◆原発にかかわる過去半年(6月~11月)の出来事

【2018年12月14日,京都キンカンで配付】

◆2018年も師走になりましたので、過去半年(6月~11月)の原発に関わる出来事を振り返ってみました。

◆福島では、原発事故被害者の人権がますます蹂躙され、不完全処理の汚染水がたまり続けるなど事故収束の目途はたっていません。原発関連の事故やトラブルは、相も変わらず多発でした。使用済み核燃料や放射性廃棄物の処理・保管の困難さはますます明らかになり、中間貯蔵すら引き受けるところがありません。今年の夏は酷暑でしたが、停電にはならず、原発は不要であることが再確認されました。それでも、安倍政権の「大資本に奉仕する国づくり」、「戦争できる国づくり」のためのエネルギー政策に迎合するように、玄海、川内、高浜、伊方の原発が再稼働あるいは再稼働されました。さらに、政府と電力会社は、40年越えの老朽原発・高浜1、2号機、美浜3号機、東海第2の運転延長に躍起です。一方、司法は、3権分立の大原則をかなぐり捨て、政府と電力会社に媚びへつらった判決を乱発しています。

◆以下に、出来事を列挙します。

東芝、米原発新設から撤退(6月1日報道)

◆東芝が2009年に、米テキサス州で受注していた原発2基の新設計画を取り止めると発表。電力価格の下落、福島原発事故後の安全基準の強化に伴う建設費の高騰が原因。開発に投じた約862億円は、すでに損失として計上済み。

仏が高速炉計画大幅縮小へ(6月1日報道)

◆日本が国際協力を進めようとしている高速炉「アストリッド(ASTRID)」計画について、フランス政府が建設コスト増を理由に規模縮小を検討している。アストリッドは、仏国内に2023年以降に着工し、2030年代に運転再開を目指している。当初、出力規模を60万キロワットを想定していたが、10~20万キロワットに縮小すると日本政府に伝えた。数千億円から1兆円規模とみられる建設費の日仏による折半も打診した。日本政府は、実質的に破綻している「核燃料サイクル政策」にしがみつき、アストリッドを核燃料サイクル推進の当面の柱にしようとしていたが、大きな変更を迫られることになる。

柏崎原発で5400リットルの冷却水漏れ(6月4日)

◆東電柏崎刈羽原発6号機のタービン建屋で冷却用の海水が配管接続部から床に漏れていることを発見。

日立、英原発推進に前向き姿勢(6月8日表明)

◆日立は英国中部アングルシー島で計画する原発新設(2基)事業計画の継続に前向きな姿勢を示した。一方で、採算性が合わない場合には撤退する可能性もあることも示唆した。日立は、英原発子会社を通じてこの計画を進めてきたが、安全対策費などでコストが膨らみ、総事業費は、当初の想定を大幅に上回る3兆円規模になる見通しになったため、リスク回避に向けて英政府に資金支援を求めてきた。

むつ市長、使用済み核燃料の中間貯蔵について、電力会社や政府に説明を要求(6月4日)

◆関電が同社の原発から出る使用済み核燃料を青森県むつ市の中間貯蔵施設で一時保管することを検討しているとされる問題で、 宮下むつ市長は、国や電力会社に強い不信感を示し、説明を求めた。この問題では、関電が、むつ市の中間貯蔵施設の運営会社「リサイクル燃料貯蔵(RFS)」に出資する方向で最終調整していると報道されていた(6月2日)。宮下市長は「一切聞いていない」とした上で、「RFSに出資している東電、日本原電とRFSに強い不信感を持っている」と述べ、3社に公共の場での説明を求めた、なお、関電は、2018年中に福井県内にある原発の使用済み核燃料の中間貯蔵施設を福井県外に探すと福井県知事に約束している。

再稼働同意自治体の拡大6割が評価(6月7日)

