◆報告とお礼~大阪地裁「美浜3号機運転禁止仮処分」申立てを却下

【2022年12月23日,京都キンカンで配付】

報告とお礼

三権分立、民主主義の危機
大阪地裁「美浜3号機運転禁止仮処分」申立てを却下

 福井、滋賀、京都在住の9人が大阪地裁に申し立てていた「老朽美浜3号運転禁止仮処分」は、7月末に最後の審尋を終え、早期の決定申し渡しが求められていました。しかし、大阪地裁は、4カ月以上も経た12月2日になってやっと「12月12日~20日の間に決定を出す」と不可解な予告をし、また、決定の交付日時を12月20日午後2時と確定して発表したのは公布日の前日という、異例の暴挙を行いました。司法の公共性・公正性を放棄し、申立てに注目する人々を翻弄するもので、怒りを禁じ得ません。

原発推進に暴走する岸田政権に追従し、
司法の独立性をかなぐり捨てた大阪地裁

 12月20日の決定で、大阪地裁は標記仮処分の申し立てを却下しました。

 以下に、大阪地裁決定の概要を述べますが、決定は「却下を決めておいて、理由を後付けした」ものであり、「原子力規制委員会(規制委)の審査を追認するだけでなく、関電の言い分をそのまま認め、ことごとく関電を救済している」ものです。裁判官自らは、何らの判断を示さず、司法の役割と責任を放棄した決定です。裁判官にとっては、福島原発事故の悲劇は忘却の彼方であり、現政権に忖度することのみが関心事であると推量されます。

 詳細は「脱原発弁護団全国連絡会」のホームページ(→こちら)に掲載の、決定要旨、決定書、弁護団声明をご覧ください。

申立人、関電の主な主張と決定内容

①原発老朽化について
(申立人)老朽化に伴って設備や機器が想定外に劣化し、重大事故を起こす可能性が高い。
(関電)点検・管理で劣化状況を調べ、部品を取り換え、60年運転になっても安全性は十分に確保している。
(決定)関電は新規制基準が求める対策を実施している。原子力規制委員会の審査も問題ない。

②地震対策について
(申立人)原発の耐震設計で想定する基準地震動には、原発周辺の活断層の影響が正確に反映されていない。原発から約1kmに活断層があり、真下には破砕帯が通り、地盤にずれが生じる可能性がある。
(関電)震源想定の断層の長さや面積は、大きく見積もって基準地震動を策定している。活断層は影響を考慮する距離ではなく、破砕帯は12万年~13万年前以降活動しておらず、将来動く可能性はない。
(決定)活断層は考慮する距離ではないとした規制委の判断や、関電の破砕帯についての評価に不合理な点はない。

③避難計画について
(申立人)避難場所や経路に他の原発周辺エリアが含まれ、巨大地震での多発的原発事故を想定したルートが策定されておらず、避難計画の設定に実効性がない。
(関電)国の原子力防災会議で「具体的かつ合理的」と了承され、国や自治体との防災訓練で実効性は向上している。
(決定)具体的な危険性について十分な証明がない。避難計画の不備も認められない

不当決定を許さない!怒りの声噴出

 「老朽原発うごかすな!実行委員会」は、決定交付の日時が12月20日午後2時と判明した直後(19日午後)から、あらゆる手段を駆使して、かねてより準備してきた行動への参加を呼びかけ、実行しました。

 20日11時、関電本店前に有志十数名が集合し、大阪地裁までのヒトリデモ(各人が数10m離れて歩くデモ:集団示威行為ではないので届け出不要)を敢行しました。旗、幟、プラカードを掲げ、街宣文をスピーカーで流しながら「老朽原発うごかすな!」を道行く人に訴えましたが、スマホを向けたり、手を振って声援くださる人に励まされました。

 12時からの大阪地裁前前段集会には、福井、関西、名古屋、東京などから、決定を見守ろうと約120人が結集し、申立人や弁護団から語られる、仮処分申し立ての経緯や、決定に寄せる思いなどに耳を傾けました。午後2時前になって、「大阪地裁は公正な判断を行え!」などのシュプレヒコールで入廷行進を盛り上げた後、決定の旗出しを固唾をのんで待ちました。

 多くのマスコミがカメラを構える中、出された旗には、「不当決定ゆるさず、即時抗告へ!」「決着は大阪高裁だ!」の文言が・・・。一同落胆のため息が漏れる中、カメラのシャッターを切る音が響き渡りました。弁護団から簡単な報告を受けた後、「大阪地裁は美浜3号の事故責任がとれるのか!」「司法の原発政策への忖度を許さないぞ!」など怒りのシュプレヒコールで大阪地裁決定を糾弾しました。

 その後、記者会見と報告会へと向かう人以外(約30名)は、抗議行動のため、関電本店に向かいました。関電前では、冷たいビル風が吹く中、不当決定への怒りのシュプレヒコールをたたきつけ、原発に固執し、トラブル頻発、原発マネー不正還流など関電の腐敗した体質を糾弾するアピールが続きました。最後に、「決定に一喜一憂することなく、更なる『老朽原発うごかすな!』の大行動を!」と誓い合いました。

12.20行動にご参加、ご支援いただきました
皆様、ありがとうございました。

 この仮処分の申し立て人、弁護団は、大阪高裁への即時抗告を決定しました。

市民運動と裁判闘争が結合した大きなうねりを創造し、
原発のない、人の命と尊厳が大切にされる社会に
向かって前進しましょう!

▼入廷行進

▼決定交付後の旗だし

老朽原発うごかすな!実行委員会
連絡先090-1965-7102(木原)

▼2022年12月21日毎日新聞朝刊

▼2022年12月21日朝日新聞朝刊

▼2022年12月21日京都新聞朝刊

▼2022年12月21日しんぶん赤旗