公開質問に対する回答
高浜町長
国策には抗(あらが)えないとしながらも、
高浜町の原発の存続期間は最長でも60年と明言し、
それを見越した町運営も始めていると回答
◆質問1について 第5次エネルギー基本計画ではこれまでに引き続き、原発依存度を可能な限り、低減させていく方針がうたわれる中において、国が示すエネルギーミックスの電源構成比をふまえ判断されるものと考えている。既存の原子力発電は、最長でも60年で廃炉になるので、高浜町の原子力発電でも40年あるいは延長60年が存続期間であると認識している。
◆質問2について 40年を超える原子力発電については、厳格なる新規制基準適合審査をクリアしていることを条件として、法律で最長60年の原子力発電プラント運転を認めており、妥当であると考える。
◆質問3について 既の原子力発電については、現在最長でも60年までとなっているので、それ以上の運転延長稼働はないものと認識している。
◆質問4について 福島第一原子力発電所で発生した今回の重大事故の原因は、原子力発電を安全に停止させるための全ての電源や機能が喪失し、その結果、燃料の冷却ができなくなり、水蒸気爆発を起こし、放射性物質が漏れたことが原因となっている。その事故を踏まえ、今後二度と起きない対策として、新規制基準適合検査による対策工事 が行われているものと認識している。福島第一原子力発電所事故当時の発電所と新規制基準適合検査を受けて安全対策が幾重にもほどこされた発電所では、土俵が少し異なるように感じているが、高浜町としては、原発重大事故が生じないよう、厳格な新規制基準適合検査を通した上で、運転されていると考えており、福井県や高浜町の現場立入検査なども実施し、今後も適正な運転に努められるよう監視していく。
◆質問5について 原発による事故が起きた場合には、国は関係法令に基づき、責任を持って対処するものとエネルギー基本計画の中で明記しているので、原子力政策の責任は国にあると考えているが、立地自治体の立場としては、被害を起こさせないようにすることが立地自治体の責務であると認識している。
◆質問6について 使用済み核燃料につては、福井県知事が県外搬出と明言されており、動向を注視している。高レベル放射性廃棄物については、科学的特性マップによる取り組みなども進められているので、今後の施策、動向に注視していきたいと考えている。
◆質問7について 基本的には原子力発電を存続させることの最大の効果は、日本のエネルギー事情を安定的なものにすることであり、国益に資するということで、国が進める施策であると認識している。その中で、立地町である高浜町においては、発電所関連の産業を中心に地域経済が構築されているものと考えるが、既存の高浜原発3,4号機でも何年か後には期限を迎え,全ての原子炉が廃炉となることが決まっているので、中長期的な視点では原子力だけに頼らない産業・雇用を生み出していく政策を進めていく必要があると考える。
◆質問8について 高浜町では、海水浴場の国際環境認識であるブルーフラッグを日本ではじめて取得するなど、世界に誇れる地域資源を武器に、都市部在住者向けプロモーション活動を推進している。その結果、ライフセーリング関係者を主として、海のある生活に魅力を感じる方の移住に繋げることができている。その他、高浜町では、第一次産業においてその再興を果たすべく、海の6次産業化や薬草関連ビジネスの展開、大規模施設園芸事業者の誘致等を進めており、魅力的な雇用の創出を図っている。こういった取り組みが少しずつ功を奏し、平成28年には20代女性の転入人口の増加が全体を牽引し、26年ぶりに転入超過となるなど、原子力発電所と共存する現状においても少しずつ効果が出ている現状にある。
◆質問9について 高浜町の財政運営については、総合計画に基づき、計画的な財政・行政運営を行ない、健全で持続可能な財政運営を行うものである。また、将来的な税収減を見すえた中、各事業の実施にあたっては必要性や事業効果等を十分に検討し、国や県の補助金、また、ご指摘の交付金につきましても法令に基づき、有効活用しながら計画的な事業推進に努めていきたいと考える。原子力発電がなくなれば、高浜町は自主財源が厳しい状況となり、交付団体(普通交付税を国から受ける団体)へ移っていくこととなる。一定の行政運営は担保されるものと考えるが、他方、国においては多額の借金を抱えているので、理想を述べるなら、各自治体が国に頼らない財源を創出していくことが、本来望まれるものであり、そういった観点では、微力ながら高浜町は自立した行政運営を進める自治体であると考えている。