◆日本原電東海第2原発の再稼働の条件となる事前同意の対象を、立地自治体だけでなく、周辺にも広げた「茨城方式」と呼ばれる安全協定が結ばれたことについて、共同通信が、全国の原発の30㎞ 圏にある周辺自治体にアンケート調査をしたところ、「妥当」あるいは「どちらかと言えば妥当」と答えた自治体は、約6割に上ることが分かった。また、「茨城方式」と同様な協定を検討すると答えた自治体も約4割に上った。

東海村再処理工場廃止へ(6月13日発表)

◆原子力規制委員会は、原発の使用済み核燃料からプルトニウムなどを取り出す日本原子力研究開発機構の「東海再処理施設」の廃止措置計画を認可した。作業終了までには、約70年を要し、国費約1兆円が投入される見込み。東海施設は、1977年に再処理を開始し、老朽化などによって2014年に廃止が決まっていた。この施設は、放射線レベルが極めて高い廃液をガラスと混ぜて固めた固化体約310本や廃液そのもの約360立方メートルを保管している。廃棄物の処分先は決まっていない。

原子力委員会、プルトニウム削減へ新指針(6月13日)

◆日本が保有する約47トン(原爆6000発分)のプルトニウムの削減に向けて、原子力規制委員会は、新指針を取りまとめた。
①2021年完成予定の六ケ所村の再処理工場では、プルトニウム製造量を通常の原発にMOX燃料として使用する量のみに限定する、
②再稼働が遅れている電力会社が海外に保有するプルトニウムを、原発を稼働させている他社に譲渡してMOX燃料として消費する、
などを盛り込んでいる。しかし、原発再稼働が進まず、プルサーマルも停滞しているので、削減策の実効性は不透明である。
(チラシ作成者の意見:プルトニウムは、MOX燃料として使用しても一部が消滅するだけ。プルトニウムを増やさないためには、原発を全廃し、再処理を止めることこそが肝要である。)。

東電が福島の全原発の廃炉を表明(6月14日)

◆東電は、福島第2原発の全原発(4基;福島第1原発事故後停止中)を廃炉にする方針を表明した。福島県内の全原発廃炉が実現する。裏には、福島原発全廃を表明することによって、福島第1原発の廃炉・汚染水を巡る交渉を前進させたい、とくにトリチウムを含む汚染水の海洋放出への知事や地元の協力を取り付けたいとの東電の思惑がうかがえる。

玄海原発4号機再稼働(6月16日)

◆九電は、玄海原発4号機を再稼働させた。新規制基準下の再稼働は、5原発9基目。

新電力に切り替えた家庭が10%越(6月18日発表)

◆経産省は、新規参入した電力会社(新電力)に切り替えた家庭が、電力小売り全面自由化から2年の今年3月末時点で初めて10%を超えたと発表した。東京電力管内が13.9%、関西電力管内が13.1%と、切り替えは都市部で目立ったが、地方でも進んでいる。

原発避難円滑化モデル事業で京都など3府県に補助金(6月22日)

◆中川原子力防災担当大臣は、原発周辺地域の避難経路の道路改修費等を補助するモデル事業として、福井県、京都府、愛媛県の計4事業を選んだと発表。本年度は、計4億9千万円が交付され、例えば、高浜町の狭い道路を部分的に拡幅する事業、伊方町の避難経路の土砂崩れ防止用のり面保護対策に使用される。
(チラシ作成者の意見:このようなはした金で、原発事故時の円滑な住民避難が保証されるはずがない。住民懐柔策であることは明らか。原発全廃こそ原子力防災!)

