◆原告第70準備書面 第1
本書面の概要(甲514)

原告第70準備書面
-2016年熊本地震を踏まえた主張-

2020年2月26日

目 次


第1 本書面の概要(甲514)

 被告関西電力は,FO-B~FO-A~熊川断層モデルによるM7.8の地震を想定し,独自に作成した地盤構造モデル(関電地盤モデル)によって基準地震動を策定している。すなわち,基準地震動を,地殻内地震のスケーリング則に準じたM7.8の地震の震源特性と関電地盤モデルによるサイト特性とにより計算しているのである。この際,スケーリング則が内包する1.4倍の偏差を考慮していないが,保守性については短周期の振動レベルを1.5倍にするなどしてこれを持たせているとしている。

 これに対して原告らは,既に第60準備書面において,大阪北部地震をFO-B~FO-A~熊川断層に適用して地震動を評価し,基準地震動が過小評価であることを明らかにしているが,本書面では,赤松意見書(甲514)に基づき,2016年に発生し,地殻内地震のスケーリング則に従う標準的な地震であったとされる熊本地震の加速度記録を用いて同様の評価を行うこととする。FO-B~FO-A~熊川断層で,スケーリング則に従う熊本地震と同じ震源特性を有する地震が発生したとき,基準地震動を越えないのであろうか。

 熊本地震は前震がM6.5,本震がM7.3と,本震の方が規模が大きくなっている(エネルギー費で15.8倍)。第60準備書面では大阪北部地震のM6.1を基準地震動における想定=M7.8にスケールアップして評価したが(第60準備書面3~4頁),本書面では熊本地震のM7.3等をそのまま適用して評価する。具体的には,熊本地震の震源断層の直近にある防災科学技術研究所の基盤強震観測網(KiK-net)の益城観測点(KMMH16)の,S波速度(Vs)2.7km/sの岩盤に設置された地中地震計で記録された,前震で289ガル,本震で287ガル(3成分合成)の加速度波形を,FO-B~FO-A~熊川断層に適用して原子炉基盤面の地震動を計算し,大飯原発の基準地震動と比較する。

 これにより,基準地震動が,スケーリング則の平均値による震源特性と,増幅率を小さくする関電地盤モデルであることとの相乗効果によって,過小に評価されていることを明らかにする(下記2項(1)ないし(6))。また,地震動は断層走向方向の成分および直交成分が大きいので,形式的に東西,南北方向成分で計算した基準地震動は過小評価であることも合わせて指摘する(下記2項(7))。これらは,第60準備書面同様,現に発生した地震の観測データを,FO-B~FO-A~熊川断層に適用して地震動を評価したものであり,実際にあった断層破壊過程が用いられているのであるから,地震動評価の信頼性は格段に高い。

 さらに,新たな視点として,FO-B~FO-A~熊川断層が震源断層となった場合,最新の技術・知見によって解明されてきた「おつきあい地震断層」により,敷地内断層破砕帯とそれに伴うシームが原子炉建屋の立地する基盤面に「くい違い」を生じさせる危険性のあることを明らかにする。この点について,原子力規制委員会では一切議論されていない。