老朽原発うごかすな!実行委員会」カテゴリーアーカイブ

◆「若狭の原発を考える会」は今年も闘いました

【2017年12月29日、京都キンカンで配付。】

「若狭の原発を考える会」は今年も闘いました
ご支援ありがとうございました

ここに、本年の「若狭の原発を考える会」の活動の主なものをご報告し、感謝申し上げます。
原発全廃を目ざす来年の活動への一層のご支援をお願いします。

1.50日間アメーバデモを行い、
約7万枚のチラシを各戸配布しました

原発立地でも脱原発、反原発が多数の願いであり民意です

◆アメーバデモは、関西や福井から原発立地の若狭に集まり、3~4人がグループになり、徒歩で、鳴り物を鳴らしながら、「反原発」の旗を掲げ、肩にかけたスピーカーで呼びかけながら、チラシを若狭、京都府北部、滋賀県北部の隅から隅まで配る行動です。通常は、2グループ程度ですが、多いときには、全国からの応援を得て、10グループ以上になることもあります。毎月2回・計4日間かけて行い、今年は約7万枚のチラシを配布しました。

◆私たちは、このアメーバデモをすでに3年以上継続し、お会いした住民1000人以上から、直接お話をうかがってきましたが、その中でも、「原発はいやだ」の声が圧倒的に多数であり、原発推進の声はほとんど聞かれていません。原発立地でも、表には現れていないけれども、脱原発、反原発が多数の願いであり、民意なのです。

2.原発電気の消費地・大阪での関電包囲全国集会とデモ

3月28日、大阪高裁第11民事部は、高浜原発3、4号機の運転差止めを命じた大津地裁20l6年3月9日仮処分決定、および、これに対する関電の異議を退けた同裁判所7月12日決定を取り消しました。大阪高裁の決定は、関電、政府、原子力規制委員会の主張のみを追認し、圧倒的多数の脱原発・反原発の民意を踏みにじり、人の生命と尊厳をないがしろにするものです。

◆関電は、この裁判の中で、原子力規制委員長までもが「安全を保証するものではない」と言う“新規制基準”を「安全基準」とし、原発に「絶対的安全性を求めるべきではない」と主張しています。さらに、「原発は安全であるから、“新規制基準”に避難計画は不要」としています。

◆一方、大阪高裁は、新規制基準が不合理であるとするのなら、住民側がそれを立証しなければならないとしています。司法制度の根幹を自ら否定する判決です。

◆この決定に先立つ1月22日、「若狭の原発を考える会」は、「原子力発電に反対する福井県民会議」(以下 「福井県民会議」と略)などと共に、「高浜原発うごかすな!関電包囲全国集会」を呼びかけ、実行しました。中之島での前段集会には400人が参加しました。集会後には荒天の中、デモで西梅田へ向かいましたが、参加者は600人に膨れ、関電包囲集会には1000人の参加を得ました。

◆大阪高裁決定直後の4月2日、「福井県民会議」の呼びかけで「高浜原発うごかすな!実行委員会」を結成しました。この会の実務は「福井県民会議」と「若狭の原発を考える会」で担うことになりました。

4 月27 日、「高浜原発うごかすな!実行委員会」主催で、700 名の参加の下、怒りの「高浜原発うごかすな!関電包囲全国集会」と御堂筋デモを行いました。

8月11日、「福井県民会議」と「若狭の原発を考える会」との呼びかけで 「大飯原発うごかすな!実行委員会」が結成されました。
10月15日「大飯原発うごかすな!実行委員会」の主催で、「10.15大飯原発うごかすな!関電包囲全国集会」と御堂筋デモが、衆院選挙の最中、豪雨にも拘らずNHK発表で600 人(主催者発表500 人)の参加を得、大飯原発再稼働反対!原発全廃!を訴えました。

3.原発現地・若狭での集会、デモ、セミナー

5月7日、「高浜原発うごかすな!実行委員会」主催で、「高浜原発うごかすな!高浜集会」と高浜町内デモを400人の参加で貫徹しました。集会に先だち、高浜原発ゲート前では、抗議集会と申入れを行いました。デモでは、町民からのご声援が多数あり、参加者一同感激しました。

5 月8~12 日、「高浜原発うごかすな!高浜―福井リレーデモ」と「沿線13自治体への申入れ」を行いました。出発集会には約l00人、延べ400人が参加しました。申入れでは、福井県を除く自治体は、おおむね丁寧な対応をし、原発の安全性、避難の困難さなど、原発への懸念が表明されました。とくに、立地自治体でない市町村からは脱原発に近い反応もありました。治道などからは温かい声援、カンパなどを多数戴きました。

5月17日の高浜原発4号機再稼働当日、「若狭の原発を考える会」の呼びかけで、正午より夕刻まで、現地デモ、原発ゲート前集会、申入れを行い、再稼動に断固とした抗議をしました (100人参加)。
6月6日の高浜原発3号機再稼働当日、「若狭の原発を考える会」の呼びかけで、早朝から高浜町役場にビラ入れ、街宣(関東からを含む20人参加)、午前中、原発周辺、東舞鶴でアメーバデモ (関東からを含む20人)、午後、現地デモ、集会、申入れを行い、原発再稼働の暴挙を糾弾しました (l20人参加)。

8月4日、高浜町で、「講演・討論会in 若狭」“原発にたよらない町づくりを目指して”を「若狭の原発を考える会」の主催で開催しました。本年4月発売の『なぜ「原発で若狭の振興」は失敗したのか』の著者・山崎隆敬さんおよび韓国で脱原発運動を進める青年3人に講演を戴きました。会場 (60人定員)は溢れんばかりの盛況でした。講演・討論会終了後には、「キャンプat若狭和田ビーチ」が企画され、韓国、福井、滋賀、京都、大阪、兵庫、徳島、福島、関東などからの参加を得て、脱原発の議論と交流が続きました。

9月8日、おおい町議会の大飯原発3、4号機再稼働同意に抗議する行動が、町役場前および議場で行われました。若狭の原発を考える会の呼びかけで42人が参加しました。

9月21日、MOX燃料の高浜原発到着の当日、福井県民会議と若狭の原発を考える会の呼びかけで、早朝より抗議行動が30人の参加を得て行われました。

12月3日、大飯原発1、2号機の廃炉が決定的になり、3、4号機再稼動の策動が神戸製鋼のデータ改ざんの余波で2ヶ月遅れたとはいえ、3、4号機再稼働が来年3、5月に企まれていることに鑑み、「大飯原発うごかすな!実行委員会」主催で、おおい町現地全国集会と町内デモが、500人の大結集をえて貫徹されました。デモ時には、町民から多くのご声援を得ることが出来ました。

来年を
原発ゼ口元年にしましょう!

2017年12月29日

若狭の原発を考える会(連絡先・木原壯林 090-1965-7102)

◆使用済み核燃料プールが危ない

【2017年12月15日,京都キンカンで配付。】

使用済み核燃料プールが危ない

たまり続ける使用済核燃料

◆原発を運転し、ウラン酸化物燃料やウラン-プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料を核反応(燃焼)させると、核燃料の中に運転に不都合な各種の核分裂生成物(死の灰)やマイナーアクチニド(ネプツニウム、アメリシウムなどのウランより重い元素)が生成する。したがって、核燃料を永久に使用することは出来ず、一定期間燃焼(核分裂)させ、一部のウランやプルトニウムが燃焼した段階(大部分のウランやプルトニウムは未反応のまま)で、新燃料と交換せざるを得なくなる。そのため、使用済み核燃料がたまる。

◆使用済み核燃料は、原子炉に付置された水冷式の燃料貯蔵所(沸騰水型では燃料プール、加圧水型では燃料ピットと呼ぶが、ここでは、両者ともに燃料プールと呼ぶことにする。このプールには新燃料も保管する)で保管し、放射線量と発熱量がある程度低下した後、空冷式容器(キャスク)に移されて、再処理工場にある貯蔵施設(日本では、青森県六ケ所村) に運ばれることになっている。再処理工場では、燃料棒を切断して、鞘(さや)から使用済み核燃料を取り出し、高温の高濃度硝酸で溶解し、ウランやプルトニウムを分離して取り出し、新しい燃料に加工する。ただし、再処理工程では、それまで閉じ込められていた放射性物質が放出されることになり、危険度は、とんでもなく高い。そのため、すでに2兆2千億円をつぎ込んだにもかかわらず、再処理工場の完成の目途(めど)は立っていない。危険極まりないこの工場の運転は不可能と言われている。したがって、使用済み核燃料のほとんどは、全国の原発の燃料プールに保管されている。

全国の使用済核燃料プールは満杯に近い

◆現在、日本には使用済み核燃料が17,820 トン以上たまり(2016年9月)、3,000トンが六ケ所村の再処理工場に、残りが全国の原発に保管されていて、全国の貯蔵場所の73%が埋まっている。原発が順次再稼働した場合、数年後には満杯になる。使用済み核燃料を消滅させる方法はない。福井県にある原発13基が持つ使用済み核燃料貯蔵施設の容量は5,290トンで、その7割近くがすでに埋まっている。高浜、大飯、美浜の原発が再稼働されれば、7年程度で貯蔵限度を超え、原発の稼働は出来なくなる。

危険な使用済燃料プール

以下、燃料プールについて考察する。広瀬 隆著「白熱授業 日本列島の全原発が危ない!」を参照した。

◆燃料プールは、上の概念図のように、原子炉の上部横に設置されていて、水で満たされている。原子炉圧力容器中の使用済み核燃料を燃料プールに移送するにあたっては、原子炉上部の原子炉ウエルに水を満たした後、圧力容器の上蓋を空け、クレーンで圧力容器内の燃料棒を釣り上げる。沸騰水型では、プールゲートを開けて、燃料棒をプールに移動させ、プール内のラックと呼ばれる仕切りの中に納める。加圧水型では、燃料棒を原子炉ウエル中で横にして、トンネルを潜(くぐ)って燃料プールに移し、プールで直立させて、ラックに納める。プール中の水は、冷却材の役目だけでなく、放射線遮蔽材の役目も果たし、その水深は燃料棒の上端から7~8 m 程度である。

使用済み燃料プールの水が減少すれば、燃料溶融に至り、核爆発を起こす。

◆燃料プールは、圧力容器から取り出した核燃料を何の防御もないプールで保管しているのであるから、「むき出しの原子炉」とも考えられ、脆弱(ぜいじゃく)で、冷却水を喪失し、メルトダウンする危険性が高い。例えば、地震によって、燃料プールの水位が下がって、燃料が水から顔を出すと、水が沸騰を始め、無くなる。そうすると、ジルコニウム合金の燃料被覆管が燃え上がり、発生した水素が爆発する。この状態になると、燃料は溶融し、核爆発に至る。直近の原子炉本体も制御困難になる。

福島第1原発4号機の燃料プールは、崩壊の危機にあった。

◆福島原発事故当時、4号機の燃料プールには、使用済み核燃料1,535体が保管されていた。含まれる放射性物質の量は、事故で放出された放射性物質の量の27倍と推定されている。この4号機では、水素爆発のために、プールの下の支えが破壊され、プール崩壊寸前であったが、コンクリートで補強して危機を回避した。当時、近藤俊介原子力委員長は、管直人首相に、プール崩壊による「首都圏壊滅」の最悪の事故シナリオを伝えていた。東電は、事故から3年8ヶ月後にやっと使用済み燃料の全てを取り出し、別のプールに移した。移送前に大地震が無かったから、「首都圏壊滅」を免れたともいえる。

リラッキングによって、燃料プールはさらに危険になっている。

◆核燃料は、一定の量を接近面核分裂連鎖反応を始める。したがって、燃料プール内では、ラックといわれる仕切りを用いて、燃料棒集合体の間隔を確保して、臨界反応(核爆発)を回避している。ところが、使用済み核燃料の行き場に困窮した電力各社は、このラックを改造(リラッキング)して、燃料棒間の距離を近づけ、燃料棒をぎゅうぎゅう詰めにしてしまった。例えば、高浜原発3、4号機では、2005年と2006年にリラッキングし、プールの貯蔵能力を2.67倍に増やしている。プールで核爆発が生じる危険性は極めて大きくなったと言える。

福島第1原発3号機では、燃料プールで核爆発した?

