◆公開質問状に おおい町長から回答

【2019年5月3日,京都キンカンで配付】

おおい町長から、「老朽原発運転延長、使用済み核燃料の処理・保管などに関する公開質問状」への回答を得ました

「原発うごかすな!実行委員会@関西・福井」は、「老朽原発運転延長、使用済み核燃料の処理・保管などについて」、高浜町長、おおい町長、美浜町長に公開で質問していましたが、おおい町長より回答を得ましたので、報告します。

国、原子力規制委員会(規制委)、関電任せで、
町の自主性は感じられない回答

◆この公開質問状は2月20日に提出し、おおい町長からは4月10日に回答を得ました(高浜町長、美浜町長の回答は5月の予定)。以下に、おおい町長の回答と回答に対する質疑応答を報告します。なお、回答は、町長自身でなく、担当課長、課長補佐など6人によって伝達されました。したがって、質疑応答は回答伝達者との間のものです。また、質疑応答の一部は、紙面の都合で、割愛しました。

公開質問事項、回答、質疑応答

質問1 老朽原発の運転延長について

質問1-1

◆老朽原発再稼働について、賛否のご意見をお聞かせ下さい。また、老朽原発でも再稼働は止むなしとお考えの場合、住民の安全を守るために特別の施策をされますか。施策があれば、お示しください。

回答

◆規制委の認可を受け、40年を超えて運転することについては、法律で認められており、安全対策工事が完了し、立地地元の理解が得られることを前提に、否定するものではありません。住民の安全を守るためには、特別あるいは普通の区別なく、事業者(関電)にたゆまぬ安全性向上に向けての取り組みを厳しく指導することをはじめ、国などの関係機関に、監視、指導のさらなる強化を求めていく必要があると考えています。

質問1-2

◆老朽原発の運転延長によって、その不安は飛躍的に大きくなります。住民にとって増大する事故のリスクへの不安を、どのように評価していますか。また、老朽化によるトラブルの要因の一つ一つについて、立地町はどのように検討されていますか。

回答

◆40年超え運転に関しては、皆さんをはじめ不安を抱く国民の方々がいらっしゃることは承知しています。町は老朽化によるトラブルの要因と考えられる一つ一つについて、独自に、科学的、技術的観点から検討する機関を持っていませんが、事業者から説明を受けるなど情報の収集を図っていきます。また、国や事業者に対して、科学的、技術的検討と対策に万全を期すること、国民に丁寧に分りやすく説明し、広報することを求め、町としても地域住民の声にしっかりと耳を傾けていきたいと考えています。

質問1-3

◆老朽原発の規制委審査は、高浜1、2号機の審査に典型的なように、他の原発の審査に比べ異例の短期間で行い、運転延長認可限度期日に間に合わせることを優先し、また、審査の手抜きも各所にありました。このような規制委の審査で、40年を超えた原発の安全性は本当に確保されているとお考えでしょうか。

回答

◆規制委の田中前委員長は、福島のような事故が起こるなら許可しないと発言しており、規制委の審査報告をもって、一定の安全性の確保がされているとの認識を持っています。しかし、安全性に絶対ということはなく、事業者は緊張感をもって、保守・運営に臨み、今後もたゆまぬ新しい知見を取り入れるなど、更なる安全性向上に向けた取り組みを続ける必要があります。規制委においても、事業者を厳しく指導、監視するとともに、終わりなき安全性の追求をしていかなければならないと考えます。

質問1-4

◆規制委は審査結果について、「新規制基準に適合したのであって、安全を保証するものではない」という姿勢です。このことは、安全に関する責任は、原発を動かす関電、それを容認する町や県の議員、首長にあることを示唆しています。したがって、それぞれの首長、議員には、町民、県民の命と財産を守り、安全を図るために、問題点を検討し、自主的に判断できる能力が求められています。
首長、議員各自が、老朽原発の再稼働について、どのような見解なのか明らかにすべきであると考え、また、首長、議員がその見解を住民に明らかにする場と機会を準備すべきと考えますが、いかがですか。

