◆11月16日に行った関電との話し合いの記録

関電側;広報担当者など3名。
使い捨て時代を考える会;3名。

事前に提出した以下の質問書にそって話し合いました。

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1.原発マネー不正還流など貴社の金銭にまつわる問題に関しての質問

(1) 貴社の原発マネー不正還流事件、会社訴訟の第1回口頭弁論(貴社現幹部が元幹部を提訴した裁判に、脱原発株主代表が訴訟参加)が10月6日にありました。貴社現幹部が貴社元幹部に対して金品受領の責任を問うていますが、会社としては、当然、勝訴をめざしているわけで、そのためには、会社内にある証拠(メール、文書)を積極的に法廷に出していくことが必要でしょう。どのようにお考えでしょうか。

(2) 貴社は、森山氏から金品の提供があった際、元幹部が個人的に保管していたのが悪いと主張していますが、それでは、会社がもらったことにして会社で保管していれば良かったとお考えでしょうか。訴訟参加の株主側は、多額の金品をもらったこと自体が、社会的常識からかけ離れ、大きな問題だと主張していますが、この点をどうお考えでしょうか。

(3) 貴社は、7月に役員報酬等の闇補填で、国税局から追徴課税をうけました。そのとき、すぐに納税しましたが、不服申し立てを行うか、今後検討するとしていました。ところが、9月22日になって、不服申し立てをしないと発表しています。貴社は「不服申し立てを行うことによる経済合理性などを総合的に勘案した。今後も関係法令に従い、適正な納税に努める」とコメントし、不服申し立てができなかったことを表明しているのですが、「経済的合理性」と「総合的」とは具体的にどういう意味でしょうか。

2.フランスの原子力大手オラノは、高浜原発で使用されるプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を輸送する船2隻が9月8日、フランス北西部シェルブールの港を出発したと明らかにしました。11月後半に日本の領海に到着する見通しと報道されています。使用済みMOX燃料の保管は100年以上とされていますが、どこに保管する予定でしょうか。また、再処理を行う方向なのでしょうか。課題を未来につけ回しして、負担を将来世代に先送りするのではないでしょうか。

3.運転開始から40年を超えて再稼働した貴社の美浜原発3号機で10月6日、非常用ディーゼル発電機が動作テスト中に自動停止するトラブルがあったと報道されています。貴社の発表によると「停止した非常用ディーゼル発電機は調速装置に不具合のある可能性があることがわかったため、予備の調速装置に取り替え、正常に動作することを確認し、10月9日、保安規定を満足する状態に復帰した」とのことで、運転を続けています。非常用発電機が故障すると、全電源喪失につながるのではないでしょうか。もう1台の同発電機が正常に作動することが確認できたため、運転を続けているといいますが、2台の非常用発電機が存在していることに意味があるのではないでしょうか。

 運転開始から40年以上経過した老朽原発の美浜原発3号機を再稼働させ、トラブルを起こしましたが、引き続き老朽原発高浜原発1号機・2号機の再稼働も進めるつもりですか。
美浜3号機は10月25日が特重施設設置期限で、その日までに完成しないので、10月23日に停止させる予定です。短期間の稼働のために無駄な経費を掛けていませんか。現在原発による発電は日本全体で3%程度と言われています。原発がなくても十分やっていけるという証拠です。それにもかかわらず老朽原発を動かす理由はどこにあるのでしょうか。

 福島原発事故後では老朽原発再稼働は美浜3号機が初めてですが、既成事実を積み上げて次々老朽原発を再稼働させていくのではないかと危惧します。老朽原発再稼働を進める最大の理由をお聞かせください。

4.新型コロナウイルスの脅威にさらされている状況においては、すべての原発を停止させるべきだと考えますが、コロナ禍に対応できる避難計画はできていますか。老朽原発を動かしているので、実現可能で実効性のある避難計画の必要性がますます高まっています。避難計画はどこまで進んでいますか。

5.昨年貴社は送配電部門を独立させ別会社にしました。しかし、実質は100%子会社で独立したものではありません。送配電を分離することで再生可能エネルギーが参入しやすくなるというはずでしたが、依然として大電力会社が有利な仕組みです。これでは再エネは進みません。このような仕組みについて貴社はどのように考えられますか。再エネへの取り組みが少ないことは国際的にも批判を受けています。コロナ禍のことも考えると、これからの社会は再エネへ転換しないと持たないと言われています。貴社としてもいますぐ原発への投資をやめて再エネへのシフトを図るべきではないでしょうか。