◆2011年3月14日に起こった3号機の爆発では、最初に黄褐色の炎が出た後、大爆発の煙が猛烈な勢いで真上に上がり、キノコ雲となり、雲の中から黒い塊がバラバラと降った。このように、ウラン-プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料の3号炉では、2段階の爆発が起こったが、後の爆発の特徴は、核爆発の可能性を強く暗示している。降下物は核燃料と考えられるが、高放射線のため、詳細は未解明である。推定される経過は、
①まず、前段の爆発(水素爆発)で、燃料プールが激震し、
②ラックに異変が生じ、燃料棒集合体間の距離が近づき過ぎて、
③臨界核爆発に至った、というもの。
他のシナリオは、
①燃料プールの水が沸騰状態にあったとき、水素爆発が起こり、
②その衝撃で水中の気泡が消え、中性子の減速効果が高まり(中性子の速度が減速すると、核反応が生じやすくなる)、
③出力が急上昇し、核分裂に至った、
というもの。

加圧水型原発の燃料プールは、沸騰水型のそれより、格段に危険。

◆関電が所有する若狭の原発のような加圧水型原発の燃料プールは、さらに危険である。先述のように、使用済み核燃料は、過熱と高放射線を避けるために、水中を潜(くぐ)って燃料プールに移送される。加圧水型での移送は、燃料集合体を一旦横に寝かせて、トンネルを経て運ばれる。これは、放射性物質を閉じ込める格納容器に大きな穴を開けられないためである。この燃料交換作業が煩雑であることは言うまでもないが、原発重大事故時に、燃料をプールに迅速移送することも困難である。また、移送中に大地震が起れば、トンネル内で燃料が立ち往生する、また、トンネルが塞がれば、燃料移送が不可能になる。さらに、そのようなトラブルの間に、プールの水が漏れだせば、重大事故に至る可能性が大きい。

使用済み混合酸化物(MOX)燃料の発熱量は、ウラン燃料に比べて、格段に下がり難い。

◆使用済みMOX燃料の発熱量は下がり難いため、長期にわたってプール内で水冷保管しなければ(使用済みウラン燃料の4倍以上)、空冷保管が可能な状態にならない。また、取り出し後50年~300年の使用済みMOX燃料の発熱量は、使用済みウラン燃料の発熱量の3~5倍であり、使用済みMOX燃料の発熱量を、50年後の使用済みウラン燃料の発熱量レベルに下げるには300年以上を要する。燃料プールは脆弱であり、冷却水を喪失しやすいことは、福島原発4号機のプールが倒壊寸前であった事実からも明らかである。保管の面からも、MOX燃料によるプルサーマル運転を許してはならない。

一刻も早く原発を全廃し、燃料プールを空にしよう!

提案;東京や大阪で保管しても安全な使用済み燃料乾式保管法を開発せよ。

◆人類は、原発を運転するという、大きな過(あやま)ちを犯してしまった。この原発を全廃するには、生じた使用済み核燃料、放射性物質の処理と保管にについて、考えざるを得ない。これらを、盥(たらい)回しをしていても、原発廃炉は進まない。以下は、使用済み燃料、放射性廃棄物をどう保管するかについての提案である。

①まず、原発の廃炉を決定する。使用済み核燃料、放射性廃棄物を増やしてはならない。原発は、重大事故対策費、使用済み燃料の処理・保管費を考えると、経済的にも成り立たないことは明らかである。

②原発から取り出した使用済み核燃料を、耐震性、耐災害性を強化した使用済み燃料プールで一定期間保管。現在のプール
では、保管中に発生する大災害に耐えられない。改造しても、安全なプールの建設は不可能。

③使用済み核燃料は、プールで一定期間保管後、放射線量、発熱量の減少した燃料は、一刻も早く空冷保管する。前述のように、燃料プールは、極めて不安全であるから、一刻も早くこれを空にし、使用済み核燃料をより安全性の高い空冷容器(キャスク)で乾式貯蔵する。空冷保管法は、膨大な費用がかかっても、東京や大阪のような都市(原発電気の消費地)で保管しても不安が無いような、頑丈なものを開発する。例えば、厚い不銹鋼(ステンレス)でできた2重、3重の容器に入れ、2重、3重におおわれた気密性建屋に保管する。都市で、人の監視下にあることも重要。

④危険極まりない使用済み燃料プールを一日も早く空にする。プールを空けて、新しい使用済み燃料を入れ、原発を継続させようとする策動を許してはならない。

⑤使用済み核燃料は再処理はせず、放射性廃棄物は、できるだけコンパクトなものとし、少量に分けて、③に順じた方法で厳重保管をする。再処理のように使用済み核燃料を溶解することは廃棄物を増やすだけ。ガラス固化は安全でもなく、将来、別の保管法が見つかったとき、放射性物質を取り出して、新保管法を適用できない。


火山大国、地震大国に原発があってはならない。

広島高裁が、伊方原発の運転を差止め!
(高裁では初めて:意義は計り知れない)

◆去る13日、広島高裁(野々上友之裁判長)は、四国電力伊方原発3号機の運転を9月末まで差し止める決定をした。期限付きとはいえ、反原発、脱原発の圧倒的な民意を尊重した画期的な決定である。他の原発裁判に与える影響は大きく、反原発、脱原発を熱望する多くの人々に大きな勇気と感動を与えるものである。

◆この抗告審の中で、広島高裁は、伊方原発が阿蘇カルデラから130 km の距離にある点を重視し、同カルデラで大規模噴火が起きると「火砕流が到達する可能性が小さいとはいえず、伊方は原発立地に適さない」とした。原子力規制委員会(規制委)には「火山ガイド」と呼ばれる安全審査に関する内規がある。その中では、原発から160 km 以内に位置し、活動の可能性がある火山については、その活動の大きさを調査し、火砕流が原発に到達する可能性が小さくないと評価されたときには、原発の立地を認めないとしている。

◆広島高裁は、四国電力が実施した伊方原発内の地質調査やシミュレーションを検討し、約9万年前の阿蘇カルデラ噴火で火砕流が伊方原発敷地内に到達した可能性は小さいとは言えないとし、四国電力の想定は過小だと判断した。最大級の噴火で無い場合でも、大量の火山灰が降り積もり、原発の運転は不可能になるため、立地は不可としている。規制委自身の内規に照らし合わせた、極めて明快な判断である。

◆福岡高裁宮崎支部は、昨年4月に、同じ問題意識をもちながら、正反対の結論を出している。宮崎支部は、「火山ガイド」を知りながら、このガイドに従って論理を展開することはせず、原発推進が「社会通念」であるとして、脱原発、反原発の民意を蹂躙した。

◆広島高裁決定の持つ意義は、次の点で極めて大きい。

第1に、今回の決定は、火山大国である日本の原発の何れにも当てはまることである。火砕流であれば、九州、東北、北海道で起こり得る。火山灰であれば、全国のどの原発にも降り注ぐ。

第2に、伊方原発3号機を「新規制基準」に適合とした、規制委審査に不合理があるとした点である。電力会社の側に立った審査を行い、原発推進に突っ走る規制委の姿勢を指弾(糾弾)している。


人類の手に負えず、人類に不要な原発を動かして、
大きな犠牲を払うこと、
事故の不安に慄(おのの)くことはありません!
一刻も早く、原発全廃を勝ち取りましょう!

2017年12月15日

若狭の原発を考える会(連絡先・木原壯林 090-1965-7102)

◆「12.3大飯原発うごかすな!現地全国集会」報告

◆12月3日の集会には、全国各地から約500人が参加され、北海道から鹿児島までの全国の原発立地、若狭湾沿岸の京都北部と若狭、福井県北部、関西各地の市や町の代表、労働組合の代表、裁判を闘う弁護団などから力強い「大飯原発うごかすな!」のメッセージが発せられました。集会後には、絶好のデモ日和の下、約1時間の町内デモが断行され、おおい町内に「大飯原発うごかすな!」、「原発全廃」の声が響きわたりました。デモに手を振って下さる住民もそこここで見かけられました。
◆以上、ご報告申し上げます。ご参加、ご支援を戴きました皆様には、心よりお礼申し上げます。
◆10月15日の「大飯原発うごかすな!関電包囲全国集会」と昨日の現地集会の大きな成果の上に、若狭の原発の全廃を勝ち取りましょう!
(若狭の原発を考える会 木原壯林)


◆以下2紙で報道されました。



◆決議文  大飯原発再稼働の策動を糾弾し、原発全廃を求める!

