◆関西電力 闇歴史◆099◆

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◆関電は使用済み核燃料のごく一部をフランスに搬出すると発表!(2023/6/12)
 フランスでの実証研究は、中間貯蔵施設の県外設置と「同等」と主張!
 フランスと技術協定を結んだ経産省も、関電を支援!
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 詭弁、出まかせ、居直り、ごまかし、その場しのぎ
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【関電のこれまで約束、再確認】

関電が、福井県に2023年末と期限を切った使用済み核燃料の中間貯蔵地の県外確保の約束。
関電は、これまで
【1998年の約束】2000年までに
【2017年の約束】2018年中に
【2018年の約束】2020年末に。大飯3、4号機再稼働への西川知事の同意を取り付け
【2021年の約束】2023年末に。老朽、美浜3号機、高浜1、2号機再稼働への杉本知事の同意を取り付け。
・さらに詳しくは → ◆012◆
・期限の先送りは、むつ市の中間貯蔵施設(東電と日本原電がむつ市との協定の下に建設、23年度受け入れ開始目標)の共同利用の可能性を拠り所にしたものと考えられるが、当時の宮下むつ市長はこれを否定し、猛反発。宮下前むつ市長は、6/4に青森県知事に当選、関電の共同利用については「むつ市長時代に対応している通り」との公約。

・関電の森 現社長は、「期限の2023年末までに確定できるよう不退転の覚悟で取り組む」「23年末までに計画地点を確定できない場合、運転開始から40年を超えた美浜原発3号機、高浜原発1、2号機は計画地点確定まで運転しないとする方針を引き継ぐ」と言明(2022年7月)。

【2023/6/12、関電の表明】

・関電の森望社長は、2023/6/12、福井県庁に杉本知事を訪ね、「使用済MOX燃料の再処理実証研究のために高浜原発から使用済MOX燃料(約10トン、20体)と使用済ウラン燃料(約190トン、400体)をフランスへ搬出する」と説明。「中間貯蔵と同等の意義がある」「ひとまず約束は果たされた」とした。

・杉本知事の「国内の搬出先が見つけられなかったのか」との質問に「引き続きあらゆる可能性を追求し続けることに変わりはない」と回答。

・福井県の杉本知事は2023/6/12、「内容を精査したい。立地市町や県議会などの意見も聞いて判断したい」と、回答を保留した。

・関電の公表の翌日に西村康稔経済産業相が「関電が福井県にしてきた約束を実現する上で重要な意義がある。姿勢は評価できる。」として「中間貯蔵と同等の意義がある」と関電と同じ表現のコメントを発するなどから、今回の動きには国が大きく関与していたと推定される。

【フランスへの搬出】

・今回のフランスへの搬出は実証研究のためであり、中間貯蔵地の確保とは無関係ではないか。

・この先、使用済み核燃料はどんどんフランスに送り込み続けるのか。
→今後も追加で海外搬出できる保証はない。

・関電社長の発言は「日本の使用済み核燃料の中間貯蔵地をフランスにする」と言っているようなもの、フランス国民の反発があるのでは。
→Kolin Kobayashiさん(在仏)「フランスとは、オラノOrano社のこと。フランスでは今のところ、この件に関しては、情報が出てきていません。隠したいのかもしれません。」「オラノは、アレバが再編して作られたものです。再編されるたびに社名を変えて、過去のドジを隠蔽しようとするのでしょう。」

・フランス政府、フランスの引受先、オラノ社は、引き受け続けるのか。
→2023/5/3、フランスのアニエス・パニエ=リュナシェ・エネルギー移行大臣と日本の西村康稔経済産業大臣との会談の機会に、原子力エネルギーの分野で特に日仏間の協力を深めるための共同宣言が署名された。その中で「フランスと日本はまた、核燃料サイクルに関する技術協力を加速し、共通の価値観を共有する国々の間で強固な原子力サプライチェーンを構築することの重要性を強調したい。」

・オラノ社は、MOX燃料も含めてどんどん再処理を進める能力があるのか。今回は「実証研究」ということだが、どうなることか。
→オラノ社ではラ・アーグ再処理工場に特殊燃料処理施設の建設を進めているが、稼働しているとか、実用化されたとの情報はない。

【フランスからの返還】

・フランスに搬出して処理された廃棄物やプルトニウムは、すべて、日本に戻されるのか。一部にとどまるのか。

・日本に戻ってくるとき、福井県には戻らないことになっているのか。福井県が今後そのように(福井県に戻さない約束を)主張する可能性もあり、それならば「県外に中間貯蔵地」の約束に沿った内容と言えるかもしれない。杉本知事がここまで要求するのかどうか。

・戻ってきたとき、国内での中間貯蔵地が決まっているかどうか。

・2020年代後半(2025~2029年)に搬出し、再処理は30年代初頭とのことだから、その計画通りに行ったとしても、日本に戻るのは、2030~2040年という先になる。先延ばしもいいところ。

・2030~40年頃、責任を問われるのは、自分(森 関電現社長)じゃないことは確か。

【使用済み核燃料プールは満杯まぢか】

・国内で、使用済み核燃料の中間貯蔵地探しはどうなるのか。関電は続けると言っているが、見通しはあるのか。

・関電の原発では、今後5~9年で(2028~2032年)使用済み核燃料プールが満杯になる(関電の原発プールでの使用済み燃料の貯蔵量は3680トン。管理容量に占める貯蔵率は約8割)。今回、少しだけ(5%か6%、200トン)フランスに送っても、満杯になる可能性がある。関電の原発では、今後、7基で年約130トンの使用済み核燃料が発生し、増えていく。国内に2000トンクラスの中間貯蔵施設を構想しているとされるが?

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【参考】
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(1) 使用済み核燃料プールが満杯になるのは、あと何年後?
 美浜原発…9.3年
 高浜原発…4.7年
 大飯原発…6.2年
 市川 章人 さん(京都自治体問題研究所 原子力災害研究会)による、
 2023年3月31日現在

(2) Webサイト関電のあまりにひどい詭弁を福井県は認めるな!」末田一秀さん →こちら

(3) 松本修さんから

(4) アレバ社とオラノ社~~BIG ISSUE ONLINE から(→こちら
 フランスの原子力産業アレバ社は、福島原発事故の影響から経営危機に陥り、核燃料サイクル部門をオラノ社として再編した。厳しい経営環境にあると伝えられているオラノ社を救済するための契約ではとの疑念が湧く。そのような事情が背景にあることから、関電が支払う再処理費用とMOX燃料加工費用は莫大な金額に跳ね上がるのではないか。さらに、JAEAは廃炉となった「もんじゅ」や「ふげん」の燃料をオラノ社で再処理する救済計画も進行中だ。(伴 英幸)
(2023年8月1日発売、THE BIG ISSUE JAPAN 460号より)

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