◆再掲[公開質問に対する回答]おおい町長の回答…国策には抗(あらが)えないとしながらも、原発立地の苦悩がにじみ出る回答

公開質問に対する回答

おおい町長
国策には抗(あらが)えないとしながらも、
原発立地の苦悩がにじみ出る回答

質問1について 原子力政策については国策であることを大前提としている。7月に決定された第5次エネルギー基本計画においては、原子力は可能な限り依存度を低減するとされており、いつまで存続するかは明確にされていない。一方では、原発は、長期的なエネルギーの受給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源であるという位置づけがされている。原子力はエネルギー政策上必要とされる限り存続すると考えており、国策に協力する町としては今後の政策についての動向を注視していきたい。

質問2について 原子力規制委員会の認可があり、地元の理解が得られた場合は運転は妥当だと考える。

質問3について 原子力政策は国策であり、原子力について立地の自治体が望むからというのではなく、国策として必要ならば存続すると考える。国は将来の方針を明確にすべきであり、方針については早期に国に示してほしいと求めていく。

質問4について 万が一の原子力災害においては、昨年10月に内閣府が取りまとめた「おおい地域の緊急事態法」をはじめとする現行の避難計画や指針等に基づきPAZ 5 km圏内、UPZ 30 km圈の団体避難を基本として、町民や周辺住民を避難させることとなる。訓練を通じて避難計画の検証や改善を重ね、実効性の向上を目指して、継続的に取り組んでいく。被災者の生活保障については国や事業者が関連法令に基づいて対処すべき事項である。町としては国等に対して適切な対応を求めていく。

質問5について 原子力政策の一元的責任は国にある。エネルギー基本計画において、万が一の事故が起きた場合は、国が関連法令に基づいて責任を持って対処すると明記されている。町としては、万が一の事故を起こさせないために、日頃から安全協定に基づき事業者をしっかり指導・監視をしていく。

質問6について エネルギー基本計画において、国が前面に立って解決に取り組むと明記されており、町としては国および事業者の責任の下に早急に敷地外搬出をしてもらうよう、国、事業者に直接、あるいは「全国原子力発電所所在市町村協議会(全原協)」、「福井県原子力発電所所在市町村協議会(立地協)」を通じて要請を続けているが、そういった中で事業者の取り組みを注視していきたい。

質問7について 原子力立地自治体だけでなく、周辺自治体を含めて、原発は基幹産業になっているのが事実。原発が存続する、しないに関わらず、「おおい町総合計画」に基づき町の持続的な振興・発展に向けた様々な取り組みを進めている。

質問8について 原発との共存・共栄を計っている。あわせてUターン、Iターンを促進する事業を行っている。人口減少の抑制や、町の活性化に繋がるような施策について、原発に関わらず、町の施策としてしっかりと取り組んでいく。

質問9について 「原発マネー」といわれる原発の補助金は国の制度に基づき交付されている交付金であり、他の交付金、補助金と同様のものであるが、これまでから学校・教育施設、保健・医療・福祉施設、上下水道などの施設の整備、教育の充実、保険・医療・福祉の充実など、多岐にわたって活用してきた。「製造品出荷額の伸び率」だとか、「観光客の入込み数の伸び率」については嶺北地方のどの地域と比較して言っているのかわからないが、立地条件や環境、商圏としての規模、観光資源といった前提条件がそれぞれ異なるわけで、そういった中で一概に比較できないのではないかと思う。嶺北地方の越前市、南越前町、越前町、池田町など、隣接、隣々接ということで、原発に関連する交付金を得ている。交付税、地方交付税というのは自治体が努力をして交付されるものではなく、国からの要請運営に必要な経費に充てるということで、一定の基準により交付されていると理解しているので、その点御理解いただきたい。

