◆報告とお礼~3/21関電本店-4/2高浜原発リレーデモを延べ900人の参加で貫徹

【2023年4月4日。京都キンカンほかで配付】
【PDF→tirasi2023-04-04[1 MB]

報告とお礼

『老朽原発うごかすな!』
『岸田政権の「原発依存社会」への暴走を許すな!』
関電本店-高浜原発リレーデモを延べ900人の参加で貫徹

 岸田政権は、一昨年10月に決定した「エネルギー基本計画」で「原発の新増設や建て替えは想定しない」としていましたが、決定から1年も経ない昨年8月、この基本計画まで無視し、また、原発の運転期間は最大60年とした法律を蔑ろにして、「原発依存社会」への方向転換を表明しました。

 岸田政権は、①原発の停止期間を運転期間から除くことによって、原発の60年を超える運転を可能にしようとしています。しかし、世界にも、60年を超えて原発を運転した経験はありません、最古の原発でも、運転期間は53年です。なお、原発の老朽化は、停止中であっても進行します。

 また、②廃炉になった原発の代わりに革新型原子炉、新型小型原子炉を建設するとしていますが、これらの原子炉は、過酷事故の危険性や何万年もの保管を要する使用済み核燃料を残す点では、従来の大型原子炉と変わりません。「革新」や「小型」の言葉遊びで人々を騙そうとしているのです。

 さらに、③破綻した高速炉、60年以上も膨大な研究予算を投下し続けたにもかかわらず、いまだに実用の兆候も見えない高温ガス炉や核融合の開発を新しいテーマのごとく取り上げて、膨大な予算を投下しようとしています。

 岸田政権は、原子炉の安全対策、原子炉材料、放射性廃棄物の処理処分などの科学・技術にほとんど進歩がないにも拘わらず、原発関連大企業などの「原子力ムラ」の救済のために、原発推進を「決断と実行」(自民党ポスター)しようとしています。岸田首相がどう願望しようとも、経済的利益や政治的思惑で科学・技術が急に進歩することはありません。

 岸田政権は、「原発依存社会」に向かって、開会中の通常国会での関連法案改悪を目指して、5法案(原子力基本法、電気事業法、原子炉等規制法、再処理等拠出金法、再生可能エネルギー特別措置法)を、エネルギーの安定供給、脱炭素に関わるとして、束ねて(「束ね法案」として)審議しています。「束ね法案」は「GX(グリーントランスフォーメーション)脱炭素電源法」と名付けられ、原発関連法改悪をその中に紛れ込ませて(「原発」の文字を隠して)いるのです。人々を、だまし、あざむく行為です!

 この「束ね法案」では、原子力の憲法・原子力基本法(1955年に「自主・民主・公開」による原子力の平和利用と原発の安全確保をうたって制定)を改悪し、原発活用で電力の安定供給や脱炭素社会の実現に貢献することを「国の責務」と位置づける項目を第2条に新設するとしています。また、原発運転期間に関する規定を、環境省(規制側)所管の原子炉等規制法から削除し、経産省(利用側)所管の電気事業法に移そうとしています。福島原発事故の教訓の上に、原発の「利用と規制」を分離した経緯を無視し、運転期間の判断を利用側の経産省に委ねる改悪です。

 「原発依存社会」へ暴走する政府の先兵が関電です。関電は、運転開始後46年を超えた、老朽原発・美浜3号機を運転し、48年、47年超えの老朽原発・高浜1、2号機を、近々(早ければ、4月末?)再稼働させようとしています。しかし、関電の原発では、トラブルが頻発しています。中でも、高温・高圧水が流れる、蒸気発生器伝熱管などの一次冷却系配管の損傷の多発は深刻です。一次冷却系配管が完全破断すれば、一次冷却水が噴出し、原子炉が空焚きになり、メルトダウンに至る危険があるからです。また、去る1月30日に高浜4号機で発生した制御棒の異常挿入も、制御棒は原子炉のブレーキであるだけに、深刻です。さらに、老朽原発・美浜3号機でも、再稼働以来1年にも満たないにもかかわらず、4度ものトラブルが発生していることも見過ごせません。原発過酷事故の不安は、ますます大きくなっています。

 今、電気は足りています。余っています。電力がひっ迫するのは、1年のうちの数日です。それも1日数時間です。このような一時的な電力ひっ迫は、節電によって乗り切れます。電力逼迫をことさら喧伝し、負の遺産・使用済み核燃料を増やし、過酷事故を起こしかねない原発を推進する政府や電力会社を許してはなりません。

 今こそ、目に見える行動に立たなければなりません。トラブル続きの老朽原発・美浜3号機の運転を止めさせ、老朽原発・高浜1、2号機の再稼動を阻止し、それを突破口に、原発全廃の大きなうねりを形成しましょう!