6.貴社からの契約離脱は今年8月末で450万件を超えたと言われています。離脱した理由の多くが原発依存に未来はないとする消費者の意思表明ではないかと推察します。安全確保ためとされる巨額な設備投資、保管するだけでも多大な費用が掛かり、処理・最終処分の見通しも経費の見通しも立っていない核廃棄物関連費用、技術的にも完成していない廃炉費用、動かしていない原発に必要な日常の管理・安全対策費用、日本原電などへの多額の出費、どれをとっても原子力発電に有利な条件はありません。なぜ原発に頼る経営をやめないのか、国の方針ではなく、貴社の経営姿勢としてお答えください。

以 上

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話し合い内容
Q(こちら側の発言)、A(関電の発言)

—–(質問1-(1)について)—–
A 訴訟関係は回答を控えたい。

—–(質問1-(2)について)—–
A 損害賠償の裁判に至ったことはお詫びしたい。

—–(質問1-(3)について)—–
A 経済的合理性について言えば不服申し立てが認められたとして、そのとき支払う弁護士費用などを考慮すると追加徴税額を支払った方が良いという判断だ。

Q 民事訴訟として経営と株主が協同して原告となる裁判は珍しい。協同して不正をただしていくことは大事だ。証拠の多くは会社にある。証拠を出すことは働いている人にもメリットがある。旧幹部の不正は面白くないと思うが変わらなければならない。コンプライアンスが大事と言っているが形ができているけど中身ができていない。協同して新しい会社を作っていってほしい。

Q 不正は市民として許せない。原発がらみなだけに問題だ。

Q 不正マネーは高浜に関わっているが、その歴史は長い。県内のメディアで扱われたのが1980年代だ。高浜3号機建設の際に9億円支払われ、町民や漁民に渡った。アンケートをとったら9億円と言うが、実際は25億円だという回答があった。そのお金は電気料金から支払われている。経済的合理性にかなうのか。過去にさかのぼって反省してほしい。地元ではいろいろと聞いたが、原発不正マネーに関電幹部までが関わっていることに唖然とした。

Q 経済合理性は会社にとって大事なことだ。会社と脱原発市民運動との共通のキーワードになる。

—–(質問2について)—–
A MOX燃料、使用済み燃料は若狭で貯蔵・管理する。国の施策に基づき適切に管理する。
Q フランスからいつ着くのか。

A 手元に情報がない。

A 到着は終わらないと公表できない。テロなどがあるので。

Q テロに関わるものをなぜ使うのか。

Q  MOX燃料を使ったプルサーマル運転を若狭でやるとき、経産省の役人が高浜の副町長に送り込まれた。プルサーマルに反対して町民投票を求めた時、住民投票の条件の10倍以上集まったにもかかわらず町長と町議会が否決した。国から圧力がかかったせいだ。

Q 経済合理性にも関わる。ウラン燃料は1億円、MOXは9億円。対テロリスト経費も含んでいるのではないか?このようなお金をかける必要がどこにあるのか。

Q もんじゅのプルトニウムは1.4tだが高浜は1.7tになる。プルサーマルは危険だ。また使用済み燃料が高浜に据え置かれる。

Q プルサーマルというが再処理工場も動いていない。これから研究開発をすると言っているが経済的に成り立たない。資源エネルギー庁はMOX燃料の保管が300年になると言ったことがあるが、そこまで原発サイトで保管できるのか。

—–(質問-3について)—–
A 1台トラブルがあっても非常用でもう1台ある。万が一外部電源が失われても1台動いていれば大丈夫だ。(老朽原発を進めるのは)S+3Eに沿ったものだ。

Q 経済性は長い目で見てほしい。

Q 美浜ではタービン動補助給水ポンプのフィルター目詰まりも起きた。「安全を守る。それは私の使命、わが社の使命」という、美浜町の原子力事業本部の看板通りにやってほしい。

Q 原発の経済性を精査したらお金がかかることが明らかになったと報道されていた。東電は被災者の医療費を削ると言っている。ひどい話だ。

Q 半世紀にわたって原発と付き合ってきたが、老朽原発は動かさないとしていたのに2018年に反故にされた。再稼働に反対して2019年2/26~3/9に断食をした。

Q 美浜は4か月動かして23億㎾発電し、10円/㎾計算すると230億円になる。巨費を投じても何とか勘定が合うという考え方なのか。美浜は廃炉に490億円、高浜は2基廃炉で900億円かかるという。健全経営のためにも原発に代わる方策を考えるべきではないか。

