◆関西電力 闇歴史◆016◆

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◆卸電力市場で価格暴騰を引きおこす(2020~21年)
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 2020年12月から2021年1月にかけて、卸電力取引所の価格が暴騰したが、その大きな原因の一つが、関電による市場への売入札絞りにあるとみられる。

 巨大な発電設備をもつ大手電力には、卸市場への玉出し(グロスビディング)は事実上の義務であったはずなのに、公表せずに自社判断だけでこれをゼロにした。仕入れたくても卸市場に品がない状態となり、買い手の新電力は焦って高値をつけ(自ら計画した量を確保できない場合は罰金=インバランス料金を徴収されるので)、市場価格が暴騰した。多くの新電力に多額の損失を与え、一部の消費者にも高額の電気料を強いることになった。関電は、需給調整が難しく、もっとも信頼性の低い電源である原発に過度に依存している結果、電力市場を混乱に陥れ、新電力の経営を脅かしている。

【参考(1)】卸電力市場の価格高騰、真の原因は、旧一般電気事業者(関電など大手電力)による売り入札の大幅減にある。グリーンピープルズパワー代表取締役の竹村英明さん → こちら

【参考(2)】「日経エネルギーネクスト」太陽光相場に負けたグロスビディング、10月から休止へ(→こちら)。
 電力・ガス取引監視等委員会は2023年10月、2017年から続けてきたグロスビディングを休止する。グロスビディングとは、大手電力(旧一般電気事業者)が自主的取り組みの一環として、社内取引の一部を卸電力市場を介して行うこと(大手電力各社が社内取引分の20~30%程度を市場で売買)。市場の流動性向上などを目指したが、市場を混乱させる要因にもなった。グロスビディング導入で目に見えて大きく変化したのは、卸電力取引所の取引量。開始当初の2017年4月にその取引量は電力需要の3.5%だったものが、翌年4月には17.1%に、そして2023年3月には39.9%にまで膨らんだ。監視委員会はこの事実から市場の流動性向上に貢献したと評価する。
 今回の休止判断の背景には、太陽光発電の割合が増加したことにある。2023年に入ってスポット市場で0.01円/kWhが付くコマが増えてきたことがある。0.01円/kWhの売り入札量が全体の売り約定量を上回るコマがここにきて多発するようになり、売れ残りが発生する。その一部は太陽光発電の出力制御などに回ることになるが、グロスビディングの売れ残りは出力の下げ調整や時間前市場への売り入札を行う必要が出てくる。そして、そうした需給調整が不調に終われば、余剰インバランス(対価の支払い)を出さざるを得なくなる。「今後は余剰インバランスが増える要因になるからグロスビディングを休止してほしい」といった要請が大手電力からあったのではなかろうか。

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