原発は、事故の多さ、事故被害の深刻さ、使用済み燃料の処理や保管の困難さなど、あらゆる視点から、人類の手に負える装置ではありません。福島の事故炉は、現在でも廃炉の見通しが立たず、汚染水は垂れ流され続けています。避難された人々は、除染が進んだとするには程遠く、高放射線でインフラも整備されていない故郷への帰還を強要されています。

一方、福島事故以降の経験によって、原発は無くても何の支障もないことが実証されました。したがって、原発を運転する必要性は全く見出だせません。不要な原発を稼働させて、事故のリスクに怯える必要はないのです。

そのため、最近のほとんどの世論調査でも、原発反対は賛成の2倍以上となっています。脱原発、反原発が多数の人々の願いであり、民意であることを示しています。

それでも、関電は、原子力規制委員長までもが「安全を保証するものではない」と言う“新規制基準”に適合とされたことを拠り所にし、また、原発に「絶対的安全性を求めるべきではない」と主張して、去る5月、6月に、高浜原発4、3号機を再稼働させました。

一方、関電は、来年早々の大飯原発3、4号機の再稼働を企てるのみならず、40年超え老朽原発・高浜1、2号機、美浜3号機の再稼動をも画策し、「原発銀座・若狭」の復活を狙っています。脱原発、反原発の民意を蹂躙し、経済的利益のために、人の命と尊厳をないがしろにするものです。また、イタリア、ドイツ、リトアニア、ベトナム、台湾、スイス、韓国が脱原発に向かい、アメリカでも原発からの撤退が相次いでいるという、世界の潮流に逆らうものでもあります。

政府と関電は、若狭の原発を次々に再稼動させることによって、日本中の原発再稼働に弾みをつけ、原発依存時代の再来を狙っています。

私たちは、原発の危険性を再三にわたって指摘してきました。政府や電力会社が、この指摘を無視して、原発を運転して事故が起ったら、それは彼らの故意による犯罪です。許されるものではありません。

私たちは、去る10月15日の「大飯原発うごかすな!関電包囲全国集会」および本日の「大飯原発うごかすな!おおい現地全国集会」を突破口にして、電力会社や政府を震え上がらせるような大衆運動を高揚させ、「脱原発、反原発の民意を無視したら大変なことになる」ことを彼らに思い知らせ、あらゆる手段を駆使して、粘り強く原発全廃を勝ち取ることを決議します。

2017年12月3日

12.3大飯原発うごかすな!現地全国集会参加者一同

◆原発に関わる最近の出来事

【2017年12月1日,京都キンカンで配付。】

1.またも「原子力ムラ」体質を暴露

核ごみ処分地意見交換会に謝礼を約束した学生や原燃社員を動員

◆経産省(資源エネルギー庁)は7月28日、原発の高レベル放射性廃棄物(核のごみ)について、最終処分場の候補地となり得る地域を示した「科学的特性マップ」を公表した。日本の基礎自治体約1,750のうち、約900が安全に処分できる可能性が高い地域にあたるという。日本の陸域の約3割を占める。(チラシ作成者注;地震、火山大国に処分場適地があるはずがない:このマップには科学性のかけらもない)。経産省はマップをもとに9月から自治体への説明(意見交換会)を始め、候補地の選定作業に入っている。

◆この意見交換会の一部会場では、主催した原子力発電環境整備機構の孫請け会社が、謝礼を約束して学生を動員したことが判明した。例えば、11月6日にさいたま市で開かれた会に、1人1万円の謝礼を約束して学生12人を動員した。また、4都府県で1人当たり5千円の謝礼を約束した27人を参加させた。11月24日には、核燃料サイクル施設を運営する日本原燃の社員が「情報収集の一環」として参加していたことも明らかとなった。利害関係者の望む方向に議論が歪められる可能性が大きい。原発導入の初期から「原子力ムラ」が採用してきた常套手段(=金銭バラマキによる賛成派獲得、スパイ行為による反対派排除)をまたも採用したことになる。

2.老朽東海第2原発も運転延長を申請

老朽原発の運転延長は、安倍政権の戦争政策への迎合

◆日本原子力発電(日本原電)は、11月24日、来年11月で運転開始から40年になる東海第2原発について、20年の運転延長を原子力規制委員会に申請した。事故を起こした福島原発と同型の沸騰水型の運転延長申請は初めて。関電の老朽原発・高浜1、2号機、美浜3号機(いずれも加圧水型)の運転延長は認可されており、「原発の運転期間は減速40年」としたルールの空洞化である。これは、安倍政権が目指す「2030年にベースロード電源(チラシ作成者注;戦争するために最低限必要な電源)として、原発電力を20~22%とする」という政策に迎合するためである(チラシ作成者注;老朽原発を動かさなければ、この目標を達成できない)。

◆東海第2原発の再稼働審査は、ほぼ終了したと言われるが、安全対策費は当初想定(780億円)の2倍以上の約1,800億円に膨らんでいる。(チラシ作成者注;老朽原発再稼働は経済的には成り立たない。したがって、老朽原発再稼働は、戦争という非常時を想定したものといえる。その費用は、電気料金と税金でまかなわれる)。安全対策費高騰の主な理由は、津波対策として、盛り土ではなく、鉄筋コンクリート製防潮壁の建設が求められたこと、また、老朽原発特有の問題として、総延長400 km の電気ケーブルを燃えにくくする工事が求められたことである。日本原電は、原発専業であり、他の発電法による発電収入は得られないので、今後、資金調達能力が問題となる。なお、規制委は、安定的な資金調達が確認できない場合は、再稼働審査の合否判断をしないとしている。

◆一方、東海原発の場合、重大事故時に避難対象となる30 km 圏内の住民数が全国最多の96万人で、避難計画の策定ができる筈もなく、地元同意の見通しも立っていない。

◆関連して、10月中旬に、老朽原発・大飯原発1、2号機(1979年3月、12月運転開始)の廃炉を、関電が検討していると報道された。(遅くとも今年中に運転延長の申請が出されなければ、運転延長審査を期限内に終えることが出来ず、必然的に廃炉となる)。廃炉が決定されれば、100万キロワット超級大型原発では、福島事故炉を除いて、初である。安全対策費の高騰が理由とされる。福島事故の大きな犠牲の上に、脱原発、反原発を求める市民運動の盛り上がりがあり、福井地裁、大津地裁での原発運転を認めない画期的な判決があって、電力会社が安全対策に膨大な費用をつぎ込まなければならなくなったためであり、市民運動、裁判闘争の勝利ともいえる。ただし、老朽原発の廃炉と引き換えに、原発の建て替えや新設を企む動きもあり、警戒を要する。

3.金儲け第一の大企業、倫理や技術は崩壊し、地に落ちている

素材データの改ざん、捏造、自動車の不正検査・・・・等々

◆原発の再稼動を進める電力会社は、傲慢で、事故だらけで、たるみ切り、トラブル続きの企業である。トラブルの急増は、電力会社に限ったものではない。最近では、東芝の放漫経営、神戸製鋼、三菱マテリアルズ、東レの関連企業のデータ改ざん、日産やスバルの不正検査、在日米軍機や自衛隊機の相次ぐ墜落・炎上など、枚挙のいとまがない。

◆金儲けにのみに突っ走る、日本資本主義の倫理や技術は崩壊し、地に落ちていることを物語っている。岸、佐藤、中曽根、小泉、安倍らが、50年以上にわたって続けた人間性無視の政策、すなわち、極端な合理化、派遣労働、非正規雇用の助長、過剰な科学技術依存、後先考えぬ教育破壊、労働組合破壊、農業破壊、社会構造破壊の付けが回ってきたのだ。

データを改ざん、捏造された素材が原発や汚染水タンクにも?
玄海原発3、4号機、大飯原発3、4号機の再稼働は2か月程度遅れ

◆九州電力は、原子力規制委員会の要請で調査した玄海原発3、4号機について、原子炉格納容器の鉄筋や重要装置の溶接材などに神戸製鋼の製品が使用されていたことを確認したと発表した(11月22日。ただし、九電は、不正が確認された工場とは別の工場で生産されたものという)。このため、調査が必要となり、1月に企まれていた3号機の再稼働は2月以降に遅れることになった。3号機と同時に規制委の審査に合格した(全審査終了は9月14日)4号機の再稼働も、来年3月に企てられていたが、連動して遅れる。

◆同様に、大飯原発3、4号機でも神戸製鋼製の部品が使われていることが明らかになり(11月30日)、現在行われている「原子炉の使用前検査」が遅れるため、再稼働も2か月程度遅れ、3号機が3月、4号機が5月の再稼働になると関電が発表した。

◆一方、東京電力福島原発事故で増え続ける汚染水を敷地内で貯蔵しているタンク約850基中の約730基の「溶接型」タンクにも神戸製鋼が製造した部品が使われていることが明らかになった(11月14日。ただし、東電は、不正が確認された工場とは別の工場で生産されたものと発表)。ほとんどの溶接部で使われていて、腐蝕→破損による汚染水漏れが懸念される。

4.再稼働ありき、空約束下の茶番劇

大飯原発3、4号機の再稼働に福井県知事同意


◆11月27日、西川福井県知事は、脱原発、反原発の圧倒的な民意を蹂躙して、大飯原発3,4号機の再稼働に同意した。同知事は、判断に当たり、関電に使用済み核燃料の中間貯蔵施設の計画を具体化するよう求めていたが、11月23日に岩根関電社長が「18年中に計画を示す方針」という、実行に何の保証もない、空約束をしたことで同意に踏み切った。再稼働ありきの姿勢は明白である。なお、知事は、11月25~26日、中川原子力防災担当相、世耕経産相と会談し、2基の再稼働への理解を求められ「県民に信頼される判断をしたい」と述べていた。(チラシ作成者注;使用済み核燃料の貯蔵を喜んで引き受ける場所があるはずがない。使用済み燃料を中間貯蔵地に移し、空いた燃料プールを使って、さらに原発運転を続けようとする企みを許してはならない)。

◆2基の再稼働には、すでに、おおい町と福井県議会が同意している。この県知事の同意で、再稼働に向けた地元手続きは完了したことになり、関電は、来年1月中旬の3号機再稼働、3月中旬の4号機再稼働を企んでいる(前述のように、関電は11月30日時点で2か月遅延を発表)。地元からは、重大事故時の避難に関する不安などが、噴出している。

◆高浜原発3、4号機再稼働前の昨年8月には、「最大級の避難訓練」といわれた訓練が行われた。この訓練では、やや強い風のため、船は出せず、ヘリコプターは飛ばせなかったばかりでなく、訓練に参加したといわれる1万人弱のほとんどは自宅待機であり、実際に県外に避難したのは200数10人のみであった。それも、ピクニックにでも出かけるような避難訓練であり、原発重大事故は2度と帰れない故郷を作るという危機感は全くなかった。さらに、原発事故は、極めて広域に及び、若狭のみならず、京都、滋賀、大阪などの住民数100万人の避難の可能性、琵琶湖が汚染して、1450万人の飲用水が失われることも念頭になかった。福島事故に学んだ訓練とは、ほど遠いものであり、再稼働のための手続きとしか考えられないものであった。しかし、今回の大飯原発3、4号機の再稼働に当たっては、このような手続き的な避難訓練も行われないまま、福井県知事の同意を得ている。周辺府県や市町村の意見は、完全に無視されている。

◆大飯原発に関する緊急防護措置区域(UPZ;概ね30 km 圏内)の市町村は、原発の安全対策の推進を求め、国の避難計画などの事故対策の実効性に関する疑問や焦りも表明している。

◆大飯原発3、4号機が再稼働されれば、直線距離にして14 km しか離れていない近接した高浜原発と合わせて、2つの原発が稼働することになり、新規制基準下では初めてのケースとなる。地震や津波の被害が一方の原発だけて生じるとは考えられず、同時事故となれば、避難は一層困難になり(両原発に挟まれた高浜町役場周辺の住民は、東西どちらに逃げても事故炉に向かって逃げることになる)、原発集中立地の危険性は特に深刻である。

人類の手に負えず、人類に不要な原発を動かして、大きな犠牲を
払うこと、事故の不安に慄(おのの)くことはありません!
大飯原発3、4号機の再稼働を阻止し、原発全廃を勝ち取りましょう!