◆特別質問について 発電所ではプラント毎にそれぞれ基準地震動が定められ、地震の揺れの強さを示す加速度を図る計器が設けており、一定基準以上になった場合、緊急停止するように設定・運用されているので、地震の大小にかかわらず、事業者(関電)が異常の有無を点検し、その結果の報告を町は受けている。
高浜町長の回答についての質疑応答
◆質問2について
【質問】原発の60年運転は、例外として定められている。ところがどんどん60年で運転することを始めて、おかしな話と思っている。60年というのは、そんなに簡単に認めてはならないと思うが、例外ということに関する見解を伺いたい。
【回答】この質問を町長に確認しているので、再質問では私見も入るのをご理解願いたい。60年と言うのは、当初40年で運転が定められて、例外的に、安全で運転できるのであれば、20年の延長を認める、と判断している。検査もしっかり受けられて、対策工事も莫大な費用をかけて実施されているので、高浜町としても、規制委員会、国が安全で運転できるであろうと判断した場合、それに従って、現在、最長60年と判断したということで、今のところまだ対策工事中で、もし認められれば、高浜町として認められるのではないかと判断している。
【質問者の意見】その件で、クレーンの倒壊や再稼働時でもたびたびトラブルが起こっているので、高浜町としてはかなり慎重な判断をしなければいけないのではないか。向こう任せではいけない。
◆質問4について
【質問】もし、高浜原発で事故が起こったら、高浜町だけに限らず、例えば福井県庁までは90㎞だが、京都駅まで63㎞しかない。風の向きによっては京都市全域が避難区域になる可能性があり、高浜の方を受け入れるどころではなく、どこにも避難できなくなることについてお聞きしたが、新規制基準がしっかりしているから事故は起こさないという答えでは、納得できない。事故を起こさないのだったら避難訓練しなければいいのに、訓練はされている。来る25、26日も予定されている、その辺の整合性が分らない。
【回答】一応安全対策は十分されていると考える。何に対しても100%はないとよく言われるが、事故を起こさないとは考えているが、もしもの時のために避難訓練を行っている。事故があるからやるという考えとは若干違うと知事が言っている。今回の避難訓練は高浜原発、大飯原発が同時に事故が起きるという非常に稀な状況を仮定して訓練をやるということです。適切な回答になっているかどうか。
【質問者の意見】
地方自治法では、地方自治体は、第一議的にそこに住む住民を守ることになっている。100%はないであれば、住民を守る視点からは、原発は運転してはならないのではないか。今の回答は、お立場があるから、分らない訳ではないが不思議な回答だ。
◆質問6について
【質問】使用済み燃料の保管場所を、福井県知事は県外と言っている。科学的特性マップは使用済み燃料がどこでも捨てられるマップですが、どこにも受け入れ場所がない。使用済み燃料プールは非常に不安定なプールで、プールの7割以上が満杯になっている。引き受けるところもない状況で、ほんとに県外に受け入れさせるだったら、余程のこれなら大丈夫という空冷保管の事を考えなければいけないし、その提案をしなければいけないと思う。うちで作ったが保管は県外にという話は受け入れられないに決まっている。これをどうするのか。町だけの話ではない気がするし、逆に言うと町はそれを持っていてそのままでいくと7年後には満杯になって原発が動かなくなってそれはそれでいいのでしょうけど、そのまま持つこと自身が危険な状況になりますので、なにか話合われているのか。
【回答】使用済み燃料については、当初、町長も敷地内で保管も考えられ、その場合には乾式キャスクで保管できるのではないかと話していたが、福井県知事が、第一に県外搬出と強く言っているので、現在、その動向を注視している。近隣でも当初は保管しようかという動きもあったようだ。町長の私案ではいかに安全に保管するかというのが第一で、県外で見つかればいいが、見つからない場合はどうしようかという議論を、今後進めていくべきではないかと町長も言っていたので、いろんな選択肢があるなかで、どういうのが一番安全に保管出来るのか、言う話の展開へ、もし県外で見つからなければ、そういった話になっていくと考えている。