回答

◆当町議会には、原子力発電対策特別委員会が設置されており、定例または必要に応じて委員会を開催し、原則公開で議論を重ねられています。また、議会報告会などを通して町民と直接対話をする機会も設けられています。平成29年の大飯3、4号機の再稼働判断時の例を申しますと、議会の判断時については、議会独自で規制委や事業者から説明を受け、町主催の住民説明会の傍聴などを経て、全員協議会という公開の場で、その見解を明らかにされています。議会は独立した機関でもあり、町長が、そういう場と機会を準備する立場にないと考えています。

質疑応答

質疑

質問1-1について、事業者のデータを信用すると言われますが、例えば、最近の火山灰の評価でも、2.5倍以上違っています。「警報なき津波」についても、深刻ですが関電は考えていません。規制委の田中前委員長は、「審査結果は、安全を保障するものではない。新規制基準に適合しているということだ」とたびたび言っていました。新規制基準は、福島事故からわずか2年位で、事故に関する調査も進んでいない時期にできたのです。それを信用するようでは、町民のみならず、もっと広範囲の人たちが影響を受ける事態に対して、責任を持っているとは言えません。

◆おおい町に責任を取れというのは酷かもしれませんが、立地自治体としての責任はあると思います。それでも関電や規制委を信用し、彼らのデータに頼るのですか?

町の答弁

◆関電の出すデータについて、科学的、専門的に検査・確認する町の機関を持っていないので、国や事業者の行った確認を信用するというスタンスでやっています。

質疑

◆信用できればよいが、信用できないことが次々に起こっていることが、報道でも指摘されています。したがって、判断する機関を持っていないおおい町は、どこかに委嘱してでも正確な判断をすべきです。それもなく、おおい町が関電や政府に同意しても、関電は「一歩進んだ」と言っています。県も「おおい町がそう言っているから。」と町の意見を拠り所にします。私は町民ではないけれど、おおい町の判断が、大飯原発稼働の是非を決めるから、多いに不安を感じる。「誰かが言っているから、それに頼るんです。」という言い方はやめていただきたい。

◆先日、町議会を傍聴しましたが、議員の多くが「規制委が言っているから大丈夫。関電の資料が良かったから大丈夫」と、規制委任せ、関電任せの発言をしていました。信頼に足る判断をできるシステムを考えてください。

質問2 老朽原発の延長運転についての立地自治体および周辺自治体住民の意見聴取の必要性について

質問2-1

◆40年超え老朽原発の再稼働は、これまでの原発再稼働とは比較にならないほど大きな問題を包含しています。その再稼働にあたっては、自治体として改めて広く住民の声を聞く必要があります。町として、住民の不安に応える場、住民が意思表明できる機会を作ることが求められているのではないでしょうか。そのような場や機会を設ける計画はありますか。

回答

◆現時点において、大飯発電所の延長運転については、方針等は決まっていませんし、高浜発電所につきましても、住民を対象とした説明会や投票など、機会を設ける計画はありませんが、適宜、広報、周知を図る必要があると考えています。なお、原子力に関する不安等の相談については、常時対応させていただいています。

質問2-2

◆日本初であり、「例外中の例外」であるはずの老朽原発の再稼働については、原発重大事故で影響を受ける可能性が高い周辺自治体の意見も聞く必要があると考えますが、どうお考えですか。なお、老朽原発である東海第2原発の再稼働について、日本原電や茨城県は周辺自治体の意見を聞く機会を設けようとしています。

回答

◆高浜、美浜に関することなので省きます。

質疑応答

質疑

質問2-2については、そのうち大飯も老朽になりますから、その時はよろしくお願いします。

質疑

◆大飯1、2号機は、廃炉になったので時間的余裕はありますが、来年、高浜1号機、美浜3号機、高浜2号機が動き出せば、自動的に大飯3、4号機も40年を超えて動いてしまうのではないかと思うので、のんきに構えているのではなくて、高浜と一緒に考えていただきたい。高浜で事故が起きれば、大飯でも影響は出るので、そういう回答をしていただきたい。