大飯原発でプルサーマル化方針(6月27日発表)

◆関電は、大飯原発3、4号機でプルサーマル運転に取り組み、余剰プルトニウムを消化していく方針を示した。関電は、高浜原発で2010年以降にプルサーマル運転を行っている。
(チラシ作成者の意見:プルサーマル運転は、ウラン燃料運転に比べて危険度が高く、放射線量や発熱量の下がり難い使用済みMOX燃料を生み出す。)

東通原発、地質調査開始を発表(6月29日)

◆東電は、福島原発事故で中断していた東通原発1号機の建設作業再開のために、今年度後半に地質調査を始めると発表した。この原発は、2011年1月に国の新設認可を得て地質調査を始めたが、福島事故で中断していた。なお、東通には、2005年に運転を開始し、現在停止中の東北電力1号機がある。

「エネルギー基本計画」閣議決定(7月3日)

◆政府は、「エネルギー基本計画」を4年ぶりに改定した。再生可能エネルギーを「主力電源化」と明記する一方で、原発は「重要なベースロード電源」と位置づけ、2030年の原発比率を20~22%にしようとしている。この目標達成には、30基程度の原発が必要で、老朽原発運転延長の加速が懸念される。原発の新増設の本音は封印した。二酸化炭素放出の大きい石炭火力比率も26%とした。

名古屋高裁、大飯原発差し止め認めず(7月4日)

◆名古屋高裁金沢支部は、大飯原発3、4号機の運転差し止めを命じた2014年5月の福井地裁判決を取り消し、住民側逆転敗訴の判決を言い渡した。福島原発事故以降に起こされた運転差し止め訴訟で、高裁判決は初めて。判決で、内藤裁判長は、原発の危険性の判断について、「新規制基準」や規制委の判断に不合理な点はないとし、原発の運転について、「福島事故の深刻な被害などに照らし、廃止・禁止することは大いに可能」としながら、「判断は、もはや司法の役割を超えている」と強調。3権分立下の司法の役割を、自ら放棄する判断である。

東海第2再稼働「合格」(7月4日)

◆原子力規制委員会は、日本原電が再稼働と最長20年の運転延長を目指す東海第2原発の再稼働に関する審査書案を了承した。事実上の再稼働合格で、2011年3月の東日本大震災で地震や津波の被害を受けた原発では初めて。沸騰水型原子炉では、東電柏崎刈羽6、7号機に続き2例目。実際の再稼働には、21年3月までかかる安全対策工事が必要である。また、再稼働に必要な事前の地元同意には、立地自治体だけでなく、周辺自治体も加わる全国初のケースになる。この原発は、40年の運転期限となる11月までに、運転延長に関わる他の2つの審査もクリアしなければ廃炉となる。同原発の30 km 圏内には96万人が暮らす。

「もんじゅ」廃炉費総額1兆円超?(7月6日報道)

◆政府は、廃炉が決まっている「もんじゅ」の廃炉費用を3750億円と試算しているが、燃料処理費を含んでいない。これを含めると、廃炉費の総額は1兆円を超える可能性が出てきた。毒性の高いプルトニウムを多量に含む燃料を処理する施設は国内外になく、海外の業者に高額で委託するしかなく、施設の新設も含めて膨大な費用が掛かるという。

福島第一、トリチウム水処分へ(7月12日報道)

◆政府は、福島第1原発で汚染水を処理した後に残る放射性物質・トリチウムを含む水をためているタンクを撤去し、トリチウム水を処分する方針を固めた。トリチウム水を保管するタンクは年々増え続け、現在は約680基、約89万5千トンに上り、今後137万トンまで増やす計画。タンクを撤去した跡地は、燃料約1万体の保管や溶融核燃料(デブリ)の取り出し作業エリヤ・保管場所として利用する予定。トリチウム水の処分法について、更田原子力規制委員長は「海洋放出が唯一の方法」として東電に実現を迫っている。

日米原子力協定延長(7月17日)

◆日本が原発の使用済み核燃料を再処理してプルトニウムを取り出して再処理することなどを認めた日米原子力協定が、発効から30年間の期限を迎え、自動延長された。今後は、日米いずれかが通告すれば、6カ月後に協定を終了でき、米国からの通告があれば、一方的に再処理できなくなる不安定な状態になる。米国は、日本が保有する大量のプルトニウムに懸念を強めており、日本の原子力政策に影響を与える可能性がある。

新設島根3号機審査申請(8月11日)

