◆新型コロナウイルス蔓延下でも原発の運転を続け、老朽原発再稼働準備工事を続ける関電に抗議と申入れ。高浜町、おおい町にも申入れ

◆新型コロナウイルス(「新型ウイルス」と略)が蔓延し、全世界がこれを封じ込める対策に苦心・奮闘しています。

◆しかし、この「新型ウイルス」の蔓延下でも、関電は大飯原発3、4号機、高浜原発4号機の運転を続け、45年超えにもなろうとする老朽原発・高浜1、2号機、美浜3号機の再稼働準備工事を続けています。

◆今、原発で重大事故が起これば、避難者は、放射線被ばくに加えて、避難の過程や避難先で、「新型ウイルス」感染の危機に見舞われます。一方、原発内で「新型ウイルス」の感染が拡大すれば、原発の安全が保たれなくなります。

◆私たち「老朽原発うごかすな!大集会in おおさか」実行委員会は、住民の安全をないがしろにして原発運転および老朽原発再稼働準備工事を継続している関電に強く抗議し、これらの即時中止を求めて、下記の「抗議および申入れ」書を関電の原発関連部署(取締役社長、原子力事業本部長、高浜原発所長、大飯原発所長)に提出しました。また、原発立地町である高浜町には、高浜原発4号機の運転中止および老朽原発再稼働準備工事の中止を関電に要請し、老朽原発の運転を認めないことを宣言し、今までの原子力政策を見直すことを求める申入書を提出し、同じく立地町であるおおい町にも、大飯原発3、4号機の運転中止を関電に要請し、今までの原子力政策を見直すことを求める申入書を提出しました。

◆なお、「抗議および申入れ」書や申入書は、当該箇所に持参する予定でしたが、現下の「新型ウイルス」情勢を考慮して、郵送しました。また、それらのコピーは、報道関係にも郵送し、電子媒体等で広く全国に配信しました。

◆以下は、「抗議および申入れ」書および高浜町長への申入書です。なお、おおい町長への申入書は割愛します(おおい町長への申入書は、高浜町長への申入書と類似のものですが、老朽原発に関わる部分は削除しています。)


関電への「抗議および申入れ」書

関西電力株式会社
取締役社長 森本 孝 様
原子力事業本部長 松村孝夫 様
高浜発電所長 木島和夫 様
大飯発電所長 文能一成 様

抗議および申入れ

 今、新型コロナウイルス(以下、「新型ウイルス」と略)が蔓延し、全世界の人々がこれを押し込める対策に腐心、努力しています。 ところで、この「新型ウイルス」の感染は、原発施設にも広がろうとしています。すでに、九州電力玄海原発の特定重大事故対処施設(いわゆるテロ対策施設)の建設工事関係者や、東京電力柏崎刈羽原発に勤務する東京電力社員から感染者が見つかっています。九州電力では、工事を一時中断し、請負業者の約300人を出勤停止にしています。

 しかし、関西電力(以下、関電と略)は、「新型ウイルス」の感染が全国に拡大している今でも、高浜原発4号機、大飯原発3、4号機の運転を継続しています。

 関電で原発運転に責任のある皆様は、「新型ウイルス」蔓延の中で原発が重大事故を起したら、どうなるとお考えですか?

 集団避難のバスの中での、あるいは避難先で何カ月も何年も続く集団生活の中での「新型ウイルス」感染を防ぐことは至難です。大勢の感染者が出ます。医療崩壊が起こります。そのようにお考えになりませんか?

 しかも、高浜原発、大飯原発から100 kmの圏内には福井県、京都府、滋賀県、大阪府、兵庫県の多くの部分が含まれます。福島原発事故では、事故炉から50 km以上離れた飯舘村も全村避難になったことを考えあわせますと、高浜原発や大飯原発が重大事故を起せば、これらの地域が避難対象になる可能性もあります。例えば、両原発から約30~70 kmに位置する京都市が避難対象になれば、市民約150万人が放射線被曝に加えて「新型ウイルス」感染の危機にさらされます。それでも貴社・関電は、稼働中の原発を停止させないのみならず、危険極まりない老朽原発の再稼働まで画策しているのです。

 一方、「新型ウイルス」感染が原発内に拡がったらどうなるのでしょう?

