◆6.16 舞鶴現地行動、市内配布チラシ

【2023年6月16日。舞鶴市内で配付】
【PDF→ tirasi2023-06-16[911 KB]

運転開始後48年、47年を超えた老朽原発・
高浜1、2号機の再稼働は超危険!
舞鶴市長に「再稼働容認」の撤回を求めましょう!

稼働中の高浜3、4号機では、運転開始後
40年未満にも拘わらず、トラブル多発!

 現在稼働中の高浜原発3、4号機は、運転開始後38年を超えた原発です。かつて(5月31日まで)の法律では「原発の運転期間は原則40年とし、例外中の例外として20年の運転延長を1回だけ認める」としていましたから、これに従えば、もうすぐ運転可能期間が終了します。そこで関西電力(関電)は、4月25日、これらの原発の20年運転延長を原子力規制委員会(規制委)に申請しました。

 しかし、高浜3、4号機では、トラブルが多発しています。下の表には、高浜原発3、4号機で過去3年半の間に報道されたトラブルの代表例がまとめてあります。規制委は、本年4月25日開催の定例会合で、「高浜原発3号機の重大事故に対処する設備でトラブルが相次いでいる」として、関電に対し、再発防止に向けた改善計画の提出を求めています。

 トラブルの中でとくに深刻なのは、約320℃、約160気圧の高温・高圧水が流れる蒸気発生器伝熱管などの1次冷却系配管の損傷が頻発していることです。1次冷却系配管が完全破断すれば、原子炉を冷やす機能が失われ、原子炉溶融(メルトダウン)に至る可能性があるからです。

 また、1月30日に高浜4号機で発生したトラブルも深刻です。原子炉内の中性子が急減する信号が出て自動停止したのです。原因は「過去に経験したことのない制御棒関係の異常」と発表されましたが、制御棒は原子炉のブレーキです。ブレーキの故障は、重大事故につながります。高浜4号機は稼働から38年になる原発ですが、関電は、同じく38年になる高浜3号機と共に、40年を超える運転の認可を規制委に申請するために、「特別点検」を実施しましたが、その直後に、このトラブルです。「特別点検」を実施したからと言って、トラブルは避けることはできません。

 なお、髙浜3、4号機の核燃料の一部は、事故を起こしやすいウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)です。MOX燃料は破損しやすく、使用済み核燃料になったとき、放射線量や発熱量が多く、通常の使用済みウラン燃料に比べて、4倍以上もの長期保管を要します。

不祥事、約束違反を頻発させ、企業倫理が欠落した関電が原発を運転

 若狭で原発を運転し、老朽原発の運転まで目論む関電では、不正が次から次へと発覚しています。「法令を守る意識や企業倫理を大切にする精神(コンプライアンス)」が崩壊しています。

 そんな企業が万が一にも重大事故を起こしてはならない原発を動かし、重大事故に至りかねないトラブルを多発させています。

関電の法令違反、不祥事

(1)関電役員が金品を不正受領、減額していた役員報酬や所得税追徴分の不正還流

…2019年発覚。関西電力の役員らが元高浜町助役から総額約3億7千万円相当の金品を受領していました。また、福島原発事故以降の電気料金値上げに伴い、経営悪化の責任をとって減額していた役員報酬について、退任した元役員18人に、嘱託報酬として計2億5900万円を不正還流していました。さらに、役員が税務調査を受けて払った追徴課税の不正補填も発覚しています。

(2)関電、原発推進の高浜町議に、不当に高額な土砂処分発注や土地、倉庫賃貸料支払い

…関電のコンプライアンス委員会が4月に3件の不正取引を公表。関電が元助役や町議の関連会社に対し、原発の安全対策工事で出た土砂の処分を高額で発注したり、土地や倉庫を借りる際に不当に高額な対価を支払ったりして、合わせて87億円以上の損害を関電に与えたとされています。

(3)不正資格取得

…2021年発覚。関電グループ全体で社員180人と退職者17人が、国家資格の施工管理技士を不正取得していました。不正取得者は、原発工事15件にも関係していました。

(4)電力販売でカルテル締結

…2021年発覚。2018年秋頃から、関電主導で大手電力(中部電力、中国電力、九州電力)が、事業者向けの電力の販売をめぐり、カルテル(独占禁止法違反)を結んでいたとして、公正取引委員会が中部電力、中国電力、九州電力に総額で1000億円余りの課徴金を命じました。ところが、主導者である関電は、調査が始まる前に違反行為を自主申告したため、課徴金を免れています。

(5)顧客名簿不正閲覧

…2022年発覚。関電の小売部門が送配電子会社の情報に不正アクセスし、競争相手の新電力の顧客情報を盗み見て、営業活動に使っていました。閲覧した社員の4割は「電気事業法上問題になり得る」と認識していました。送配電分離という電力システム改革を否定する違法行為です。