◆中国電力は、建設中の島根原発3号機(沸騰水型;出力は日本最大級の137万3千キロワット)の新規稼働に向け、原子力規制委員会に審査を申請した。2011年の福島原発事故当時に建設中であった原発が審査を申請するのは、電源開発大間原発に続き2例目。島根3号機は、原発本体の工事がほぼ終わり、隣接する2号機の審査が先行しているため、大間原発より早期に審査が進む可能性がある。

高浜4号機、放射性物質を含む蒸気漏れ(8月20日)

◆高浜原発4号機で、原子炉内部に温度計を入れるための菅と原子炉容器上蓋の接合部から。放射性物質を含む蒸気漏れを起こした。関電はこれを受けて。22日に予定していた定期点検後の再々稼働を延期した。4号機は、前日の19日にも事故時に冷却水を補給するポンプでオイル漏れを起こしている。

燃料集合体カバー欠損(8月23日報道)

◆沸騰水型原発で2012年以降、燃料集合体を覆う金属カバーに、溶接に起因する欠損が相次ぎ見つかっている。原子力規制委員会は、この金属カバーは、6電力会社の使用済み燃料集合体計32434体で使われていたと発表した(東電が最多の19432体)。大半は神戸製鋼所製。6社の計325体で欠損が生じていた。一方、カバーの溶接に問題があった未使用の燃料集合体は、4070体であった。

トリチウム以外の希釈放出も容認(8月23日報道)

◆福島第一原発で浄化後の汚染水にトリチウム以外の放射性物質(ヨウ素129、ルテニウム106、テクネチウム99など)が残留している問題で、原子力規制委員の更田委員長は、トリチウム以外も希釈して法令基準濃度を下回れば、海洋放出を容認する考えを示した。
(チラシ作成者の意見:希釈して放出しても生体濃縮、化学濃縮によって再び高濃度になることもある。希釈放出を処分法と呼ぶこと自体が許されない。海洋放出は犯罪。)

高浜原発、大飯原発同時発災を想定した避難訓練(8月25、26日報道)

◆両原発から30 km 圏の福井、京都、滋賀の住民約21600人が参加したとされるが、屋内退避が中心で、実際にマイカーやバスなどで移動したのは約2300人。それも日帰りの異動で、原発重大事故時の避難とはかけ離れたもの。なお、高浜原発から30 km 圏には約17万2千人、大飯原発から30 km 圏には約15万9千人が暮らしている。
(チラシ作成者の意見:原発大事故はきわめて長期にわたって故郷を奪うことは全く想定していない避難訓練は、原発稼働のための手続きとしか考えられない。原発がなければ、訓練は不要。原発全廃こそ原子力防災。)

高浜原発4号機再々稼働(8月31日)

◆関電は度重なるトラブルにも拘わらず、定期点検中の高浜原発4号機の稼働を強行した。

MOX燃料再処理断念(9月3日報道)

◆原発を持つ電力10社が、一度使ったMOX燃料を再処理して、再び燃料として利用するための費用の計上を、2016年度以降中止していた。政府は核燃料サイクル政策の一環としてMOX燃料を再利用する方針を掲げていたが、電力各社が費用計上をやめたことで資金面の根拠を失い、事実上、MOX再処理の断念となる。

大間原発また2年遅れ(9月5日)

◆Jパワー(電源開発)は、建設中の大間原発(フルMOX炉)の安全対策工事の開始時期を2018年後半から2年延期すると青森県、大間町に報告した。規制委の適合性審査が長期化しているため。延期は3回目。政府は、フルMOX炉・大間原発を保有プルトニウム削減の「切り札」として期待していた。

北海道で震度7;全域停電;泊原発、一時外部電源喪失(9月6日)