「3.21関電包囲大集会」
「3.21-4.2関電本店-高浜原発リレーデモ」
「13自治体への申し入れ」で
「原発のない社会」をアピール

 「老朽原発うごかすな!実行委員会」は、3月21日に開催した「関電包囲大集会」(380人参加)を旅立ちとして、関電本店(大阪)から、京都、琵琶湖東岸を経て、4月2日に高浜原発に至る230 km、13日間のリレーデモ(延べ900人が参加)を実施し、原発重大事故では避難者になりかねない沿道各地の皆様に「老朽原発即時廃炉」を訴えました。彦根では井戸謙一弁護士、米原市では平尾道雄市長より激励を頂きました。リレーデモの通過した沿線13自治体には「老朽原発運転の危険性」「原発過酷事故時の避難の困難さ」を指摘し、住民の安全・安心を守る立場にたって「原発のない社会を目指す決意」を表明するよう申し入れました。また、関電京都支店、高浜原発では、関電経営陣に「老朽原発うごかすな!」「原発全廃」を申し入れました(裏面参照)。リレーデモでは、デモを見守る数多くの皆様からご激励とご声援をいただき、「原発全廃」、とりわけ「老朽原発うごかすな!」は民意であることを再確認しました。

 なお、リレーデモに関して、「老朽原発うごかすな!リレーデモニュース」が毎日発行され、「老朽原発うごかすな!ニュース」92号~95号が発行されました。(→こちら

ご参加、ご支援いただきました皆様、
ありがとうございました。

老朽原発うごかすな!実行委員会
連絡先090-1965-7102(木原)

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◆リレーデモの記録
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▼3.21 大阪市内

▼3.22 北摂(茨木市)

▼3.24 京都市内

▼3.26 京都市内を行く街宣車

▼3.26 大津市内琵琶湖岸

▼3.27 近江八幡市内

▼3.28 南彦根駅前、井戸弁護士が激励

▼3.28 米原駅前、平尾米原市長が激励

▼3.30 長浜市内

▼4.1 小浜駅前

▼4.1 小浜駅前、中嶌哲演さんが挨拶

▼4.1 おおい町内

▼4.2 高浜原発北ゲート

▼4.2 関電への申し入れ(高浜原発で)

▼2023年4月2日福井新聞

▼2023年4月3日福井新聞

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◆関電への申し入れ(4/2 高浜原発で提出)
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関西電力株式会社:
  取締役会長 榊原 定征 様、
  取締役社長 森望様、
  原子力事業本部長 松村 孝夫 様、
  高浜発電所長 木島 和夫 様

申し入れ書

 福島原発事故から12年が経ちましたが、避難者の多くは今でも故郷を奪われたままです。事故収束の見通しは立たず、トリチウムだけでなく、除去されなかった放射性物質を含む大量の汚染水が太平洋にたれ流されようとしています。原発は、事故被害の深刻さ、事故処理の困難さなど、現在科学技術で制御できる装置ではありません。

 その原発が老朽化すれば、原子炉圧力容器の脆化や配管、配線の損傷などが進み、過酷事故の危険度が急増することは多くが指摘するところです。

 また、原発を動かせば、何万年もの保管を要する使用済み核燃料が溜りますが、その永久保管はおろか、中間貯蔵すら引き受ける所もないことは、貴関西電力(関電)がよくご存じのことです。

 さらに、昨年2月に始まったウクライナ紛争では、戦争になれば、原発は格好の攻撃目標になることが実証されました。

 それでも、岸田政権は、原発運転期間は原則40年、最長でも60年とした法律を骨抜きにし、原発の60年超え運転への道を開こうとし、今、開会中の通常国会で関連法案の改悪を画策しています。しかし、世界にも、60年を超えて運転した原発はありません、最も老朽な原発でも、運転期間は53年です。地震、火山噴火、津波の多発する日本での原発60年超え運転は、無謀で、福島原発事故の犠牲と教訓を蹂躙するものです。

 一方、貴関電は、運転開始後46年を超えた、老朽原発・美浜3号機を運転し、48年、47年超えの老朽原発・高浜1、2号機を、近々、再稼働させようとしています。しかし、関電の原発では、トラブルが頻発しています。中でも、320℃、160気圧近くの高温・高圧水が流れる、蒸気発生器伝熱管などの一次冷却系配管の損傷の多発は深刻です。これらの配管が完全に破断すれば、一次冷却水が噴出し、原子炉が空焚きになり、メルトダウンに至る危険があるからです。また、去る1月30日に高浜4号機で発生した制御棒の異常挿入も、制御棒は原子炉のブレーキであるだけに、深刻です。さらに、老朽原発・美浜3号機でも、一昨年の再稼働以来、運転期間は1年にも満たないにもかかわらず、4度ものトラブルが発生していることも見過ごせません。原発過酷事故の不安は、ますます大きくなっています。