【質問者の意見】プールが満杯になったら原発は動かせない筈なので、10年以内にはすべての原発が停止する。そのことを考えて町の運営を考えなければいけない気がする。
◆質問7について
【質問】原発が停まると町が疲弊するといわれていて、今後も原発が停まったら疲弊するという話が出てくるが、その対策が今の回答ではわからない。
【回答】原発がなくなると、経済が疲弊するというのは、40年の中で原子力発電所で働く方は町内でも多数になっているし、近隣の舞鶴市や小浜市からも大勢が発電所で働いている。その仕事が無くなってしまえば、暫くは経済が疲弊するであろう。また、作業員が泊まる民宿が多数あるし、作業の方の弁当屋もかなりあるので、突然停止するとそれらの方の仕事が減って、経済的には少し疲弊するのではないか。60年制限のために発電所の停止も近づいてきますので、今、和田などでトマトハウス、イチゴハウスの施設園芸、建物で野菜を作る植物工場などを誘致して、雇用はある程度ある。言い方は悪いが、出口戦略としても町長も考えている。もう一つは海の六次産業化、魚を獲るだけではなく、加工してその場で販売できるような施設も現在高浜町がやろうとして動いている。第一次産業を六次化して、経済性を高め、雇用も確保しようと重点的に進めている。
【質問】最近になって特別な担当部署ができたのか。
【回答】以前の農林水産課と商工観光課であったが、統一して考えようと、数年前に産業振興課が出来た。
◆質問6、7について
【質問】使用済みと関連し、町長も県外の受け入れが無ければ、真剣に考えなければいけないとされているが、その話は町長は勉強して、町民に現実を知らせて、町民に対してどう思うのかと問う考えがあるか。それとも、今までどおり、議会は町民の代表だから、町長と議会が判断したらよいと考えているのか。
【回答】
直接町長と話したことがないが、大きな転換期にはある程度町民に対しての説明が必要だと思う。再稼働する時にも、有線放送でいろんな情報を知らせ、安全対策を住民の方が見られるようにして、その上でということであったので、今回も議会だけになるかどうかは私がどうこう言うことではないが、町民に対してはある程度、説明がなされるべきだと思う。
【質問】説明で済む話ではなくて、説明だけだと駄目だと思う、町民が多くの事を知って、町民自身が判断できる状況を作って、町民に判断してもらうことが今までは大きく欠けていたし、今後も欠けた状態で行くのかと聞いた。再稼働を説明したらいいことではない。
【回答】どういう仕組みかということは申し上げられませんが、説明だけではダメということその辺のところは町長に伝える。
【質問】原発を動かせば使用済み燃料が増えていく。増えていくのに行き先が決まらない。知事は、関電に年末までにという期限を切っている。関電は探しているが実現していない。実現しなければ、使用済み燃料の行き所がない、トイレのないマンションにずっと住み続けるわけにいかない。普通は原発は止めると考える。高浜はMOX燃料を使っているが、以前の使用済み燃料の場合、7~8年で冷えて外に取り出すことができたが、MOX燃料は20年~40年かかる。MOX燃料を取り出してキャスクに保管する実績がない。その設計が出来てない。しかも、キャスクに入れても50年ごとに一本1~2億かかる入れ替えをしなければならない。そんな問題のある、厄介なものを、高浜はすでに動かしている。子々孫々、永久に高浜の地で住む覚悟があるのか。原発を止める方がクリーンで安全かということだ。世界的には原発は斜陽産業で、そのうち原発は止まる。その後も使用済み燃料の処理管理を、子々孫々にわたって管理をしなければならない。エネルギー庁や経産省は、原発がコストが安いとだませなくなったから、異常気象・温暖化を防止の一点に絞り始めた。しかし、原発は温暖化防止に寄与しないという指摘もある。もうそろそろ先を見越した産業を先取りして、雇用を生むような町として展開していく。町が生き延びるうえで得策ではないかと思う。