◆9月6日未明に厚真町で発生した震度7の地震で道内最大の苫東厚真火力発電所が停電し、残る発電所も連鎖して一斉にダウンした。このため、泊原発の3系統の外部電源の全てが9時間にわたって使用不能になった。震源から100 km も離れ、震度2程度の揺れであったにもかかわらず、一気に非常事態に陥ったことになる。非常用発電機6台が起動し、使用済み燃料プールなどを冷却して難を免れたが、外部電源喪失が長期にわたれば、福島原発事故のように、外部電源に加えて非常用電源も失われる事態になりかねず、原発のもろさを露呈した。

和歌山県白浜町長が核燃施設受け入れ拒否を表明(9月6日)

◆白浜町長は、使用済み核燃料の中間貯蔵施設の誘致が取りざたされている問題で、受け入れ拒否を町議会で表明した。なお、関電は、白浜町の旧日置町内に、原発建設を目的に購入した土地を所有している。

規制委、リアルタイム線量計の8割撤去を表明(9月11日報道)

◆福島原発事故後に、福島県内の学校、幼稚園、保育園、公園などに設置されたモニタリングポスト2974台のうちの約2400台を撤去する方針を規制委が表明。国は、原発事故やそれによる被害を終わったことにしようとしている。

広島高裁、伊方3号機運転差し止め取り消し(9月25日)

◆2017年12月、広島高裁は伊方原発3号機の期限付きの運転差し止め仮処分決定をしていたが、同高裁はこれに対する四国電力の保全異議を認め、決定を取り消した。異議審では、阿蘇山の噴火リスクが焦点となったが、決定では「国民の大多数は破局的噴火を格別に問題にしていない」とし、巨大噴火のリスクは「社会通念上容認される」とした原子力規制庁の考え方に従った。
(チラシ作成者の意見:原発事故は万が一にも起こってはならないとする認識がない。)。

大分地裁、伊方原発3号機運転西止め仮処分申請を却下(9月28日)

◆大分地裁は「原発の安全性は、社会通念を基準に判断すべきだ」とし、社会通念を反映した「新規制基準」に適合した原発に「具体的危険性がない」とした。
(チラシ作成者の意見:脱原発・反原発の圧倒的な民意が「社会通念」である。この決定は、「原子力ムラ」内での「社会通念」。)

汚染水、処理後も基準値越えが8割(9月29日報道)

◆東電は、福島第一原発のタンクにたまる汚染水について、浄化したはずの約89万トンのうち約75万トンが放出基準を上回る濃度の放射性物質を含んでいることを明らかにした。一部からは、基準値の2万倍の濃度が検出されていた。東電や経産省は、これまで多核種除去装置(ALPS)で処理すれば、トリチウム以外の放射性物質は除去できるとしていた。なお、現状の処理量は1日340トンにとどまり、基準値越えの汚染水を処理し直すと年単位の時間がかかる。一方、汚染水は年5万~8万トン増えており、敷地内のタンクの増設は、2020年に限界に達する。

原発事故住民避難計画の目安として「被曝100ミリシーベルト以内に」を規制委が明確化(10月18日報道)

◆原子力規制委員会は、原発の30 km 圏内の自治体が事故に備えて策定を義務付けられている住民避難計画について、事故発生1週間に住民が被曝する線量を100ミリシーベルト以内に抑える対策を講じるべきだとする目安を決めた。国際原子力機関(IAEA)は20~100ミリシーベルトを採用しており、その上限を採用したことになる。福島原発事故で、政府は当初、年間20ミリシーベルトを目安に避難区域を設定した。これに比べて、今回は、とんでもなく高い値に設定したことになる。

KYB免振不正:原発施設、五輪会場も(10月18日報道)

◆油圧機器メーカーKYBによる免震・制振装置のデータ改ざん問題で、浜岡原発、敦賀原発の非常用施設でも、調査が必要なダンパーが使われていた。KYBは不正の疑いのあるものも含めて、986件の建物に装置を納入している。

九電、2週間連続再生エネルギー出力制御(10月19日)

