◆京都地裁所長あてに申入書を提出

2019/1/31,京都脱原発原告団から京都地裁所長あてに,申入書を提出しました。地裁に入るときの所持品検査を行わないように求めるものです。以下,全文。

申 入 書

京都地裁においては,庁舎に入るときに,所持品検査を実施することが検討されているとのことなので,現在,地裁にかかっている裁判で最大の原告を有する京都脱原発原告団として,以下,申し入れます。

京都脱原発原告団は,累計で3,323名の原告がいます。口頭弁論期日には,原告席に30数名,傍聴席もも合わせると100名以上が庁舎に入っています。原告席,傍聴席で裁判に関わるすべての参加者は,地裁の四方の入口から自由に庁舎に入っており,とくに,寒い日,暑い日,雨の降る日などは,傍聴席抽選までの待ち時間,開廷までの待ち時間には庁舎内で待機しています。傍聴席抽選などには時間もかかりますので,庁舎内のトイレも利用しています。

ところが,所持品検査によって,庁舎入り口が一つに固定され,庁舎に入るたびに検査を受けるとなると,上記のような利便性がまったく失われてしまいます。さらに,車いすの原告,松葉杖を手放せない原告もいますが,こうした障がい者は,回り道を余儀なくされたり,行ったり来たりの往復を強いられて,とくに不便になってしまいます。訴訟後の集会を弁護士会館で開くための移動も,負担になります。裁判に参加するということで,新たにこんな不便や不利益を被らなければならないのでしょうか。健常者にとっても,トイレの利用が制約されたり,傍聴席抽選結果の発表までの間,露天の屋外待機になってしまいます。そして,すべての裁判参加者にとって,所持品を検査されるということは,不審者の扱いを受けることであり,不愉快であり,まことに失礼な対応と言わざるを得ません。

裁判に参加する原告,傍聴者がこうした不便,不利益を我慢しなければならない理由は,どこにあるのでしょうか。所持品検査の必要性や目的は,どこにあるのでしょうか。これまで裁判所でトラブルがあったのかもしれませんが,それは,裁判所に限ったことではないはずです。京都では,市役所,府庁,警察署など,どんな公共機関でも,そこに入る人,全員を対象にした所持品検査などはしていません。

なぜ,裁判所だけが,所持品検査をするのでしょうか。他の裁判所でそうしたことが行われているにしても,京都地裁で横並びに実施する理由や必要性はありません。むしろ,他の裁判所の方が,大きな問題だと考えられます。

確か,最近の裁判所は「国民に開かれた司法」「市民が参加する司法」を標榜しているのではないでしょうか。それに対して,所持品検査の方向は,こうした理念に逆行する事態であり,国民の裁判を受ける権利を危うくすることになりはしないでしょうか。市民を一律に不審者とみなし,頭から信用していない姿勢が,露骨に現れていると感じられます。基本的人権を守る砦であるべき裁判所が,こんなことをして良いのでしょうか。裁判に参加する市民の基本的な権利への侵害ではないでしょうか。

遅くとも2月末までに,以下の質問に文書にて回答していただき,所持品検査は実施しない旨を表明していただきますよう,強く申し入れます。

(1) 所持品検査の必要性や目的は,どこにあるのでしょうか。
(2) 裁判に参加する原告,傍聴者が裁判所利用について,新たに不便,不利益を被り,それを我慢しなければならない理由は,どこにあるのでしょうか。
(3) 所持品検査は,裁判に参加する市民に対して,基本的な権利の侵害になるのではないでしょうか。
(4) 大きな問題のある所持品検査は,実施しないでください。

【5/31付け,二度目の申入書→こちら