(6)関西電力送配電の社員が記録捏造し虚偽報告

…2023年発覚。関電の子会社「関西電力送配電」は、法律で義務づけられた電圧の測定について、社員が、5年間にわたり捏造した虚偽のデータを報告していたことを明らかにしました。

(7)使用済み核燃料の中間貯蔵地探しに関わる約束違反

…関電は2017年以来、何度も「使用済み核燃料の中間貯蔵候補地を福井県外に探す」と明言したにも拘らず、その約束を反故にしています。関電は、福井県知事の原発再稼働への同意を取り付けるために、何の成算も無く「空約束」を繰返してきたのです(後述参照)。

 このように、関電は、トラブル、不祥事、約束違反を多発させています。現在科学技術で制御できない原発を、無理矢理稼働させようとするから、人々を欺かなければならなくなり、このよう
な事態が発生するのです。

関電が再稼働を画策する高浜1、2号機はさらに危険

高浜1、2号機、火災防護対策不備で再稼働延期

 関電は、原発依存社会へ暴走を始めた岸田内閣の尖兵として、運転開始後48年超えの高浜原発1号機、47年超えの高浜原発2号機を6月から順次再稼働させるとして準備を進めていましたが、ケーブルの火災防護対策が不十分であることが明らかになり、5月2日、再稼働の延期を発表しています。火災防護対策が必要なケーブルの長さは、高浜1号機では約2200m、高浜2号機では約2300mです。再稼動を目指して、10年以上も準備してきたにも拘らず、再稼動直前になっての不備の発覚です。不備に関する自覚が足りないのか、検査・点検の仕方が杜撰(ずさん)なのか?今回の不備は氷山の一角かもしれません。

 なお、6月1日には、高浜1号機で、火災検知器4基を工事計画とは異なる位置に設置していたことも発覚しています。

関電の全原発で、ケーブルの火災防護対策が不備!

 ケーブルの火災防護対策の不備は、高浜1、2号機だけではありません。関電は、設計工事計画を無視して、ケーブルの火災防護対策をしないまま高浜3、4号機、大飯3、4号機、美浜3号機を運転しています。対策工事に数年かかるから、関電は対策をせず、規制委もこれを黙認しています。これが岸田政権の宣伝する「世界最高水準の厳しい原子力規制」の実態です。

原発圧力容器の脆化(ぜいか)が最も深刻な原発は高浜1号機

 原発の圧力容器は鋼鉄でできていますが、鋼鉄は常温ではある程度の柔らかさを持っています。しかし、温度を下げていくと、ある温度[脆化温度と呼ぶ:脆化とは「脆く(もろく)なること」]以下で、ガラスのように硬く脆くなります。新しい圧力容器の脆化温度はマイナス16℃程度ですから、水で冷やしても脆化しません。しかし、原子炉の運転によって、圧力容器が中性子にさらされ続けますと、脆化温度が上昇します。例えば、原発を40年以上運転し続けると、脆化温度がプラス100℃になることがあります。このような原発で運転中(約320℃)にトラブルが発生し、炉内温度が上昇した場合、原子炉を急冷しなければなりません。このとき、圧力容器が脆化温度(+100℃)以下に急冷されると、ょうど温めておいたグラスを氷水で急冷したときのように、圧力容器は破壊されます。そうなると、原発は過酷事故に至ります。

 今、日本で脆化温度が最も高くなっている原発は、高浜1号機(運転開始後48年超え)で、99℃と言われています。99℃以下に急冷されると圧力容器(原子炉本体)が割れてしまう可能性があります。この他の原発の脆化温度は、高浜2号機(運転開始後47年超え)で40℃、高浜4号機(運転開始後37年超え:稼働中)で59℃、美浜3号機(運転開始後46年超え:稼働中)で57℃です。

原発過酷事故が起こったとき、被曝なしの避難は不可能

 政府や自治体は、原発過酷事故を想定した避難訓練を行っています。それは、原発は重大事故を起こしかねないことを、政府や自治体が認めているからです。ただし、現行の「避難訓練」では、原発事故では住民全員が、何年も何十年もあるいは永遠に故郷を奪われることをあえて無視しています。

 「避難計画」は、住民の大量被ばくを前提にしています。例えば、原発で過酷事故が起こったとき、原発から5km圏内の住民は即時避難となっていますが、それ以外の住民は屋内退避となっていて、放射能汚染レベルが自然放射能の1万倍の500マイクロシーベルトになって、やっと避難を始めることになっています。