12.3大飯原発うごかすな!現地集会・町内デモ

日 時:2017年12月3日(日)13時~
場 所:おおい町総合町民センター(町役場横)、集会後町内デモ
主 催:大飯原発うごかすな!実行委員会
呼びかけ:原子力発電に反対する福井県民会議、若狭の原発を考える会、ふるさとを守る高浜・おおいの会


STOP! 伊方原発 高松集会

日 時:2017年12月10日(日)13時~
場 所:高松市JR高松駅前広場、集会後デモ
主 催:四国4県共同主催[脱原発アクションin 香川、グリーン市民ネットワーク高知、原発さよなら四国ネットワーク(愛媛)、脱原発市民ネットワーク徳島]


上記の2集会には関西からバスを配車します。乗車ご希望の方は、下記連絡先(木原)まで。


2017年12月1日発行

若狭の原発を考える会(連絡先・木原壯林 090-1965-7102)

◆大企業や大組織が次々に不正・トラブル

【2017年11月10日,京都キンカンで配付。】

教育破壊、労働環境破壊、社会構造破壊の付けが回ってきた

◆近年、大企業や大組織の不正やトラブルが急増している。「もんじゅ」の1万件近い点検漏れ、三菱自動車の燃費データ改ざん、東芝の放漫経営、クレーン倒壊など関電の考えられないほど稚拙な多数のトラブル、タカタの不良品製造による経営破たん、原子力機構のプルトニウム杜撰管理・汚染事故、神戸製鋼のデータ改ざん、日産、スバルの無資格検査、在日米軍機や自衛隊機の相次ぐ墜落・炎上など、枚挙のいとまがない。

◆金儲けのみに突っ走る日本資本主義の倫理や技術は崩壊し、地に落ちていることを物語る。岸、佐藤、中曽根、小泉、安倍らが、60年にわたって続けた人間性無視の政策、すなわち、極端な合理化、派遣労働、非正規雇用の助長、過剰な科学技術依存、金融(株価)操作、後先考えぬ教育破壊、労働組合破壊、農業破壊、社会構造破壊の付けが回ってきたのである。

素材メーカー・神戸製鋼所のデータ改ざんの影響は深刻

◆神戸製鋼所は10月8日、自動車や航空機などに使われている製品の一部について、強度などを示す検査証明書のデータを書き換え、契約した製品仕様に適合しているように見せかけて出荷していた不正が判明したと発表した。

◆データが改ざんされていたのは、2016年9月から17年8月末までに神戸製鋼が出荷したアルミ製品や銅製品など。広報担当者によると、同社がこの期間に出荷したアルミ・銅製品の4%に相当し、出荷先は約200社に上る。共同通信によれば、不正は組織的に約10年前から行われていたという。中には、東京電力福島第二原発へ納入された銅合金の配管もあったが、東電は「未使用で、発電所の安全に問題はない」としている。

◆神戸製鋼所はさらに10月13日、アルミ製品などで発覚した一連の検査データの改ざんが新たに9製品であったことを発表した。また、それまで否定していた主力の鉄鋼事業でも不正があったことも明らかにした。問題のあった製品の出荷先は国内外の約500社に広がっている。

◆神戸製鋼所の製品を使用する会社は、国内外の航空機、自動車、鉄道、造船、原子力など極めて広分野である。航空機では三菱重工、自動車ではトヨタ、マツダ、スバルなど、鉄道ではJR東海(新幹線)などが含まれる。

◆神戸製鋼所では、10月26日、新たな不正がまた発覚し、一部の銅製品で日本工業規格(JIS)の認証が取り消された。同社は不正があった製品の納入先の8割超で安全性を確認したと発表したが、新たな不正が次々に見つかる事態となり、信用失墜は免れず、取引先が発注先を他社に変更する動きが広がる可能性がある。海外では米司法当局が調査に乗り出し、罰金や制裁金を科されるリスクもある。

◆JIS認証を取り消されたのは、子会社の「コベルコマテリアル銅管」が生産した熱交換パイプに使われる銅管で、「強度の下限を外れたのに数値を書き換えていた」という。認証取り消しにより同社はこの銅管にJISマークを表示できなくなる。

アルミ、銅、鉄鋼などの素材は、極めて多彩な製品に使われるから、素材の性質に関するデータの改ざんは、広範な「ものづくり」の信頼失墜を招き、製造業の根底を揺るがしている。したがって、この不正は、日本資本主義崩壊の引き金になりかねない

【神戸製鋼所】
■ 神戸の総合商社「鈴木商店」が鉄鋼会社「小林製鋼所」を買収し、1905年に「神戸製鋼所」として創業した。鉄鋼業界では新日鉄住金、JFEスチールに次ぐ国内3 位。事業の多角化を進めており、鉄鋼やアルミ・銅などの「素材事業」、建設機械などの「機械事業」、「電力事業」を3 本柱に据えている。登記上の本社は神戸市。東京都品川区にも東京本社を置く。安倍晋三首相が79年から3年間、社員として在籍していた。2017 年3 月期の連結売上高は1兆6958億円、最終(当期)損益は230億4500万円の赤字。赤字は2年連続。連結従業員数は3万6951人(17年3月末)。

神戸製鋼所のデータ改ざんの深刻さ

◆神戸製鋼所のデータ改ざんは、次のような深刻な問題を含んでいる。
[この件について、Yahoo知恵袋でのtheworldmayumiさんの質問(10月9日)に対するjinszqnさんの回答(10月15日)を参照した。]

  1. 神戸製鋼所でデータが改ざんされた期間、対象となった製品などを特定できるか。できなければ、リコールなどの対応が困難。また、データがねつ造された製品について、実際に測定された強度データはあるのか。測定データがあれば、対処の仕方も考えられるが、なければ、どう対応するかの方針も立たない。
  2. さらに深刻な問題は、
    • ①神戸製鋼所製というだけで、全ての製品が信用されなくなる。
    • ②仮に強度値が実際上は安全な範囲にあっても、自動車や飛行機など、あらゆる製品を、そのまま使い続けることには不安が伴うし、品質違反になってしまう。そうなれば、全面リコール。特定部品の交換ならまだしも、全ての製品を作り直すことになり、パニック。神鋼製品の受入先も、リコール対応のために工数(仕事量)を割かなければならなくなる。
    • ③神戸製鋼所には、与えられた仕様を達成できる技術がないと疑われる。
  3. 分析値などの改ざんを見抜くことは、かなり難しい。分析者の良心にかかる。例えば、分析を依頼した測定会社が測定値を保証するはんこをついた分析値を持って来たら、普通はそれを信用する。会社の内部に品質管理部門があって、そこが定期的に抜き打ち検査してクロスチェックしていない限り、改ざんを見抜けない。もし、会社ぐるみで、経営のためにデータ改ざんに目をつむる体質があれば、事態は極めて深刻である。

神戸製綱所は原子炉も作っている会社

◆神戸製鋼所は、同社のウエブサイトで、次のように原子力への貢献を宣伝している。『神戸製鋼グループは、鉄鋼、溶接、アルミ・銅などの「素材系事業」、産業機械 、建設機械、資源・エンジニアリング、環境ソリューションなどの「機械系事業 」を中心に、さまざまな事業を展開し、社会の根幹を支える「ものづくり力」の推進 、強化に取り組んでいます。地球温暖化対策としてさまざまなエネルギーが見直されるなか、原子力産業はエネルギー供給の中核として、今後益々その重要性を増し、より一層の信頼性 、安全性の確保が求められます。神戸製鋼グループは、この分野においても「ものづくり力」を発揮し、独自の特色ある「オンリーワン」を追求し、これらを通じてグローバルな社会貢献を目指していきます。』

◆以下は、ウェブサイトで紹介されている神戸製鋼グループの宣伝する「独創的な技術力」である。

  • ジルカロイ被覆管[世界有数のジルカロイ被覆管メーカー]
  • 原子炉・圧力容器部材、格納容器部材[神戸製鋼グループ製作による世界最大級の13,000トンの大型水圧プレスおよび独自開発の特殊鍛造技術によって、原子炉容器用部材をはじめ蒸気発生器用部品などを製造。高級鋼板は、製品質量最大 33トン、幅最大 4,500 mm、長さ最大25,000 mmまで製造可能であり、格納容器などに使用できる。]
  • 原子炉機器用材料[総合素材メーカーとして原子炉や周辺機器用に様々な材料を供給。例えば、制御棒駆動用ステンレス鋼管、給水加熱器用ステンレス鋼管、蒸気タービンブレード材、チタン製冷却管、原子炉・炉内構造物や冷却水循環用ポンプ部品、各種熱交換器伝熱管、各種の原子炉機器に使用される厚鋼板、溶接材料など]
  • 原子炉機器[PWR用上蓋、湿分分離加熱器等の熱交換器類、電気ボイラー、水電解式高純度水素酸素発生装置など]
  • 溶接材料と技術[原子炉圧力容器の製造から原子力施設の建設まで、溶接材料は幅広く使用されており、国内のほとんどの原子力プラントへの納入実績があり、海外の原子力プラントでも溶接材料を採用]
  • 原子炉建設に係る材料・機器、周辺機器[原子力発電所や原子力関連施設の建設に必要な鉄筋の材料、建設工法の開発、原子炉建屋の建設に必要な厚鋼板、建設工事を支援する超大型クローラクレーンや各種油圧ショ ベル、汎用圧縮機など]
  • 使用済燃料SF等の輸送・貯蔵[鍛造材料、ホウ素含有材料および溶接等の製造技術を組み合わせ、SFおよび放射性廃棄物の輸送・貯蔵容器の設計・製造。原子力発電所から再処理施設等へのSF輸送用大型鍛造キャスク200 基以上の出荷実績。ガラス固化体輸送容器も納入。高性能ホウ素材料の開発・製造、PWR 炉水用にも供給]
  • 再処理関連の原子力プラントと設備[日本原子力研究開発機構東海再処理工場(TRP)では、低レベル放射性廃棄物処理技術開発施設等の気体・液体・固体状の各種廃棄物を対象に多数の処理設備・プラントの建設実績、日本原燃六ヶ所再処理施設(RRP)では、チャ ンネルボックス等の放射性廃棄物の遠隔ハンドリングと処理・貯蔵システムを開発・供給、使用済燃料ジルカロイ被覆管剪断片、廃ヨウ素フィルタ等の減容・安定化処理の開発]
  • 原燃サイクル関連の原子力プラントと設備[RRPでは使用済燃料輸送容器保守施設を建設、日本原子力研究開発機構東海研究開発センターには可燃物の焼却炉と雑固体のプラズマ溶融炉を納入、TRPでは、酸回収蒸発缶を製作]
  • 放射性廃棄物の処理処分[各種の水中ロボットによる減容処理装置や焼却炉前処理設備をはじめとする発電所廃棄物の処理システムを供給、低レベル放射性廃棄物(LLW)や高レベル放射性廃棄物(HLW)の処分場で使用する処分容器を試作、地下深部の環境を模擬した地下環境シミュレーション設備]
  • 核融合・ビームライン(非磁性鋼材、超電導線材および超電導マグネットを供給、大強度陽子加速器施設(J-PARC)ビームラインの機器として、 高速、低 速チョッパー、真空散乱槽などを供給)

