【2018年3月23日,京都キンカンで配付。】
◆福島原発事故から 7年を経ましたが、この事故は、原発が重大事故を起こせば、人の命を奪い、人の尊厳を奪い、職場を奪い、農地を奪い、海を奪い、生活基盤を奪い去ることを、大きな犠牲の上に教えました。
◆福島の事故炉は、現在でも廃炉の見通しが立たず、汚染水は垂れ流され続けています。一方、この事故で避難された10 数万人の多くは今でも故郷を奪われたままです。長期の避難生活が健康をむしばみ、家族の絆を奪い、大きな精神的負担となっています。多くの方々が、避難生活の苦痛で病死され、自ら命を絶たれました。癌の苦しみ、発癌の不安にさいなまれています。1昨年暮れのNHKテレビでも報道されましたが、福島事故から4年経った2015年から、自殺者が急増しています。原発事故でなければ、もう復興の目途が立っているはずですが、原発事故は、復興の希望をも奪っているのです。
政府は、避難者を高放射線量地域へ帰還させています。
◆そのような状況の中で、政府は、年間放射線量が20ミリシーベルト(mSv)以下になった地域(福島県浪江町、飯舘村、川又町山木屋地区、富岡町のうち、帰還困難区域を除く)の避難指示を、昨年3月31日と4月1日に一斉解除し、生活基盤も整っていない高放射線地域への避難者の帰還を強要しています。また、これ以前に、一部や全域が「避難指示解除準備区域」や「居住制限区域」であった田村市(2014年6月)、川内村(2014年10月)、楢葉町(2015年9月)、葛尾村(2016年6月)、南相馬市(2016年7月)の指定解除も行っています。これらの解除は、東電や政府の賠償負担や生活支援支出の軽減のためであり、責任回避のためです。
◆図1に避難指示が解除された地域、図2に現在の避難指示解除準備区域、居住制限区域、帰還困難区域を示します。
◆なお、政府は2015年6月に「避難指示解除の要件」を次の①~③のように閣議決定し、この決定を避難者に押し付けています。
①空間線量率で推定された年間積算線量が20 mSv 以下になることが確実であること。
②電気、ガス、上下水道、主要交通網、通信など日常生活に必須なインフラや医療・介護・郵便などの生活関連サービスが概ね復旧すること、子どもの生活環境を中心とする除染作業が十分に進捗すること。
③県、市町村、住民との十分な協議。
(本チラシ作成者のコメント:①について、政府は「年間積算線量が20 mSv 以下」が「世界の基準」としていますが、国際放射線防護委員会(IPRP)が定めた一般公衆に対する空間線量限度は年間1 mSvであり、「20 mSv以下」は最高でもこの値と言っているにすぎません。「20 mSv以下」は、人の安全と生命を軽んじる国民だましです。②が満たされたとするにはほど遠いにもかかわらず、帰還を推進しています。)
◆政府は、解除準備区域、居住制限区域、帰還困難区域を次のように定義しています。
【避難指示解除準備区域】
➔放射線の年間積算線量が20 mSv以下となることが確実であると確認された地域。当面の間、引き続き避難指示が継続されるが、復旧・復興のための支援策を迅速に実施し、住民が帰還できるよう環境整備を目指す。
【居住制限区域】
➔事故を起こした原子炉が冷温停止状態に達した後、それまでの警戒区域・避難指示区域(計画的避難区域)を見直して新たに設定されたもので、放射線の年間積算線量が20 mSvを超えるおそれがあり、引き続き避難の継続を求める地域。除染を計画的に実施して、基盤施設を復旧し、地域社会の再建を目指す。
【帰還困難区域】
➔事故を起こした原子炉が冷温停止状態に達した後、それまでの警戒区域・避難指示区域(計画的避難区域)を見直して新たに設定されたもので、放射線の年間積算線量が50 mSvを超えており、5年を経過しても20 mSvを下回らないおそれのある地域。
◆次の表に、避難指示解除から1年近く経た3月上旬の浪江町、飯舘村、川又町山木屋地区、富岡町への帰還者の状況を示します(自治体のホームページより編集)。この表には、他の市町村の状況も加えてあります。
【表】本年2月28日あるいは3月1日時点での福島県下の市町村の避難者の状況(川内市は昨年12月1日時点)
(-は、不明を示しますが、2011年3月11日の人口と現在の避難者数や現在の居住者数の比較、あるいは、現在の住民基本台帳人口と現在の居住者数の比較から、避難の現状を理解できます。)
③、②:田村市のうち、①は旧避難指示解除準備区域(20 km 圏)内について、②は旧緊急時避難準備区域(20~30 km 圏)内について。
③:南相馬市全域。
③:南相馬市のうち旧避難指示区域内について。
(本チラシ作成者のコメント:浪江町、飯舘村、川俣町(山木屋地区)、富岡町、大熊町、双葉町、葛尾村、南相馬市(旧避難指示区域内)の帰還率は極めて低く、帰還者の多くは高齢者です。)
脱原発、反原発は民意です。
◆上記のように、原発重大事故は、人々に塗炭の苦痛を与えます。一方、福島事故以降の経験によって、原発は無くても何の支障もないことが実証されました。そのため、今、脱原発、反原発は圧倒的な民意となっています。