町の答弁

◆隣りだからといって、まったく無関心だというようなことはあり得ないし、同じ関電ですし、万が一の時は当然影響を受けるので、しっかりと情報収集をしていくし、高浜町の動き、国の動き、事業者の動きはしっかり注視していきます。

質疑

◆おおい町の職員、町長として、老朽原発は、普通の原発とどう違うと理解しておられるのか。全く同じものだと考えていらっしゃるのか?

町の答弁

質問1-2にあるように、老朽化による容器や配管の脆化だとか、腐食だとか、こういったことは当然、年月が過ぎれば進むという認識はしています。

質疑

◆そうであれば、昔の美浜の事故だとか、最近の川内、玄海、伊方などでの老朽化による細管破損や減肉について深刻に考えなければなりません。40年まで安心なのではなく、20何年でも穴が開いています。それも高放射線で修理できないから栓をして、何万本もあるから何十本くらいやられても支障がないとしています。大飯原発も30何年も経っているので、配管は相当老朽化しています。老朽原発の廃炉を今から検討すべきです。それを、関電が言っているから、規制委が言っているからと逃げるべきではありません。規制委がOKを出した原発、川内、玄海、伊方、高浜原発は、みんなトラブルを起こしています。それでもなおかつ、規制委が正しいと信用したり、大事故にならなかったから大丈夫では済まない話で、もう少し質問2-1についても考えていただきたい。もっともっと、みんなで勉強をして欲しい。いろんな立場の人、関電,規制委などの賛成派だけでなく。反対の人も呼んで、話を聞いた方が良い。

質疑

◆高浜1、2号機の工事現場は外から見られましたか?感想は?

町の答弁

◆ドームの部分をやりかえるほど、大掛かりな工事をされているな、というイメージを持っています。

質疑

◆外の部分は、蓋をしたり、丸いものを乗せたり、事故が起きた時、外に出ないようにする形のものはやっています。加圧水型の蒸気発生器の細管が詰まっていても取り換えるのは大変。絆創膏を貼ったのでは安心できません。

◆それと今40年から60年と言っていますが、経団連の中西会長は、「アメリカは60年を超えての運転を考えている。」と言っていて、80年運転の可能性がでてきました。大飯はどうなのか。住民の安全を考えるなら、来年の一年で再稼働となる前に、しっかりと賛否両論を聞いて、自分なりの考えを確立する責任があります。

町の答弁

◆大飯の場合はまだ一年あるから、事業者から来年はどうするとかは聞いていません。高浜や美浜は延長運転に動いているようですが、情報を常に得ながら、大飯が仮にそういうことになったときに、あわてなくていいように、しっかりとしていく必要があると思っています。現在は、原子力に関する相談については、意見を聞く公の会などは設けていませんが、常に意見を聞く機会は設けていますので、その中で対応していきます。

質疑

◆住民の不安には、常時対応しているというお答えでしたが、それは例えば、私が総務課に提出した避難の関係の情報を受け取っているということが、「対応させていただいている」ということにあたるのですか。それとも、年二度ほど行っている住民説明会などのことですか。この説明会は、原発不安窓口のようなものではなく、結論誘導型の進行形式になっていて、公正な内容ではありません。そういう現状の中で、住民の不安に対して、どのように常時対応し、体制をとっていると言われるのか教えてほしい。問題についての専門家がいるのか、それなりに不安に応える力を持っている方でなくてはいけないのですが、町民としては、そのような方はいないし、そのような窓口はないのではないかと思います。

