◆2017年を原発全廃の年へ

【2017年1月4日,若狭地域で配付。】

トラブル続きの原発再稼働

・2015年8月に再稼働した川内原発1号機は、再稼働10日後に早速、復水器冷却細管破損を起こし、高浜原発4号機は、再稼働準備中の2016年2月20日,1次冷却系脱塩塔周辺で水漏れを起こし、2月29日には、発電機と送電設備を接続した途端に警報が鳴り響き、原子炉が緊急停止しました。さらに、伊方原発3号機は、再稼働準備中の去る7月17日、1次冷却水系ポンプで水漏れを起こしました。何れも、重大事故に繋がりかねない深刻なトラブルです。

・電力会社は、一度ならず四度も、それも再稼働を進める全ての電力会社でトラブルを起こしているのです。これは、原発の点検・保守や安全維持の困難さを示唆し、配管の腐食や減肉(厚みの減少)、部品の摩耗などが進んでいること、また、傲慢で安全性軽視に慣れ切り、緊張感に欠けた電力会社が原発を運転する能力・資格を有していないことを実証しています。さらに、規制委が適合とした全ての原発が再稼働前後にトラブルを起こした事実は、原発の再稼働にお墨

脱原発、反原発は民意=社会通念であることが鮮明になりました

◆3月9日、大津地裁が高浜原発3、4 号機運転差止め仮処分を決定しました

・稼働中の原発の停止を司法が求めた世界初の決定です。この決定は、京都新聞「京都、滋賀 2016年10大ニュース」の1位に選ばれました。

・司法は、本来、社会通念すなわち民意を反映するところでなければなりません。大津地裁の決定は、脱原発、反原発が民意であることを明らかにした勇気ある決定でした。

・ところが、この決定に対して、関電は異議を申し立て、大阪高裁に抗告しました。この抗告審の決定は、2月にも出されようとしています。もし、逆転判決が出れば、2月中の再稼働の可能性があります。

・私たちは、このような状況の中で、敢然と「原発NO!」の声を関電に突きつけ、大阪高裁の決定前に、「脱原発・反原発」の断固とした民意を司法に示さなければなりません。

◆原発を主要な争点とした 鹿児島県知事選挙(7月10日)、新潟県知事選挙(10月16日)で脱原発を主張する知事が誕生しました

・この選挙結果は、原発立地県にあっても、脱原発が社会通念すなわち民意であることを実証しています。

・このような勝利にとって重要なことは、選挙そのものだけではありません。両知事選では、福島事故以降の反原発運動の高揚があったからこそ、また、原発を争点にしたゆえに勝利できたのだと思われます

・これらの選挙結果は、国民の60~80%が願う「脱原発・反原発」は、勝利の可能性が高い課題であることも示しています。

・選挙戦に勝利するには、それを支える民衆の運動の高揚が大切です。「脱原発・反原発」を掲げて、創意と工夫を凝らして、韓国のような大きな運動を展開しましょう。

◆11月22日、 ベトナムが日本からの原発輸入を白紙撤回しました

・ベトナム国会は、11月22日に、日本とロシアの受注が決まっていたベトナム初の原発建設計画を中止すること決定しました。建設コストの増大と国内財政の悪化が原因とされます。ベトナムは、国民の大きな負担となる原発建設を見直しているのです。安倍政権はベトナムを原発輸出の「モデルケース」としていましたので、ベトナムが取り消したことは、安倍政権の原発輸出戦略に深刻な打撃となります。

・福島の大惨事を経験した私たちは、原発輸出の暴挙を許さない大きな声をあげ、世界の反原発運動に連帯しなければなりません。

◆12月18日、高浜原発に隣接する音海(おとみ)地区の自治会が、老朽原発の運転延長に反対する意見書を採択しました

・高浜原発に隣接し、事故の際、陸路で避難するには原発ゲート前を通らざるを得ない[地元中の地元」音海(住民136人)地区の自治会は、40年越えの老朽高浜原発1、2号機の運転延長に反対する意見書を採択しました。12月19日毎日新聞朝刊は、3、4号機の抗告審の結審が近いことに関連して、この採択が「考えてもらうのに良い時期だ」とする住民の意見も報道しています。

