◆7/21の第16回口頭弁論の報告
 ~救援新聞より

  • 救援新聞 京都版No.1310 2017年8月5日
    橋本宏一(日本国民救援会京都府本部 事務局長)

地震の危険隠しの関電を批判

大飯原発差止京都訴訟第16回口頭弁論

  • 大飯原発差止京都訴訟の第16回口頭弁論が、7月21日、京都地裁(第6民事部・藤岡昌弘裁判長)101号法廷で開かれました。法廷には、原告や弁護団、支援の傍聴者など総勢120人余りが詰めかけたなか、原告代理人の渡辺輝人弁護士(弁護団事務局長)の第37準備書面(07年新潟県中越沖地震のメカニズムについて他)、谷文彰弁護士の第38準備書面(上林川断層について)がそれぞれ要旨を陳述。原告・市川章人さんが意見陳述をしました。以下はその大要です。
  • 辺輝人弁護士
    ―2007年新潟県中越沖地震の際、東京電力柏崎刈羽原発に想定をはるかに超える地震動が発生し、東電は原因を地表ら4キロから6キロの深部地盤の傾き、地下2キロの褶曲構造からの、それぞれ2倍の波が集中したと後付けで説明したが、科学的な調査や再現性の検証もしていない。地震発生前に「揺れの少ない強固な岩盤の上に建てている」と安全を強調していたホームページの文章を削除した。このことを踏まえると、大飯原発の地盤の特性はほとんど把握がされていない。関電は大飯原発の地下500メートル程度までしか構造を把握していない。海域についてもせいぜい2、300メートルの断面でしか把握していない。こんなおざなりの調査や検証で大飯原発の危険な地盤を「特異な地盤特性は存在しない」などと評価することは到底できない。
  • 谷文彰弁護士
    ―京都府の北部、綾部市からは北東の大飯原発に向かって活断層(上林川断層)が走っている。関電は断層が明確な範囲は26キロだとして、大飯原発に近い福井県境で活断層が確認できないとしているが、断層が存在する可能性が残されている。明確な活断層でない派生のところでも熊本地震は発生した。
  • 市川章人さん
    ―69歳、京都市伏見区に家族4人で暮らす。大飯原発から66キロメートルに住む。原発事故と放射能被害への不安、恐怖から提訴。大学で原子物理学を学ぶ。実験中の被ばく事故に遭遇し、以来がんへの恐怖をかかえてきた。処理方法のない放射性廃棄物を大量に生む原発に疑問を持ち、今儲かりすればよい、あとは野となれ式の商業運転はやめるべきだと考えるに至った。その後の99年の東海村の臨界事故と国の対応はチェルノブイリにつづく日本の事故を予感させ、福島原発事故で的中した。福島の原発から61キロの、5人の子どもをかかえた親戚一家の話を聞いて放射能への恐怖を一層強くした。避難もかなわず、命と健康への恐怖、仕事を失うなどの被害、生活そのものが成り立たない現実がある。福島原発事故後、大飯原発の再稼働が認められた。避難計画も再稼働審査の対象には含まれず、活断層の集中する若狭湾ではいつ過酷事故が起こるかわからない危険におびえることとなった。滋賀県によるシミュレーションでも、66キロ圏は安定ヨウ素剤の服用が必要で、琵琶湖が汚染されたら放射性ヨウ素のために1週間水が飲めないという試算もある。しかし、京都市の避難計画にはそのような記載は一切ない。15年の原子力災害対策指針の改悪で不安はいっそう増した。避難より屋内退避を強調。情報も届かない中、自分で自分を守るしかない。私の大学の事故はコンクリートの壁を通して放射線をあびたもので、屋内退避など効果はほとんどない。とくに心配は、保育園の孫。保育園からきちんと避難できるか。京都市は具体的対策を記載していない。孫たちの命と未来を守るために、万が一の危険も冒すわけにはいかない。原発廃止こそ最大の安全対策であり、命と生活を最優先にした判断を裁判所がくだされるよう切に願う。
  • 次回裁判は、11月1日(水)午後2時から、京都地裁101号法廷で。

裁判前にはデモで市民アピール

  • 裁判が開始される前、12時10分には、原告や弁護団など40人が京都弁護士会前に集まり、横断幕やノボリなどを手に、市民にアピールする、デモ行進をしました。裁判所の周辺から、柳馬場通り、夷川通、寺町通、丸太町通りを一周し、「大飯は危険」「原発やめよ」「子どもを守ろう」「自然を守ろう」などとハンドマイクの声にあわせて訴えました。