Q 高浜では3000~4000人、美浜では2000人働いていた。原発ゼロ法案の中身を見ていくと労働者のアフタケアはできると思う。だが原発ゼロ法案は自公が拒否した。問題にされないまま2020年9月に対策工事が完了したということで、猛烈な圧力で地元に同意を取り付けた。実は安全対策工事は完了していなかったことが2021年4月に判明したので、老朽原発を再稼働させるということに、私たちは反対している。特定重大事故等対処施設(いわゆるテロ対策施設)については福井県の安全対策課にも内容がまったく知らされていない。コストと従事する人数を知りたい。

A 次回質問をもらえれば、と思う。

—–(質問-4について)—–
A 繰り返しだが、避難は国の支援を受けながらやる。関電は自治体を支援する。福井県では新型コロナを踏まえ、過酷事故を想定して訓練した。京都府でも避難訓練をやる予定だ。

Q PAZ、UPZで計画が立てられている。5㎞以内の地元自治体には手厚くケアしていることは認めるが、立地自治体以外に認めないのはおかしい。東海第二原発では非立地自治体にも再稼働の同意を認めた。司法からブレーキがかかった。

Q 小浜のUPZ圏内では大飯原発で事故が起きたら屋内退避をし、毎時500μ㏜ ―これは通常の1万倍だが―で避難指示が出ることになっている。事故を織り込み済みで動かしている。原発が動いている限りUPZ内の住民は不安だ。土砂降りになってから避難するようなものだ。匿名で住民投票したら反対は多いはずだが、「住民投票したら反対に入れる。しかし署名はできない」と住民は言っている。署名は自治体が閲覧するからだ。

Q どの原発立地地区でも原発のせいで住民同士や親子・親戚間で争いが起きている。地域社会を壊していることを知ってほしい。

—–(質問-5について)—–
A 送配電部門として答える。送配電として最大限再エネ導入に努力している。コネクト&マネージとして、ノーファーム型という空いている容量を使っていくシステムを増やしていく。空けられるところは空ける。再エネの接続を増やしていきたい。

Q 100%子会社だから親会社を忖度しているのではないか。

A それについては細かいルールがあるので大丈夫だ。

Q 公益性が高いので独自の努力をしてもらいたい。

—–(質問-6について)—–
A S+3Eということではバランスに優れる原発の役割は大きい。2030年度で半減を目標にしている。ゼロカーボン比率を半減させる。CO2を出さない原子力は必要だ。

Q 原発維持ではなく減らす方向で考えてもらいたい。

A 再エネの良さには注目しているが役割を考えている。

Q 前回のときに日本原電のことを聞いたが決算公開の範囲を狭くした。不透明になった。日本原電との関係もきっちりしないといけない。ゾンビ会社と言われている。原発に固執すると矛盾を深めるだけだ。

Q 原発はCO2排出が少ないと言われたが、確かに運転時の排出が少ないかもしれないが、ウランの採掘から運搬して加工して…廃棄に至るまでとなるとCO2排出が少ないとは言えない。ライフサイクルアセスメントで考えるべきだ。火力もやめてもらいたい。

Q エネルギー消費を増やさない方向が重要だ。

Q 地球環境を考え、企業としてエネルギーの大きな変換を図るべきではないか。

Q 省エネ、節電をしながらエネルギーの使い方を検討するべきだ。

Q 若狭は15基中11基が関電だ。美浜と大飯が廃炉になり現在15基のうち8基残っている。老朽原発は思いとどまるべきだ。

Q 若狭には11基の関電の原発がありで977万㎾弱の設備容量をもっているが、美浜と高浜の住民が必要なのは6~7万㎾だ。インフラ整備と引き換えに原発を受け入れた。若狭の住民は子孫に対して申し訳が立たない。原発ゼロ法案にあるように若狭の次の産業を考えるべきだ。関電は若狭の地元で原発に批判的住民との意見交換ができる場を作ってもらいたい。

—–(全体の印象)—–
 今回は若狭(小浜市)から中嶌哲演さんが参加されました。地元からの参加のせいか、僧衣だったせいか関電担当者の対応がとても丁寧でした。美浜の原子力事業本部では会ってもくれないし、批判的住民とは話し合いの場さえないとのこと。中嶌さんが断食していた時にトイレを借りることもできなかったそうです。