◆九電は、再生可能エネルギー事業者に一時的な発電停止を求める出力制御を実施すると発表した。週末としては、前の週に続き2週目。制御は頻発化する様相で、再エネ事業者にとっては打撃となりそうだ。出力制御は、日中に発電する再エネ発電機が増えすぎて、電力バランスが崩れ、北海道で生じたような大規模停電が起きることを予防する措置。
(チラシ作成者の意見:それでも原発は稼働し続けることは許せない。原発は停止・起動に時間がかかるからであろうが、再エネ発電いじめとしか考えられない。)

那珂市長、東海第二原発再稼働に反対(10月24日)

◆東海原発がある東海村に隣接し、「事前了解権」を持つ那珂市の市長は、市民団体の要望書提出を受け、再稼働に反対する意向を表明した。

女川原発1号機廃炉へ(10月25日)

◆東北電力は、停止中の女川原発1号機(出力52万4千キロワット、運転開始後34年)を廃炉にする方針を固めた。老朽化で安全対策困難が理由。

広島地裁、伊方3号機停止を求める申し立てを却下(10月26日)

◆広島高裁は、2017年12月、伊方原発3号機の運転差し止め仮処分を期限付きで決定した(異議審で取り消し)。これについて、松山、広島の住民4人が運転差し止めの継続を広島地裁に求めていた仮処分申請に対し、地裁は申し立てを却下した。「阿蘇巨大噴火の可能性は非常に低く、リスクは著しい損害や窮迫の危険に当たらない」とした。

伊方3号機未明の再稼働(10月27日)

◆四国電力は、脱原発の民意を蹂躙して、27日午前0時30分、伊方原発3号機(出力89万キロワット;1994年運転開始;MOX燃料使用)を再稼働させた。

高速実験炉「常陽」、安全対策費当初の3倍(10月27日報道)

◆日本原子力研究開発機構は、「常陽」の再稼働に必要な安全対策費が、当初想定の約54億円から、約170憶円に増えることを明らかにした。再稼働の目標時期も2021年度末から22年度末に延期した。
(チラシ作成者の意見:機構、政府、規制委員会は、「もんじゅ」での失敗を反省もせず、危険極まりない「常陽」をいい加減な安全対策で動かそうとしている。)

福島原発での過労死認定(11月6日報道)

◆福島第1原発で昨年10月、自動車整備士(57歳)が倒れて死亡したことについて、いわき労働基準監督署は、今年10月、長時間労働による過労が原因として労災認定した。死亡前1カ月の時間外労働時間は122時間を超え、半年間では月平均110時間を超えていた。遺族の支援団体「全国一般労働組合全国協議会」が明らかにした。

使用済み燃料中間貯蔵地に悩む関電(11月7日報道)

◆原発から出る使用済み核燃料の中間貯蔵施設について、関電の候補地選定が難航している。関電は、昨年11月、「2018年中に県外に候補地を探す」と福井県に約束し、見返りとして、大飯原発再稼働への同意を取り付けている。しかし、期限は目前に迫っている。青森県むつ市にある他社の中間貯蔵施設を利用する案が有力視されているが、反発は根強い。

東海第2最長20年延長(11月7日)

◆原子力規制委員会は、11月28日に40年の運転期限を迎える日本原電の東海第2原発の最長20年の運転延長を認めた。原発の運転を「原則40年とし、運転延長は例外中の例外」とする「40年ルール」は、いまや形骸化している。2011年3月の東日本大震災で地震や津波の被害を受けた原発では初めてで、「沸騰水型」原発でも初めて。実際の再稼働は、安全対策工事が21年3月までかかるうえ、再稼働に必要な事前の地元同意には、立地自治体だけでなく、周辺の6自治体も判断に加わるので、難航は必至。

高浜原発3号機再々稼働(11月7日)

◆関電は、重大事故を引き起こせば、関西一円をはじめとする広域を放射能汚染させかねない高浜原発の再々稼働を強行した。

経産省、小型原発開発を目指す方針(11月14日)

