◆民意を逆なでし、住民の命と人格権を蹂躙する立地自治体の原発推進議員と首長を許すな!

【2021年4月30日,京都キンカンで配付】

重大事故で避難は不可能
使用済み核燃料は処分法も保管場所もない
汚染水は海に垂れ流し
それでも、老朽原発再稼働に同意

民意を逆なでし、住民の命と人格権を蹂躙する
立地自治体の原発推進議員と首長を許すな!

老朽原発再稼働同意の茶番劇

 関電は、運転開始後40年をはるかに超え、危険極まりない老朽原発・高浜1、2号機、美浜3号機を再稼働させようとしています。また、「原発の40年超え運転は例外中の例外」としていた政府は、この約束を反古にして、老朽原発再稼働に躍起です。さらに、関電と政府の意を汲み、原発マネーにすがりつく高浜町、美浜町の議会と町長は早々と老朽原発再稼働への同意を表明しています。

 一方、杉本福井県知事は、2月の経産大臣、資源エネルギー庁長官、関電社長との会談の後、それまでの「関電が使用済み核燃料の県外中間貯蔵候補地を提示することが議論の前提」とする態度を一転させ、県議会に再稼働に向けた議論を要請しましたが、県議会は知事の変節に納得せず、老朽原発に関する議論は一旦中断しました(3月12日)。ただし、この中断は、再稼働同意を諦めたのではなく、再稼働同意に対する国からのさらなる見返りを求めて、条件闘争をしたのです。

 これに対して知事は国から5年間で1原発最大25億円の交付金(2原発で計50億円)を取り付け、県議会に提示しました。これによって、県議会は、深い議論もなく、再稼働同意の判断を県知事に一任しました(4月23日)。

 その後、県知事は、美浜3号機、高浜1、2号機を視察し(4月24日)、また、森本関電社長の「プラントの安全性を社長自らが先頭に立って確保していく」という覚悟と決意を聞き(4月27日)、梶山経産大臣の「2050年カーボンニュートラル実現に向けて、原子力を持続的に活用する」との言質をとり(4月27日)、再稼働同意を発表しました(4月28日)。

結局、
・政府、関電、一部の原発関連企業の意のみに依拠し、「自治体住民の安全・安寧を保全することが地方自治の基本」であることを忘れた福井県知事や議会は、中間貯蔵候補地問題は棚上げにし、人々の安心・安全を犠牲にして、原発マネーを得ようとし、

・原発マネー不祥事、原発トラブル(蒸気発生器配管の損傷など)、約束違反(使用済み核燃料中間貯蔵候補地など)を頻発させている関電は、安全確保を空約束し、

・原発関連企業の利益のみを優先させる政府は、税金によって立地自治体を買収して、老朽原発再稼働を強行しようとしているのです。

数日から数カ月で、運転停止になる
老朽原発を何故再稼働するのか?

 新規制基準では、原発の運転には、特定重大事故等対処施設(特重施設;いわゆるテロ対策施設)の設置が義務付けられています。特重施設の設置期限は、高浜1、2号機が6月9日、美浜3号機が10月25日ですが、いずれも完成が期限に間に合わず、各々、約2年半、約1年半遅れるといわれています。したがって、これらの原発は、再稼働したとしてもこの期限が来た段階で停止しなければなりません。数日から数ヶ月しか稼働できない老朽原発を敢えて稼働させようとしたのです。

 これには、40年超え原発再稼働の運転実績をつくり、全国の原発の60年運転への道を開こうとする菅政権の意思が強く反映しています。

 一方、杉本福井県知事が老朽原発再稼働への同意を急いだのは、稼働認可された原発が6ヶ月経っても動かないと「電源立地地域対策交付金」が減額され、9ヶ月を過ぎるとゼロになるからともいわれています。高浜1、2号機は、2月15日に保安規定認可がおりていますから、この原発に関わる交付金は、6ヶ月後の8月までに稼働しないと減額、11月までに稼働しなければゼロになります。高浜1号機は、6月9日の特重施設の設置期限で停止しますから、それまでに稼働しておかないと、停止が2年半も続けば、交付金はゼロになることを懸念したからです。

関電、高浜1号機、当面の再稼働断念
反原発運動の成果

 4月29日、関電が、高浜1号機の再稼働を当面見送る方向で最終調整していることが明らかになりました(福井新聞報道)。特重施設の完成が間に合わず、再稼働しても、1週間程度で停止せざるを得ないためです。市民運動、裁判闘争をはじめとする反原発運動の成果ともいえます。

 ただし、関電は、美浜3号機の再稼働を優先させ、5月10、11日に、核燃料をサイトに搬入しようとしているという情報もあり、五月中の再稼働も危惧されます。あらゆる可能な行動で「老朽原発うごかすな!」を訴えましょう!

