◆関西電力 闇歴史◆097◆

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◆関電などが計画していた珠洲(すず)原発は阻止したが、
 もしここに原発ができていたら、
 最近の群発地震、震度6強の地震(2023/5/5)で大丈夫か(>_<)?
 住民「揺れるたび、珠洲に原発なくてよかったと思う」
 【付 震度と長周期地震動】

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◆珠洲原発

・珠洲原発は、石川県珠洲市に建設する計画であった原子力発電所。北陸電力、中部電力、関西電力の電力会社3社による共同開発として取り組まれたが、1975年の計画浮上から29年目の2003年12月、地元から反対運動、産業構造の変化、景気低迷などにより、電力会社側が計画を凍結した。

・中部電力は珠洲市三崎町寺家(じけ)で、関西電力は珠洲市高屋町でそれぞれ立地を計画し、北陸電力が地元の調整役を担うという役割分担の下、3電力の共同開発として進められる。1993年、寺家地点、高屋地点を特定せず、珠洲地点として135万kW級2基を建設し2014年運転開始をするとの計画で国の要対策重要電源の指定を受ける。


▲「珠洲原子力発電所計画の凍結について」(2003年12月5日)より(→ こちら)。
ただし志賀原発の位置は加筆。

・以下、計画の始まりから凍結まで。おもに関電の動き
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・1975年11月…珠洲市議会が「調査要望書」を議決。
・1976年3月…資源エネルギー庁が珠洲市高屋町と三崎町寺家の両地区で地質調査を開始。これをうけ、北陸電力、中部電力、関西電力3社は同月、共同調査のためのプロジェクトチームを編成、原子力立地に向けた調査活動を開始。
・1984年4月…電力3社が「珠洲電源開発協議会」を開設
・1988年12月…北陸電力、関西電力が珠洲市に高屋地区での立地可能性調査を申し入れ
・1989年5月…関西電力が高屋地区での立地可能性調査に着手したが、建設反対派住民が珠洲市役所内で座り込みを開始。翌月、関西電力は立地可能性調査を一時見合わせ(以後、調査再開に至らず)。
・1996年5月…1993年に実施された珠洲市長選挙の無効訴訟で最高裁が上告を棄却。推進派の当選無効が確定。
・2003年12月…電力3社が珠洲原発計画の凍結(事実上の撤退)。
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◆珠洲市で地震多発

・2023/5/5、石川県珠洲市で、★震度6強の揺れを観測する地震が発生。能登半島では2018年以来、地震回数が増加し、群発地震が継続している。珠洲市では2021年以後、M5以上の地震が4回もおきているが、今回、5/5にM6.5、その後の余震でM5.8、M4.9などを記録。火山などのないこの地域の地震は、地下の流体が原因ではないかと報道されている。
・珠洲原発建設予定地であった三崎町では、★震度5強、★長周期地震動(揺れが1往復するのにかかる時間が長い大きな揺れ)階級3 が、記録された。

【付 震度と長周期地震動】
震度こちら
・6強…はわないと動くことができない。飛ばされることもある。固定していない家具のほとんどが移動し、倒れるものが多くなる。耐震性の低い木造建物は、傾くものや、倒れるものが多くなる。大きな地割れが生じたり、大規模な地すべりや山体の崩壊が発生することがある。
・5強…物につかまらないと歩くことが難しい。棚にある食器類や本で落ちるものが多くなる。固定していない家具が倒れることがある。補強されていないブロック塀が倒れることがある。
長周期地震動こちら
・階級3…立っていることが困難になる。キャスター付き什器が大きく動く。固定していない家具が移動することがあり、不安定なものは倒れることがある。間仕切り壁などにひび割れ・亀裂が入ることがある。

