◆9月19日に行った関電との話し合いの記録

関電側;広報担当者ほか1名。
使い捨て時代を考える会;4名。

今回は以下の質問書を提出し、話し合いました。
質問書
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1.現在、貴社は高浜4号機、大飯原発3、4号機を稼動させていますが、安全性等に関して以下の質問にお答えください

①台風21号の影響によって、関西電力エリアの停電が一時は最大で約170万戸に達したと報道されています。倒木などの影響でいまだに復旧できない所もあると聞きます。大地震が起きた北海道では、北海道全域が停電しました。いまだに完全復旧はされていません。広域のエネルギーシステムによる弊害とみられます。原発では巨大なエネルギー需給を前提としており、事故が起きれば広範囲に及び、復旧にも長時間かかることが明らかです。巨大なエネルギーシステムを見直す考えはありませんか。

②北海道電力では震源地から遠く離れた泊原発の外部電源が一時喪失したそうです。運転停止中でもあり幸い事故には至らなかったものの、もし稼動していたら第2の福島原発事故につながった恐れもあります。原発のそばに活断層がないから安全だとは言えないという証拠ではないでしょうか。

③北海道電力では火力発電所が損傷し大規模な停電を起こしましたが、原発を優先するあまり火力・水力発電を軽視していたのではないかと危惧されます。貴社の火力・水力発電では十分な対策を取っているのでしょうか。

④原子力規制委員会が九州電力川内原発1号機について、テロ対策等の拠点となる「特定事故等対処施設」の工事を認可したと報じられました。高浜原発、大飯原発に関する特定施設の設置計画について、設置予定年度、予算を示してください。

⑤自然災害が多発している昨今の状況を見ても、安全が100%保証されない限り原発は稼動させるべきではないと考えますが、再稼動を急ぐ理由はどこにあるのでしょうか。

2.使用済み核燃料の処理についての、技術的、経費的な目途は立っているのですか。また、中間貯蔵施設を福井県外に作るということで、候補地を2018年に示すとのことですが、具体案はあるのですか。

3.日本原電東海第2原発について、再稼動・運転延長には立地自治体以外の5市町村の事前了解を必要とするという安全協定がむすばれました。貴社の原発に関しても京都府・滋賀県の市町村と同様の協定を結ぶ必要があると考えますが、どのような見解をお持ちでしょうか。

4.電力自由化によって、貴社から他社へ切り替えた消費者は、8月末で180万件に上るとのことです。大飯原発再稼動、高浜原発再稼動で契約離れが加速していますが、そのことについてどうお考えですか。消費者は原発に依存しない電力会社を望んでいるのです。このことについてどのような見解をお持ちでしょうか。

以 上
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話し合いの内容(Q;こちら側の発言  A;関電の発言)

Q 台風や地震で停電が起きたが、広域のシステムが問題ではないか。
Q 北海道電力は165万kWだったが、若狭で起きたらどうなるか。泊原発が止まっていて本当によかった。地震で若狭の原発が一斉に止まるということを予測しているか。

A (同時に停止するということについて)訓練とかしている。北海道の場合、需給電力は北海道全体で310万kWだから、苫東は160万kWなので半分が落ちた。そうなると周波数が変動するが、関電は2200万kW、夏のピークで3300万kWであり、そのうち原発は400万kWだから、400/2200となる。北電では160/310。周波数の変動はkWの差で起きる。北電の場合巨大事故というより一つの発電所が止まって、それが5割で半分ぐらいのインパクトだった。

Q 若狭でもし大きい地震が起きたら、原発が全部止まるのではないか。
A 地震が起きたとき、全部止まるかわからないし、止まったとしてもインパクトは少ない。

Q 巨大地震なら緊急停止するでしょう。北海道は震度7だったが若狭は大丈夫か。
A 震度7は大丈夫。震度ではなくガルで計算しており、規制庁で決まっている。

Q 原発は地震が起きたら止まるから安全ということか。止まる基準はどれぐらいか。
A 高浜は700ガル、大飯は856ガル、美浜は993ガルに耐えられるようになっている。

Q それ以上揺れると止まるということか。
A そうです。

Q 緊急停止はその条件か。
A 確認する。

Q 安全率を見込んでいるのか。巨大地震で止まると予測したら、舞鶴の火力も影響を受ける。連鎖反応が起きる。
Q 情報が開示されないと不安だ。緊急停止のガル数、安全率など知りたい。
A 安全を見込んでおり、緊急停止のガル数は社内では示されているが公開はしていない。