特別質問について 発電所においては、地震による大きな揺れが感知されると、原子炉に全ての制御棒が挿入されて、自動的に止めるというしくみになっている。また、新規制基準に基づいて、強い地震が発生しても、原子炉あるいは使用済み燃料ピット内の燃料を、健全に維持するための安全対策が施されている。事業者(関電)が、地震の大きさに応じて発電所の異常の有無を確認した場合は、町に速やかに連絡してもらうことになっている。当然、県に対してもそういう形になっているので、こういった対策はしっかりとっていると考えている。

おおい町長の回答についての質疑応答

全般について
【質問】国策に全面協力するということだが、国策が変わった場合、当然おおい町としても変わるのか。

【回答】今の原子力政策につきましては、当然、先ほどから申し上げているように、国策として進めてきている訳ですから、国が方針を示す中で、それに反しておおい町だけということは当然できない。役所は、法律なりそういうものに則って仕事をしている訳ですから、基本となるものと相反する町の施策はなかなかできない。

【質問】原発は国策であるかもしれませんが、その事と、住民の健康や安全安心が一緒ならよいのだが、必ずしも一緒にならない場合は、町としてどう考えているのか。

【回答】昨年の再稼働に関する判断の時もそうだったが、まず安全というものが大前提にあると考えている。そういう意味では、現在の新規制基準は、従前よりはるかに安全性が高まったと言われているので、まずは安全性が担保されていると判断した。先ほど申し上げたように、事故が起きないようにそういう体制をしっかりしていく。

【質問】昨年12月に発表された大飯原発1,2号機の廃炉を、おおい町として聞いたのはいつですか。

【回答】12月、年の瀬の押し迫った時です。

【質問】国や関電の政策に従いながら町を運営しているおおい町は、この件では、「大飯飯原発4基のうちの半分の1,2号機を止めます」と、関電から一方的に、急に言われてしまったわけです。町民の生活や職場を守らなければならない町としては、非常に困るのではないですか。迷惑をこうむるのは町民だと思う。町としては、原発を国策として受け入れたけれども、関電は、一方的に、急に原発廃炉を発表したのです。税金が入らなくなるという事態がいつ起こるのか知りませんけど、そうなったとき、町の運営はどうなっていくのかなと心配です。今、老朽原発の安全対策費が高くなって、原発は経済的にも成り立たなくなっていますから、原発廃炉はいつ発表されるか分かりませんよ。そういう時に、自治体は住民の側に向いていなければならないとする地方自治法は非常に大切です。もっと住民の側に立った施策をすべきだと思います。

【回答】大きな出力の発電所の廃炉が急に発表されたが、財政に与える影響も大きく、おおい町としたら切実な問題です。廃炉を安全にやっていただくことを要望し、国には幾度となく全原協などを通じて、財政面の支援をしっかりしてほしいと要望している。

【質問】新規制基準についてきちっと勉強されているか。

【回答】新規制基準について、おおい町の場合、県のような組織がないので、正直なところ、新規制基準の中身をすべて把握しているわけではない。適合しているか否かについては、私たちは専門委員会をもっていないので、規制委員会や県の専門委員会で議論された内容を確認して判断している。

【質問】以前、町議会を傍聴したときにも感じたが、規制委員会が良いと言っているから大丈夫というような言い方で、町として真面目にどれだけ勉強されているのか。町議会議員の方も「誰それが言っているから大丈夫」というようなことでは、町民に対しての責任を持っているとは言い難しいのではないか。「国策だから仕方がない、国の言うことを信じるしか仕方がない」とおっしゃっているように聞こえるが、福島県がそう言ってきて、事故が起きたのです。

【回答】なし。

【質問者の意見】かばうわけではないが、中塚町長になってマシになった。中塚町長はよく勉強もしている。今まで今回のような開かれた場は無かった。

質問3について
【質問】聞き間違いだったらすみませんが、「住民が望むかどうかは関係なく」と聞こえたのですが、「そうか住民の意見は関係ないのかなぁ・・」と思った。国策だから住民の意見は関係なく、全面的に、町は協力するということでよろしかったですか。

【回答】誤解を与えるような言い方になってしまったが、原発の存続に関して、一般論的な回答をした。一自治体が望む、望まないで進ん行くものではなくて、国のエネルギー政策、エネルギー自給見通しを踏まえた政策がまず前提としてあり、それに沿って、存続する、しないということが判断されるべきであるということだ。

