してはなりません。

 今、私たちの運動はコロナの制約を受けていますが、私たちが萎縮すれば、政府や関電の意のままの政策がまかり通ることになります。コロナによって制約された分以上の行動を、創意と工夫によって創造し、老朽原発再稼働を阻止し、それを突破口に、原発のない、人の命と尊厳が大切にされる社会を実現しましょう!

2021 年1 月24 日
「1.24 関電よ💢老朽原発うごかすな!大集会」
参加者一同

 
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◆原発をめぐる司法の状況
 井戸謙一弁護士の発言

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 みなさん、こんにちは。貴重な時間をいただいて、「原発めぐる司法の状態」について、ご報告いたします。

 昨年1月に広島高裁で伊方原発の差し止めの決定が出ました。そして12月に大阪地裁で大飯3・4号機の許可処分の取り消しの判決が出ました。いずれも重要な判決ですが、特に大阪地裁判決は非常に意義があるというふうに思っております。

 この第一報を聞いたときに海渡雄一弁護士は、潮目が変わったというふうに思ったそうです。私は第一報を聞いたときに「終わりの始まりだ」というふうに思いました。どういう意味でこの判決が重要なのかというとですね3つあると思います。

 ひとつは、被告が一電力会社ではなくて、「元締めである国」だということですね。

 それからふたつは、処分が違法だとした理由が、基準地震動策定段階における経験式のばらつきを考慮していないという問題で、これは大飯3・4号だけではなくて関西電力のすべての原発に共通する問題であり、かつ全国の電力会社のすべての原発に共通する問題です。この問題はすべての原発が抱えているということですね。

 それからみっつめは、大阪地裁行政部の判決であるということです。大阪地裁行政部というのはエリートのコースです。いままで原発の差し止めを認める判決はいくつか出ていますが、だいたいエリートコースからはずれた、地方の、変わった裁判官とかですね、定年まじかの高裁の裁判長とか、そういう人たちしか「差し止め判決」は出さないと言われてきました。今回の判決は、エリートコースの真っ只中しかもまだ年齢は50前後です。裁判官としてまだまだ将来もある、エリートコースに乗ってる裁判長の判決でした。弁護団に聞くとですね、森鍵裁判長は去年の4月に前の裁判長と交代で裁判長になったんですが、前の裁判長もこの「ばらつき問題」については、なみなみならぬ関心を示していたそうです。大阪地裁行政部の裁判長が二代続けて、「この処分は違法だ」と考えていたんであればですね、これは大変なことだと思います。

 じゃあ、本当に潮目が変わったのかどうかというのはこれからの裁判を見るとわかると思います。実はこれから判決・決定が目白押しです。

 まず3月12日に佐賀地裁で玄海原発の民事訴訟と行政訴訟の判決があります。この事件の弁護団は、今回の大阪地裁判決の弁護団と同じ人たちで、まったく同じ主張を玄海原発についてもしています。だから特に、このばらつき問題について、佐賀地裁はどういう判断をするのかというのは大変注目だと思います。

 それと3月18日、広島高裁で今、伊方3号機が止められていますが、これに対して四国電力が異議を出した。その異議審の決定が出ます。仮処分が維持されるかどうか、大変注目されるところであります。

 そして同じ日、水戸地裁で「東海第二原発の運転差し止め訴訟」の判決が出ます。東海第二原発というのは、全国で4つある老朽原発のひとつですね。老朽原発を動かしていいのかどうかということについて、初めて裁判所の判断が出ます。

 それから大阪地裁で今やっている「コロナが蔓延している状況では原発をうごかすな」という仮処分。これの判断も3月中に出ます。

 それから大飯4号機を(1月15日に)関電は動かし出しましたが、(大飯3・4号機の許可処分の取り消し)判決の原告の人たちが今、執行停止の申し立てをしています。 この執行停止が認められたら関電はせっかく動き出した大飯4号機をまた止めざるを得なくなります。大飯3・4号機は動かせなくなります。この判断も近く出ます。

 これらの判決・決定が目白押しです。このなかで本当に潮目が変わったのかどうかということがわかると思います。結果はどうなるかわからないけど この流れというのは着実に広がっていくと思います。(みんなの力が作り出した)この司法の潮目の変わりめを追い風にして是非市民運動を盛り上げて、老朽原発をうごかさない、全ての原発廃炉に向かって、頑張っていきましょう。ありがとうございました。
 
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◆老朽原発美浜3号機を動かすな!
 美浜町の河本猛(こうもと・たけし)さんからのメッセージ

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 美浜町議会議員の河本猛です。

 活断層に囲まれた敦賀半島に立地する美浜原発は、立地不適で危険な場所に存在しています。また、過去に死傷事故を起こしている老朽原発です。老朽原発には取り換えが不可能な重要機器があり、いくら高経年化対策を行っても老朽化した原発に鞭打って動かすのは非常に危険です。

 若狭地域の原発で発電した電気は、都市の関西圏で消費されてきました。しかし、関西圏に住む人々が「原発で発電する電気はもう必要ない!」と大きな声をあげています。美浜原発は不要な存在で、即時廃炉を決定するべきです。

 美浜町議会は昨年の12月定例会で、美浜原発3号機の再稼働について「議会同意」を可決してしまいました。その理由は、地元経済のためというのですから恥ずかしい限りです。

 「議会同意」は、原発事故が起これば避難を余儀なくされる30キロ圏内の住民、関西圏・中京圏の人々の生活を考えない身勝手なものでした。原発は、美浜町民の利益のため、自治体財源のために動かすものではありません。老朽原発美浜3号機は、広範囲の自治体住民の生活権、原発事故のない安全な暮らしを保障するために「なくす」べきものです。

 結果的に関西電力は、福井県と約束していた使用済み核燃料の県外搬出先の候補地が示せず、福井県は「原発40年超運転をはじめ、原子力のさまざまな課題の議論を進めることはできない」として、再稼働はストップしています。

 地元事業者の利益優先で、原子力を取り巻く課題が全く見えていない美浜町議会に原発の安全性を語る資格はありません。議会を傍聴されてきた皆さんは、「議会同意」のプロセスがいかに危険な判断であったかわかると思います。

 原発利益共同体に支配された地元任せの同意は非常に危険です。美浜原発はその影響を受ける広範囲の人々の判断で「なくす!」。そのために力を合わせましょう。

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◆福島からのメッセージ
 武藤類子さんより

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「関電よ💢老朽原発うごかすな!」大集会に参加の皆さまへ

 皆さま 寒い中を本当にありがとうございます。

 福島原発事故から10年がもうすぐ経ちます。原発事故は10年たっても収束することはおろか、溶け落ちた核燃料をはじめ汚染水や除染土、がれきや解体家屋など多くの放射性廃棄物を生み出し、問題は更に拡大しています。

 気候変動や激甚災害、コロナ感染拡大などこれからの時代に予想される出来事に私たちは、少しでもリスクを少なくしていかなくては、生き延びることができません。
危ない老朽原発を動かしてはいけません。

 最初に爆発を起こした福島原発1号機も運転から40年の老朽原発でした。
「せめて1号機を止めていたら…」と、どれだけ思ったかしれません。
力を合わせて、原発を止め、少しでも安全な社会を次世代のために創っていきましょう!

福島から武藤類子