Q 北電では大地震で火力発電が止まりブラックアウトしたが、若狭は大丈夫か。どのぐらい需給システムがこわれるかシュミレーションがあるか。
A 会社として「ここまでいくと危ない」と示すことがおかしいのではないか。
北電の場合、冬は500kWなのでインパクトが小さい。新聞記事では「関電は北電と同様には考えにくい。北電は310万kWだが関電は2200kWで、原発4基と火力発電、水力発電があり、立地も京都府、大阪府、兵庫など広範囲に及んでいるので考えにくい。東電も同様」と出ていた。いたずらに不安をあおるようなことはしたくない。

Q そういうことを言っているのではなく、エネルギー需給はできるだけ小さい範囲でというのが私たちの主張だ。地域ごとのエネルギー源だったら広範囲の停電は起きない。地域ごとに融通もできる。原発のような巨大エネルギー施設は疑問だ。しかも若狭に集中して大丈夫なのか。
Q 北海道では震源から遠い泊原発の電源が喪失した。若狭で地震が起きなくても危ないという証拠だ。
A 一つの電源に頼ることは危険ということで外部電源、非常用電源、またその非常用電源を置いている。

Q 安全を高めるのにそこまでしなければならない設備に問題がある。原発は見直して、もっと規模の小さい、地域の電源にもっていくように会社の方針を変えるべきではないか。
Q コスト的にも原発は見直すべきだ。コストがかかるから廃炉にしたのでは。
A コスト面ではなく、技術面で廃炉になった。

Q 技術がクリアできないということは、やはりコストの問題なのではないか。
Q 北海道のケースは活断層がなくても危険ということを示している。いま火山・地震の活動期と言われており、想定されていない所でも地震が起きている。原発はやめるべきだ。
A 日本が火山国・地震国という共通認識のもとで安全審査をしている。ガルで見ないとダメだということになっている。

Q 活断層がどこにあるかは分からない。地震学者も予測は無理といっている。どこでも起こる可能性がある。
Q 質問4について聞きたい。原発を動かしたら電力料金が安くなって顧客離れが止まると思っていたのではないか。
A 顧客離れは止めたい。第1四半期の決算では、企業や工場の電力使用量が東北震災後初めて増えたが、家庭の電力消費量は減っている。危機感を持っている。

Q 発電費は固定費も含めると原発は火力より高い。
A 原発は動いたり動いていなかったりするので、年度によって変動する。正しいコスト算出のために発電コスト検討委員会が置かれており、各電力会社が計算して提出したものを検討しているが、計算が難しい。

Q (グラフを示しつつ)原発再稼動で顧客離れが進んでいると思うが、気がついているのか。
A 安定経営から見ても厳しい。

Q 泊発電所が止まっていてよかったとみんな思っている。電力会社OBが脱原発を訴えている人もいる。元原発技術者という人もいる。何かあったら大きい打撃を受けることは普通はやらない。コスト割れも確実だ。常に「危険」の問題がある。
A 時間が来たので…

Q 質問の3について、言いたいことがある。南丹市から来たが、この春市長選挙と市議会議員選挙があった。市民グループが候補者にアンケートを取って公表した。「再稼動同意権を含む安全協定を結ぶこと」に市長候補3人全員が必要と答えた。市議会議員へのアンケートでは23名中15名が必要と回答、現状維持は1名だけだった。市民が事故のリスクを受けるという認識が自治体の政策に表れている。動かし続けることを再考してもらいたい。30キロ圏内に住む京都府民は福井県民より人口が多い。京都府は地元だ。
A 認識しているが、福井県との関係は歴史的経緯がある。

Q 行政区を限っていることは疑問だ。現実から物を考えてもらいたい。関電の顧客離れは住民の意思表示ではないか。立地自治体なみの避難計画が必要だ。また同時事故を想定しないなんてありえない。地震のたびに心配でならない。
Q 知り合いが京北町にいて1週間以上停電したそうだ。エネルギー自給を考えていると言っていた。
A (少し驚いたように)自給している人がいるんですか。
Q いますよ。

今回は台風襲来や北海道地震の大停電の後だったので、広域のエネルギーシステムを見直すように主張しましたが、そもそも地域のエネルギーとかエネルギー自給とかいう考え方を理解していないみたいでした。それにしても泊原発が止まっていて良かったですね。