◆経産省は、温室効果ガス削減には原発が必要として、小型原発の開発を進め、2040年頃までに実用化を目指す方針を固めたと、非公式の国際会議で資源エネルギー庁の原子力国際協力推進室長が表明した。2040年ごろに国内の原発の多くが寿命を迎えることを受けたものであるが。脱原発・反原発の世界的な流れに逆行して、原発の新増設に道を開くことになる。

原子力研究者の身元調査導入へ(11月14日)

◆原子力規制委員会は、大学や研究機関の原子力施設を利用する学生や研究者に対して、身元調査を義務づける規則案を了承した。テロリストの侵入を防ぐためとしているが、学問の自由、思想の自由を侵害しかねない。来年1月の施行を目指している。

高松高裁、伊方原発3号機運転差し止め認めず(11月15日)

◆愛媛県の住民10人が、伊方原発3号機の運転差し止めを求めて申し立てていた仮処分の即時抗告審で、高松高裁は、住民側の申請を退ける決定をした。この裁判で、高裁は「伊方原発は、日本の他の原発と比較しても、過酷事故発生時の避難には困難が予想される」ことは認め、避難計画が不十分としながらも、運転を認めた。裁判所は、住民の命を見捨てたに等しい。行政に追随し、三権分立を司法自ら否定したことにもなる。

原子力機構が保管する放射性廃棄物ドラム缶腐食;点検に50年を要する(11月21日)

◆日本原子力研究開発機構には、地下を掘って作った「ピット」(1964年から76年に整備された)があり、その中に低レベル放射性廃棄物入りのドラム缶約5万3千本が横向きの状態で積み重ねて保管されている。1987年から91年に1部を点検したところ、腐食や中身の漏出が見つかっていた。現在行っている年1回の目視点検では、下の方に積まれたドラム缶は確認できないので、機構は、50年かけて、ひと缶ずつ釣りあげて検査し、問題があるものは詰め替えや補修を行うとする計画を原子力規制委員会に示したが、委員は「50年もかかるのでは点検しないのと同じ」と述べている。

大山噴火時の火山灰降下量見直し(11月22日報道)

◆原子力規制委員会は、高浜、大飯、美浜の3原発から約200km離れた大山が噴火した場合、3原発敷地に降下する火山灰層の厚さを10cmと想定して、原発の安全性には問題はないとする関電の主張を妥当としていたが、規制委が現地調査を行った結果、8万年前の大山噴火による火山灰層の厚さは25 cm 程度に達し、関電の想定より大規模な噴火が起こっていたと認定した。それでも、規制委員会は、原発の稼働を見直そうとはしていない。

福井県議会、原発立地地域への自衛隊の配備を求める意見書を可決(11月26日)

◆福井県議会は、「福井県南部(嶺南地域)には原発15基があり、弾道ミサイル攻撃の脅威にさらされている。弾道ミサイル攻撃やテロの抑止力になり、地域住民の安心を確保するために、自衛隊を配備すること」という意見書を可決し、首相、防衛相、衆参両院議長に提出した。嶺南地域への自衛隊配備については、2016年8月に当時の稲田防衛省も取り組む考えを示し、原発立地市町が、県に要望していた。
(チラシ作成者の意見:自衛隊の配備を要するような原発を即時廃止せよ。)

高浜町長、中間貯蔵県内も選択肢と発言(11月30日)

◆関電が、使用済み核燃料の「中間貯蔵施設」候補地を今年中に県外に探すと福井県に約束していることについて、高浜原発の立地・高浜町の野瀬町長は、「年内に候補地を示せないのなら、県内で核燃料を保管する選択肢も検討すべきだ」とする考えを示した。「中間貯蔵」に関しては、おおい町長も「原発構内での乾式貯蔵も選択肢の一つ」と8月28日に発言している。
(チラシ作成者の意見:使用済み核燃料プールを空けて、さらなる原発運転を可能にすることは許されない。先ず、使用済み核燃料を増やし続ける原発全廃を決定して、危険極まりない使用済み核燃料プールを空にしなければならない。また、現在科学・技術の総力を結集して、経済的利害は度外視して、使用済み核燃料の安全保管法を開発すべきである。それでも、完全な安全保管法の確立は不可能であろうが、少なくとも、東京、大阪などの大都市でも保管の受け入れが可能な方法を提案すべきである。)

2018年12月14日発行

若狭の原発を考える会(連絡先・木原壯林 090-1965-7102)


老朽高浜原発1、2号機、
美浜原発3号機の再稼動を
許してはなりません!