◆もう少し詳しく、不安があるときは、どこそこに来てくださいとか具体的に教えてほしい。

町の答弁

◆今までの公開説明会が思うようなものではなかったとおっしゃるわけですが、疑問、不安に思っておられる部分について、項目によっては町で回答できる部分もあれば、専門的なことで、科学的な部分が必要な場合は、町で直接答えられないこともあります。そのあたりについては、町を通じて確認することもあれば、そちらでそのような機関をご存知であれば、そちらで確認していただくこともあります。町に対して質問していただいた場合は、できる限りの範囲で回答させていただきます。

質問3 使用済み核燃料の保管と処理・処分について

質問3-1

◆使用済み核燃料の中間貯蔵施設について、関電は、福井県知事に昨年内に県外に移すと約束しながら、昨年末12月26日になって、候補地提示を断念したことを知事に伝え、謝罪しました。

◆原発立地町は、この約束違反を県民を愚弄するものとして、厳重に抗議すべきではないですか。また、県および原発立地町は、この約束を前提とした原発稼働への同意を取り消し、使用済み燃料を生み出す原発の全廃を、関電に求めるべきではないですか。

回答

◆町長は、「事業者自らが設定した期限に公表できなかったことは、いかなる理由があるにせよ、発電所と最も身近に生活する立地町との信頼関係を揺るがしかねず、非常に遺憾である」というコメントを出し、事業者に厳しい姿勢で伝えています。なお、公表できなかったことが、即刻発電所の安全を脅かす事にはならず、全廃すべき理由には当たらないと考えています。

質問3-2

◆今後の使用済み核燃料の保管について、中間貯蔵候補地が県外に見出せない現状の中でも、使用済み核燃料の福井県外搬出先を近い将来に見出せるとお考えですか。また、見出せる見通しが暗いとすれば、どうすればよいとお考えですか。

回答

◆国はエネルギー基本計画において、使用済燃料の貯蔵能力の拡大を進める事としており、使用済燃料対策に関するアクションプランを策定しています。それに基づき事業者が使用済燃料対策推進計画に基づき取り組みを進め、また、2020年を念頭に候補地を公表するとしており、その状況を注視していきたいと考えています。あわせて六ヶ所再処理工場の稼働により搬出が可能となるので、その審査状況も注視をしています。

質問3-3

◆中塚おおい町長は、昨年8月、「原発構内で金属製の容器に保管する乾式貯蔵も一つの選択肢」と述べています。また、野瀬高浜町長は、昨年11月、「原発の使用済み燃料を一定期間保管する中間貯蔵施設について、県内も含めて検討する必要がある」との考えを示しています。

◆両町長のこの考えは、関電が約束を反故(ほご)にした現在も変わっていないのですか。

回答

◆住民の安全安心の観点から、乾式貯蔵は一つの選択肢であるとの考えに変わりはありません。

質問3-4

◆使用済み核燃料を乾式で中間貯蔵する場合、その期間は50年を限度にするといわれていますが、その50年間に最終処分地が見つかる可能性は低く、原発敷地内での「中間貯蔵」を容認した場合、原発立地自治体は「核のゴミ(使用済み核燃料)捨て場」を引き受けることになりかねません。したがって、「中間貯蔵」を容認することは、超長期にわたる厳重な管理と広大な敷地が必要な「核のゴミ」の管理を、未来の住民に押しつけることになりますが、どう考えますか。

回答

◆事業者が使用済燃料対策推進計画に基づき取り組みを進め、また、2020年を念頭に候補地を公表するとしているので、その状況を注視しています。あわせて、六ヶ所再処理工場の稼働により搬出が可能となるので、その審査状況も注視をしています。町としては、今後も住民の安全安心を第一に原子力行政に取り組んでいきたいと考えます。

質問3-5

◆炉心に隣接する燃料プールが、地震などの時にきわめて危険な状態に陥りかねないことは福島第一原発事故でも明らかです。したがって、燃料プールは一刻も早く空にしなければなりません。一刻も早く燃料プールを空にするためにも、使用済み燃料を増やす原発を廃止しなければならないという視点はありませんか。