原発重大事故時、避難は不可能
避難訓練を行わなければならないほど
危険な施設は原発だけです

 老朽原発再稼働の風雲が急を告げる中、水戸地裁は、老朽東海第2原発の運転差し止めを命じました(3月18日)。「避難計画が不十分で、重大事故を起こしたとき、避難が困難であるから」とした、至極当然な判決です。

 政府や自治体は、原発重大事故を想定した避難訓練を行っています。それは、原発は重大事故を起こしかねないことを、政府や自治体が認めているからです。ただし、政府や自治体で考えている「原発災害時の避難計画」では、わずかの期間だけ避難することになっていて、避難に要するバスの台数も避難する場所も全く足りません。政府や自治体は、原発事故では住民全員が、何年も、何十年も、あるいは永遠に故郷を奪われることをあえて無視して、「避難訓練を行った」とするアリバイ作りをしているのです。(大規模で長期の避難訓練は不可能であるからです。)水戸地裁判決は、このような現実を踏まえたものです。

 ところで、高浜原発から福井県庁は88km離れていますが、京都府庁は59km、滋賀県庁は64kmの地点にあります。若狭の原発から100kmの圏内には、76万人が住む福井県のみならず、257万人が住む京都府、141万人が住む滋賀県の全域、大阪府、兵庫県、岐阜県、奈良県の多くの部分が含まれます。福島事故では、事故炉から約50km離れた飯舘村が全村避難であったことを考え合わせれば、若狭の原発で重大事故が起こったとき、何100万人もが避難対象になりかねません。避難は不可能です。琵琶湖は、高浜原発から50~72km、美浜原発から28~80kmにあり、汚染されれば、1400万人以上が飲用水を失います。

 若狭の老朽原発が重大事故を起こせば、避難は不可能に近く、被害は広域かつ長期におよびます。重大事故を起こしかねず、避難計画を立てようもない老朽原発を再稼働させてはなりません!

福井県議会、県知事へ
多彩な抗議行動の展開

 杉本福井県知事は、4月6日、畑県議会議長に面談し、国から最大50億円の交付金を引き出したことなどを報告して、県議会での再稼働議論を再度要請しました。これを受けて、畑議長は、老朽原発再稼働に前のめりの姿勢をあらわにしました。議会として、美浜原発、高浜原発を現地視察し(4月14、15日)、2度の全員協議会を開催し、与党・「県会自民党」が会派として再稼働に同意を表明した後、1日だけの臨時議会を開催し(4月23日)、老朽原発再稼働に反対や慎重な議論を求める請願60件を、ほとんど審議せず、全て不採択としました。一方、再稼働を前提とした原発推進団体から出された請願1件は、賛成多数で可決しました。この後、県議会は、再稼働同意の可否を県知事に一任しました。これを受けて、先述のように、知事は、美浜3号機、高浜1、2号機を視察し(4月24日)、また、森本関電社長および梶山経産大臣との会談を行い(4月27日)、再稼働同意を発表しました(4月28日)。

 このような県議会と県知事の動きに、多彩な抗議行動が展開されました。

・全国から、ハガキ、FAX、電話、メールで、県会議長と県知事へ「老朽原発うごかすな!」を申入れました。

・4月14日:県議会議員の美浜原発の現地視察には、原発ゲート前で抗議行動を行いました(8人参加;15日の高浜原発視察にも1人が抗議行動)。

・4月23日:「オール福井反原発連絡会」の呼びかけに応えて、県庁前で抗議行動を行い、県議会傍聴闘争を行いました。この日、「オール福井反原発連絡会」は、朝一番に知事へ「原発に反対する団体と話し合うこと」を、次に議長へ「多数の陳情請願に対して担当委員会で請願者の意見を聴くなど丁寧な対応をすること」を申し入れ、正午ごろから、県庁前で「拙速な審議をするな」と県内外の50名(関西から11名が参加)を超える参加者でアピール行動を行いました。「6月議会で避難計画や老朽原発の危険性をしっかり議論すべき」「県内外からの多くの請願を慎重に審議して」「原発から30キロ圏の琵琶湖が汚染されれば関西全域の住民が被害者になる」など次々とマイクで訴えました。議会は午後1時に開会されましたが、傍聴席はほぼ埋まりました。議場内の熱気と裏腹に、老朽原発再稼働に反対や慎重な議論を求める請願60件が全て不採択となりました。多くの請願者の願いは握りつぶされたのです。畑議長は、議場内の拍手にも過敏に反応し「そうだ」「審議はつくされていない」との声に対して退場を命じるなど過剰に対応しました。

・中島哲演さん、石森修一郎さんが、福井県の拙速審議による再稼働同意に抗議して、断食に入られ、8日間続けられました。

▼4月14日美浜原発前での抗議行動

▼4月23日福井県庁前での抗議行動

▼4月23日福井新聞朝刊

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◆老朽原発うごかすな!大集会inおおさか

6月6日(日)

午後1時開会 午後2時半~ 御堂筋デモ

うつぼ公園

(大阪地下鉄四つ橋線、中央線本町駅下車)
主催:老朽原発うごかすな!実行委員会

老朽原発廃炉を突破口に、
原発のない社会を実現しよう!

(くわしくは → こちら

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◆4月23日京都での
「6.6老朽原発うごかすな!大集会inおおさか」への
参加要請行動での一コマ

あとからくる者のために
坂村真民「詩集・詩国」より

あとからくる者のために
苦労をするのだ
我慢をするのだ
田を耕し
種を用意しておくのだ
あとからくる者のために
しんみんよお前は
詩を書いておくのだ
あとからくる者のために
山を川を海をきれいにしておくのだ
あああとからくる者のために
みなそれぞれの力を傾けるのだ
あとからあとから続いてくる
あの可愛い者たちのために
未来を受け継ぐ者たちのために
みな夫々(それぞれ)自分で出来る
何かをしてゆくのだ
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老朽原発うごかすな!実行委員会(連絡先;木原090-1965-7102)