老朽高浜原発再稼働反対行動への
ご賛同のお願い

原発うごかすな!実行委員会@関西・福井

◆原発が人間の手におえる装置でないことは、2011年の福島第一原発事故が大きな犠牲の上に教えています。そのため、原発全廃を目指す運動が全国・全世界的に広がっています。原発の再稼働・再々稼働を許してはなりません。とくに40年という期限を越えた若狭の老朽原発・高浜1、2号機(44年、43年越え)、美浜3号機(42年超え)の再稼動は何としても阻止しなければなりません。これを許せば、全国の全ての既存原発の20年運転延長の先例になると考えるからです。

◆老朽原発を動かそうとすれば、高額の安全対策費がかかり、経済的にも成り立たないことは明らかですから、私たちの闘い如何では、再稼働阻止も実現可能であると思います。関西と福井の総力を結集して、闘いたいと存じます。

◆私どもは、来年9月~10月に再稼働が目論まれている老朽高浜1、2号機の再稼働(美浜3号機は2020年3月とも言いわれています)阻止のため、来春3月に高浜現地で、同年5月には大阪関電本店前で、全国集会(及びデモ)を企画いたしました。皆様(個人、団体)には、ぜひご賛同いただければ幸いです。なお、賛同金は不要です。

①3月24日(日) 老朽原発うごかすな!高浜全国集会

◆と き:14:00
◆ところ:高浜町文化会館(福井県高浜町)
※駐車場あり
◇集会後、デモ

②5月19日(日)老朽原発うごかすな!関電包囲全国集会

◆と き:13:00
◆ところ:関西電力本店前(大阪市北区中之島)
◇集会後、デモ

◎ ①、②とも
◆主催…原発うごかすな!実行委員会@関西・福井
◆呼びかけ

(1) オール福井反原発連絡会(原子力発電に反対する福井県民会議、サヨナラ原発福井ネットワーク、福井から原発を止める裁判の会、原発住民運動福井・嶺南センター、原発問題住民運動福井県連絡会)
(2) ふるさとを守る高浜・おおいの会
(3) 若狭の原発を考える会

◆連絡先

・林 広員(オール福井反原発連絡会)090-8263-6104
・東山幸弘(ふるさとを守る高浜・おおいの会)0770-72-3705
・木原壯林(若狭の原発を考える会)090-1965-7102,FAX:075-501-7102,E-メール:kiharas-chemアットzeus.eonet.ne.jp


3.24老朽原発うごかすな!高浜全国集会、
5.19老朽原発うごかすな!関電包囲全国集会
賛同申し込み

(下記事項をご連絡ください)

◆個人の場合…お名前、お名前公表の可否、ご住所、電話番号、E-メールアドレス(あれば)
◆団体の場合…団体名、団体名公表の可否、代表者名、担当者名、担当者ご住所、担当者電話番号、担当者E-メールアドレス
≪FAXまたはE-メールでお申込の場合は、木原壯林にお願いします(上記連絡先参照)≫


カンパのお願い

上記の「高浜全国集会」、「関電包囲全国集会」は、手弁当で準備・実施されます。
経費のご支援を戴ければ幸いです。
カンパ振込先(郵便振り込み)

加入者名:若狭の原発を考える会
口座記号・番号:00930‐9‐313644
お振込みにあたっては、通信欄に「老朽原発再稼働阻止行動へのカンパ」とお書きください。

原発うごかすな!実行委員会@関西・福井
(問合せ先:木原:090-1965-7102)