回答

◆地震などの災害時においても、使用済燃料プールが危険な状態にならないよう対策が施されていることが、規制委により確認されているし、事業者からも説明を受けています。さらに、たゆまず安全性向上に向けた取り組みを続けることを事業者および国に求めており、町としても、今後も住民の安全安心を第一に原子力行政に取り組んでいきます。

質疑応答

質疑

◆乾式貯蔵は一つの選択肢と言われたので、質問にはそう書きましたが、ほかにどういう選択肢を検討していますか。どういう貯蔵方法があると考えますか?

町の答弁

◆実際には貯蔵方法を検討しているようなことはありません。何度かお答えをしましたが、計画に基づいて県外への搬出を前提としています。

質疑

◆その前提となるのは、六ヶ所の稼働ではないのですか。おおい町としてはいつごろと考えていますか。政策を考える上で、推定しておかなければならないと思います。

町の答弁

◆公式には、日本原電が2021年上期の稼働を目指して審査が行われていると言っているので、その状況を注視しています。

質疑

◆動かなかったらどうするのですか。そのまま使用済燃料プールに置いておくのか、置くことも仕方がないと思っておられるのか。あるいは乾式にすぐ移れると思っておられるのですか。

町の答弁

◆一つ駄目なら次はこうということでは、答えられないが、六ケ所の稼働が搬出可能になる一つの要件であるし、関電が進めている推進計画で、県外の中間貯蔵施設が実現できれば、そちらに搬出するということがもう一つの方法になります。

質疑

◆乾式貯蔵は当たり前で、乾式貯蔵しかないと思いますが、乾式にしてプールを空けて、また新しいのを入れるというのが、おそらく今の関電の計画です。それなら、使用済燃料プールに、どんどん新しい高放射線・高発熱量の燃料が入ることになり、危険度が格段に増えます。今までは幸いにも原発の稼働が進まず、新しい使用済燃料を生み出さなかったから、ほとんどの使用済み燃料がプール内で冷却され、乾式に移せるまでに放射線量が減っています。

◆原子炉の圧力容器は鋼鉄製で十分な閉じ込め機能を持っていますが、使用済燃料プールは、上から燃料が見え、放射線が水にあたって発するきれいな光(チェレンコフ光)が見えるように、むき出しです。もし倒壊したり、穴が開いたりしたら、大惨事になります。

◆福島4号機の燃料プールでは、高放射線の中で燃料の取り出し作業が必死で行われました。プールの支柱が折れ、倒壊の危機に瀕していたからです。

◆燃料プールはこのように危険極まりないが、原発をうごかす限り生まれる使用済み燃料を乾式貯蔵に移すには、プールで5年くらい冷却しなければなりません。

◆燃料プールを空けて、新しい使用済み燃料を入れることについて、原発推進という国策だから仕方がないと思っているおおい町であっても、反対とは言えないまでも、もっともっと関心を持つべきだと思います。40年も経ち、ラックの容量を増やしたプールが、長持ちするとは思えないし、大地震が起こったら終わりだと思います。

質疑

◆六ヶ所の稼働を見越している、注視しているということだが、六ヶ所は過去何年くらい計画を続けてきて、何回くらい期限を延長してきたのですか。

町の答弁

◆正確にはわかりませんが、何十回と延長していると思います。

質疑

◆大飯3号機を再稼働するときに、その説明会をしましたが、その前に(町民対策だが)関電を見学しました。その時の所長が、「六ヶ所がもうすぐ動くから大丈夫だ」と言いました。ところが、また延長しました。約束を信用する方がおかしいのではないですか。