 原発では、通常運転時で1500人規模、定期点検時には約3000人の作業員が働き、通勤時のバスの中、作業前後の放射線測定のための待機場所、脱衣所、中央制御室を含む勤務場所、休憩室などで「密閉、密集、密接(3蜜)」の環境にさらされます。作業員の中には、関西など「新型ウイルス」が猛威を振るう地域から来る人も多数います。

 例えば、高浜原発は、1班12人で構成する5つの班が、1日3交代で運転していますが、感染者が出た場合、当該シフトの運転員のみならず、他のシフトの運転員も濃厚接触となり、5班体制の維持が困難になります。感染発生のために、原発を停止させたとしても、停止後も冷却や安全管理のために専門的な知識や技術を有する作業者が多数必要です。その人々の間に「新型ウイルス」が蔓延するような事態になれば、原発の安全が保たれなくなることは、関電の皆様なら十分ご想定のことだと推察します。

 ところで、最近、関電の原発関連工事で、人身事故が続いています。

 昨年9月19日、老朽原発・高浜1、2号機のいわゆるテロ対策施設建設用のトンネル内で溶接作業にあたっていた9人が一酸化炭素中毒で救急搬送されました。事故の起こったトンネルには外気を取り込む送気ダクトが設置されていなかったと報道されています。

 今年3月13日には、高浜原発1、2号機の敷地内にある掘削中の作業用トンネルで、発破準備作業の協力会社社員が、後退してきたトラックにはねられ亡くなられました。お亡くなりになった社員は耳栓をし、トラックに背を向けていたと報道されています。関電は、この死亡事故によって、高浜原発1、2号機で進めている安全対策工事などの行程を見直し、1号機では工事完了時期が4カ月遅れ、9月にずれ込むと発表しました。

 しかし、その直後の4月11日にも、高浜原発1号機の安全対策工事を行っていた協力会社の会社員が、脚立から転落し、骨盤を折る重傷を負われました。

 これらの人身事故の全てが、老朽原発再稼働のために行われていた作業中のものです。老朽原発を無理に動かそうとして、安全な労働環境づくりを怠ったために起こった事故です。経済的利益のみを優先して進められる老朽原発再稼働の準備が、悲劇を呼んでいるのです。

 昨年9月に発覚した原発マネーに関する不祥事は、関電には、企業倫理を大切にし、法令を遵守する意識が欠落していることを明らかにしています。この不祥事は、脱原発・反原発の民意を蹂躙して危険極まりない原発を推進する過程で生じたものです。関電は、この不祥事の後、役員人事を刷新したとしていますが、新役員が、真に信頼回復に努めるのであれば、不祥事の原因となった原発の稼働や再稼働準備工事を一端中止して、原発稼働の是非を再考すべきです。

 「新型ウイルス」蔓延の中でも原発の運転や再稼働準備工事を継続し、人身事故を多発させている貴社・関電が、原発マネー不祥事を反省しているとは考えられず、原発の安全運転を保証する体制にあるとは考えられません。

 以上のような視点に立って、私たちは、「新型ウイルス」の感染拡大の中でも、関電が若狭の原発を運転し続けていることに強く抗議し、以下を申し入れます。

①「新型ウイルス」感染拡大の中でも運転中の高浜原発4号機、大飯原発3、4号機を即時停止してください。

②関電が原発マネー不祥事の原因となった原発の運転を即時停止し、老朽原発再稼働のために進めている工事を中止して、社会に誠意を示してください。原発稼働の是非に関する議論は、企業倫理、法令遵守を徹底する体制が確立し、社会からの信頼を回復した後に、一からやり直してください。

③とくに、危険極まりなく、重大事故の確率の高い老朽原発・高浜1、2号機、美浜3号機の運転反対は圧倒的な民意であることに鑑み、老朽原発の廃炉を決断してください。

 なお、貴社が、私たちの再三の危険性指摘を無視して原発を稼働し続けて、重大事故が起こった場合、それは貴職らの故意による犯罪であり、許されるものではないことを申し添えておきます。

2020年4月29日
「老朽原発うごかすな!大集会 in おおさか」実行委員会


高浜町長への申入書

高浜町・町長 野瀬 豊 様

申入書

 新型コロナウイルス(以下、「新型ウイルス」と略)が蔓延し、その対策にご腐心、ご苦労のことと拝察し、感謝申し上げます。

 ところで、この「新型ウイルス」の感染は、原発施設にも拡がろうとしています。すでに、九州電力玄海原発の特定重大事故対処施設(いわゆるテロ対策施設)の建設工事関係者や、東京電力柏崎刈羽原発に勤務する東京電力社員から感染者が見つかっています。九州電力では、工事を一時中断し、請負業者の約300人を出勤停止にしています。

 しかし、高浜原発では、「新型ウイルス」の感染が全国に拡大している今でも、4号機が運転中で、3号機や運転開始後45年超えにもなろうとする老朽原発・1、2号機の再稼働のための工事が進められています。

 高浜町長は、「新型ウイルス」蔓延の中で高浜原発が重大事故を起したら、どうなるとお考えですか?

 集団避難のバスの中での、あるいは避難先で何カ月も何年も続く集団生活の中での「新型ウイルス」感染を防ぐことは至難です。大勢の感染者が出ます。医療崩壊が起こります。そのようにお考えになりませんか?