・原発全廃を訴える私たちにとって、本当に嬉しい出来事でした。

・音海地区の住民は、早速の22日、反対を明記した看板を釣り場や県道脇に設置しました。

◆12月9日、経済産業省は、東電福島第1原発の廃炉、賠償などの事故対策費用が、従来想定の11兆円から21兆5千億円に倍増することを公表しました

・燃料デブリ(溶け落ちて固まった核燃料)の取り出し作業や除染作業の困難さ、賠償費の見込み違いとされる。廃炉にとって、デブリ取出しは当然の作業であり、十分な賠償は東電や国の責任であるにもかかわらず、その経費の想定を誤った彼らの杜撰(ずさん)さは許されるものではありません。なお、原発の廃炉費は、原発を持つ電力会社が自社の電気料金収入からまかなうのが原則で、福島第一原発も例外ではありませんが、9日に示された金額はその域を大きく超え、東電や政府は新たな国民負担(電力料金に添加、税金の投入など)を求めています。4月の電力自由化で参入した「新電力」にも負担を求めるとしています。

・ところで、本年度の日本の税収は約58兆円ですが、これに比べても、20数兆円の事故対策費が国民の大きな負担であることは明らかです。それでも、政府、規制委員会、電力会社は、原発の再稼働に躍起です。もし、次の原発重大事故が若狭で起これば、100 km 圏内にある京都府、滋賀県の全域、大阪府のかなりの部分、1,450万人の水源・琵琶湖が汚染されかねません。福島事故では、50 km 離れた飯舘村も全村避難でした。このことを考え合わせれば、若狭の原発事故では、数百万人が避難を強いられ、故郷を失う可能性があります。被曝なしでの避難は、到底不可能で、事故対策費は数百兆円を超えるとも考えられます。そうなれば、国の経済は疲弊し、国民の生活が蹂躙(じゅうりん)されます。

◆12月21日、政府は、「もんじゅ」廃炉を正式決定しました

・「もんじゅ」は、多くの技術的な無謀性、困難性、危険性の指摘を無視して、約6,000億円をかけて建設され、1991年に運転を開始しましたが、1995年にナトリウム漏れ事故を起こし、2010年には重さ3トンの炉内中継装置の落下事故を起こし、近年は1万件を上回る点検漏れを指摘されています。「もんじゅ」は、今までに、少なくとも1兆2千億円を浪費し、今でも年間200億円を無駄遣いしています。それでも、運転に漕ぎ着けられない「もんじゅ」が、現代科学技術で制御できる装置ではないことは明らかです。その「もんじゅ」を、「夢の原子炉」と偽って国民を騙し続けようとするから、事故や点検漏れが多発し、事故や違反を隠ぺいせざるを得なかったのです。

政府は、看板の掛け替えによって、高速炉を維持し、核燃料サイクルを推進しようとしています。「もんじゅ」の廃炉は、長期にわたる粘り強い反対運動の成果ですが、喜んでばかりはいられません。

・政府は、破綻した「もんじゅ」だけを切り捨て、それによって原子力政策への不信の矛先をかわし、別の高速炉計画を立ち上げ、荒唐無稽な核燃料サイクルをさらに推進し、全ての原発のプルサーマル化によって、プルトニウム利用に突っ走ろうとしています。とくに、原子力政策全般を取り仕切る経産省は、「もんじゅ」なしでも成立する核燃料サイクルのシナリオをアピールし始めました。「もんじゅ」で制御不可能が実証された高速増殖炉についても、これを断念するどころか、「高速炉開発会議」を新設して、その開発計画を存続させようとしているます。また、高速増殖炉、高速炉の存続とプルトニウム利用のために、使用済み核燃料の再処理を含む核燃料サイクルを推進しようとしています。その具体例として、超老朽高速実験炉「常陽」の再稼働、フランスの高速炉(アストリッド)での共同研究への参加などを目論んでいます。なお、アストリッドの開発費は総額約5700億円を要する(今後膨れ上がる可能性あり)とされ、フランス政府は、日本に半額負担を要請しています。

2017年を原発全廃の年へ!経済優先の安倍政権と決別し、
人が大切にされる社会を創ろう!

若狭の原発を考える会(連絡先・木原壯林 090-1965-7102)
配布協力:再稼働阻止全国ネットワーク