町の答弁

◆あくまでも審査状況を注視していくということで、「できる」と私たちが約束できるものではありませんし、現状として計画されているので・・・・。

感想

◆じゃ、それが動き出したら稼働を考えましょう。それまでは原発をストップして、廃棄したらどうですか。そうしたら使用済核燃料も増えないし。

意見

◆六ケ所村が完成しても、プルトニウムが47トンもあると運転できません。したがって、それに頼っても駄目だと思います。5年も冷やして人肌の温度にならなければキャスクが壊れる。そういう技術的な問題を踏まえて発言していかないと、おおい町の安全は守れません。大飯1、2号の廃炉は頭越しに決まった(もんじゅの時も同様)、そういうことを経験しながら、他人ごとみたいなことを言ってよいのか? 私がおおい町民なら黙っていません。

質問4 原発の稼働に関する自治体の姿勢と責任について

質問4-1

◆福井県や原発立地町は、原発の再稼働に同意し原発を推進しています。「日本の原発は過酷事故を起こさない」とした安全神話を福島原発事故を経験した今も信じているとしか考えられません。

◆立地町は、どんな根拠があって若狭の原発は過酷事故を起こさないと考え、原発の稼働を容認しているのですか。国策や経済のためなら、過酷事故のリスクは容認されると考えているのですか。

回答

◆町は新規制基準に適合した大飯3、4号機の再稼働への理解、判断過程において、町民の意見集約、発電所の安全対策の視察、たゆまぬ安全性向上に向けた事業者の姿勢、国の姿勢等を確認し、総合的に判断しました。過酷事故は決して起こしてはならず、引き続き終わりなき安全性の追求、および、災害制圧能力の向上を事業者および国等の関係機関に強く要請したい。

質問4-2

◆原発稼働の可否は、住民の安全・安心にとって避けて通れない課題であるので、首長や議会議員の選挙では原発の問題が重要な争点になってしかるべきです。しかし、実際の選挙では、原発に関する議論を避けている候補者もいます。住民の意見を汲むこともなく、ほとんどの議員が原発再稼働を容認しています。また、町長は議会の容認を基に再稼働に同意し、県知事は立地町の意向を踏まえて再稼働を認めています。住民の安全・安心を軽視する無責任な自治体運営ではないですか。

回答

◆町は再稼働理解判断過程において、町民の意見集約、発電所の安全対策の視察、たゆまぬ安全性向上に向けた事業者の姿勢、国の姿勢等を確認し、総合的に判断をしました。住民の安全安心は最も優先すべき町の責務であり、引き続き終わりなき安全性の追求、災害制圧能力の向上を事業者および国等の関係機関に強く要請します。

質問4-3

◆1昨年12月、関電は、福井県やおおい町に相談することなく、突然かつ勝手に大飯原発1、2号機の廃炉を決めました。このような事態が生じるのであれば、原発立地自治体は、その将来設計が描けなくなります。原発立地町は、突然の原発廃止のように、相互信頼を顧みない関電や国を今後も信頼して、原発政策を続けるのですか。

回答

◆大飯1、2号機の廃炉は、事業者が技術面から安全を最優先に検討した結果、有効な対策が取れないとして決定されたもので、これまで設置変更許可申請が提出される予定と聞いていた中で突然でしたが、住民の安全安心が第一であり、町は理解しました。しかし、100万KWを超える巨大炉の廃炉は、町財政、地域経済に大きな影響を及ぼすことは事実であり、昨年11月には町、県と事業者との間で、事業者が安全対策をはじめ、地域振興対策を継続的に実施する旨を記載した「廃止措置等に関する協定」を締結しました。今後この協定に基づき、住民の安全安心を第一として信頼関係を崩すことなく、原子力行政に取り組んでいきます。

質問4-4

◆万一、若狭の原発で過酷事故が発生した場合,原発の危険性を指摘する多くの声を無視して、原発の再稼働を容認した立地自治体の首長には責任があると考えますが、どう責任をとるのですか。

回答

◆原子力政策の一元的責任は国にあり、エネルギー基本計画に、万が一事故が起きた場合には、国は関係法令に基づき責任をもって対処すると明記されています。町としては、万が一を起こさせないために、終わりなき安全性の追求を事業者および国等の関係機関に強く要請したい。