 しかも、若狭の原発から100 kmの圏内には福井県、京都府、滋賀県、大阪府、兵庫県の多くの部分が含まれます。福島原発事故では、事故炉から50 km以上離れた飯舘村も全村避難になったことを考えあわせますと、若狭の原発が重大事故を起せば、これらの地域が避難対象になる可能性もあります。例えば、高浜原発から約30~70 kmに位置する京都市が避難対象になれば、市民約150万人が放射線被曝に加えて「新型ウイルス」感染の危機にさらされます。それでも関電は、稼働中の原発を停止させないのみならず、危険極まりない老朽原発の再稼働まで画策しているのです。

 一方、「新型ウイルス」感染が原発内に拡がったらどうなるのでしょう?

 原発では、通常運転時で1500人規模、定期点検時には約3000人の作業員が働き、通勤時のバスの中、作業前後の放射線測定のための待機場所、脱衣所、中央制御室を含む勤務場所、休憩室などで「密閉、密集、密接(3蜜)」の環境にさらされます。作業員の中には、関西など「新型ウイルス」が猛威を振るう地域から来る人も多数います。

 高浜原発は、1班12人で構成する5つの班が1日3交代で運転していますが、感染者が出た場合、当該シフトの運転員のみならず、他のシフトの運転員も濃厚接触となり、5班体制の維持が困難になります。感染発生のために、原発を停止させたとしても、停止後も冷却や安全管理のために専門的な知識や技術を有する作業者が多数必要です。その人々の間に「新型ウイルス」が蔓延するような事態になれば、原発の安全が保たれなくなります。

 ところで、最近、関電の原発関連工事では、人身事故が続いています。

 昨年9月19日、老朽原発・高浜1、2号機のいわゆるテロ対策施設建設用のトンネル内で溶接作業にあたっていた9人が一酸化炭素中毒で救急搬送されました。事故の起こったトンネルには外気を取り込む送気ダクトが設置されていなかったと報道されています。

 今年3月13日には、高浜原発1、2号機の敷地内にある掘削中の作業用トンネルで、発破準備作業の協力会社社員が、後退で進んできたトラックにはねられ亡くなられました。亡くなられた社員は耳栓をし、トラックに背を向けていたそうです。関電は、この死亡事故によって、高浜原発1、2号機で進めている安全対策工事などの行程を見直し、1号機では工事完了時期が4カ月遅れ、9月にずれ込むと発表しました。

 しかし、その直後の4月11日にも、高浜原発1号機の安全対策工事を行っていた協力会社の会社員が、脚立から転落し、骨盤を折る重傷を負われました。

 これらの人身事故の全てが、老朽原発再稼働のために行われていた作業中のものです。老朽原発を無理矢理動かそうとして、安全な労働環境づくりを怠ったために起こった事故です。経済的利益のみを優先して進められる老朽原発再稼働の準備が、悲劇を呼んでいるのです。

 昨年9月に発覚した原発マネーに関する不祥事は、関電には、企業倫理を大切にし、法令を遵守する意識が欠落していることを明らかにしています。この不祥事は、脱原発・反原発の圧倒的な民意を蹂躙して危険極まりない原発を推進する過程で生じたものです。関電は、この不祥事の後、役員人事を刷新したとしていますが、新役員が、真に信頼回復に努めるのであれば、不祥事の原因となった原発の稼働や再稼働準備工事を一端中止して、原発稼働の是非を再考すべきです。

 「新型ウイルス」蔓延の中でも原発の運転や再稼働準備工事を継続し、人身事故を多発させている関電が、原発マネー不祥事を反省しているとは考えられず、原発の安全運転を保証する体制にあるとは考えられません。

 以上のような視点に立って、私たちは高浜町長に以下を申し入れます。

①「新型ウイルス」の感染拡大の中でも運転中の高浜原発4号機の即時停止を求めてください。

②「新型ウイルス」の感染拡大の中でも続けられ、人身事故が多発している高浜1、2、3号機の再稼働準備工事の即時停止を求めてください。

③危険極まりなく、重大事故の確率の高い老朽原発・高浜1、2号機の運転は認めないことを宣言して下さい。

④原発マネー不祥事によって、原発は、事の善悪を判断する能力を持たず、法令遵守を徹底する機能と資質を持ち合わせていない関電によって推進されたことが明らかになった今、高浜町が今までに行った原発の運転や再稼働に関する同意を御破算にして、重大事故を起しかねず、何万年もの保管を要する使用済み核燃料を残す原発を稼働させることの是非について再審議してください。

2020年4月29日
「老朽原発うごかすな!大集会 in おおさか」実行委員会


老朽原発うごかすな!大集会 in おおさか

に総力結集を!

日時:2020年9月6日(日)午後

場所;大阪市内(詳細は確定次第公表します)

主催;「老朽原発うごかすな!大集会inおおさか」実行委員会


2020年5月1日発行

作成・木原(若狭の原発を考える会:090-1965-7102)