(チラシ製作者注;原発の本体や部品に使われている素材や製品の検査データは改ざんされた可能性がある。)

神戸製鋼所製品の関わる原子力関係トラブルの例

◆神戸製鋼所は、原子力関係への材料供給でも以下の例のようなトラブルを引き起こしていた(順不同)

  • 福島第二原発に出荷されていた二次系配管の一部について、長さのチェックを手抜き。
  • ウラン濃縮プラント用遠心分離器材料の検査データを捏造。
  • 東北電力女川1号機の使用済燃料チャネルボックスで不適正溶接に起因する腐蝕(2016年6月)。使用済燃料プールに貯蔵保管している全ての燃料集合体861体中9体(6体が神戸製鋼所製)のチャンネルボックス(燃料集合体を覆うジルコニウム合金でできた四角い筒で、燃料集合体内の冷却材流路の確保、制御棒のガイドなどの機能を持つ)上部のクリップといわれる部分に欠損があることを確認された。溶接が不適切であったため、腐蝕が発生し欠損に至ったもの。
  • 使用済燃料輸送容器中のレジンを含む遮蔽材を、検査データを改ざんして取り付け、出荷(1998年)。
    (円柱状の使用済燃料輸送容器は強度部材は鋼鉄製だが、中の使用済燃料から出る中性子を遮蔽する材料としてレジンを使っている。高分子化合物であるレジンは大量の水素原子を含むため、中性子を効率よく遮蔽できる。)

原子力規制委員会(規制委)は、
稼働中の原発の即時停止と
全原子力施設の総点検を指導せよ!

◆神戸製鋼所の供給部品を使っていない原発はおそらく日本には一つもない。部品の中には、安全上重要な機器類を構成するものも多い。再検査は必須である。規制委に、現在動いている原発を即時停止させること、全ての原発の検査を実施すことを要求しよう!

◆「新規制基準」には、原発で検査偽装やデータ改ざん、検査しないで出荷された製品が使用されていても、原発の運転停止を命じる明確な規定はない。しかし、原発が原子炉等規制法の定める検査をせず(検査合格証を得ず)に動かした場合は、直ちに運転の停止を命ずる規定があるから、メーカーが製品出荷検査を偽装したり行わなかったりしたら、その段階で直ちに運転の停止をすることと、メーカーに全賠償責任を負わせるようにすべきである。


12.3大飯原発うごかすな!現地集会・町内デモ
大飯原発3,4号機の再稼働を阻止し、
1,2号機の即時廃炉を実現するために、
ご結集下さい

日 時:2017年12月3日(日)13時~
場 所:おおい町総合町民センター(町役場横)、集会後町内デモ
主 催:大飯原発うごかすな!実行委員会
呼びかけ:原子力発電に反対する福井県民会議、若狭の原発を考える会、ふるさとを守る高浜・おおいの会
京都、大阪、滋賀、兵庫からバスを配車する予定です(下記連絡先にお問い合わせください)。
連絡先:橋田090-5676-7068(京都・大阪)、木戸(恵) 090-9213-7395(滋賀)、高橋 090-5886-8364(兵庫)


2017年11月10日

若狭の原発を考える会(連絡先・木原壯林 090-1965-7102)

◆12.3 大飯原発うごかすな!現地全国集会の案内

  • 時間…13:30~
  • 場所…おおい町総合町民センター(おおい町役場横)
  • 集会後,デモ。
  • 主催…大飯原発うごかすな!実行委員会
  • 呼びかけ…原子力発電に反対する福井県民会議,若狭の原発を考える会,ふるさとを守る高浜・おおいの会
  • 連絡先:宮下正一(原子力発電に反対する福井県民会議),木原壯林(若狭の原発を考える会)
  • 集会チラシ,くわしくは→こちら
  • 参加方法については ↓ ↓ 。ただし,下記メールでも可。
    滋賀→木戸さん。keikokido@maia.eonet.ne.jp
    京都・大阪→橋田さん。dkddw406@kyoto.zaq.ne.jp

◆関電、大飯原発1,2号機を廃炉?

【2017年10月27日,京都キンカンで配付。】

関電、大飯原発1,2号機を廃炉?

危険な原発の運転は、経済的にも成り立たない

◆10月17日~18日、報道各社は、「関電が、稼働して40年近くになる大飯原発1、2号機(両機とも出力は117.5万キロワット)の廃炉を検討している。これから2千億円を超えるとも言われる安全対策費を投じても、採算が取れない恐れが出ているため。11月中にも判断する見込み。」と発表した。この2基の原発は、構造が特殊で、安全対策工事に多額の費用を要することが廃炉に向かう一因である。ただし、関電は17日、「大飯1、2号機の運転方針に関する報道は、当社が発表したものでなく、廃炉の方針を固めた事実はなく、現在、原子炉設置変更許可申請の準備を進めている」と発表している。

◆東日本大震災後、原発の運転期間は原則40年と決められたが、政府は、最長20年の運転延長も認めている。大飯1号機は2019年3月に、2号機は2019年12月に稼働40年を迎えるが、それまでに「新規制基準」による運転延長審査が終了しなければ、自動的に廃炉となる。この審査には最短でも1年数か月を要するので、関電が近日中に運転延長申請をしなければ、大飯1、2号機の廃炉は決定される。なお、大飯1、2号機廃炉の報道について、福井県とおおい町は、「寝耳に水」とし、「地元に説明なく、廃炉を検討しているのであれば、立地自治体軽視。」とコメントしている。

大飯原発1,2号機は、特殊な構造をしていて、安全対策費がとくに膨らむ

◆原子力規制委員会(規制委)は、10月18日、重大事故時に格納容器(原子炉本体と重要機器を覆っている容器)の破損を防ぐための新たな炉内冷却装置の設置を義務化することを決めた。とくに、沸騰水型は、格納容器の容積が比較的小さく、冷却機能が失われると炉心温度の上昇で、内圧が高まりやすい。現行の規制基準では放射性物質(とくにヨウ素)を除去しながら内部の空気を外部に排気(ベント)するフィルター付きベント装置の設置などの対策を求めている(しかし、実際には設置を猶予している)。この日の会合で、規制委は、全ての沸騰水型と、格納容器の小さい加圧水型・大飯1、2号機に対し、格納容器内の水を外部で冷やして循環させながら原子炉の冷却に使う装置の設置を義務付ける案を提案した。事故時には、まず、この循環冷却装置を使用し、事態が収束しない場合には、フィルター付きベントを使用するとしている。この循環冷却装置は、柏崎刈羽原発6、7号機、東海第2原発が設置を決めている。

◆大飯原発1,2号機は、加圧水型であるが、すでに「新規制基準」審査に合格している3、4号機(加圧水型)に比べると、格納容器の体積が半分余りと小さいので、事故の際、沸騰水型と同様に炉心温度の上昇によって内圧が高まりやすく、格納容器を冷す対策をより厳しく行わなければならない。ただし、さまざまな機器や設備が入った狭い格納容器内での、配管の補修などの安全対策工事は難しい。一方、格納容器を覆う天井の厚さは、3、4号機の20%余りの30 cmほどで、事故の際、外部に放射性物質が漏れないようにするために天井を厚くする工事も必要である。

◆大飯原発1、2号機は、国内では例を見ない「アイスコンデンサー方式」といわれる過酷事故時冷却装置を採用している。格納容器の周りに設けられた1,944本のバスケットに、ブロック状の氷を入れ、事故時に発生する蒸気を急速に冷却し、圧力を下げて、格納容器の破損を防ぐ仕組みである。アイスコンデンサーには、計1,250トンの氷を常備している。格納容器を小さく抑えたため、過酷事故時に格納容器内の温度および圧力が上昇し易い原子炉で、アイスコンデンサーが有効に働かなければ、格納容器破損の恐れがあり、関電が1、2号機の審査を申請すれば、「アイスコンデンサー方式」の有効性が争点になり、規制委が大規模な改修を迫る可能性は高い。なお、大飯原発3、4号機には、格納容器のコンクリート壁内部にPC鋼撚(よ)り線(高強度線;テンドン、ピアノ線とも呼ばれる)を入れて、予め格納容器全体を締め付けておき、事故時に発生する圧力に耐える「プレストレスト・コンクリーㇳ(PC)方式」が採用されている。

原発廃炉の流れ

◆現在までに廃炉が決定されている原発は、美浜1号機(34万キロワット)、美浜2号機(50万キロワット)、伊方1号機(56.6万キロワット)、島根1号機(46万キロワット)、玄海1号機(55.9万キロワット)、敦賀1号機(35.7万キロワット)の6基であり、大飯1、2号機のような100万キロワット超の大型原発の廃炉は、事故を起こした東電福島第一原発を除いて、初めてである。100万キロワットを超える大型老朽原発の廃炉が決定されれば、老朽原発は規模を問わず廃炉となる可能性が高くなり、安倍政権の「2030年までに、ベースロード電源として、原発電力を20~22%とする。」という原発戦略にも影響する。それでも、関電にとっては、経営的に「背に腹は代えられない。」というところであろう。

◆原発比率を20%にするには、30基程度の再稼動が必要であるが、国内の原発45基のうち規制委の「新規制基準」審査に合格しているのは7原発14基で、再稼働した原発は5基のみである。福島第2原発を含む19基は再稼働申請をしていない。福島事故以降に規制基準が強化され(それでも、安全を保証するものではない!)、安全対策費が大幅に膨らんだことで、電力各社は、比較的古い原発の再稼働コストを見極めようとして躊躇しているのが実情である。

◆なお、関電は、高浜原発1~4号機、大飯原発3,4号機、美浜原発3号機の7基を動かすために8,300億円を投じる計画であるが、さらに大飯原発1、2号機を動かせば、額が1兆円以上に膨らむ。関電は、2基を動かして、火力発電の燃料費を減らしても、安全対策費に見合うメリットはないとの判断に傾きつつある。(今になって、安全対策費に多額を投入しなければならない事実は、福島事故以前には、原発が、極めて不安全な状態で運転され続けていたことを実証している。)

膨大な費用がかかるのは、安全対策費だけではない

◆関電が大飯原発1、2号機の廃炉に向かっているのは、事故を防止するための対策費が膨大なると考えたからであるが、原発運転には、重大事故は無くても、膨大な使用済み燃料、放射性廃棄物の処理・処分・保管費がかかる。また、福島原発のような過酷事故が起れば、その対策費は天文学的金額になる。これらを勘案すれば、原発は経済的にも成り立たないことは明らかである。

電力会社が老朽原発再稼働を躊躇する原因は、経費の問題だけではない

◆福島原発事故以降のほとんどの世論調査でも、原発反対は賛成の2倍以上となっていて、脱原発、反原発が多数の人々の願いであり、民意であることを示している。規制委や電力会社といえども、この民意を無視することはできず、極めて不十分ながらも、安全性対策を強化しなければならず、それに多額を投じなければならないのである。原発全廃のために、原発事故の回避のために、脱原発、反原発の民意をさらに拡大しよう!