質問5 脱原発に向かう最近の動きと
原発に頼らない地域づくりについて

質問5-1

◆いま、原発を稼働させようとするとき、多額の費用を要する安全対策を施さざるを得なくなり、安全対策費がとくにかさむ老朽原発の廃炉を決意せざるを得なくなっています。原発は、経済的にも成り立たなくなっています。安全対策費は世界的にも高騰し、トルコ、英国の原発建設から日本企業が撤退し、日本の原発輸出の全てが破綻しています。一方で、原発に固執する電力会社からの顧客離れも進んでいます。関電からの顧客離れは、昨年11月で200万件(約1100万件中の約18%)を超えました。

◆これらの状況は、原発はいつまでも存続するものではないことを示しています。したがって、自治体には、住民と地域の発展のために、原発に依存しない町づくりを考える場を早急に設置する責任があると考えられます。

◆若狭の発展を担う原発立地町には、「原発に依存しない町づくり」について考え始める計画はありますか。あれば、取り組みを示して下さい。もし、原発を存続させるので、そのような取り組みは不要と考えられるのなら、どのようにして原発依存社会を継続させ、発展させていくのかを示して下さい。これに関連して、「原発ゼロ法案」に関するご意見を伺います。

回答

◆町には原発が既に立地しており、現状を踏まえたおおい町総合計画に基づき、町の持続的な振興発展に向けた様々な取り組みを進めていく必要があると考えています。

◆原発ゼロ基本法案について省エネの徹底や再エネの拡大に異論はありません。しかし、資源の乏しい我が国において原発ゼロでエネルギーを将来にわたってどのように安定的に確保していくのか、具体的な道筋は示されていません。国民の生活や経済に直結するエネルギー政策は、実現可能性を具体的に示す必要があると考えています。

質問5-2

◆原発立地自治体の行政機関として、原発に関する住民の生の声を聞き、原発事故の不安がない町づくりについて話し合う必要があると考えられますが、そのような場を設置する考えはありますか。

回答

◆行政としては町長と語る会、行政相談などの意見を聞く場があります。再稼働理解判断の際には町民説明会を開催し、出席者の公募をしました。本日のように意見を聞いて懇談する場を持つこともあります。原子力に関する不安等の相談に関しては常時対応しています。

質問6 その他

質問6-1

◆昨年12月12日、大山の大噴火時の若狭への火山灰降下量について、規制委は関電による評価は過小であると認めました。しかし、当面は稼働中の4基の停止は求めないとしました。大量の火山灰降下は、原発過酷事故に繋がりかねません。原発を止めて、審査のやり直しを求めるのが住民の安全を守るべき自治体の姿勢だと考えますが、いかがですか。

回答

◆事業者は3月29日に評価報告書を規制委に提出しました。今後規制委において議論し、規制上の対応等について判断するものと思っています。住民の安全安心の観点から適切に対応される必要があり、その動向を注視しています。

質問6-2

◆[福井県と高浜町への質問なので、回答なし。]

質問6-3

◆福井県議会は昨年11月26日、若狭湾沿岸の地域に自衛隊の配備を求める意見書を可決しました。「原発への弾道ミサイル攻撃やテロの抑止力となり、地域住民の安心を確保するため」としています。原発立地町は、自衛隊を配備しなければ安全を確保できない原発は廃炉にすべきであると考えませんか。

回答

◆当町はエネルギー政策において原子力は必要であるとする国の方針を理解し、原子力行政に取り組んでいます。そのうえで、国に対しては原子力にかかる様々な課題やリスクの解決、住民の安心確保に向けた取り組みを要請しており、自衛隊配備はその一つです。また緊張が続く日本海側の防衛力強化につながり、さらに自然災害への対応強化にもつながることから、町として今後とも県、嶺南市町と一体となって要請したいと考えています。

