◆5/27の第29回口頭弁論の報告
 ~救援新聞より

  • 救援新聞 京都版No.1428 2021年6月15日
    橋本宏一(日本国民救援会京都府本部 事務局長)

避難計画なき原発稼働停止を!

大飯原発差止京都訴訟第29回口頭弁論

◆関西電力と国を相手に京都などの3,323人の住民が起こした大飯原発差止訴訟の第29回口頭弁論が5月27日京都地裁(第6民事部池田知子裁判長)101号法廷で開かれました。コロナ禍の入場制限がされるなか、傍聴券を求めて65人が参加。弁護団10人、原告席の7人とともに法廷での原告、弁護団の意見陳述を見守りました。弁護団は3通の準備書面を提出、要旨を渡辺輝人事務局長が述べました。

◆意見陳述に立った原告の西村敦子さんは、避難の困難性について、原発事故の際、京都市は舞鶴市からの避難者8万人を受けいれる計画をつくることになっているが、京都市内の実効ある避難計画ができていない。なのにどうやって避難を受け入れられるのか、避難など到底できないと、指摘し、「原発事故は自然災害でなく人災。原発を運転しなければ大事故の危険性はなくなる。大飯及び高浜原発の運転をただちにやめてもらいたい」と訴えました。

◆渡辺弁護士は、水戸地裁判決(3月18日、日本原子力発電株式会社に対し「避難計画の不備」を理由に東海第二原子力発電所の原子炉の運転中止を命令」を取り上げ、基準は大飯原発にも当てはまるとして、次のように述べました。
―深層防護第5レベル(原発事故を幾重にも想定してレベル毎の防護基準を定めてある)において、事故が起こった場合30キロ圏内(住民94万人)から避難することは困難であり、自治体において避難を実行する計画が整っていなければ、人格権侵害の具体的危険があるとした。大飯原発も実効性のある避難計画はないこと、京都府北部の、土砂崩れや道路寸断、集落の孤立などを準備書面で指摘してきた。政府、府、各自治体でのこれに対する防災計画が策定されておらず、海路で船舶が使用できないことも明白。水戸地裁基準での圏内を大飯原発に当てはめれば、16万人の生活区域になる。8万5千弱が京都府民、うち舞鶴市民が8万弱を占める。関東平野にある東海第二原発と違い、湾岸と山間の地域で経路も限られ、16万人の住民が整然と避難するなど到底不可能。自治体職員も対応できない。―

◆閉廷後、「弁護士会館」で報告集会が開かれ、弁護団からは準備書面の解説があり、原告団からは吉田明生事務局長が活動報告などを行いました(写真は報告する渡辺輝人弁護士。座っているのが中島晃弁護団長代行)。
 

◆次回30回口頭弁論は、9月9日(木)午後2時30分から、101号法廷で。

◆第9回原告団総会のおしらせ
7月3日(土)午後1時30分~
ハートピア京都ホール
地下鉄烏丸線「丸太町」下車すぐ
記念講演「地震大国日本と検証されない避難計画」
講師:池田豊氏(京都自治体問題研究所)
弁護団報告、原告団報告など