◆[報告]8/8 『原発の電気は高くつく』大島 堅一 さん学習講演会

◆「原発の電気はいらない署名@関西」として取り組んでいる「原発の電気はいらない署名」。これをさらに進めようということで,8月8日ひと・まち交流館京都に大島堅一さん(龍谷大学政策学部教授)を招き学習講演会「原発の電気は買わない!原発の電気は高くつく」を行いました。

◆最初に,同署名の世話人である吉田明生より,署名運動の意義や経過を説明。昨年春の電力自由化で電力会社が選べるようになった中で,昨年秋から「原発が再稼動されれば新電力に移る」等と宣言する署名に取り組み,さらに大阪高裁で高浜原発再稼動容認の仮処分決定が出た今年3月末から,「原子力発電は止めてください。原発の電気は使いたくありません」と宣言する署名を開始。これまでに4491筆の署名が集まり,8月10日には関電本店に第1弾として署名を提出しに行くことが報告されました。

◆次いで,同署名の世話人で「使い捨て時代を考える会」相談役の槌田劭より「脱原発への“関ヶ原”」と題して,関電の経営危機と再稼働の危険について話されました。電力自由化で約90万軒が割高な関電から新電力に移った。とくに高浜再稼働が具体化した時期に関電離脱が急速に進んだ。福島事故以降,関電の販売電力量はどんどん減ってピークの2010年より20%も落ち,関電は中部電力に抜かれて業界3位に転落。総括原価方式のウマミが消えて,原発経費の重圧が電気料金を割高にしている。経費削減を迫られている関電は安全対策を削り,社員の過労自殺やクレーン倒壊など危険な事故が起きている。原発依存が経営リスクを生んでおり,「原発を続けるなら関電の電気は買わない」と主張することが脱原発に効果的な情勢になってきている。

◆そして大島堅一さんの講演。原発の電気がいかに「高くつく」のかがあらためてよくわかりました。原発の電気は事故前の実績でも,発電だけでなく現地買収や事故コストを加えれば,13.3円/kWh。発電コストだけですむ火力(9.9円/kWh)や水力(3.9円/kWh)と比べて最も高い。しかも福島の事故コストはわかっているだけでも23.4兆円(リニア東京大阪間の建設費が8兆円)。50~70兆円にもなる可能性がある。原発は世界的には安全対策の費用がかかりすぎて撤退を強いられている。電事連でも「原発をやめれば電気代が下がる」ことを認める発言もあり,また今後は原発ゼロで電力が安定供給できるという試算も出ている。自由化で高い電気料金を維持できなくなった電力会社は,送配電部門を独占し,託送料金への上乗せで福島事故の賠償・廃炉費用の一部を新電力にも負担させて回収しようとしている。福島事故では,汚染者負担が原則なのに,いつの間にか,受益者負担にすり替わっている,などなど。
(8月26日まで託送料金問題のパブコメ実施中!ぜひ書きましょう!→検索用語「電気事業法施行規則」等の一部改正に対する意見の募集について)

◆とくに印象に残った四点。
(1)関電の場合,料金を下げる方法は二つあるが,再稼働する場合だけを主張している。原発をやめても料金を下げることは可能だが,関電はそれは計算していないとのこと(本当かな?)。ちゃんと計算して提示して欲しい。
(2)ドイツの話。電力単価がかなり低下(太陽光は8円/kWhを切っている),電気の価値にも影響するほど。オフグリッド(電力網=グリッドから離脱)の流れができている。太陽光パネルは安価になり,あとは蓄電池。
(3)同じくドイツ。放射性廃棄物処分のための省庁をつくり,国民全体で決める体制のもと,22世紀から処分を始める計画とのこと。
(4)電力のことは,儲け,競争で考えてはいけない。未来の生きものがずっと生きていけるために,電気がどう必要か,再エネでも持続可能性が求められる。

◆会場からも質問がいっぱい出て,盛りだくさんでとても書ききれませんが,たいへん勉強になりました。「危険なうえに高くつく原発の電気を買うのはもうやめましょう!」。皆さん,署名をどんどん広めて,脱原発を実現しましょう。署名用紙については,末尾記載のWeb,FAX,Mailでお問い合わせください。またオンライン署名は Change.orgへ。さらに詳しくは同署名のWebへ。(いずれも「原発の電気はいらない署名」で検索可)。

(報告:藤井悦子,吉田明生)