 岸田首相や電力会社がいかに願望しようとも、政治的あるいは経済的な判断で、科学・技術が急に進歩することはありません。原発の老朽化を防ぐ技術、原発の安全性を高める技術、使用済み核燃料の処理・処分法が急に向上することはありません。急な原発推進への転換には、何の根拠もありません。

 そもそも、岸田政権の「原発依存社会」への暴走は、福島原発事故以降の政権や電力会社経営陣が、事故の教訓を生かさず、原発維持にこだわり、自然エネルギーへの全面切り替えを怠った結末です。失敗の政治、失敗の経営の「つけ」がまわったのです。日本は、太陽光にも、水にも、風にも、地熱にも恵まれています。もし、先見の明がある政権や電力会社経営陣であったなら、原発に費やされた膨大な税金や電気料金を、自然エネルギーを利用する電源、大容量の蓄電法、省エネ機器の開発と普及に回わし、今頃、核燃料、化石燃料の必要のない社会を実現し、世界をリードしていたでしょう。

 ところで、今、電気は足りています。余っています。電力がひっ迫するのは、1年のうちの数日です。それも1日数時間です。このような一時的な電力ひっ迫は、節電によって乗り切れます。このことは昨年3月の地震と寒波に起因する東北、東京エリアでの電力不足、6月末から7月にかけての猛暑による電力不足を、節電で乗り越えた実績が証明しています。したがって、放射線被ばくを強い、子々孫々にまで負の遺産・使用済み核燃料を残す原発を稼働させる必要は全くありません。

 私たち「老朽原発うごかすな!実行委員会」は、去る3月21日に開催した「関電包囲大集会」を旅立ちとして、関電本店から高浜原発に至る230 km、13日間のリレーデモを実施し、原発重大事故では避難者になりかねない沿道各地の皆様に「老朽原発即時廃炉」を訴え、本日、高浜原発に到着しました。リレーデモの通過した沿線13自治体には「老朽原発運転の危険性」「原発過酷事故時の避難の困難さ」を指摘し、住民の安全・安心を守る立場にたって「原発のない社会を目指す決意」を表明するよう申し入れました。リレーデモでは、デモを見守る数多くの皆様からご激励とご声援をいただき、「原発全廃」、とりわけ「老朽原発うごかすな!」は民意であることを再確認しました。

 以上のように、原発は、トラブルが多発し、何万年もの未来にまで負の遺産となる使用済み核燃料を残し、一旦過酷事故を起こせば、事故終息は絶望的に困難で、多くの人々の故郷と生活基盤を奪い去り、戦争になれば、格好の攻撃目標になります。原発は、人類の手に負える装置ではありません。したがって、「原発全廃!」とりわけ「老朽原発うごかすな!」は圧倒的多数の願いとなっています。

 このような視点に立って、私たちは、貴関西電力に以下を申し入れます。

【1】危険極まりない老朽原発・美浜3号機の運転を中止し、老朽原発・高浜1、2号機の再稼働を断念し、これらの原発の即時廃炉を決定してください。
【2】原発を動かせば、行き場がなく、子々孫々にまで負の遺産となる使用済み核燃料が増加します。貴社の有する全ての原発を停止し、安全な廃炉を進めてください。
【3】一刻も早く原発と決別し、核燃料、化石燃料を使わない発電に転換してください。公益事業体として、環境の保全と人類の明るい未来のために、自然エネルギーによる発電法、大容量蓄電法、省エネ技術の開発と普及に努めてください。

 なお、昨年7月13日の東京地裁「東京電力株主代表訴訟」判決では、福島原発事故前の東電幹部の対応には「安全意識や責任感が根本的に欠如していた」と述べ、東電旧経営陣に、原発事故によって東電に与えた損害・13兆円の賠償を命じています。貴職らが、多くの危険性指摘を無視して老朽原発を稼働しようとしていることは「安全意識や責任感が根本的に欠如している」との批判を受けて当然です。圧倒的な「老朽原発うごかすな!」の民意を蹂躙して老朽原発を稼働させ、重大事故が起こった場合、それは貴職らの故意による犯罪であり、許されるものではないことを申し添えます。

2023年4月2日
「老朽原発うごかすな!
関電本店―高浜原発リレーデモ」参加者一同