◆若狭の原発を考える会は、毎月4日間かけて、若狭の隅から隅まで歩きながら反原発を訴え、チラシを各戸配布する、アメーバデモと呼ぶ行動を、3年以上継続し、住民1000人以上から、直接お話をうかがってきましたが、その中でも、「原発はいやだ」の声が圧倒的に多数であり、原発推進の声はほとんど聞かれていません。原発立地でも、脱原発、反原発が民意なのです。
「トラブル続きの関電」と
「戦争できる国づくりの安倍政権」が
原発再稼働に躍起です。
◆関電や政府は、原子力規制委員長までもが「安全を保証するものではない」と言う“新規制基準”に適合したことを拠り所にして、昨年、高浜原発3、4号機を再稼働させ、この3月14日には大飯原発3号機を再稼働させ、5月中旬には、4号機の再稼働を企てています。
◆脱原発、反原発の民意を蹂躙し、関電や安倍政権の利己的利益のために、人の命と尊厳をないがしろにするものです。また、脱原発に向かう、世界の潮流に逆らうものでもあります。
◆しかも、原発の再稼動を進める関電は、事故だらけで、トラブル続きの企業です。
◆関電のトラブル続きの根っこは、神戸製鋼などのデータ改ざん、日産やスバルの不正検査、米軍機や自衛隊機の相次ぐ墜落・炎上・部品脱落、JR新幹線車両の杜撰製造などと共通しています。
◆自民党政権が、50年以上にわたって続けた人間性無視の政策、すなわち、極端な合理化、派遣労働、非正規雇用の助長、過剰な科学技術依存、後先考えぬ教育破壊、労働組合破壊、農業破壊、基地拡大政策の付けが回ってきたのです。
◆一方、安倍政権は、2030年までに、いわゆるベースロード電源として、原発電力を20~22%にまで、増加させようとしています。それは、
①原発の製造と輸出によって、原発産業に暴利を与えるためであり、
②戦争になり、天然ガス石油の輸入が途絶えたときの、基盤電源を原発で確保するためであり、また、
③核兵器の原料プルトニウムを生産する
ためです。すなわち、原発の再稼働は「巨大資本に奉仕する国造り、戦争出来る国造り」の一環として行われているのです。
◆こんな社会を許してはならず、一日も早く変革しなければなりません。
原発再稼働を阻止し、
原発全廃を勝ち取りましょう!
◆原発重大事故は、職場を奪い、農地を奪い、漁場を奪い、生活の基盤を奪い去ります。重大事故が起こる前に、あらゆる手段を駆使して、粘り強く原発全廃を勝ち取らなければなりません。
◆そのために、昨年8月に結成された、大飯原発うごかすな!実行委員会は、去る10月15日に「関電包囲全国集会」と御堂筋デモを呼びかけましたが、衆院選の直前で豪雨という悪条件にも拘らず、600名もの結集を得ました。また、12月3日にはおおい町現地全国集会と青空の下の町内デモを500人の参加を得て闘いとり、本年2月25、26日には、延べ220名の参加を得て、若狭湾岸一斉チラシ配布いわゆる拡大アメーバデモと関電原子力事業本部までの美浜町内デモを貫徹しました。さらに、去る3月13日、14日には、大飯原発3号機再稼働阻止のために、それぞれ100名、70名の結集を得て、おおい町現地でのデモと原発ゲート前抗議闘争を果敢に闘いました。
◆再稼働を許したことは、本当に悔しいことですが、少人数とはいえ、現地での連続闘争を貫徹しえた意義は計り知れないと考えます。これらの現地闘争の中でも、住民からの暖かいご声援を得ることができました。原発立地と言えども、脱原発、反原発の声が多数あることを、この度も実感しました。ご参加、ご支援を戴いた皆さんに心より感謝申し上げます。
◆関電は、大飯原発4号機を、5月中旬にもに再稼働させようとしています。座視することはできません。
4月22日(日)に「大飯原発うごかすな!」関電包囲全国集会と御堂筋デモも企画しています。皆様のご参加、ご支援をお願いします。
「大飯原発うごかすな!」
4月22日(日)、関電包囲全国集会と御堂筋デモへも大結集を!
主 催:大飯原発うごかすな!実行委員会
呼びかけ:
(1)オール福井反原発連絡会(原子力発電に反対する福井県民会議、サヨナラ原発福井ネットワーク、福井から原発を止める裁判の会、原発住民運動福井・嶺南センター、原発問題住民運動福井県連絡会)、
(2)ふるさとを守る高浜・おおいの会、
(3)若狭の原発を考える会
◆関電は、大飯原発3号機を3月14日に再稼働させ、
◆5月中旬には、4号機を再稼働させようとしています。
◆断固抗議、阻止する行動にたちましょう!
・お問い合わせは右記まで;090-1965-7102(木原)、090-2741-7128(宮下)
・ご参加、ご支援、カンパをお願いします。
(カンパ郵便振込先;加入者名:若狭の原発を考える会;口座記号・番号:00930‐9‐313644:お振込みにあたっては、通信欄に「大飯原発うごかすな!実行委員会へのカンパ」とお書きください。)
2018年3月23日
若狭の原発を考える会(連絡先・木原壯林 090-1965-7102)