◆3月17日に行った関電との話し合いの記録

関電側;広報担当者など2名。
使い捨て時代を考える会;3名。

事前に提出した以下の質問書にそって話し合いました。

質問書
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1.福島第一原発事故から10年が経ちました。いまだに溶け落ちた炉心には近寄ることもできず、汚染水はたまり続け、廃炉作業も全く進んでいません。故郷を奪われた人々も、汚染地域に残らざるを得なかった人々も、いまだに大きな苦しみを抱えています。福島原発事故から貴社はどのような教訓を学ばれたのでしょうか。

2.大飯原発3・4号機について大阪地裁は昨年12月4日に原子力規制委員会の設置許可を取り消すという判断を出しました。地震動のばらつきを考慮していないという理由です。この判決を無視して貴社は大飯原発4号機を稼働させました。安全第一という貴社の主張は虚偽なのでしょうか。地震動については見解が分かれていることから、規制庁はこの判決後に地震動審査の「ばらつき条項」の改定方針を出すとしています。都合の悪いことは変えていくというのでしょうか。これでは安全の議論はできません。判断が異なったとしても、控訴審が決着するまでは稼働させるべきではないと考えます。それが法治性であり、安全性に対する真摯な姿勢ではないでしょうか。巨大地震が起きたら、東電と同じように判断先送りで過酷重大事故につながりかねません。ただちに大飯原発4号機を停止するべきです。司法判断に対する貴社の見解をお聞かせ下さい。

3.40年越えの原発、高浜原発1号機・2号機、美浜原発3号機の再稼働を進めておられますが、50年間の技術進歩はなかったのでしょうか。設計や材質の古い点は改善が進んでいるのでしょうか。改善不能な点の残るままでの老朽原発の再稼働は不安です。ぜひ再稼働の撤回を決断してください。前回の話し合いで、安全対策工事費は2019年が1,937億円、累計で7,000億円とお聞きしました。今後の稼働次第では採算の取れない可能性もあると思われますが、それでも再稼働をするのでしょうか。

4.金品受領、役員報酬補填問題については貴社への不信はますます強まっています。社外の目を入れて、コンプライアンスを徹底し改革の取り組みを進めていくとのことでしたが、具体的にどのように改革が進んだかお答えください。金品受領のような汚れたお金で原発再稼働を進めていることは、安全第一ではありません。すべての事実関係が明らかになるまで原発を動かすべきでないと考えます。貴社の見解をお聞かせください。

また最近敦賀市に貴社と日本原子力発電が2018~2021年に市道整備費として15億円もの寄付をしたという報道がありました。過疎地に危険な設備を押し付けるためにお金をばらまいているように思えます。なぜそのようなことをしてまで原発に固執するのでしょうか。

5.新型コロナウイルスの感染拡大が収まりません。新型コロナウイルスの脅威にさらされている状況においては、すべての原発を停止させるべきだと考えます。万が一事故が起きたら事故処理に当たる作業員も避難する住民も三密は避けられず、二次災害で感染が起きることは明らかです。コロナ禍が起きている中で、国は原発事故の際の避難所では換気しないという指針を出しました。放射能を防ぐために、コロナ感染防止をしないということです。このことについて貴社の見解をお聞かせください。また避難計画は自治体が作成し、貴社は支援するということですが、どのような支援を実際に行っているのでしょうか。

6.使用済み核燃料の処理についての見通しを述べてください。また2018年度中に決めるとなっていた中間処理施設の見通しは立っていますか。北海道寿都町と神恵内村が高レベル廃棄物最終処分場の調査受け入れを表明しました。文献調査に対して国から20億円の交付金が得られるとのことです。原発関係の施設に関しては、高浜町や敦賀市にもあるように多額の金銭が動き、地域コミュニティが破壊されるなど過去に様々な問題を起こしてきました。過疎の進む地域に原発のゴミを押し付けることについて社会的責任は感じませんか。