【質問】私たちとしては、公開質問させていただいているので、この回答は住民にお知らせします。そこで住民の方には、「一自治体としての意見は何もないんですよ、国策がすべてなんですよ」と伝えることになります。そうすると、住民はどうお考えになるのか。「自治体としての考えはないのかな」ということになってしまうので、がっかりされる住民が多いのではないのか。

【回答】無し。

質問4について
【質問】回答の内容が質問の内容とズレている。本日は、若狭だけでなく、関西などの広域から参加している。福島事故では、事故炉から 50 km 離れた飯館村が全村避難であった例からも分るように、事故が起こればUPZ内の人だけでなく非常に広域の人が被害をこうむる。広域が汚染されれば、おおい町の人も逃げることができない可能性が高い。福島では、事故から7年もたち、国は帰還を進めようと躍起であるにもかかわらず、半分くらいしか故郷に帰れていないのが現状である。そういうことを踏まえて、住民の生活や生命の安全について例を挙げてお聞きしている訳だが、今のお答えはそういうことをお考えいただいた上での回答ですか。

【回答】帰れない状況はあるということは解っておりますけれど、そういった生活を支えるというのは当然国策であり、それぞれの居住地の市や町が生活を支援していくのは当然であろうと思うし、従ってそれをどう原子力災害と結びつけていくのかということです。現状では原子力の広域避難の訓練の実効性を高めるというような訓練をするしかないのかなあと私としては思っているわけで、それが確実に行われるのかということは、確実にとはお答えできないと思います。訓練を重ねながら実効性を高めていって、PAZ、UPZを含めて行動を続けていくしか今のところはないと考えている。ご理解いただきたい。

質問5について
【質問】私たちは、原発は危ないと、ずっと注意・警告をしてきた。なにも警告もせずに事故が起こったら、それは我々も責任を追及できないかもしれないが、これだけ警告をしてきたのだから、事故が起こったら責任はあるのではないかと言っている。今は、立地自治体の同意がなければ、原発を稼働できないことになっているので、その点からも、立地自治体の長にも責任があるあると思う。

【回答】一つ言わせていただければ、よく町長も言うんですけれども、新規制基準に適合して安全性が非常に高まっている中で、先ずは事故を起こさせないことは当然、最後には避難と言うこと、事故を起こさせないように、しっかりした監視をしていく。仮にも事故が起きた場合、避難までしなくていいように、最小限にとどめてもらうように、制圧能力を高めて戴くことに重点を置いて、その上で避難が必要になった場合は、総務課課長が言ったように、実効性を高めて対応できるようにしていく。

質問6について
【質問】使用済み核燃料の問題は、国、事業者(関電)に責任があるということで、敷地外搬出というのは、おおい町が言っているのか?県知事は、「県外へ」と言っていませんか?敷地外ならよいというのであれば、敷地の外、例えば名田庄に持っていくというようなことにもなるので聞きたい。現在、全国の自治体が「うちに持ってくるのはいやだ。」と率直に言っているわけで、無理矢理どこかに持っていくわけにいかない。そうなると使用済み核燃料はどんどん滞積することになるが、それについてどう考えておられるのか。

【回答】敷地外というのは間違いです。すみません。基本的に県と同じスタンスで進めている。当然使用済み燃料というのは保管できる量にも限度がありますので、そういったところは事業者(関電)としても、明確に早急に方針を示していただきたいということで、機会あるごとに事業者(関電)には話している。

全般について
【要望など】国策と言って原発を進めたにもかかわず、関電の利害だけで突然原発が廃炉になるという事態も起こっている。おおい町では、いつ財政が破綻する事態に直面するかわからないことをし示している。おおい町は自治体として、住民立場から主張しないと、若い人が帰ってくることも含めて、将来を展望できないと思う。最後に、この回答のために、長い時間を使っていただいたことに感謝いたします。