◆住民の声

珠洲原発反対の運動に取り組み、現在も志賀しか原発に反対する運動をになっている北野進さん(「志賀原発を廃炉に!訴訟」原告団長、珠洲市在住)は、Facebookで、以下のように書いている。
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・ここ2年半、ほぼ3日に1回の地震。「揺れるたび、珠洲に原発なくてよかったと思ってる」との声を聞きます。
・6日に開かれた政府の地震調査委員会臨時会後の記者会見で平田直(なおし)委員長(東京大名誉教授)は「地下では、まだ私たちの理解が及ばない現象が起きている。引き続き研究を深めていく必要がある」と述べています。
・最も心配なのは地下の流体が能登半島北部沿岸域を走る断層帯を動かすケースです。この断層帯は北陸電力の評価では96 kmとされています。この断層帯が動くと能登の住民としては想像したくもない大地震となり、志賀原発への影響も否定できません。周辺断層の活動の影響を審査する今後の規制委の審査会合に注目です。理解できないことをさも理解できているかのように議論を進め「重大な影響はなし」と結論付けることは許されません。
・ちなみに珠洲原発の計画があった当時はこの断層帯の存在は明らかにされていませんでした。関電の予定地・高屋や中電の予定地・寺家のすぐ近くを走っています。断層帯の存在がわかっていればもっと早く珠洲原発の計画は中止になっていたと思います。
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◆参考サイト

【参考サイト(1)】
関西電力の「珠洲原発」用地先行取得の舞台裏と検察OBコネクション
村山 治(朝日新聞「論座」> 法と経済のジャーナル)
2020年02月14日【シリーズ】関西電力元副社長・内藤千百里[ちもり]の証言
こちら(なお、朝日新聞「論座」サイトは2023年7月末に閉鎖、「Re:Ron」に移行)

朝日新聞「論座」 > 法と経済のジャーナル
以下、関電に関連した記事は、事件記者の目(村山 治)より。

      1. 関西電力元副社長が告白、トラブル解決で森山助役に依頼した県への圧力
        2020年03月07日
      2. 関西電力元副社長が語った中曽根、福田ら元首相への「盆暮れ」は漢方薬
        2020年03月01日
      3. 関西電力首脳から歴代首相への政治献金と原発建設ラッシュの関係は?
        2020年02月21日
      4. 関西電力の「珠洲原発」用地先行取得の舞台裏と検察OBコネクション
        2020年02月14日
      5. 関西電力と竹下蔵相、後藤田官房長官、磯田住銀会長、平和相銀事件
        2020年01月02日
      6. 関電元副社長の語る大物右翼との親密、暴力団幹部との会合
        2019年12月26日
      7. 関西電力元副社長「うるさい人が味方になったらこれはすごい」
        2019年12月19日
      8. 関電最高実力者側近だった元副社長が語る森山助役との出会いと腐れ縁
        2019年12月12日

【参考サイト(2)】
原発と関電マネー 立地「工作班」の証言
(全5回)→◆037◆
石川県・能登半島の最北端で、かつて関西電力が進めた原発計画。現地で展開された数々の「工作活動」を元社員が証言。原発立地をめぐる電力会社の水面下の動きとは。

【参考サイト(3)】
石川県珠洲群発地震と志賀原発・珠洲原発
| 5月5日の地震は仮に珠洲原発が稼働中なら
| 旧耐震指針の「直下地震」タイプの可能性
└──── 今井孝司(地震がよくわかる会 → こちら
→志賀原発_諸問題(珠洲群発地震、珠洲原発、運転差し止め判決、能登半島地震等)関連記事
(同上サイト→こちら
→珠洲群発地震と志賀原発・珠洲原発
(同上サイト→こちら
  
つくづく、この地に、珠洲原発2機(135万kW)が建設されてなくてよかったと、心底思います。今回の地震の震源と建設予定地の位置を地図上にプロットしてみましたが、まさに、旧耐震指針で、直下地震として、定義したマグニチュード6.5と同じであり、距離10キロ以内でこそありませんが、10数キロであり、ほぼ、定義通りの直下地震といえるでしょう。

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