7.貴社の再生エネルギーへの投資の現状をお教えください。2017年には7億円で、2018年には5億円となっています。いっぽう原発の安全対策費は1兆円計上されていると報道されていました。これに比べると再エネへの投資があまりにも小さいのではないでしょうか。再エネへの取り組みが少ないことは国際的にも批判を受けています。コロナ禍のことも考えると、これからの社会は再エネへ転換しないと持たないと言われています。いますぐ原発への投資をやめて再エネへのシフトを図るべきではないでしょうか。

8.高浜原発で露見した汚職などで貴社に対する社会的信用は失墜し、貴社からの契約離脱は今年2月末で400万件を超えたと言われています。その状況下で電力販売量は落ちているにもかかわらず黒字決算となっているようですが、その収益の根拠は何ですか。発電部門ごとの発電量と部門支出を、福島原発事故前と事故後について年次ごとにお教えください。福島事故後、原発部門は会社にどの程度の貢献をしているのか教えてください。廃炉や使用済み燃料の後始末など技術的未解決課題が積み残されており、将来巨額の出費となるのではないでしょうか。また貴社は日本原電に電気料金として、最近も毎年ほぼ190億円を支払っておられますが、購入電力はゼロです。原発推進によって経営破綻の危険はないでのしょうか。

以 上
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話し合い内容
Q(こちら側の発言)、A(関電の発言)

A (◆質問1について) 東電事故を教訓に現状に満足せず安全対策を行っている。

A (◆質問2について) 国に対するもので国が控訴した。

Q 司法に対する考え方が問題だ。控訴は司法尊重ではない。危ないという指摘を受けたが、控訴したから確定できない。安全神話もそうだった。常識では運転できないはずだ。

Q 東電の事故は軽率だから起きた。この程度なら大丈夫だと。

Q 司法より国の判断を尊重するのか。

A 裁判の仕組みで…。

Q 東電の甘さが事故を招いた。

Q 司法の判断を軽視しているようにしか見えない。

A(◆質問3について) 保守管理を40年超えとしてやっている。認可の最新基準にバックフィットしてやっている。

Q すべてのことに対してできているのか。古い配管があるはずだ。伊方原発の裁判に関わったが(そのときは)30年をめぐってやっていた。40年は延長しすぎだ。建設段階の設計では考えられていないことがある。高温高圧に耐えられない。老朽原発の事故は関電の責任を問われる。

Q そこまで安全対策にお金をかけてどうして運転するのか。

A 日本は資源が乏しい。エネルギーセキュリティ上原発は必要。安定供給としても必要。

Q 安定というが原発があるから不安定になっているのではないか。北海道はブラックアウトしたが、巨大な電力はそういうことになる。本当に電気が足りないとき乗り越えたではないか。安定供給の議論はおかしい。

Q 事故で大きい影響があるようなエネルギーの供給の仕方がおかしい。

Q 安定供給とは聞くに堪えない。採算のために何千億円も投入して大丈夫なのか。

Q 高浜老朽原発の運転はなんとしても思い止まってほしい。

Q 累計で7000億円も使っている。これでも続けられるのか。金額を確認してもらいたい。

A(◆質問4について) 今月2日にコンプライアンス実施状況を発表した。またコンプライアンス推進室を設置した。工事の発注や契約手続きを見直していく。調達に対する審査委員会を設置した。

Q 原発マネー不正還流に対する世論は厳しい。森本社長は裁判で争うと言っているが、反省も無しに争う姿勢が問題だ。社内ではどう考えているのか。言い訳はできない。決定に関わった人は真摯な反省をするべきだ。