 一斉避難は不可能であるから、原発周辺住民の大半は「大量被ばくするまで待て」としているのです。

使用済み核燃料の処分法はなく、中間貯蔵を引き受ける所すらない

 関電は2017年以来、何度も「使用済み核燃料の中間貯蔵候補地を福井県外に探す」と明言したにも拘らず、その約束をたびたび反故にしています。関電は、福井県知事の原発再稼働への同意を取り付けるために、何の成算も無く「空約束」を繰り返してきたのです。

 2021年2月にも、候補地提示期限を「2023年末まで」と先送りし、「この期限が守られなければ老朽原発・高浜1、2号機、美浜3号機を停止する」としていますが、未だに候補地を見出すことはできていません。

 関電は、苦肉の策として、去る6月12日に、使用済みMOX燃料の一部を、電気事業連合会がフランスと行うMOX燃料再処理実証試験に供するために、フランスに持ち出すから「約束は果たした」としていますが、搬出量は、福井県内の原発で保管する使用済み核燃料のわずか6%以下に過ぎず、搬出予定も今すぐでなく、2020年代の後半です。「小手先」の策を弄して、人々をあざむいているとしか言いようがありません。

電気は足りています

 政府は電力需給のひっ迫を喧伝し、原発の推進に躍起です。しかし、日常的には、電気は足りています(余っています)。

 一時的に電力がひっ迫しても、節電によって乗り切れます。このことは昨年3月の地震と寒波に起因する東北、東京エリアでの電力不足、昨夏の猛暑による電力不足を、節電で乗り越えた実績が証明しています。

 昨年3月22日、東北、東京エリアで、地震による発電所の停止と寒波の到来が重なって、電力需給ひっ迫が発生しました。このひっ迫を乗り切れたのは、当日8〜23時の時間帯で約4000万kW時、また、需要の大きな17時台の1時間に約500万kWの節電が実行されたためです。原発5基分(1基100万kWとして)ものの節電が可能であることが実証されたのです。。

 電力需給ひっ迫を口実に、人々や環境に放射線被ばくを強い、負の遺産・使用済み核燃料を残す原発の推進にNOを!

失政のつけが、「原発依存社会」への暴走、老朽原発運転

 岸田政権は、今、老朽原発運転をはじめとする原発の推進に躍起です、この「原発依存社会」への暴走は、福島原発事故以降の政権が、事故の教訓を生かさず、原発維持にこだわり、自然エネルギーへの全面切り替えを怠った結末です。「失政のつけ」が回ってきたのです。もし、原発に費やされた税金や電気料金が、自然エネルギーを利用する電源、大容量の蓄電法、省エネ機器の開発と普及に回されていれば、原発不要の社会ができたはずです。

 このことを福島原発事故直後に認識したドイツは、脱原発を進め、再生可能エネルギーの割合を2割から5割に増加させ、去る4月15日に脱原発を達成しています。一方、福島原発事故の当事国・日本は、原発維持に固執したため、再生可能エネルギーの割合は1割から2割に増加させたに過ぎません。福島事故後のエネルギー政策の失敗の結果、脱原発の流れに乗り遅れたのです。岸田政権や関電はその失敗を取り繕うために、さらに大きな過ち「原発依存社会」に向かって暴走しています。「原発過酷事故」に突き進んでいるのかも知れません。

 日本は、太陽光にも、水にも、風にも、地熱にも恵まれています。先見の明がある政権であったなら、今頃、核燃料、化石燃料の必要のない社会を実現し、世界をリードできたでしょう。

 若狭でいち早く脱原発にかじを切っていたら、若狭や舞鶴市に新しい産業や雇用が生まれていたかもしれません。原発からの脱却を進めて新しい社会を目指しましょう!

舞鶴市長、舞鶴市議会に「老朽原発再稼働容認」の撤回を求めましょう!

 舞鶴市議会は2020年12月に、老朽原発・高浜1、2号機の再稼働容認を決議し、2021年4月には、当時の多々見良三市長がこれらの原発の再稼働容認を経産省に伝えています。

 しかし、これらの容認表明後にも、老朽原発の再稼働を目論(もくろ)む関電は、本チラシで述べたような原発トラブル、不祥事を続発させています。高浜1、2号機では、火災防護施設などの不備が発覚しています。このような関電は、原発過酷事故を起こしかねません。老朽原発の稼働などもっての外です。

 地方自治の根幹は「住民の安心安全を守ること」であることを鑑みるとき、舞鶴市長および舞鶴市議会は、老朽原発・高浜1、2号機の再稼働容認を撤回し、原発との決別を宣言すべきです。

 舞鶴市長、舞鶴市議会に、老朽原発・高浜1、2号機の再稼働容認を取り消し、政府および関電に原発との決別を要請し、「原発過酷事故の不安のない社会」を目指した市政を求めましょう!

2023年6月16日
老朽原発うごかすな!実行委員会(連絡先:090-1965-7102木原)