◆福井地裁の樋口判決、大津地裁の山本判決は、脱原発、反原発の民意を代弁し、脱原発、反原発を願う人々に大きな感動と勇気を与えた。一方、電力会社にとっては、運転中であっても運転中止を求めることができる司法の判断、いわゆる「司法リスク」に戦々恐々としなければならない事態となった。この「司法リスク」を避けるためにも、電力会社は安全対策を強化しなければならず、老朽電発の運転を躊躇せざるを得ないのである。「司法リスク」をさらに拡大しよう!

◆電力の地域独占の時代は終わり、家庭向け電力販売自由化で他業種からの参入が進み、激しい競争の中で、大手電力九社からの顧客流出が拡大している。脱原発、反原発の民意が顧客流出を加速している。再稼働すれば、経営が上向くという「経営神話」は、原発の「安全神話」と同様に崩壊している。関電を例にとれば、その発電量のうち、原発電力の割合は、福島事故前は40%程度であったが、福島事故後、企業や家庭で節電が進み、関電の16年度の電力販売量は、10年度の20%減となった。電力販売自由化で顧客流出が続く17年度には、さらに6%減が見込まれている。大飯の2基を廃炉にしても供給には余力がある。(それのみならず、原発は無くても電気は足りることは、経産省の外郭団体まで、公表している。)

脱原発は世界の潮流

◆世界では、多くの国が福島原発事故を当事国・日本より深刻に受け止めている。そのため、周辺住民の反対運動、訴訟などが活発化し、また、安全対策などで原発の建設費、維持費、安全対策費、事故保険などが高騰して、原発はビジネスとしての魅力を失っている。さらに、自然エネルギーやシェールガスによる発電が進み、発電法、蓄電法が高効率化したこと、節電の機運が醸成されたことがあいまって、脱原発に舵切る国が増え続けている。イタリア、ドイツ、リトアニア、ベトナム、台湾が脱原発に向かい、スイスが国民投票で原発新設を禁止した。また、韓国でも、40年超え古里原発1号機の永久停止を決定し、 2基の建設を中断した。アメリカでも、安全対策に膨大な経費が掛かり、他電源に比べても経済的にも成り立たない原発からの撤退が相次いでいる。

◆今、原発を推進しているのは、電力需要が急増している中国などの新興国と、人の命と尊厳は犠牲にしても、経済的利益を優先させようとする日本やフランスである。日本は、原発輸出を成長戦略の一つに挙げているが、この戦略が破綻していることは、東芝破綻の例を挙げるまでもなく、明らかである。

老朽原発の廃炉を進めて、原発の新増設への反発を弱めようとする策動を許してはならない。
安倍政権の原発推進政策を断固阻止しよう!

◆安倍政権は、なくても何の支障もないことが福島原発事故以降の経験によって実証され、経済的にも成り立たないため、電力会社まで、撤退しようとしている原発を、強引に動かそうとしている。それは、

①使用済み核燃料や事故による損失を度外視すれば安上がりな原発電力によって、電力会社や大企業を儲けさせるためであり、
②原発の輸出によって、原発産業に暴利を与えるためであり、
③戦争になり、石油や天然ガスの輸入が途絶えたときの基盤電源を原発で確保するためであり、
④また、核兵器の原料プルトニウムを生産するためである。

すなわち、安倍政権下での原発の再稼働は、「巨大資本に奉仕する国造り、戦争出来る国造り」の一環として行われている。

◆安倍政権の一部には、この政策の実現のために、原発の新設、増設を推進しようとする動きもある。また、老朽原発の廃炉を進めて、原発新増設への反発を弱めようとする狙いも見え隠れする。原発新増設の策動を許してはならない。


ご報告とお礼


人類の手に負えず、人類に不要な原発を動かして、
大きな犠牲を払うこと、
事故の不安に慄(おのの)くことはありません!

1、3月ともいわれる大飯原発3、4号機の再稼働を断固阻止し、
原発全廃を勝ち取りましょう!


12.3大飯原発うごかすな!現地集会・町内デモ

日 時:2017年12月3日(日)13時~
場 所:おおい町総合町民センター(町役場横)、集会後町内デモ
主 催:大飯原発うごかすな!実行委員会
呼びかけ:原子力発電に反対する福井県民会議、若狭の原発を考える会、ふるさとを守る高浜・おおいの会


2017年10月27日

若狭の原発を考える会(連絡先・木原壯林 090-1965-7102)

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◆原発のない町づくりを進めよう。

【2017年10月13日,京都キンカンで配付。】

大飯原発、玄海原発、伊方原発、柏崎刈羽原発の再稼働を許さず、
原発のない町づくりを進めよう

反原発・脱原発が民意です

◆原発重大事故の悲惨さは、福島原発事故が、大きな犠牲の上に教えるところです。一方、福島事故以降の経験によって、原発は無くても不都合がないことが実証されました。したがって、原発を運転する必要性は見出だせません。反原発は社会通念=民意 となっています。各種報道機関の世論調査でも、原発反対が賛成のほぼ2倍です。原発立地・若狭、伊予にも、脱原発、反原発の声は多数あります。新潟県民は、原発再稼働に慎重な知事を選んでいます。

世界も脱原発に向かっています

◆世界では、多くの国が福島原発事故を当事国・日本より深刻に受け止めています。また、安全対策などで原発の建設費、維持費が高騰したこと、自然エネルギーやシェールガスによる発電が進み、発電法、蓄電法が高効率化したこと、節電の機運が醸成されたことがあいまって、脱原発に舵切る国が増え続けています。イタリア、ドイツ、リトアニア、ベトナム、台湾が脱原発に向かい、スイスが国民投票で原発新設を禁止しました。また、韓国でも、40年超え古里原発1号機の永久停止を決定し、 2基の建設を中断しました。アメリカでも、安全対策に膨大な経費が掛かり、他電源に比べても経済的にも成り立たない原発からの撤退が相次いでいます。

◆今、原発を推進しているのは、電力需要が急増している中国などの新興国と、人の命と尊厳は犠牲にしても、経済的利益を優先させようとする日本やフランスです。日本は、原発輸出を成長戦略の一つに挙げていますが、この戦略が破綻していることは、東芝破綻の例を挙げるまでもなく、明らかです。

重大事故が起る前に、
原発にたよらない町づくりを始めましょう

◆上記のように、国内でも、世界でも、脱原発は大きなうねりです。したがって、近い将来に、原発のない社会がやってきます。それなら、重大事故の起こる前に原発を全廃するのが賢明です。一日も早く、原発にたよらない町づくりを進め、現在および未来の人びとにとって、不安のない、希望あふれる社会を実現しましょう!

◆以下に、山崎隆敏著『福井の原発これまでとこれから』(サヨナラ原発福井ネットワーク)、山崎隆敏著『なぜ「原発で若狭の振興」は失敗したのか -県民的対話のための提言』(白馬社)、脱原発を考える四万十・耕地会議『フクシマそしてクボカワ』(高知新聞総合印刷)などを参照・引用して、原発が如何に地域振興を阻害するかを考察します。

原発は地域を豊かにするか?

◆次の表 1に、原発立地自治体(茨城県東海村)と原発のない自治体(三重県菰野町;こものちょう;隣は四日市市)の財政、福祉予算、教育予算が比較してある。両自治体の人口はほほ同様である。

●表 1 東海村と菰野町の財政、福祉、教育予算の比較

◆東海村には、原発、原子力機構、原子力企業に加えて、火力発電所や企業も多い。そのため、同村の自主財源は潤沢で地方交付税不交付団体であり、一般会計予算も、菰野町に比べて、原子力関係収入分だけ多い。それでも、菰野町より、健康保険、介護保険関係予算は少なく、手厚い教育になっているとは言えない。

◆なお、東海村は例外的に人口が増えている。他の原発立地自治体は、栄えているとは言えない。それまで地域を支えてきた産業は、ほとんど消えている。

◆次の表 2に、原発立地自治体と非立地自治体の製造品出荷額および人口が、原発建設以降どう推移したかを示してある。

●表 2 1965年→2001年の製造品出荷額の増加率と人口推移(出荷額の単位;億円)

【注】大飯町と名田庄町は2006年に合併しておおい町に、
三方町と上中町は2005年に合併して若狭町になった。

赤字*で示した原発立地自治体では、製造業の1965年から2001年の36年間での伸び率が、明らかに低い。人口の推移と原発の相関は顕著でない。

◆次の表 3に、原発が立地する嶺南(福井県のうち、若狭湾の沿岸で、敦賀市より南西の地域:江戸時代の小浜藩にほぼ街頭)と原発のない嶺北(福井県のうち、南越前町より北東の地域)の製造品出荷額および人口が、原発建設以降どう推移したかを示してある。

●表 3 1966年→2012年の製造品出荷額と人口の推移:嶺南と嶺北の比較(出荷額の単位;万円)

◆原発が立地する嶺南では、製造業の1966年から2012年の46年間での伸び率が低いことが「嶺南/嶺北の比」、「一人当たりの額」の変化から明らかである。人口の推移と原発の相関は顕著でない。

◆次の表 4に、原発が立地する嶺南と原発のない嶺北の観光客入込数(訪れた観光客の数)が原発建設以降どう推移したかを示してある。

●表 4 1968年→2002年の観光客入込数の推移:嶺南と嶺北の比較

◆美しいリアス式海岸や名所旧跡の多い嶺南は、本来は、漁業や観光で十分生活できる地域である。その嶺南への観光客入込数の伸び率が低いことが「嶺南/嶺北の比」の変化から明らかである。原発依存に偏重して、地場産業の育成や観光資源の活用がおろそかにされたのではなかろうか。

◆次の表 5に、福井県の財政を福井県と同程度の人口を有する徳島県の財政と比較してある。

●表 5 福井県と徳島県との財政比較(単位:億円)

【注】県税収入の( )内は電力会社からの法人県民税、法人事業税、核燃料税の合計。国庫支出金の( )内は電電源3法交付金。

◆徳島県には、( )内に示した原子力関連収入がないが、地方交付税交付金でその分を補てんできることがうかがえる。

若者、ファミリー世代の農山漁村への移住希望が増え、
30代女性の多くが「農山漁村での子育て」を志向している。
しかし、原発立地は選ばれない。

[明治大学農学部・小田切徳美教授の講演「田園回帰が創る地域の未来」報告(米田怜央氏)から引用]

●表 6 国民の農山漁村地域に対する意識(内閣府世論調査)(単位:%)

●都市からの移住者は5年間で4倍に

  • 20~30歳代を中心に農山漁村への定住希望者(とくに女性)の割合が上昇し、多くが農山漁村が子育てに適していると考えている。
  • 農山漁村では「ナリワイ」の多業化が進み、物を育て(第1次産業)、加工し(第2次産業)、販売する(第3次産業)いわゆる第6次産業を志向する移住者が多い。
  • I ターン(都市出身者の農山漁村への移住)がUターン(故郷である農山漁村への帰還)を刺激している。
  • 「地域づくり(磨き)」と「田園回帰」の好循環による地域づくりが求められている。
  • 食糧消費額74兆円と国内食用農水産物生産額9兆円の差65兆円が、第6次産業の経済規模となり得る。現在、自給率は12%であるが、これを増やすことが、新しい社会と生き方を作る。

以上のように、農山漁村が注目されているが、原発立地を選択するはずがない。原発を全廃すれば、安心して、移住できる町づくりを進めることが可能になる。事故が起ってからでは遅すぎる。一日も早く原発を全廃しよう。


10.15大飯原発うごかすな!関電包囲全国集会

集会後御堂筋デモ。ご結集をお願いします。

日 時:2017年10月15日(日)13時~14時45分
場 所:関西電力本店前(大阪市北区中之島3丁目)
主 催:大飯原発うごかすな!実行委員会


2017年10月13日

若狭の原発を考える会(連絡先・木原壯林 090-1965-7102)

◆柏崎原発再稼働を許すな

【2017年10月6日,京都キンカンで配付。】

柏崎原発再稼働を許すな!