【質問者の意見】おおい町は、国策だから原発をやりますと回答したが、関電は足元をひっくり返すように,唐突に大飯原発1,2号機をやめますと言った。町の収入が減りますよね。おおい町にそれをいつ聞いたのかと尋ねたら、昨年の12月に聞いたと言う。二階に上げられて、急にはしごを外された形だ。それを関電がやっている。今後もありうると思う。高浜原発1,2号機だって、これだけ安全対策費がかかったら、ある時もうやめたと言われる可能性がある。町の健全運営のためには、原発はもうやめた方がよい。
◆質問8について
【質問】ブルーフラッグの説明と、20代の女性の方が増えているそうで転入が増えている、その数字を具体的に知りたい。
【回答】ブルーフラッグとは、ビーチの世界的な環境認証制度で、これは海の環境、安全対策など33の基準に適合した海岸に与えられる。アジアでは初めてで、今年度は高浜町と鎌倉の由比ガ浜が認証を取得した。転入は毎年、毎月数字をまとめていて、HPにも載っている。平成28年度の転入と転出の差が32人プラス(死亡を除く)になった。
◆質問7、8について
【質問】琵琶湖の湖水浴客は昔も今も一杯だが、アジアで初のブルーフラッグを取得したという若狭の海水浴場には客が心配になる位少ない。そこをお聞きしたい。
【回答】高浜町だけで
昭和60年には年間100万人あったが、レジャーが多様化したのか、海水浴離れと言われていて、昨年は30万人程度まで落ち込んでいる。土、日は客が多いが、平日は客がぽつぽつとしている状況で、インターネットのアンケートをみると、海へ行くことにレジャーの感覚がない。海に行くくらいならならゴルフに行くという回答もあり、若い方が海に行けば砂で汚れるという感覚を持たれているようで、それなどが原因で海水浴がレジャー産業として落ち込んでいる。今年は暑すぎて熱中症の危険があると報道されるので、レジヤーとして炎天下に出るというのが好まれなかったのかと感じている。ブルーフラッグと海水浴客に関しては、海の水質とかライフセイバーが活躍していて、和田の海岸へ行くと、黄色いシャツを着たライフセイバーが常に監視していて、そういったこともきちっとできている海水浴場に認証が与えられる。ライフセイバーをやりたいので高浜に移住する方も何人かいたり、新たにUターンして民宿をする方もあって、徐々に発電所以外のPRもするし、海水浴客が減ってきているのは私どもも残念に思っている。
◆質問9について
【質問者の意見】先ほど、原子力関係の交付金はあるから、自前の経済財政でやっていけている。地方交付税交付団体は避けたい。国に頼らない財政にしていかなければいけないと言われたが、国には金はあるので、もらわなければいけない。地方交付税というのは、地方交付税法によって、地方に財源が足りないところに交付されるもので、単に、所得税、法人税、たばこ税、消費税などを国が預かっているもので、国のお金ではない。国が地方の代わりに徴収して、それを財源が足りないところに交付する仕組みになっている。地方自治体は、それを受け取る権利を持っている。遠慮することはない。町長が国に頼らない財政にしていかなければならないといわれたが、それは認識が違う。地方交付税をもらうのは当たり前で、圧倒的多数の市区町村はそれでやっている。そこを考え直していただければいいと思う。一方、電源三法交付金は、形の上では国からもらっているように思われるが、あれは消費者が払っている電気代なんです。電力会社が電気代として消費者から取り立てる電気代の中にその一部が入っていて、それを国に納めると、国はそれをプールして立地自治体や周辺自治体にばらまいている。電源三法交付金というのは、全国の消費者の皆さんから頂戴しているもので、関電や国がくれているのではない。
【回答】そのように町長に伝えます。
◆特別質問について
【質問】先ほどの答えになると基準地震動があり、それによって原発を止めるといっているが、たとえ関電や規制委員会が言う基準地震動を認めても、そんな地震が来た時にはすでに危なく、町の安全は守れない。地震が起こったらすぐ原発を止めて、例えば2~3日余震が無くなるまでは、使用済み燃料プールも含めて、様子を見るという話を、町として関電に要求してほしい。そうしていただかないと高浜町だけなでく、広域の住民が危ない。とくに使用済み燃料プールがいっぱいに近いんですから。