◆菅政権の企む2 つの犯罪①朽原発再稼働、②汚染水の垂れ流しを許してはならない!

【2021年4月16日,京都キンカンで配付】

菅政権の企む2つの犯罪
①老朽原発再稼働、
②汚染水の垂れ流し
を許してはならない!
許せば、
①全原発の60年運転、
②全核施設からの放射性物質汚染水放出の恒常化
に道を開く!

(老朽原発再稼働については別に譲り、ここでは放射性物質汚染水垂れ流しの犯罪性について述べる。)

 政府は、4月13日、福島原発で増え続ける放射性物質汚染水の海洋放出を決定しました。2年後を目途に放出を始めるとしています。なお、汚染水は3月時点で約125万トンたまり、来年秋には千基以上あるタンクの容量(137万トン)が満杯になるといわれています。また、この汚染水放出で生み出された空地を、福島2号機の溶融核燃料の取り出しや1、2号機の使用済み核燃料プールからの燃料取り出し作業に必要な施設の用地にする計画もあります。

汚染水を「処理水」と言いなす
政府の欺瞞

 この水は、ALPSという吸着装置で処理したからと言っても、全く除去できないトリチウム(三重水素)、ALPSで除去しきれなかった放射性物質(ヨウ素、ストロンチウム、セシウムなど)を含んでいて、処理できていない水=汚染水です!

「政府が前面に立って
安全性を確保する」という空約束

 政府は、海洋放出の決定にあたって、「政府が前面に立って安全性を確保する」としていますが、同じように安全を確保すると言って運転した福島原発が重大事故を起こし、現在稼働中や稼働準備中の原発ではトラブル続きです。原発は現在科学技術で「安全を確保できる」ものではなく、この約束が国民だましの「空約束」であることは明らかです。政府の「安全確保」の技術とは「水で薄める」だけです!

トリチウムは、
法令基準の「1/40に希釈」しても
環境中濃度の1000倍以上

 海水中のトリチウム濃度は、1リッターあたり1ベクレルのレベルです。
 これに対し、原発からの放出水では、1リッターあたり60000ベクレルが規制値とされています。これは、原発を運転すれば、この濃度のトリチウムが生成し、それを除去する方法が無いからです。すなわち、60000ベクレルは原発を運転するために設定された濃度で、生態系等への影響は考慮されていないのです。
 政府が「安全を確保する」とした汚染水中のトリチウム濃度は、60000ベクレルの1/40ですから、海水中濃度の1000倍以上です。

汚染水に含まれる放射性物質は
トリチウムだけではない
(通常の原発排水とは異なる!)

 今、垂れ流そうとしている汚染水には、トリチウムだけでなく、ALPSで取りきれなかった、セシウム、ストロンチウム等の放射性物質が残存しています。これらを希釈して流しても、海の中で、生体濃縮されて、生態系を循環する可能性があります。
 放射性物質の残存について、2018年10月3日の毎日新聞は、「東電は、ALPSによってトリチウム以外の放射性物質の濃度を基準値以下にできると説明してきた。ところが、2018年8月時点でタンクに貯蔵していた処理水89万トンのうち75万トンは、トリチウム以外の放射性物質を浄化しきれていなかった。基準の100倍以上の放射性物質を含む処理水だけで、6万5000トンもあった」と報道しています。ALPSでの処理は完全ではないのです。
 政府は、放射性物質が残存する汚染水は、再度処理するとしていますが、どの程度とれるかは疑問です。
 一方、最近、ALPSでは取り除けない炭素14(14C:156keVのベータ線を出して崩壊;半減期5730年)が問題視されています(eVはエレクトロンボルトというエネルギーの単位)。東電が出した2014年の資料では「14Cは検出されず」となっていましたが、データを再検討した結果、その存在が浮かび上がったのです。14Cはあらゆる有機物に組み込まれます。生体内ではDNAにも取り込まれ、これを損傷します。半減期が長いので、環境へ影響を及ぼし続けます。「風評被害」だけではなく、実際の被害が発生する危険性も大です。

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環境中のトリチウム出所

①自然界で生成したもの
宇宙線(中性子、陽子)が大気中の窒素や酸素と核反応してトリチウムが生成します。
14N+1n→3H+12C   16O+1n→3H+14N
②過去の核実験で大量に放出され、今でも残っているもの
③原発や核燃料再処理工場などの原子炉関連施設から放出されたもの
【核燃料の冷却水に含まれる重水素(0.015%)に中性子が吸収されてもトリチウムは出来ます。】
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トリチウムの性質

①トリチウム(3H;陽子1個、中性子2個、電子1個で構成)は、化学的には普通の水素(1H;陽子1個、中性子0、電子1個で構成)とほぼ同じように挙動しますから、水や有機物(例えば、体内のDNAやタンパク)とも水素の代わりに結合します。
②弱いベータ線(18.6keV;eVはエレクトロンボルトというエネルギーの単位)を出してヘリウム3(3He)に変わります(半減期;12.32年)。このエネルギーの放射線は、紙1枚で遮蔽できます。→このことは生体内に取り込まれたトリチウムがベータ線を出すと、そのエネルギーの全てが体内で吸収されることを意味します。エネルギーが弱いといっても、生体内のDNAやタンパクの結合エネルギーは0.01eV程度~数eVであり、これに比べれば、18.6keV(=18600eV)は数万倍以上であり、このベータ線が生体内で1つ出れば(内部被曝)、原理的にはDNAやタンパク中の化学結合が数万も切断(損傷)されることになります(発癌要因になる)。ただし、DNAやタンパクには修復能力がありますから、トリチウムの濃度が薄い場合には、損傷したDNAやタンパクは修復されます。しかし、修復能力以上にトリチウムが生体内に取り込まれたときには、発癌します。
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人の命や安全を蹂躙する
政府と東電

 汚染水の垂れ流しを画策する政府や東電は、汚染水の放出が、漁業に携わる人々の生活を蹂躙し、現在だけでなく未来の人々までもの命と健康をむしばみ、世界の人々に不安を与えることを全く無視しています。このことは、下の記事中の麻生財務相の思いあがり発言1つをとっても明らかです。
 しかも、汚染水を垂れ流そうとしている東電は、コンプライアンス(法令遵守)の姿勢が全く感じられない企業です。その象徴的な出来事は、東電柏崎刈羽原発での核防護不備です。この原発では、昨年3月以降、計15ヶ所でテロ目的などでの侵入を検知する設備が故障したままになっていました。また、今年1月には、所員が同僚のICカードを不正に使って、中央制御室に入っていたことも判明しています。
 そのため、原子力規制委員会は東電柏崎刈羽原発に運転停止命令を出しています(4月14日)。
こんな政府と東電が、汚染水を垂れ流そうとしているのです。許してはなりません!

▼2021年4月16日京都新聞朝刊

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報告とお礼

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 老朽原発うごかすな!実行委員会は、緊急現地行動として、4月12日、高浜原発4号機再稼働抗議行動(約30人参加)を展開し、4月14日、福井県会議員の美浜原発視察に対して、同原発前で抗議・要請行動(8人参加)に起ちました。
 ご参加ご支援いただきました皆様に感謝し、お礼申し上げます。

▼2021年4月13日中日新聞・県民福井朝刊

▼2021年4月13日毎日新聞朝刊

▼2021年4月14日美浜原発前での抗議・要請行動


老朽原発うごかすな!実行委員会
(連絡先木原090-1965-7102)