東電に原発を動かす能力はなく、
規制委に再稼働を云々(うんぬん)する資格はない。

◆原子力規制委員会(規制委)は、10月4日、東電柏崎刈羽原発6、7号機の審査で、重大事故対策が新規制基準に適合しているとする「審査書案」を了承した。事実上の再稼働審査合格で、東電の原発としても、福島事故炉と同型の沸騰水型原発としても初めての再稼動承認である。今後、1カ月のパブコメを経て、年内に正式決定の見通しという。

◆政府、規制委、電力会社は、これを皮切りに、次々に沸騰水型原発を再稼働させようとしている。

ころころ変わり、結局は「再稼働ありき」の規制委判断。

◆規制委の田中委員長は今年7月、小早川智明社長ら東電の新経営陣を呼び、「福島原発の廃炉をやりきる覚悟と実績を示さなければ原発を運転する資格がない」とし、福島第一原発の汚染水対策などを主体的に取り組むよう求め、東電の社会的・道義的責任を問う姿勢を示した。ところが、田中委員長は、8月に東電が社長名で「主体的に関係者に向き合い、廃炉をやり遂げる」、「福島原発の廃炉と柏崎刈羽の安全性向上を両立させる」という内容の文書を規制委に提出するや、これをあっさり受け入れ、「決意表明」の文書だけで、東電は原発運転に適格とした。この文書には、東電の決意は書かれていたが、具体的な汚染水対策、廃炉作業の説明はなかった。

◆規制委の更田豊志新委員長は、9月22日の就任会見で、「福島に対する思いを持ち続け、最善をつくす」とは述べたが、東電の「決意表明」をどのような尺度で受け止め、どう評価するのかの説明はなかった。

◆一方、9月26日、東電福島第一原発1,2号機の廃炉工程が3年遅れることが明らかになり、9月28日、福島第一原発1~4号機周辺の地下水くみ上げ井戸の水位計設定のミスによって、4月から高濃度汚染水が外部に漏えいしていた可能性が大きいことが明らかになり、東電もそれを認めた。それでも、更田委員長は「技術的に再稼働の能力があるか否かだけで判断した」と釈明し、適格性議論を抜きに、「新規制基準」適合と判断した。再稼働ありきの規制委の姿勢は許されるものではない。

◆なお、東電は、福島事故に伴う損害賠償や・汚染水処理、除染などの費用を自力で工面できていない。そのような東電に巨大なリスクを抱える原発を新たに動かす資格などない。想定の2倍の21兆5千憶円に膨れ上がった福島事故処理費は税金や電気料金で賄われるが、再稼働によって事故が起きれば、さらに過酷な国民負担を強いられることは明らかである。

柏崎刈羽原発6、7号機は、新潟中越沖地震で破損し、
何度も放射能漏れを起こした原発で、活断層の真上に建設されている。

◆2007年7月16日に新潟中越沖地震が発生した。この地震の強さ(加速度)は、2,058ガルで、東電が想定していた834ガル(設計値)を大きく超えた。そのため不均等地盤沈下が起こり、3号機の変圧器では火災が発生した。消火は困難を極め、鎮火まで2時間を要した。一方、6号機では制御棒2本が引き抜けなくなり、緊急時の手順を適用して、同年11月27日にやっと引き抜けた。7号機の排気塔からは、7月18日夜までの間、放射性ヨウ素の放出が検出された。操作ミスよって、タービンの軸を封じる箇所から、復水器内の放射性物質が排気塔に流れでたためと報告された。

◆この他、次のトラブルも報告されている。
10月17日、炉内点検中の7号機で、制御棒1本が引き出せないことが判明した。

10月21日、点検中の7号機の原子炉建屋2階で、コンクリート壁にひびが入り、放射能を含んだ水が漏れだしているのを作業員が発見した。水は、巾約1ミリ、長さ約3.5メートルのヒビからもれていて、検査の結果、250ベクレルの放射能が検出された。

2009年5月、7号機で、緊急時に炉内に冷却水を送る冷却系などに不具合が生じる事故が起きた。

◆このように危険な柏崎刈羽原発の再稼働は、「胴体着陸した飛行機を再度飛行させるようなものだ」と言える。

◆なお、活断層の専門家・渡辺満久氏は、2007年9月、地球観測衛星「だいち」のデータを分析して、「柏崎刈羽原発は、活褶曲(しゅうきょく)という地形の下に潜む断層の真上にあるようだ」と発表している。

地元自治体は、「柏崎刈羽原発再稼働の必要性はない」と批判。

◆米山隆一新潟県知事は、今年4月、医師団体の会合に招かれ、「(原発は〉地域経済の貢献が大きいという話もあるが、なくてはならないものではない」、「東電が目指す6、7号機の再稼働を中止した場合に失われる利益は、農業や製造業の活性化で補完したい」と述べた。また、九電川内原発の再稼働を容認した三反園鹿児島県知事が「原発を止める権限はない」と話した点について、「『権限がない』と知事がいうのは困る。法的にも、知事には住民の安全を守る義務があり、東電と新潟県を結ぶ協定を根拠に、運転停止を求めることが出来る」と説明した。さらに、「もう1回事故が起きれば、人も、お金も対処できなくなり、日本が終わるというのを肝に銘じるべきだ」と原発の再稼働を批判した。

◆9月6日、規制委による柏崎刈羽6、7号機の「新規制基準審査」は適合の目途となった。これに対し、米山隆一知事は、新潟県独自で行っている福島第一原発事故の検証作業が終わるまでは、再稼働の議論に応じない方針を示した。また、地元の東電不信も根強く、米山知事は、「こちらとして(再稼働を)認めると言うつもりはない」と断言した。

◆一方、篠田 昭 新潟市長は9月7日の記者会見で、「東電には世界最大級の原発を再稼働して欲しくない。無理筋だ」と述べ、「福島第一原発事故を起こした東電は、原子力事業者としての適格性に欠ける」との考えを強調した。さらに、篠田市長は、2007年の中越沖地震による柏崎刈羽原発で起きた火災が鎮火するまでに長時間を要したことを挙げ、「日本海側に人が来なくなるような大変な風評被害を受けた」と指摘した。「規制委は、『安全』の面で判断されると思うが、県民と市民は安心感を持てない」とし、規制委は、県民や市民の立場には立っていないと批判し、再稼働に反対するとともに柏崎刈羽原発を廃炉にすべきとの考えを改めて示した。

政府、規制委は次々に沸騰水型原発を再稼働させようとしている。

◆柏崎刈羽6、7号機の再稼働を許せば、運転を休止中の他の沸騰水型原子炉の再稼働を認めてしまうことになりかねない。

◆更田規制委員長は、柏崎刈羽原発に導入する「新冷却装置」を全ての沸騰水型原発に義務付け、「新冷却装置」導入を条件に、女川原発(東北電力)、浜岡原発(中部電力)、志賀原発(北陸電力)、島根原発(中国電力)など、沸騰水型原発を目白押しに「新規制基準」適合とすることを目論んでいる。「福島に対する思い…」と述べた更田委員長の本心が見えてくる。なお、「新冷却装置」は、重大事故によって格納容器内の圧力が高まったとき、格納容器が破裂するのを防ぐための循環冷却システムであり、規制委は、フィルター付きベントに代って、第一の選択肢と位置付けている。単なる目新しさで国民を騙すもので、これによって、重大事故が防げるものではない。

◆福島原発事故から6年半経った今でも、汚染水は垂れ流され、廃炉作業は延期の連続で、何一つ解決していない現状で、危険極まりない原発の再稼働を行なおうとする国、東電、規制委を許してはならない。

(以上、若狭の原発を考える会・木戸惠子)

「新規制基準」は「安全基準」ではない!

◆前規制委員長までもが「“新規制基準”は安全を保証するものではない」と明言している。それでも、規制委、政府、電力会社は、“新規制基準”適合を原発再稼働認可と同等に扱っている。また、原発に「絶対的安全性を求めるべきではない」と主張し、「原発は安全であるから、“新規制基準”に避難計画は不要」とする電力会社は、“新規制基準”を「安全基準」と宣伝している。「新しい安全神話」を作ろうとするものであり、電力会社や原発産業の利益のために、人の命と尊厳をないがしろにするものである。「新規制基準」や規制委の審査は、極めて非科学的であり、欺瞞である。

1.新基準では「過酷事故も起きうる」ことを前提とした安全対策(?)を導入したという。

◆福島原発事故以前には、過酷事故を考えていなかった。また、炉心損傷に至らないとした設計基準を採用していた。「新規制基準」では、それを改めたという。新規制基準では、例えば、フィルター付きベント(排気)装置の設置、移動式の電源車、全電源喪失でも炉を冷やせる注水車の装備を義務付けた。これらの過酷事故対策は、すでに国際原子力機関(IAEA)が各国に求めていたが、日本の「原子力ムラ」は、日本の原発は完全な安全対策がとられており、過酷事故は起こり得ないとして、福島事故まで動かなかった。その同じ「原子力ムラ」が、福島大惨事の責任も取らずに、福島事故後には「新規制基準」を作り、「今度こそ安全だ」と言っているのである。「新規制基準」は、やっと世界基準に近付いただけである。

2. 福島原発の事故原因を深く追及していない「新規制基準」は、科学とは縁遠い。

◆事故から6年半経った今でも、事故炉内部の詳細は分っていない。それでも、政府は、事故から2年半もたたず、事故原因の議論も全く不十分な2013年7月、事故の教訓や知見を反映するものとして、「新規制基準」を施行した。