質問6-4

◆現在、原発ではサイバー空間の安全性確保が課題になっています。米国とイスラエルが、サイバー空間でイランの核施設に侵入して破壊したように、サイバー空間の安全対策に重要な課題があると思われます。関電の原発に関わるサイバー・セキュリティを、原発立地自治体はどのように確認し,評価していますか。

回答

◆関電に確認したところによると、原子力発電所ではサイバーテロを未然に防止するため、原子炉施設および特定核燃料物質の防護のために必要な設備または装置の操作にかかる情報システムが電気通信回線を通じた妨害行為または破壊行為を受けることがないように外部からのアクセスを遮断している、とのことでした。なお、具体的な対策については、セキュリティーレベルが公表されることになるので、我々も知ることができないと考えています。町としては現状の対策に加え、新たな知見があれば更なる対策を講じるよう指導したい。

全体に関する質疑応答

質疑

◆老朽原発の運転は「例外中の例外」とずっと言ってきたのに、これが反故にされつつあります。それを立地町として認めるのですか。

町の答弁

質問1-1への回答と同じになりますが、規制委が認めれば、地元の理解を得て・・・・。

質疑

◆新規制基準ができた後にも「例外中の例外」と言っていました。その規制基準が変更されてもいないのに「例外中の例外」が踏みにじられるのはおかしい。大飯原発再稼働への県の同意を取り付けるために行った使用済み燃料貯蔵地を県外で見出すという約束も、反故にされています。原発で重大事故が起こったら、若狭だけでなく、関西をはじめ、広域が大きな被害を受けますから、原発の稼働に大きな発言力を持つ立地町(おおい町)に、国や事業者の意向を聞くだけでなく、住民の立場に立って毅然たる態度をとることを期待しています。だからこそ、今日は関西一円からこの場に来ています。

質疑

◆おおい町を舞台にした映画「彼らが原発」を見ました。「物言えば唇寒し秋の風」という雰囲気がこの町全体を覆っているから言えない、反対の旗色を出せないという、鬱積したものを、その映画から肌で感じました。ウーマンラッシュアワー村本さんという若い人(おおい町の出身)が、原発について一生懸命しゃべっています。すごく覚悟してやっていると思います。若い人たちに、おおい町の人たちに、原発に物申したらあっという間に潰される、村八分になるという雰囲気がないところで賛否両論をたたかわせて欲しい。そういう機会を作っていただきたい。

質疑

◆回答を聞いて、老朽原発の再稼働について非常にリスクが大きいという危機感が伝わってきませんでした。立地町の町民の不安はすごく大きいというのが実情だと思います。それでも、国、規制委、関電に期待する、注視するという回答が非常に多かった。町民の不安にもっと真剣に応えることを考えていただきたい。原発の問題は町民だけでなく、私たち関西に住んでいるものにも密接に関係しています。とくに、賛否双方の専門家の意見を聞くことは大事で、賛否両論を町民に披露してもらうくらいのことを町として考えた方がよいと思います。それが、町民の安心につながると思います。いろんな意見を聞きながら、方向を決めていく、こういう姿勢を持っていただきたい。今回の回答にはそういうトーンが聞こえず、残念でした。

質疑

◆若狭でチラシを各戸配布しながら、住民の声を聴いていますが、ほぼ全ての人が「老朽原発はやめてほしい」とおっしゃる。町の意見は、町民の意見とはズレていると思います。

質疑

◆この回答を聞くと、町民は怒ると思います。今日も、何人もの人から声を聴きました。「40年を超えて運転なんて、僕ら許してないで!」という方がいらっしゃった。「絶対やめてほしい」という声も。

◆この他、原発事故に関する責任は、国か事業者かについての質疑応答もあった。


2019年5月

発行;「原発うごかすな!実行委員会@関西・福井」
取りまとめ;若狭の原発を考える会(連絡先;木原090-1965-7102)