Q お金で人々の心を買うことに怒りを感じる。原発関係では特にそういうことがすごく多い。

Q こういうこと(金品受領など)をやっていては関電はつぶれる。勝手に心配していると思われるかもしれないが、これは、こういうことをやめてくださいというお願いだ。

Q 職員が納得しているとは思えない。

Q コンプライアンスをやる気があるのか。自分の反省点を明らかにしてもらいたい。

Q 電気料金や税金など、使われているのは私たちのお金だ。

A(◆質問5について) 京都府が内閣府の方針を踏まえて避難計画を秋に出す。

Q 自治体に丸投げではないか。東電はずさんでボロを出した。

Q どう具体的にやっているのか聞きたい。 社内に避難を考える部署はあるのか。

Q 最悪のシナリオを考えてやってもらいたい。バスが確保できない。雪の時はどうするのか。

Q 誠実さの問題だ。通り一遍の説明では納得できない。

Q 普通に考えてコロナを押さえようとしたら被曝は避けられない。原発を止めるのが当たり前ではないか。重く受け止めてもらいたい。

A(◆質問6について) 2月24日に経産省に計画を提出した。2023年に中間処理場を設置する。

Q 現在見通しはあるのか。

A あらゆる可能性を検討している。

Q 2年後に運転しない可能性があると考えていいのか。三百代言ではないのか。福井県議会が認めなかった。世論は反対している。お金で黙らない人もいる。どちらに耳を傾けるかだ。

Q 中間処理場は青森県、最終処分場は北海道となってきている。(石川県の)珠洲市は条例作って受け入れないと言った。ノーと言いつくしている。強引に進めないとできないということだ。危なくて手が付けられないからだ。事業計画が考えられない。今の関電は不幸な能力がない会社だ。

Q 原発はそれほど嫌われる施設ということだ。すぐにもやめたほうがいい。

Q アンケートでは原発反対が多い。

Q 河野太郎氏はバックエンドは非常に大きな問題としている。

Q 地下に埋めるのは無理だ。何年バックエンドの問題をやるのか。

A(◆質問7について) 再エネは600万キロ目標で現在414万kwまで運転を開始している。低炭素化に対する期待に応える。

Q 本気でやってもらいたい。

Q もっと丁寧に設備投資を考えてもらいたい。原発が増えているではないか。新エネの項目があったけど今は項目もなくなっている。真剣に取り組んでいると聞いても信じられない。経済がわかる人に出てきて説明してもらいたい。新エネの人件費(給与)はゼロだ。部門としてやっているのではなくて片手間ではないか。

A 600万kwの目標に対しての人手は出している。費用がどうかではなく、結果がどうかということではないか。

Q 人件費がないという状況で新エネ事業といわれても納得できない。

A(◆質問8について) 2020年第3四半期は競争が激化し、コロナ禍の影響があって、住宅やホテルの生活ビジネスソリューション事業が減少、経常収入が減少、小売りが減少、情報部門が減少となった。

Q *以下有価証券報告をもとに2009年度と2019年度の発電部門(水力・汽力・原子力)ごとの発電量と需給実績を読み上げた。

Q 前に(関電の経営に言及した)文章を渡し、間違いを指摘してもらいたいと言ったが返事がない。ぜひ返事が欲しい。

Q 発電しないと原発は高くなる。原発はほとんど固定支出。発電量と固定支出を比較して、それから再稼働ではないか。

A バックエンド費用も入っている。

Q 少ない。経営上の問題として送配電費用はどう推移しているか。

A 質問してくれたら調べる。そろそろ時間なので…

Q 安定供給に責任持っていると言えるか。

Q 新電力は足手まといなのではないか。なぜ新電力ができないかというと日本の電力事情に問題がある。送配電にケチをつけられたら迷惑するのは消費者だ。

Q 涙ぐましいほど努力をされていると思うが、会計が苦しい中で日本原電に190億円支払っている。しかも電気を買っていない。どういう経営なのか?

*今回から担当が交代した。質問書に対する回答を準備して**読み上げるという答え方で、誠実さがあまり感じられない。早くこの場を切り上げたいとういらだちがアリアリ。それでも1時間をこえて原発の不合理さを伝えることができた。***