◆事故原因について、東電や政府は、事故直後に発表した「津波による全電源喪失」に固執している。事故原因は、冷却水配管の地震による破断など、この他にも種々考えられる。また、人災と考えられる部分も多い。事故原因が異なれば、対策も当然異なる。「新規制基準」では、そのことがほとんど勘案されていない。

◆なお、科学とは、実際に起こった事実を冷静に受け入れ、丁寧に調査し、検証・考察して、その上に多くの議論を重ねて、結論を導くものである。「新規制基準」や規制委の審査は、この過程を全く無視しており、科学とは縁遠い。

3.安全に不可欠でも、実現不能なことは要求しない「新規制基準」。

例1:かつて、原発立地について、[a] 重大な事故の発生を仮定しても、周辺の公衆に放射線障害を与えないこと、 [b] 重大事故を超えるような、技術的見地からは起こるとは考えられない事故の発生を仮想しても、周辺の公衆に著しい放射線災害を与えないことを定める立地審査指針があったが、福島事故の被害はこの指針の定める枠を越え、この指針の下での原発稼働は不可能になったため、「新規制基準」では、この指針を廃止した。

例2:コアキャチャーや航空機落下に備えた二重ドームの設置は不要としている(設置に多額の費用と長時間を要するから)。

4.都合の良いデータのみ採用して適合とする規制委審査

◆例えば、炉心溶融時の水素の発生量について、出力規模、ループ数、格納容器型式などが同一である川内1、2号機と高浜3,4号機の審査を同じ基準で評価をすれば、高浜3,4号機では、水素濃度が爆轟(爆発)発生濃度を明らかに超えることが分かったため、高浜原発の審査書では、水素発生量の不確かさの度合いを、意図的に小さくして、基準をクリヤーしている。

5.杜撰(ずさん)かつ非科学的な事故対策でも容認する規制委審査

◆例えば、原発重大事故の対策として、空気中へ飛散した放射性物質は放水設備で打ち落とし、また、海への放射性物質流出は、吸着剤と吸着性シルト(沈泥)フェンスで食い止めるという。放水で放射性物質の拡散が防げるのはほんの一部であり、放水された水は結局汚染水になる。吸着剤とシルトフェンスだけで放射性物質を除去できるのなら、福島での放射性物質流出防止に適用すべきである。規制委の審査では、こういう子供だましの対策でも可と評価している。

6.杜撰、手抜きかつ虚偽の規制委審査

例1:「新規制基準」への適合評価は事業者(電力会社)任せ。

例2:地震による配管破断はほとんど考慮せず、対策を講じないなど、重大事故対策のシナリオ策定は事業者任せである。

例3:原発立地の表層数km以内の活断層の有無が、再稼働の大きな判断基準とされている。しかし、これまでの大地震のほとんどは、探査不能な地中数10 km の震源、いわゆる「未知の深層活断層」に起因している。表層に活断層が無くても、原発は地震で破壊される可能性がある。規制委は、都合の良いデータだけで審査しているとしか考えられない。

例4:想定した原発事故に関する解析のほとんどは、コンピュータによる計算結果に基づいていて、実験的検証は少ない。コンピュータ解析は、プログラムと入力データの質に強く依存するが、現代科学は実証された完全な条件やデータを持合わせていない。したがって、解析者の原発を動かそうとする恣意(しい)が大きく結果に反映される。

7.住民避難計画は審査の対象外であるが、それでも規制委の審査結果が再稼働を左右する。

◆原発事故時の避難計画について、規制委は立地自治体や周辺自治体に丸投げしている。一方、自治体は、どこかでできたパターンに沿って避難計画を作成している。そのため、避難計画では当該自治体の地理的、人的特殊性はほとんど斟酌(しんしゃく)されていない。また、事業者(電力会社)はその作成に責任を負っていない。しかも、自治体の作成した避難計画たるや、数日のピクニックにでも出かけるような計画であり、過酷事故では、永久に故郷を失うという危機感がない。また、避難地域は100 km 圏を超える広域におよぶという認識がない。さらに、避難指示解除に関して、住民の意向を聴かないし、避難指示が解除されても(放射線量20ミリシーベルト/年で解除)、帰還先は高放射線量で、必要な生活基盤も整っていないこと、帰還後一定期間の後には賠償金や支援が打ち切られること、種々の事情で避難継続を選択すれば、賠償や支援はないこと、などの非人道性も念頭にない。原発事故に関しては、「地方自治体住民の福祉の増進を図ることを基準とする」という地方自治法の精神は全く生かされていない。

◆原発の再稼働は、住民の生命・財産に大きく関わるので、それを判断する地方自治体には、原子力利用推進政策から独立した姿勢が要求される。また、原発の被害は、極めて広域におよぶので、原発立地自治体だけでなく、周辺自治体の住民の声を十分聴かなければならない。

8.とんでもないパブリックコメント(パブコメ)のとり方

◆規制委の審査結果に対するパブコメは、わずか1ヶ月間、「科学的・技術的」部分に限って募集されている。しかし、国民のほとんどは、原子力分野の専門家ではない。専門家でも、原子力のような広範囲の知識を要する分野へのコメントを1ヶ月で出すことは至難である。また、ある意見が「虚偽である」ことを実証するには大変な労力を要する。規制委は、プロでない国民が、片手間でできる筈がないことを見越して、非科学的審査書を作り、パブコメを求めている。さらに、国民の生命と財産に関わる原発再稼働に関しては、その是非や、防災・避難計画も含めて、国民的議論を展開すべきであるが、パブコメでは、その意見は受け入れていない。

原発は無くても電気は足りている。

人類の手に負えず、人類に不要な原発を動かして、大きな犠牲を払うこと、
事故の不安に慄(おのの)くことは無い! 今すぐ、全ての原発を廃炉にしよう!


10.15大飯原発うごかすな!関電包囲全国集会

集会後御堂筋デモ。ご結集をお願いします。

・日時;2017年10月15日(日)13時~14時45分
・場所:関西電力本店前(大阪市北区中之島3丁目)
・主催:大飯原発うごかすな!実行委員会


2017年10月6日

若狭の原発を考える会(連絡先・木原壯林 090-1965-7102)

◆[声明]おおい町長の大飯原発再稼働容認を糾弾し、抗議する

【2017年9月29日,京都キンカンで配付。】

声 明

おおい町長の大飯原発再稼働容認を糾弾し、抗議する

◆原発が極めて危険な装置であり、原発重大事故が悲惨極まりない被害をもたらすことは、チェルノブイリ原発事故、福島原発事故が教えるところです。したがって、最近のほとんどの世論調査でも、脱原発の声は原発推進の声の2倍以上です。今、脱原発は圧倒的な民意です。若狭にも、高浜町音海地区の例のように、脱原発・反原発の声は多数あります。

◆一方、東芝破綻の例を挙げるまでもなく、原発は、事故対策費や使用済み核燃料の処理・処分費を考えれば、経済的にも成り立たないことは明らかです。そのため、国際的にも、イタリア、ドイツに続いて、リトアニア、ベトナム、台湾が脱原発を決意し、スイスが原発新設禁止を国民投票で決定しました。アメリカも原発縮小に向かっています。

◆それでも、おおい町議会「原子力発電対策特別委員会」は、原子力規制委員長までもが「安全を保証するものではない」と言う“新規制基準”を、関電と政府の言い分通りに“世界一厳しい安全基準”と見做し、これに適合した大飯原発3,4号機は安全として、去る9月8日、再稼動に同意しました。この特別委員会では、全ての委員が「再稼働ありき」で用意してきた意見を述べ(ほとんどが読み上げ)、討論は全くなく、その関電や政府への翼賛ぶりには唖然とさせられました。経済的利益のみを考え、町民の安全安心など頭の片隅にもない町議のみで構成される議会を持つ町民は、不幸としか言いようがありません。

◆他方、中塚 實 おおい町長は、再稼働ありきの立場に立ち、9月19日に大飯原発視察、21日に世耕経産大臣と面会という、手続き的行動を行い、本日9月25日に「再稼働について理解するとの判断に至った」と再稼動容認の態度を表明しました。クレーン倒壊事故に代表されるトラブル続きの関電に原発の安全を託せるとは考えられず、使用済み核燃料や放射性廃棄物の貯蔵地、保管法を政府や関電が確約、明言したわけでもありません。

◆ところで、若狭の原発で福島級の重大事故が起これば、若狭や京都、滋賀の北都はもとより、京都府、滋賀県の全域、関西のかなりの部分が放射性物質にまみれる可能性があります。この地域の500万人を超える住民が避難対象になりかねません。避難は不可能です。おおい町長や町議会は、おおい町民の安全安心に関する責任を負っていることは、当然ですが、こと原発事故に関しては、極めて広域かつ多数の周辺地域住民についてもその安心、安全を考える義務があります。大飯原発が重大事故を起こして、周辺自治体住民に被害が出たとき、おおい町は、どう責任をとるかを具体的に明らかにすべきです。

◆一方、福島原発事故以降の経験は、原発が無くても電気は足りることを教えています。さらに、経産大臣の認可機関である「電力広域的運営推進機関」までもが、原発は無くても、現在も10年後も、電気は十分 足りること、すなわち15%以上の余裕があることを認めています。不要な原発を稼働させて、事故のリスクに怯える必要はないのです。あなた方が原発再稼働を容認するのは、人の尊厳、生存の権利を犠牲にしても、経済的利益を優先させようと考えているからです。金儲けのために原発を動かすことは、倫理に反します。私たちは、事故の不安なく、安心して生活できる社会を求めます。

◆原発は、事故の確率の高い、人類の手に負えない装直です。二度と福島のような事故を起こさないために、全ての原発の早期廃戸を、立地自治体が率先して求めるべきです。

◆私たちは、原発の危険性を再三にわたって指摘してきました。おおい町長や町議会が、この指摘を無視して、原発運転を容認して事故が起ったら、それはおおい町長や町議会議員の故意による犯罪です。許されるものではありません。

以上のような理由により、大飯原発3,4号機再稼働容認を糾弾し、同容認を表明した中塚 實 おおい町長に抗議します。

2017年9月25日


人類の手に負えず、人類に不要な原発を動かして
大きな犠牲を払うこと、事故の不安に慄(おのの)くことは無い!
1、3月ともいわれる大飯原発3、4号機の再稼働を断固阻止し
原発全廃を勝ち取ろう!


10.l5大飯原発うごかすな!関電包囲全国集会

ご賛同、ご結集をお願いします。

日時;2017年10 月15 日(日) 13時~14時45分
場所;関西電力本店前(大阪市北区中之島3丁目)
<集会後、御堂筋デモ>関電包囲集会が終わり次第、徒歩で靭(うつぼ)公園(大阪市西区靭本町)に移動。デモ出発:15時30分、デモ出発地:靭(うつぼ)公園(デモは難波まで)。


2017年9月29日

若狭の原発を考える会(連絡先・木原壯林 090-1965-7102)